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帝国の危機
魔道具の製作者
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「邪魔ですよ。貴方達は……リフレクト」
迫りくる魔獣達にクズノは杖を構え、再び緑色の防護壁を作り出す。但し、今回の場合は防護壁の色合いが異なり、突進してきたロプス達が衝突した瞬間に鏡のように変化を果たし、突っ込んできた魔獣達を吹き飛ばす。
「キュロロロロッ!?」
「キャインッ!?」
「ウォンッ!?」
「ああっ!?」
「跳ね返された……!?」
ロプスの巨体が吹き飛んだ拍子にイチとニイを巻き込み、反対側の壁にまで叩きつけられる。その光景を目撃したリーリスと直央は驚くが、クズノは満足そうに自分の杖を見つめる。
「これはこれは……試作品ですが、中々の出来ですね」
「今のは……衝撃を跳ね返す結界ですか?」
「ほほう?中々洞察力の鋭いようですね。ああ、そう言えば例の奇妙な「大砲」と呼ばれる魔道具を制作していたのは貴方でしたね」
クズノは自分の魔道具の効果を見抜いたリーリスに感心した表情を浮かべ、自慢するかのように杖を見せつける。杖の先端だけではなく柄の部分にも結界石が取り付けられており、尋ねてもいないのにクズノは堂々と魔道具の性能を話す。
「この結界石を利用した魔道具は私が製作した物ですよ。より正確に言えば私の考案した技術をクロガネ氏に伝え、作り出して貰った物なんですがね。あらゆる物理攻撃を無効化する「シルド」外部からの衝撃を跳ね返す「リフレクト」そして魔法攻撃に対して絶対の防御力を誇る「プロテクト」これらの3つが扱えます」
「なんか聞いてもいないのにペラペラ喋り出しましたよ……」
「自分の優位性を示したい……というより、只自慢したいみたいですね」
敵である自分達に対して事細かに自分の作り出した魔道具の素晴らしさを語り始めたクズノに直央とリーリスは呆れるが、実際にクズノが手にしている杖は非常に厄介な代物である。下手に攻撃を仕掛ければ防がれたり、あるいは跳ね返される恐れがある以上は迂闊に攻撃を仕掛けられない。
(隙を突いて攻撃するか……あそこだ!!)
直央は周囲の様子を伺い、そして硬貨を握りしめて天井部分に向けて「指弾」の戦技を発動させた。親指で弾かれた硬貨が弾丸のように発射され、天井に衝突すると「跳弾」のスキルの効果でクズノに向けて軌道を変更する。
「喰らえっ!!」
「おっと、それは勘弁してください」
詠唱を行う必要はないのか、クズノは杖を地面に突き刺した瞬間に彼の前方に四角形の防護壁が誕生し、天井から跳ね返った直央の硬貨を防ぐ。硬貨は衝撃を殺されたように地面に零れ落ちてしまい、その光景を見て直央は眉を顰める。
「くそっ……リーリスさんの魔法でどうにか出来ない?」
「どうでしょうかね……目眩しを引き起こせる程の強い光を放つ魔法を発動させても、あの結界に阻まれると効果があるのか分かりませんし、それに相手も警戒していますよ」
クズノの言葉を信じるわけではないが、彼の所持する魔道具が生み出す「防護壁」は直央の指弾やロプスの体当たりを防ぐ事が出来る程の防御力を誇るのは確かであり、下手な攻撃は通じない。それどころか衝撃を跳ね返さればこちらが危険に晒されるため、別の攻撃手段を考えなければならない。
(指弾を打ちまくって牽制するか……いや、跳ね返されたら俺はともかくリーリスさん達が危ない。どうにかしないと……待てよ?)
直央は頭上に視線を向け、クズノが立っている位置を確認する。上手くいくのかは分からないが、彼はクロガネから受け取った苦無を握りしめ、一か八かの賭けに出る事にした。
「喰らえっ!!」
「性懲りもなく……バカの一つ覚えですか?」
苦無を構えた直央に対してクズノは呆れた表情を浮かべて杖を構えたが、直央の狙いはクズノではなく、先ほどの指弾の影響で罅割れた天井であり、指弾と回転の戦技を組み合わせて弾丸のように高速回転を行う苦無が天井に衝突する。その瞬間、亀裂が入っていた洞穴の天井が崩壊を始め、クズノの頭上に向けて岩石が降り注ぐ。
「なっ……!?」
「今だ!!走って!!」
「え、ちょっ……わああっ!?」
「キュロロッ!?」
「ウォンッ!?」
天井が崩落を始めた瞬間に直央はリーリスの腕を掴んで駆け抜け、ロプスもイチとニイを抱えて後に続く。その一方でクズノは頭上から降り注ぐ岩石を見て咄嗟に杖を構え、防護壁を形成して岩石を受け止める。
「くっ!!何と愚かな……!!」
「どうかな!!」
「っ!?」
出入口を塞いでいるクズノは忌々しい表情を浮かべるが、そんな彼に向けて直央は笑みを浮かべ、彼の元に駆け出す。その光景にクズノは焦りの表情を浮かべるが、直央はリーリスを引き連れてクズノの横を素通りした。
「ご苦労さん!!」
「このっ……待ちなさい!!」
「お断りしますっ!!」
「キュロロッ?」
「ウォンッ?」
横を潜り抜けても攻撃を仕掛ける様子がないクズノにロプス達は不思議がるが、直央はこれまでの戦闘でクズノが使用した防護壁は常に1つだけである事を見抜き、防護壁を発動させている間は他の防護壁が生み出すことが出来ないと見抜いていた。
