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帝国の危機
王女様誘拐大作戦
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――リーリスの協力の元、直央は帝国の王女を誘拐するために早速行動を開始する。まずは白原から帝都へと引き返し、最初にルノの屋敷に訪れて準備を行う。ちなみに帰還の際は直央が帝都に忍び込み、空間移動でリーリス達を招き入れている。
「流石はルノさんですね。こんなに色々とため込んでましたよ」
「これ、泥棒じゃないのかな……」
「後でちゃんと弁償しますよ。ほら、ロプスも手伝ってください」
「キュロロッ」
ロプスはリーリスの指示通りに屋敷の中に存在する必要物資を玄関口に運び込むと、直央が「空間魔法」を利用すればどんなに大量の荷物だろうと異空間に預ける事が可能のため、全ての荷物を異空間に収納した。
「よし、とりあえずはこんな所でしょう。ロプス達の餌も用意出来ましたし、後は庭の方に放置している馬車の方も拝借しましょうか」
「ルノ君が戻ってきたらきっと怒るだろうな……」
「その時は一緒に怒られましょう。ほら、休んでいる暇はないですよ、夜が暮れる前に準備を行いますからね」
「ぷるぷるっ」
「おっと、そういえばスラミンもここに居ましたね」
騒動を聞きつけてきたのかスラミンが物陰から姿を現し、リーリスが手招いて呼び寄せる。この屋敷に残して置くわけにもいかず、他の魔獣と同様に連れて連れて行くために抱き寄せると、思い出したようにスラミンに尋ねる。
「そういえば前にルノさんに貸していたあれはまだここにありますか?もしも知っていたら教えて欲しいんですけど……」
「あれ?」
「少し前に帝国軍が岩人形の大群と戦った時、ルノさんに試作品の兵器を預けていたんですよ。もしもルノさんが持って帰っていたとしたらここにあるはずですけど……」
「ぷるるんっ」
リーリスの言葉にスラミンは心当たりがあるのか彼女の元を離れ、そして机の下に潜り込む。最初はかくれんぼでもするつもりなのかと直央は思ったが、数秒後にスラミンが頭に収納石のブレスレットを乗せて姿を現した。
「ぷるぷるっ」
「ああ、良かった。どうやらここに残していったようですね」
「それは?」
「私がルノさんに貸していた収納石です。元々は実験用として開発した物なんですが、ルノさんに頼んで効果を確かめて貰おうかと思っていたんですよ」
直央の空間魔法と同様に異空間に物体を預ける魔道具である「収納石」をリーリスは受け取り、ブレスレットを右手に取り付けてリーリスは机の上に掌を差し出すと、黒渦が誕生して机の上に「大砲」を想像させる巨大な銃器が出現した。
「うわ、びっくりした!!なにこれ?」
「これは試作品の「連射式魔導大砲」です。通常の魔導大砲とは異なり、威力は制限されますが連射が可能となっています。ちなみにモデルにしたのはドラ〇もんの空〇砲です」
「それをぶっちゃけるのは不味いんじゃないかな!?」
まるで22世紀の猫型〇ボットが取り出しそうな兵器を取り出したリーリスに直央は焦るが、彼女曰くまだ未完成の品物らしく、完成には至っていなかったので先日の岩人形との戦闘では使用しなかった品物らしい。
「もう少し時間があれば完成出来そうなんですけど、この際に贅沢は言っていられません。これを直央さんに差し上げましょう」
「ええっ……こんな物を渡されても困るんだけど」
「そういわずに受け取ってくださいよ。ルノさんが試そうとした時は大砲が破裂しかけて大変だったんですよ。その点なら直央さんの方が向いている武器かも知れないんです」
「そんな事を言われても……これ、どうやって使うの?」
「腕に装着するだけです。あ、大砲に腕を突っ込むのではなく、腕に取り付けるようにしてください。砲口の部分に取っ手があるのでそれを引き寄せれば装着した箇所から使用者の魔力を吸い上げて魔弾を撃ち込みます」
「魔弾?」
「砲撃魔法の光線の弾丸版と考えればいいですよ。ちなみにこの試作機、実はルノさんの魔力に耐え切れずに何度も暴発してるんですよ。だけど、ルノさんと違って魔術師でもなく、それでいながら無駄に魔力を持ち合わせている直央さんなら扱えるかも知れません」
「どんな理屈なんですか……」
リーリスに言われるがままに直央は右腕に連射式の魔導大砲を装着すると、意外と重量が軽い事に気付く。外見は「カノン砲」と酷似しているが、筒の中身はミスリルも使用されているらしく、更に腕に固定化する装具は吸魔石が仕込まれていた。
「この大砲を作るのに本当に苦労しましたよ。何度もルノさんによって破壊されたので、思い切って材質を変更させて日の国から内密に持ち帰ったアダマンタイトと浮揚石を全部使う羽目になりましたからね」
「へえ……いや、そんな事よりもさ!!」
「はいはい、分かってますよ。じゃあ、私とロプスは先に待ち合わせ場所に後はお願いします。それと屋敷の庭にある馬車もちゃんと忘れずに回収して置いて下さいね」
「キュロロッ」
「ぷるんっ」
説明を聞き終えると直央は掌を前に差し出して空間移動を発動させ、先にリーリス達を安全な場所へ送り込む。彼女達が黒渦を通過するのを確認すると、直央はリーリスが書き残した封筒を懐から取り出し、決意を固める。
「よし……やるぞ!!」
