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獣人国
兄弟関係
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(ガルルにガウ?それに王子って……思い出したわ、獣人国の王族の名前じゃない。確か、第一王子と第二王子の事ね)
兵士の話を盗み聞きしたリディアは彼等が第一王子に従う獣人国の兵士だと気づき、しかも獣人国の大将軍であるウォンが率いている事を知る。しかも彼等はケモノ島と呼ばれる第二王子が逃げ込んだ島へ向かう準備をしているらしく、戦準備をしている事からガウの命を狙っている事が判明した。
(そう言う事ね……大方、獣人国の国王が跡取りを決める前に急逝したから長男であるガルルが弟のガウを殺そうとしているみたいね。こいつらが不仲な事はクズノからも聞いているわ)
獣人国の第一王子と第二王子の仲が悪い事はリディアも知っており、長男であるガルルを差し置いて次男であるガウを王位継承者に進める人間も多い事もクズノから聞かされている。彼はこの兄弟の不仲を利用して魔王軍の組織拡大のために様々な画策をしていたはずだが、詳細までは聞かされていない。
(それにしても兄弟同士で殺し合うなんて……別に珍しくもないか)
王位を争って実の兄弟が争う事は歴史上でも多々ある事であり、別にその点に関してはリディアはガルルの行動を愚かな行為だとは思わない。しかし、今の状況で折角自分達が訪れた港町がガルルの軍隊に占拠されている事に彼女は不満を抱かずにはいられず、これでは港に入る事が出来ない。
(確か兄貴の方が種族差別が激しい奴だったわね。という事は……最悪!!宿に泊まるどころか港に入る事も出来ないじゃない!!)
第一王子のガルルは獣人族至上主義者である事もきかされているため、リディアはこのままでは港町に入れない事を知って悪態を吐く。しかも港は完全に兵士に占拠されているので忍び込む事も難しく、折角身体を休める宿屋で過ごせると考えていたリディアは苛立つ。
(ふざけんじゃないわよ!!やっと囚人生活を抜け出せたと思ったのに……そうだわ、用はこいつらがさっさと出て行けばいいのよ。早く出発しなさい!!)
ガルルが弟のガウを追ってケモノ島に向けて出発すれば港を占拠している軍隊も退去するとリディアは考えたが、運が悪い事に荷物を運び出す兵士に隊長らしき中年男性の兵士が指示を出す。
「出発は明朝の予定だ!!それまでに何としても荷物を運び込めっ!!ケモノ島まで一週間は掛かるからな!!」
『はっ!!』
ガーゴイルの耳を通して兵隊長の言葉を聞いたリディアは軍船が出航するのは今日ではなく、明日の朝という話を聞いて落胆する。しかも船旅に必要な荷物をまだ運び終えていないらしく、予定通りに進まなければもっと出発が遅れてしまう可能性もある。
(冗談じゃないわ!!こんな窮屈な乗り物の中であと1日も過ごせるはずがないでしょ!!)
リディアは氷飛行機で一晩過ごしたが、思っていた以上に氷塊で形成された乗物というのは身体に悪く、毛布で身を包んでいても身体が休まらない。どうにかして彼女は今日中に陸地に上がり、身体を休める場所を探そうと考えた時、不意にガーゴイルがリディアの指示を受けずに勝手に移動を始めてしまう。
『シャアッ……!!』
車体の下に隠れていたガーゴイルは地面に伏せると、何かを警戒するように身構えた。その行動に感覚を共有化させているリディアは戸惑い、ガーゴイルが何を感じ取ったのか疑問を抱く。
(ちょっと、急にどうしたのよ……あんた、怯えてるの?)
リディアがガーゴイルの行動を問い質そうとした瞬間、ガーゴイルの肉体が小刻みに震えている事が伝わり、リディアは動揺した。ガーゴイルは魔物の中でもサイクロプスやミノタウロス程ではないが危険な魔物であり、岩人形を凌ぐ防御力と戦闘力を誇る。そんなガーゴイルが何に怯えているのかリディアは不思議に思うと、馬車の近くで男性の声が響く。
「調子はどうだ?」
「こ、これはウォン将軍!!お前等、何をしている!!ウォン将軍に敬礼せんか!!」
「も、申し訳ありません!!」
「失礼しました!!」
ガーゴイルが伏せる地面に振動が伝わり、両手に鉤爪を装着した大男が現れ、兵士達は慌てて仕事を中断して敬礼を行う。彼等の反応と兵隊長の言葉から察するに獣人国の大将軍である「ウォン」が現れた事にリディアは気付き、慌ててガーゴイルに動かないように指示を出す。
(不味い……あんた、絶対に動いちゃだめよ!!見つかったら面倒なことになるわ!!)
