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帝国の危機
クズノVS直央
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「クズノ?聞いた事がないですね……まあ、魔王軍の幹部自体が殆どが無名なんですけど」
「これは耳が痛い……名目上は現在は私が魔王軍のトップなのですがね」
「思い出した。お前、確か日の国で見かけた事があるぞ」
「日の国?」
直央の発言にリーリスは疑問を抱き、日の国に直央が観光していた時期にクズノも滞在していた事になる。そして日の国には魔王軍に様々な道具を提供していたクロガネという鍛冶師の事を思い出す。彼はあくまでも利用されただけだが、その死因に関しては魔王軍が関与している可能性があった。
「そういえばクロガネという小髭族の鍛冶師が日の国で殺された事件があったんですけど……それも魔王軍の仕業ですか?」
「お察しの通り、あの方は中々に役立ってくれたんですがね。どうにも私達の事を探ろうし過ぎた……残念な事です」
「何てことを……」
「そういえば貴方もクロガネ氏と関係がありましたね。なにやら特別な武器を作って貰ったとか……」
日の国に直央が訪れた際、彼もクロガネと接触しており、武器の製作を依頼していた。リーリスもクロガネの残した資料の中に直央が記されていた事を思い出す。
「参考までにどのような武器を作っていただいたのか教えてくれませんかね?クロガネの一件以来、日の国の警備が強化されてアダマンタイトの密輸が困難になりまして……」
「そんなに知りたいなら……教えてやるよ」
「えっ?」
挑発するようにねっとりとした口調で質問するクズノに対し、直央は懐に手を伸ばすと忍者が装備する「苦無」を想像させる武器を取り出し、クズノに向けて投擲した。
「喰らえっ!!」
「おっと」
投げつけられた苦無に対してクズノは身体を反らして回避すると、苦無は岩壁に突き刺さる。相当な速度で投げ込まれたせいなのか苦無の半分近くが岩壁の中に埋まるが、それを見てクズノは馬鹿にしたように鼻で笑う。
「これが貴方の武器と言うわけですか?何ともお粗末な……」
「その台詞は……これを見ても言えるか?」
直央は掌を構えると暗闇でよく分からなかったが指先に糸が巻き付けられており、岩壁に突き刺さった苦無と繋がっていた。ワイヤーのように取り付けられた糸を引き寄せると直央の手元に苦無が帰還し、再び投擲を行う。
「今度は逃がさない」
「無駄なことを……」
「回転!!」
苦無を再び取り戻した直央にクズノは呆れた表情を浮かべるが、今度は投擲の際に直央は戦技を発動させ、苦無を横回転させながらクズノに放つ。まるでドリルの様に高速回転しながら苦無はクズノの脚部に向けて放たれ、流石に直撃は避けたいのかクズノは手品師を想像させるステッキを背中から取り出す。
「シルド!!」
「うわっ!?」
「あれは……結界石!?」
杖の先には緑色の魔石が取り付けられており、クズノが呪文を口にした瞬間に六角形の緑色の防護壁が誕生して直央の投擲した苦無を弾き返す。相当な勢いで投擲された苦無だが、防護壁に触れた瞬間にゴムのように弾かれた事から頑丈な壁ではない事が発覚する。
「どうですか?加工に難しいと言われている結界石ですが、我々は既に戦闘に利用できる程の技術力を持っています」
「技術力……まあ、確かにこれまでも奇怪な魔道具を大量に作り出してましたからね。もしかして今まで開発していたのは……」
「おっと、それは明かせませんね。まあ、貴方達のせいでこちらも実験中の魔道具を幾つも奪われてしまいましたからね。その埋め合わせといってはなんですが、ここで貴方達を殺してあげましょう」
「キュロロロロッ!!」
「ウォオオオンッ!!」
クズノの言葉に魔獣達が威嚇を行い、リーリスも杖を構える。魔王軍はこれまでに様々な魔道具を作り出しており、このクズノという男も軽薄そうに見えるが確かな実力は持っており、先ほどから直央も隙を伺っているが不用意には近づけない。それでも出入口が塞がれている以上はこの男を倒さなければならず、直央はリーリスに囁く。
「リーリスさんは戦えるの?」
「私は回復専門なんですが……ああ、でもルノさんに習って1つだけ自信がある魔法があります。一瞬だけなら相手の視界を奪う事が出来るかも知れません」
「分かった。なら、俺が次にあいつの名前を叫んだ時に発動できるように準備して……」
「作戦会議は終わりましたか?」
声量を抑えて話し合う二人にクズノは挑発するように杖を振り回す。その動作にいちいち二人は苛立ちを募るが、これも相手の作戦の内かも知れず、迂闊には近づけない。だが、これまで傍観していた魔獣達は勝手に動き出す。
「キュロロロロッ!!」
「ガアアッ!!」
「あ、駄目!?」