迫りくる魔獣達にクズノは杖を構え、再び緑色の防護壁を作り出す。但し、今回の場合は防護壁の色合いが異なり、突進してきたロプス達が衝突した瞬間に鏡のように変化を果たし、突っ込んできた魔獣達を吹き飛ばす。
「キュロロロロッ!?」
「キャインッ!?」
「ウォンッ!?」
「ああっ!?」
「跳ね返された……!?」
ロプスの巨体が吹き飛んだ拍子にイチとニイを巻き込み、反対側の壁にまで叩きつけられる。その光景を目撃したリーリスと直央は驚くが、クズノは満足そうに自分の杖を見つめる。
「これはこれは……試作品ですが、中々の出来ですね」
「今のは……衝撃を跳ね返す結界ですか?」
「ほほう?中々洞察力の鋭いようですね。ああ、そう言えば例の奇妙な「大砲」と呼ばれる魔道具を制作していたのは貴方でしたね」
クズノは自分の魔道具の効果を見抜いたリーリスに感心した表情を浮かべ、自慢するかのように杖を見せつける。杖の先端だけではなく柄の部分にも結界石が取り付けられており、尋ねてもいないのにクズノは堂々と魔道具の性能を話す。
「この結界石を利用した魔道具は私が製作した物ですよ。より正確に言えば私の考案した技術をクロガネ氏に伝え、作り出して貰った物なんですがね。あらゆる物理攻撃を無効化する「シルド」外部からの衝撃を跳ね返す「リフレクト」そして魔法攻撃に対して絶対の防御力を誇る「プロテクト」これらの3つが扱えます」
「なんか聞いてもいないのにペラペラ喋り出しましたよ……」
「自分の優位性を示したい……というより、只自慢したいみたいですね」
敵である自分達に対して事細かに自分の作り出した魔道具の素晴らしさを語り始めたクズノに直央とリーリスは呆れるが、実際にクズノが手にしている杖は非常に厄介な代物である。下手に攻撃を仕掛ければ防がれたり、あるいは跳ね返される恐れがある以上は迂闊に攻撃を仕掛けられない。
(隙を突いて攻撃するか……あそこだ!!)
直央は周囲の様子を伺い、そして硬貨を握りしめて天井部分に向けて「指弾」の戦技を発動させた。親指で弾かれた硬貨が弾丸のように発射され、天井に衝突すると「跳弾」のスキルの効果でクズノに向けて軌道を変更する。
「喰らえっ!!」
「おっと、それは勘弁してください」
詠唱を行う必要はないのか、クズノは杖を地面に突き刺した瞬間に彼の前方に四角形の防護壁が誕生し、天井から跳ね返った直央の硬貨を防ぐ。硬貨は衝撃を殺されたように地面に零れ落ちてしまい、その光景を見て直央は眉を顰める。
「くそっ……リーリスさんの魔法でどうにか出来ない?」
「どうでしょうかね……目眩しを引き起こせる程の強い光を放つ魔法を発動させても、あの結界に阻まれると効果があるのか分かりませんし、それに相手も警戒していますよ」
クズノの言葉を信じるわけではないが、彼の所持する魔道具が生み出す「防護壁」は直央の指弾やロプスの体当たりを防ぐ事が出来る程の防御力を誇るのは確かであり、下手な攻撃は通じない。それどころか衝撃を跳ね返さればこちらが危険に晒されるため、別の攻撃手段を考えなければならない。
(指弾を打ちまくって牽制するか……いや、跳ね返されたら俺はともかくリーリスさん達が危ない。どうにかしないと……待てよ?)
直央は頭上に視線を向け、クズノが立っている位置を確認する。上手くいくのかは分からないが、彼はクロガネから受け取った苦無を握りしめ、一か八かの賭けに出る事にした。
「喰らえっ!!」
「性懲りもなく……バカの一つ覚えですか?」
苦無を構えた直央に対してクズノは呆れた表情を浮かべて杖を構えたが、直央の狙いはクズノではなく、先ほどの指弾の影響で罅割れた天井であり、指弾と回転の戦技を組み合わせて弾丸のように高速回転を行う苦無が天井に衝突する。その瞬間、亀裂が入っていた洞穴の天井が崩壊を始め、クズノの頭上に向けて岩石が降り注ぐ。
「なっ……!?」
「今だ!!走って!!」
「え、ちょっ……わああっ!?」
「キュロロッ!?」
「ウォンッ!?」
天井が崩落を始めた瞬間に直央はリーリスの腕を掴んで駆け抜け、ロプスもイチとニイを抱えて後に続く。その一方でクズノは頭上から降り注ぐ岩石を見て咄嗟に杖を構え、防護壁を形成して岩石を受け止める。
「くっ!!何と愚かな……!!」
「どうかな!!」
「っ!?」
出入口を塞いでいるクズノは忌々しい表情を浮かべるが、そんな彼に向けて直央は笑みを浮かべ、彼の元に駆け出す。その光景にクズノは焦りの表情を浮かべるが、直央はリーリスを引き連れてクズノの横を素通りした。
「ご苦労さん!!」
「このっ……待ちなさい!!」
「お断りしますっ!!」
「キュロロッ?」
「ウォンッ?」
横を潜り抜けても攻撃を仕掛ける様子がないクズノにロプス達は不思議がるが、直央はこれまでの戦闘でクズノが使用した防護壁は常に1つだけである事を見抜き、防護壁を発動させている間は他の防護壁が生み出すことが出来ないと見抜いていた。
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