リディアが指示を出す前にウォンが接近している事に気付いていたガーゴイルは地面に伏せて極力気配を殺す。真面に戦っては敵わない相手だと本能が告げており、ガーゴイルはやり過ごそうとするが兵士達の前に現れたウォンは馬車に向けてゆっくりと接近してきた。
兵士の話を盗み聞きしたリディアは彼等が第一王子に従う獣人国の兵士だと気づき、しかも獣人国の大将軍であるウォンが率いている事を知る。しかも彼等はケモノ島と呼ばれる第二王子が逃げ込んだ島へ向かう準備をしているらしく、戦準備をしている事からガウの命を狙っている事が判明した。
(そう言う事ね……大方、獣人国の国王が跡取りを決める前に急逝したから長男であるガルルが弟のガウを殺そうとしているみたいね。こいつらが不仲な事はクズノからも聞いているわ)
獣人国の第一王子と第二王子の仲が悪い事はリディアも知っており、長男であるガルルを差し置いて次男であるガウを王位継承者に進める人間も多い事もクズノから聞かされている。彼はこの兄弟の不仲を利用して魔王軍の組織拡大のために様々な画策をしていたはずだが、詳細までは聞かされていない。
(それにしても兄弟同士で殺し合うなんて……別に珍しくもないか)
王位を争って実の兄弟が争う事は歴史上でも多々ある事であり、別にその点に関してはリディアはガルルの行動を愚かな行為だとは思わない。しかし、今の状況で折角自分達が訪れた港町がガルルの軍隊に占拠されている事に彼女は不満を抱かずにはいられず、これでは港に入る事が出来ない。
(確か兄貴の方が種族差別が激しい奴だったわね。という事は……最悪!!宿に泊まるどころか港に入る事も出来ないじゃない!!)
第一王子のガルルは獣人族至上主義者である事もきかされているため、リディアはこのままでは港町に入れない事を知って悪態を吐く。しかも港は完全に兵士に占拠されているので忍び込む事も難しく、折角身体を休める宿屋で過ごせると考えていたリディアは苛立つ。
(ふざけんじゃないわよ!!やっと囚人生活を抜け出せたと思ったのに……そうだわ、用はこいつらがさっさと出て行けばいいのよ。早く出発しなさい!!)
ガルルが弟のガウを追ってケモノ島に向けて出発すれば港を占拠している軍隊も退去するとリディアは考えたが、運が悪い事に荷物を運び出す兵士に隊長らしき中年男性の兵士が指示を出す。
「出発は明朝の予定だ!!それまでに何としても荷物を運び込めっ!!ケモノ島まで一週間は掛かるからな!!」
『はっ!!』
ガーゴイルの耳を通して兵隊長の言葉を聞いたリディアは軍船が出航するのは今日ではなく、明日の朝という話を聞いて落胆する。しかも船旅に必要な荷物をまだ運び終えていないらしく、予定通りに進まなければもっと出発が遅れてしまう可能性もある。
(冗談じゃないわ!!こんな窮屈な乗り物の中であと1日も過ごせるはずがないでしょ!!)
リディアは氷飛行機で一晩過ごしたが、思っていた以上に氷塊で形成された乗物というのは身体に悪く、毛布で身を包んでいても身体が休まらない。どうにかして彼女は今日中に陸地に上がり、身体を休める場所を探そうと考えた時、不意にガーゴイルがリディアの指示を受けずに勝手に移動を始めてしまう。
『シャアッ……!!』
車体の下に隠れていたガーゴイルは地面に伏せると、何かを警戒するように身構えた。その行動に感覚を共有化させているリディアは戸惑い、ガーゴイルが何を感じ取ったのか疑問を抱く。
(ちょっと、急にどうしたのよ……あんた、怯えてるの?)
リディアがガーゴイルの行動を問い質そうとした瞬間、ガーゴイルの肉体が小刻みに震えている事が伝わり、リディアは動揺した。ガーゴイルは魔物の中でもサイクロプスやミノタウロス程ではないが危険な魔物であり、岩人形を凌ぐ防御力と戦闘力を誇る。そんなガーゴイルが何に怯えているのかリディアは不思議に思うと、馬車の近くで男性の声が響く。
「調子はどうだ?」
「こ、これはウォン将軍!!お前等、何をしている!!ウォン将軍に敬礼せんか!!」
「も、申し訳ありません!!」
「失礼しました!!」
ガーゴイルが伏せる地面に振動が伝わり、両手に鉤爪を装着した大男が現れ、兵士達は慌てて仕事を中断して敬礼を行う。彼等の反応と兵隊長の言葉から察するに獣人国の大将軍である「ウォン」が現れた事にリディアは気付き、慌ててガーゴイルに動かないように指示を出す。
(不味い……あんた、絶対に動いちゃだめよ!!見つかったら面倒なことになるわ!!)
リディアが指示を出す前にウォンが接近している事に気付いていたガーゴイルは地面に伏せて極力気配を殺す。真面に戦っては敵わない相手だと本能が告げており、ガーゴイルはやり過ごそうとするが兵士達の前に現れたウォンは馬車に向けてゆっくりと接近してきた。
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