299 / 657
帝国の危機
能力強化
しおりを挟む
「うっ……!?」
「王女様?どうかしたんですか……これは!?」
「おおっ、成功したみたいですね」
ジャンヌが唐突に膝を付き、心配した直央が近寄ると、彼女の身体が僅かに赤色に光っている事に気付く。その光景を確認したリーリスは安心した表情を浮かべ、説明を行う。
「経験石を破壊すると大量の経験値を得ます。その際に使用者の肉体が光り輝くんですよ」
「じゃあ、成功したんですか?」
「は、はい……力が、溢れてくるような感覚です」
自分自身の変化を戸惑うようにジャンヌは両手を確認し、自身の魔力が高まる感覚を覚える。しかも紋様に浮かんでいた忌々しい呪毒の象徴である「黒蛇」が徐々に縮小化し、遂には数センチ程度の大きさに変化した。これは彼女の中の魔法耐性の能力が高まったことを示し、呪毒に反抗する力が強まったことを示している。
今までと比べて身体が嘘のように軽くなり、ジャンヌは足元の小石を拾い上げると、指先で摘まんだだけで簡単に砕け散ってしまう。急激なレベルアップによる身体能力の強化にジャンヌは戸惑いながらも嬉し気に二人に振り返った。
「身体に羽根が生えたように軽くなりました……!!今なら何でも出来そうな気分です!!」
「それは良かったですね。でも、重要なのはここからです。まずはレベルを確認してください」
「そ、そうでした」
リーリスに言われて慌ててジャンヌはステータス画面を開き、自身のレベルと能力を確認する。その結果、元々は「10」しか存在しなかった彼女のレベルが「45」にまで上昇していた。この数値は一般の魔術師ならば数年は魔物を狩り続けないと入手できない数値であり、しかもスキルの項目に関しても新しい能力が追加されていた。
『竜喰者――竜の経験石を得た人間のみに与えられる称号』
「これは……?」
ジャンヌの固有スキルの項目に新たに「竜喰者」というスキルが加えられており、説明文を見る限りでは何らかの能力というよりは称号を示すスキルだと判明する。その他には特に覚えている能力も複数存在したが、重要なのはここからである。
「レベルは45に上がってました。それと新しい能力を幾つか増えたようですが……」
「45!?それは凄いですね……王女様の年齢でここまでレベルを上げる魔術師なんて滅多に存在しませんよ」
「ですが、ここからはどうしたら良いのでしょうか?新しい能力も覚えたようですが、私は一度も魔物と契約を交わした事がありません」
魔物使いが魔物を従える際、必ず「契約紋」と呼ばれる紋様を魔物に刻む必要がある。この契約紋こそが魔物と主人の繋がりを示す重要な魔法なのだが、ジャンヌは生まれてから一度も利用した事がない。しかし、そんな彼女の質問に答える前にリーリスは地面に散らばった経験石の破片を拾い上げ始めた。
「……その前に経験石の破片を回収しましょうか。ドルトンさんとの約束もありますし、忘れる前に集めておきましょう」
「そ、そうですね」
「結構散らばってますね……集めるのに時間が掛かりそうだな」
「キュロッ」
「ブモォッ」
「ウォンッ」
二つの竜種の経験石は衝突地点を中心に周辺に散らばってしまい、まずは破片集めから始める。ドルトンとの約束で破片だけでも彼に渡す事になっているため、リーリスたちは手分けして破片を拾い集めた――
――数分後、どうにか破片を拾い上げるとリーリスは用意しておいた水晶製の箱の中に経験石の欠片を収める。火竜と土竜の経験石が混ざらないように2つの箱を用意し、全ての破片を収めると収納石を利用して一時的に異空間に預けた。本当はドルトンの店を尋ねて返却するのが良いのだろうが、今は一刻も争う。
「さて……ここから重要です。王女様の能力の解明を行います」
「はい、力を貸して下さい」
「ですが、その前に直央さんに頼みたいことがあります」
「え?」
名前を呼ばれた直央は驚いた表情を浮かべるが、リーリスは直央の能力を利用すれば例の噂が真実なのかどうかを確かめられるのではないかと考え、ある調査を依頼する。
「先日、帝国北部に出現したユニコーンの存在を調べておきたいんです。直央さんの千里眼と空間移動の能力なら時間も掛からずに帝国北部に移動し、帝都に届いた報告の真実を確かめる事が出来ますからね」
「という事は……」
「まず、私達は帝国北部に移動しましょう。仮にユニコーンが現れたのが真実だった場合、王女様の病を完全に治す事が出来るかも知れません……まあ、魔王軍の罠である可能性も高いですけど」
『ええっ!?』
リーリスのっ言葉に直央とジャンヌの驚愕の声が草原に響き渡り、一同は進路を変更して帝国北部に向かう事が決まった――
※申し訳ありません、今日の本編は1話だけです。次回からは獣人国編(ルノ無双編)に切り替わります。
ルノ「待たせたなっ!!」\(・ω・)/
リディア「私も出るわよ」(´ω`)
ガーゴイル『シャアアッ(楽しみにしてろよ!!)』('Д')
「王女様?どうかしたんですか……これは!?」
「おおっ、成功したみたいですね」
ジャンヌが唐突に膝を付き、心配した直央が近寄ると、彼女の身体が僅かに赤色に光っている事に気付く。その光景を確認したリーリスは安心した表情を浮かべ、説明を行う。
「経験石を破壊すると大量の経験値を得ます。その際に使用者の肉体が光り輝くんですよ」
「じゃあ、成功したんですか?」
「は、はい……力が、溢れてくるような感覚です」