ここから先は直央の単独行動となり、彼は屋敷を抜け出すとまずは誰にも見つからないように王城に向かう。目的は王女の誘拐のため、最初は決して誰にも見つからないように城内に忍び込む必要があった――
「流石はルノさんですね。こんなに色々とため込んでましたよ」
「これ、泥棒じゃないのかな……」
「後でちゃんと弁償しますよ。ほら、ロプスも手伝ってください」
「キュロロッ」
ロプスはリーリスの指示通りに屋敷の中に存在する必要物資を玄関口に運び込むと、直央が「空間魔法」を利用すればどんなに大量の荷物だろうと異空間に預ける事が可能のため、全ての荷物を異空間に収納した。
「よし、とりあえずはこんな所でしょう。ロプス達の餌も用意出来ましたし、後は庭の方に放置している馬車の方も拝借しましょうか」
「ルノ君が戻ってきたらきっと怒るだろうな……」
「その時は一緒に怒られましょう。ほら、休んでいる暇はないですよ、夜が暮れる前に準備を行いますからね」
「ぷるぷるっ」
「おっと、そういえばスラミンもここに居ましたね」
騒動を聞きつけてきたのかスラミンが物陰から姿を現し、リーリスが手招いて呼び寄せる。この屋敷に残して置くわけにもいかず、他の魔獣と同様に連れて連れて行くために抱き寄せると、思い出したようにスラミンに尋ねる。
「そういえば前にルノさんに貸していたあれはまだここにありますか?もしも知っていたら教えて欲しいんですけど……」
「あれ?」
「少し前に帝国軍が岩人形の大群と戦った時、ルノさんに試作品の兵器を預けていたんですよ。もしもルノさんが持って帰っていたとしたらここにあるはずですけど……」
「ぷるるんっ」
リーリスの言葉にスラミンは心当たりがあるのか彼女の元を離れ、そして机の下に潜り込む。最初はかくれんぼでもするつもりなのかと直央は思ったが、数秒後にスラミンが頭に収納石のブレスレットを乗せて姿を現した。
「ぷるぷるっ」
「ああ、良かった。どうやらここに残していったようですね」
「それは?」
「私がルノさんに貸していた収納石です。元々は実験用として開発した物なんですが、ルノさんに頼んで効果を確かめて貰おうかと思っていたんですよ」
直央の空間魔法と同様に異空間に物体を預ける魔道具である「収納石」をリーリスは受け取り、ブレスレットを右手に取り付けてリーリスは机の上に掌を差し出すと、黒渦が誕生して机の上に「大砲」を想像させる巨大な銃器が出現した。
「うわ、びっくりした!!なにこれ?」
「これは試作品の「連射式魔導大砲」です。通常の魔導大砲とは異なり、威力は制限されますが連射が可能となっています。ちなみにモデルにしたのはドラ〇もんの空〇砲です」
「それをぶっちゃけるのは不味いんじゃないかな!?」
まるで22世紀の猫型〇ボットが取り出しそうな兵器を取り出したリーリスに直央は焦るが、彼女曰くまだ未完成の品物らしく、完成には至っていなかったので先日の岩人形との戦闘では使用しなかった品物らしい。
「もう少し時間があれば完成出来そうなんですけど、この際に贅沢は言っていられません。これを直央さんに差し上げましょう」
「ええっ……こんな物を渡されても困るんだけど」
「そういわずに受け取ってくださいよ。ルノさんが試そうとした時は大砲が破裂しかけて大変だったんですよ。その点なら直央さんの方が向いている武器かも知れないんです」
「そんな事を言われても……これ、どうやって使うの?」
「腕に装着するだけです。あ、大砲に腕を突っ込むのではなく、腕に取り付けるようにしてください。砲口の部分に取っ手があるのでそれを引き寄せれば装着した箇所から使用者の魔力を吸い上げて魔弾を撃ち込みます」
「魔弾?」
「砲撃魔法の光線の弾丸版と考えればいいですよ。ちなみにこの試作機、実はルノさんの魔力に耐え切れずに何度も暴発してるんですよ。だけど、ルノさんと違って魔術師でもなく、それでいながら無駄に魔力を持ち合わせている直央さんなら扱えるかも知れません」
「どんな理屈なんですか……」
リーリスに言われるがままに直央は右腕に連射式の魔導大砲を装着すると、意外と重量が軽い事に気付く。外見は「カノン砲」と酷似しているが、筒の中身はミスリルも使用されているらしく、更に腕に固定化する装具は吸魔石が仕込まれていた。
「この大砲を作るのに本当に苦労しましたよ。何度もルノさんによって破壊されたので、思い切って材質を変更させて日の国から内密に持ち帰ったアダマンタイトと浮揚石を全部使う羽目になりましたからね」
「へえ……いや、そんな事よりもさ!!」
「はいはい、分かってますよ。じゃあ、私とロプスは先に待ち合わせ場所に後はお願いします。それと屋敷の庭にある馬車もちゃんと忘れずに回収して置いて下さいね」
「キュロロッ」
「ぷるんっ」
説明を聞き終えると直央は掌を前に差し出して空間移動を発動させ、先にリーリス達を安全な場所へ送り込む。彼女達が黒渦を通過するのを確認すると、直央はリーリスが書き残した封筒を懐から取り出し、決意を固める。
「よし……やるぞ!!」
ここから先は直央の単独行動となり、彼は屋敷を抜け出すとまずは誰にも見つからないように王城に向かう。目的は王女の誘拐のため、最初は決して誰にも見つからないように城内に忍び込む必要があった――
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