最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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帝国の危機

能力強化

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「うっ……!?」
「王女様?どうかしたんですか……これは!?」
「おおっ、成功したみたいですね」


ジャンヌが唐突に膝を付き、心配した直央が近寄ると、彼女の身体が僅かに赤色に光っている事に気付く。その光景を確認したリーリスは安心した表情を浮かべ、説明を行う。


「経験石を破壊すると大量の経験値を得ます。その際に使用者の肉体が光り輝くんですよ」
「じゃあ、成功したんですか?」
「は、はい……力が、溢れてくるような感覚です」


自分自身の変化を戸惑うようにジャンヌは両手を確認し、自身の魔力が高まる感覚を覚える。しかも紋様に浮かんでいた忌々しい呪毒の象徴である「黒蛇」が徐々に縮小化し、遂には数センチ程度の大きさに変化した。これは彼女の中の魔法耐性の能力が高まったことを示し、呪毒に反抗する力が強まったことを示している。

今までと比べて身体が嘘のように軽くなり、ジャンヌは足元の小石を拾い上げると、指先で摘まんだだけで簡単に砕け散ってしまう。急激なレベルアップによる身体能力の強化にジャンヌは戸惑いながらも嬉し気に二人に振り返った。


「身体に羽根が生えたように軽くなりました……!!今なら何でも出来そうな気分です!!」
「それは良かったですね。でも、重要なのはここからです。まずはレベルを確認してください」
「そ、そうでした」


リーリスに言われて慌ててジャンヌはステータス画面を開き、自身のレベルと能力を確認する。その結果、元々は「10」しか存在しなかった彼女のレベルが「45」にまで上昇していた。この数値は一般の魔術師ならば数年は魔物を狩り続けないと入手できない数値であり、しかもスキルの項目に関しても新しい能力が追加されていた。


竜喰者ドラゴンイーター――竜の経験石を得た人間のみに与えられる称号』
「これは……?」


ジャンヌの固有スキルの項目に新たに「竜喰者」というスキルが加えられており、説明文を見る限りでは何らかの能力というよりは称号を示すスキルだと判明する。その他には特に覚えている能力も複数存在したが、重要なのはここからである。


「レベルは45に上がってました。それと新しい能力を幾つか増えたようですが……」
「45!?それは凄いですね……王女様の年齢でここまでレベルを上げる魔術師なんて滅多に存在しませんよ」
「ですが、ここからはどうしたら良いのでしょうか?新しい能力も覚えたようですが、私は一度も魔物と契約を交わした事がありません」


魔物使いが魔物を従える際、必ず「契約紋」と呼ばれる紋様を魔物に刻む必要がある。この契約紋こそが魔物と主人の繋がりを示す重要な魔法なのだが、ジャンヌは生まれてから一度も利用した事がない。しかし、そんな彼女の質問に答える前にリーリスは地面に散らばった経験石の破片を拾い上げ始めた。


「……その前に経験石の破片を回収しましょうか。ドルトンさんとの約束もありますし、忘れる前に集めておきましょう」
「そ、そうですね」
「結構散らばってますね……集めるのに時間が掛かりそうだな」
「キュロッ」
「ブモォッ」
「ウォンッ」


二つの竜種の経験石は衝突地点を中心に周辺に散らばってしまい、まずは破片集めから始める。ドルトンとの約束で破片だけでも彼に渡す事になっているため、リーリスたちは手分けして破片を拾い集めた――




――数分後、どうにか破片を拾い上げるとリーリスは用意しておいた水晶製の箱の中に経験石の欠片を収める。火竜と土竜の経験石が混ざらないように2つの箱を用意し、全ての破片を収めると収納石を利用して一時的に異空間に預けた。本当はドルトンの店を尋ねて返却するのが良いのだろうが、今は一刻も争う。


「さて……ここから重要です。王女様の能力の解明を行います」
「はい、力を貸して下さい」
「ですが、その前に直央さんに頼みたいことがあります」
「え?」


名前を呼ばれた直央は驚いた表情を浮かべるが、リーリスは直央の能力を利用すれば例の噂が真実なのかどうかを確かめられるのではないかと考え、ある調査を依頼する。


「先日、帝国北部に出現したユニコーンの存在を調べておきたいんです。直央さんの千里眼と空間移動の能力なら時間も掛からずに帝国北部に移動し、帝都に届いた報告の真実を確かめる事が出来ますからね」
「という事は……」
「まず、私達は帝国北部に移動しましょう。仮にユニコーンが現れたのが真実だった場合、王女様の病を完全に治す事が出来るかも知れません……まあ、魔王軍の罠である可能性も高いですけど」
『ええっ!?』


リーリスのっ言葉に直央とジャンヌの驚愕の声が草原に響き渡り、一同は進路を変更して帝国北部に向かう事が決まった――




※申し訳ありません、今日の本編は1話だけです。次回からは獣人国編(ルノ無双編)に切り替わります。


ルノ「待たせたなっ!!」\(・ω・)/
リディア「私も出るわよ」(´ω`)
ガーゴイル『シャアアッ(楽しみにしてろよ!!)』('Д')
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