自分自身の変化を戸惑うようにジャンヌは両手を確認し、自身の魔力が高まる感覚を覚える。しかも紋様に浮かんでいた忌々しい呪毒の象徴である「黒蛇」が徐々に縮小化し、遂には数センチ程度の大きさに変化した。これは彼女の中の魔法耐性の能力が高まったことを示し、呪毒に反抗する力が強まったことを示している。
今までと比べて身体が嘘のように軽くなり、ジャンヌは足元の小石を拾い上げると、指先で摘まんだだけで簡単に砕け散ってしまう。急激なレベルアップによる身体能力の強化にジャンヌは戸惑いながらも嬉し気に二人に振り返った。
「身体に羽根が生えたように軽くなりました……!!今なら何でも出来そうな気分です!!」
「それは良かったですね。でも、重要なのはここからです。まずはレベルを確認してください」
「そ、そうでした」
リーリスに言われて慌ててジャンヌはステータス画面を開き、自身のレベルと能力を確認する。その結果、元々は「10」しか存在しなかった彼女のレベルが「45」にまで上昇していた。この数値は一般の魔術師ならば数年は魔物を狩り続けないと入手できない数値であり、しかもスキルの項目に関しても新しい能力が追加されていた。
『竜喰者――竜の経験石を得た人間のみに与えられる称号』
「これは……?」
ジャンヌの固有スキルの項目に新たに「竜喰者」というスキルが加えられており、説明文を見る限りでは何らかの能力というよりは称号を示すスキルだと判明する。その他には特に覚えている能力も複数存在したが、重要なのはここからである。
「レベルは45に上がってました。それと新しい能力を幾つか増えたようですが……」
「45!?それは凄いですね……王女様の年齢でここまでレベルを上げる魔術師なんて滅多に存在しませんよ」
「ですが、ここからはどうしたら良いのでしょうか?新しい能力も覚えたようですが、私は一度も魔物と契約を交わした事がありません」
魔物使いが魔物を従える際、必ず「契約紋」と呼ばれる紋様を魔物に刻む必要がある。この契約紋こそが魔物と主人の繋がりを示す重要な魔法なのだが、ジャンヌは生まれてから一度も利用した事がない。しかし、そんな彼女の質問に答える前にリーリスは地面に散らばった経験石の破片を拾い上げ始めた。
「……その前に経験石の破片を回収しましょうか。ドルトンさんとの約束もありますし、忘れる前に集めておきましょう」
「そ、そうですね」
「結構散らばってますね……集めるのに時間が掛かりそうだな」
「キュロッ」
「ブモォッ」
「ウォンッ」
二つの竜種の経験石は衝突地点を中心に周辺に散らばってしまい、まずは破片集めから始める。ドルトンとの約束で破片だけでも彼に渡す事になっているため、リーリスたちは手分けして破片を拾い集めた――
――数分後、どうにか破片を拾い上げるとリーリスは用意しておいた水晶製の箱の中に経験石の欠片を収める。火竜と土竜の経験石が混ざらないように2つの箱を用意し、全ての破片を収めると収納石を利用して一時的に異空間に預けた。本当はドルトンの店を尋ねて返却するのが良いのだろうが、今は一刻も争う。
「さて……ここから重要です。王女様の能力の解明を行います」
「はい、力を貸して下さい」
「ですが、その前に直央さんに頼みたいことがあります」
「え?」
名前を呼ばれた直央は驚いた表情を浮かべるが、リーリスは直央の能力を利用すれば例の噂が真実なのかどうかを確かめられるのではないかと考え、ある調査を依頼する。
「先日、帝国北部に出現したユニコーンの存在を調べておきたいんです。直央さんの千里眼と空間移動の能力なら時間も掛からずに帝国北部に移動し、帝都に届いた報告の真実を確かめる事が出来ますからね」
「という事は……」
「まず、私達は帝国北部に移動しましょう。仮にユニコーンが現れたのが真実だった場合、王女様の病を完全に治す事が出来るかも知れません……まあ、魔王軍の罠である可能性も高いですけど」
『ええっ!?』
リーリスのっ言葉に直央とジャンヌの驚愕の声が草原に響き渡り、一同は進路を変更して帝国北部に向かう事が決まった――
※申し訳ありません、今日の本編は1話だけです。次回からは獣人国編(ルノ無双編)に切り替わります。
ルノ「待たせたなっ!!」\(・ω・)/
リディア「私も出るわよ」(´ω`)
ガーゴイル『シャアアッ(楽しみにしてろよ!!)』('Д')
0
お気に入りに追加
11,311
あなたにおすすめの小説


夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!
仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。
しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。
そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。
一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった!
これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!
【書籍化進行中、完結】私だけが知らない
綾雅(ヤンデレ攻略対象、電子書籍化)
ファンタジー
書籍化進行中です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。