最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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帝国の危機

日の国の異変

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「いや~直央さんの能力は本当に便利ですね。普通なら何日も移動に掛かる距離を一瞬で移動できるですから」
「はあ……でも、この千里眼のスキルを使うと結構きついんですけど」
「あ、見えてきました。あそこが日の国の都ですよ」
「聞いていないし……」


空間移動を利用して直央とリーリスはひ日の国の都に到着したが、既に二人以外にも大勢の人間が城門の前に押し寄せていた。


「リーリスさん、あの人だかりって……」
「ふむ……恐らくこの付近の村や街の住民でしょうね。荷物を運んでいるところ、どうやら避難しているようです」
「避難と言う事はもしかして獣人国の狙いは……」
「いえ、断定は出来ません。私達も並んで事情を聞きましょう」


城門の前に出来ている行列に直央とリーリスも並び、住民らしき人物達に事情を問う。


「あの、すいません。ちょっといいですか?」
「畜生……早く中に入れてくれよ。このままだと殺されちまう……!!」
「……ちょっと?」
「ああっ!?何だよ?」

二人が尋ねようとした男性は切羽詰まった表情で並んでいる行列を見つめており、二人の声は聞こえていない様子だった。仕方なくリーリスはもう一度尋ねると、男性は苛立ちを隠さずに振り返る。


「あんた等は……その恰好、旅人か?悪いが今は観光客に構っている暇はないんだよ!!」
「どういう意味ですか?」
「何かあったんですか?」
「おい、本当に何も知らないのか?もうすぐ獣人国の奴らがこの国に攻め込むんだよ!!だから皆が都に避難するために集まっているんだろうが!!」


男性の言葉に直央とリーリスはお互いの顔を見合わせ、先ほど目撃した獣人国の軍隊を思い出す。先ほど見かけた彼等の目的が帝国ではなく日の国だと判明したが、どうして急に獣人国が襲い掛かってきたのかリーリスは男性に問う。


「どうして急に獣人国が日の国へ攻め寄せてきたんですか?日の国は不可侵条約を結んでいたんじゃないんですか?」
「そんなの俺達だって知らねえよだ!!だけど、あの日影が数日前に急に獣人国の日の国へ向かっているという情報を掴んだんだ!!ここいらに住んでいる村人全員に都に避難させるように通達が来たんだ!!」
「……なるほど」


避難に赴いた人間達も完全には状況を理解している訳ではなく、彼等も日の国に属する日影の忍者達から都へ避難するように誘導されたらしい。だが、情報収集力に優れた日影の報告は信憑性が高く、唐突に獣人国は日の国へ攻め寄せる行動を取ったのは間違いない。


「リーリスさん……どうします?」
「う~ん……もう少し詳しい情報を聞きたいですね。日影の隠れ里に立ち寄って事情を聞くべきか、それとも都に忍び込んで別の人に尋ねるか……」
「日の国に知り合いは居るの?」
「一応、居るにはいますけど……そんなに親交があるわけじゃないんですよね」


ルノと共に日の国へ観光に赴いた際、リーリスは青空組の人間と面識があった。だが、彼等と親密な関係を築いたとは言い難く、事情を尋ねても教えてくれない可能性もある。


「仕方ありませんね。日影の人達に事情を聞いてみましょうか」
「日影というと……日の国の忍者でしたっけ?」
「そうです。ちなみにうちの帝国に所属しているヒカゲさんも日影の出身です。じゃあ、とりあえず里へ向かいましょう」


日影の隠れ里は日の国の都からそれほど離れてはおらず、二人は行列を離れて里へ向かおうとした時、行列の中からリーリスは聞き覚えのある声を掛けられる。


「なあ、ちょっとそこの兄さんと姉さん……顔を見せてくれないですかい?」
「む、この変な喋り方は……」
「え?」


二人は声を掛けられた方に視線を向けると、そこには青空組であり、一時期は行動を共にしていた「ソウシ」が存在した。ソウシはリーリスの顔を見ると行列を抜けて彼女の元へ赴き、眠たそうに欠伸を行いながらも挨拶を行う。


「お久しぶりですねリーの姉さん」
「その呼び方は止めてくれませんかね……確かソウシさんでしたね。どうしてここに?それにその恰好、青空組を首にされたんですか?」
「いやいや、中々に冗談がきついっすね。昨日まで休日で俺は生まれた村に戻っていたんですよ。まあ、戻って早々に着替える暇もなく仕事をやらされてるんですけど」


現在のソウシは青空組の制服ではなく、普通の町人のような恰好をしていた。一応は腰に刀は装着しているが、行列の中に彼が存在する事にリーリスが気付かなかったのも無理はない。


「丁度良かったです。ソウシさんは現在の状況を把握していますか?青空組の人間なら普通の人よりも情報は伝っているんじゃないですか?」
「……まあ、リーの姉御とルノの兄さんには前回の事件で世話になりましたからね。別に教えても構いませんが、他言無用ですよ?」
「いや、姉さんの呼び方を止めろと言ったんじゃないんですよ。せめて姉御とだけ読んでください」


偶然にもソウシと再会したリーリスは彼に事情を問うと、意外な事にあっさりとソウシは青空組の人間に伝えられた情報を話す。




※その頃のルノさん

ルノ「ふうっ……どうにか戻って来れた」
リディア「大気圏突入の時に飛行機が壊れかけた時は死ぬかと思ったわ……」
ガーゴイル「シャアアッ……」
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