ロプスとイチとニイが動き出し、クズノを抑えつけるために駆け出す。慌ててリーリスは引き留めようとしたがクズノが先に動き出し、懐に手を伸ばす。
「これは耳が痛い……名目上は現在は私が魔王軍のトップなのですがね」
「思い出した。お前、確か日の国で見かけた事があるぞ」
「日の国?」
直央の発言にリーリスは疑問を抱き、日の国に直央が観光していた時期にクズノも滞在していた事になる。そして日の国には魔王軍に様々な道具を提供していたクロガネという鍛冶師の事を思い出す。彼はあくまでも利用されただけだが、その死因に関しては魔王軍が関与している可能性があった。
「そういえばクロガネという小髭族の鍛冶師が日の国で殺された事件があったんですけど……それも魔王軍の仕業ですか?」
「お察しの通り、あの方は中々に役立ってくれたんですがね。どうにも私達の事を探ろうし過ぎた……残念な事です」
「何てことを……」
「そういえば貴方もクロガネ氏と関係がありましたね。なにやら特別な武器を作って貰ったとか……」
日の国に直央が訪れた際、彼もクロガネと接触しており、武器の製作を依頼していた。リーリスもクロガネの残した資料の中に直央が記されていた事を思い出す。
「参考までにどのような武器を作っていただいたのか教えてくれませんかね?クロガネの一件以来、日の国の警備が強化されてアダマンタイトの密輸が困難になりまして……」
「そんなに知りたいなら……教えてやるよ」
「えっ?」
挑発するようにねっとりとした口調で質問するクズノに対し、直央は懐に手を伸ばすと忍者が装備する「苦無」を想像させる武器を取り出し、クズノに向けて投擲した。
「喰らえっ!!」
「おっと」
投げつけられた苦無に対してクズノは身体を反らして回避すると、苦無は岩壁に突き刺さる。相当な速度で投げ込まれたせいなのか苦無の半分近くが岩壁の中に埋まるが、それを見てクズノは馬鹿にしたように鼻で笑う。
「これが貴方の武器と言うわけですか?何ともお粗末な……」
「その台詞は……これを見ても言えるか?」
直央は掌を構えると暗闇でよく分からなかったが指先に糸が巻き付けられており、岩壁に突き刺さった苦無と繋がっていた。ワイヤーのように取り付けられた糸を引き寄せると直央の手元に苦無が帰還し、再び投擲を行う。
「今度は逃がさない」
「無駄なことを……」
「回転!!」
苦無を再び取り戻した直央にクズノは呆れた表情を浮かべるが、今度は投擲の際に直央は戦技を発動させ、苦無を横回転させながらクズノに放つ。まるでドリルの様に高速回転しながら苦無はクズノの脚部に向けて放たれ、流石に直撃は避けたいのかクズノは手品師を想像させるステッキを背中から取り出す。
「シルド!!」
「うわっ!?」
「あれは……結界石!?」
杖の先には緑色の魔石が取り付けられており、クズノが呪文を口にした瞬間に六角形の緑色の防護壁が誕生して直央の投擲した苦無を弾き返す。相当な勢いで投擲された苦無だが、防護壁に触れた瞬間にゴムのように弾かれた事から頑丈な壁ではない事が発覚する。
「どうですか?加工に難しいと言われている結界石ですが、我々は既に戦闘に利用できる程の技術力を持っています」
「技術力……まあ、確かにこれまでも奇怪な魔道具を大量に作り出してましたからね。もしかして今まで開発していたのは……」
「おっと、それは明かせませんね。まあ、貴方達のせいでこちらも実験中の魔道具を幾つも奪われてしまいましたからね。その埋め合わせといってはなんですが、ここで貴方達を殺してあげましょう」
「キュロロロロッ!!」
「ウォオオオンッ!!」
クズノの言葉に魔獣達が威嚇を行い、リーリスも杖を構える。魔王軍はこれまでに様々な魔道具を作り出しており、このクズノという男も軽薄そうに見えるが確かな実力は持っており、先ほどから直央も隙を伺っているが不用意には近づけない。それでも出入口が塞がれている以上はこの男を倒さなければならず、直央はリーリスに囁く。
「リーリスさんは戦えるの?」
「私は回復専門なんですが……ああ、でもルノさんに習って1つだけ自信がある魔法があります。一瞬だけなら相手の視界を奪う事が出来るかも知れません」
「分かった。なら、俺が次にあいつの名前を叫んだ時に発動できるように準備して……」
「作戦会議は終わりましたか?」
声量を抑えて話し合う二人にクズノは挑発するように杖を振り回す。その動作にいちいち二人は苛立ちを募るが、これも相手の作戦の内かも知れず、迂闊には近づけない。だが、これまで傍観していた魔獣達は勝手に動き出す。
「キュロロロロッ!!」
「ガアアッ!!」
「あ、駄目!?」
ロプスとイチとニイが動き出し、クズノを抑えつけるために駆け出す。慌ててリーリスは引き留めようとしたがクズノが先に動き出し、懐に手を伸ばす。
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