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帝国の危機
リーリスの予測 ※報告があります。
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――王城に戻る途中、直央はリーリスがルノの屋敷に訪れた事が気にかかり、彼女に問い質す。
「リーリスさんはどうしてルノ君の屋敷に来たんですか?」
「ああ、貴方は知らないかも知れないですけどさっきこの帝都にも魔王軍が現れたんですよ」
「え?魔王軍……?」
魔王軍の存在はエルフ王国にも伝わっており、帝国領以内で活動するテロ組織だと直央は聞いている。しかし、帝国の中で最も警備が強いはずの帝都に魔王軍が現れたという事に直央は驚きを隠せず、リーリスは仕方ないので彼にも事情を話す。
「まあ、騒動を引き起こした魔王軍の幹部は偶然にも立ち会わせた冒険者の方々が対処してくださったんですけど、どうやら他の場所でも魔王軍と関与していると思われる人間の破壊工作が発見されたんです。幸いにも巡回中の兵士が未然に阻止したんですけど、下手をしたらうちの国のお姫様が危なかったんです」
「お姫様……ジャンヌ王女?」
直央もバルトロス帝国の王女の話は耳にしたことがあり、現在は病気で伏せっていると聞いている。リーリスの見立てでは彼女を治すことが出来るのはエルフ王国が所有している「精霊薬」だけなのだが、そのエルフ王国が現在は滅亡の危機に瀕している。このまま王国が滅びれば当然だが王女を救い出す手段も失われる事に等しく、帝国としても王国が滅びるのは都合が悪い。
(帝国の唯一の跡取りが死亡すれば間違いなく大きな騒乱が怒るでしょうね……もしかしたらルノさんを新しい国王に推挙する人間もいるかもしれません)
王女が死亡すれば帝国の血筋を継ぐ人間は存在しなくなり、当然だが帝国内で権力争いが勃発する。新しい子供を授かろうにも先帝も皇帝も高齢なので年齢的に難しく、そもそも二人の妻は既に死去している。珍しい事に帝国の王族は一夫多妻制ではなく、一夫一妻制を採用しているので妾という存在は居ない。
(王女様が治せる精霊薬がエルフ王国にしか存在しないのなら王国が滅びるのは不味いですね。きっと家族思いの皇帝も先帝も軍を派遣して救援に向かうでしょう。まあ、ルノさんさえ戻ればどうにか出来そうですけど……)
エルフ王国の救援のために軍隊に派遣するにしても色々と問題があり、帝国の主力は先の蛇竜との戦闘で疲弊している。それに今回はルノの魔法で日帰りで戻ることが出来たが、エルフ王国の軍隊ですら対応できない相手と戦う以上はそれ相応の戦力を必要とする。そう考えれば帝都の守備を任されている兵士だけでは数が足らず、各地の領地に配備している兵士も呼び出さなければならない。
(帝国が軍隊を派遣するには最低でも1、2週間は必要ですね。まあ、兵糧に関しては収納石やアイテムボックスのスキル持ちの人間が居ればどうにかなりそうですけど……)
地球と違い、軍隊が必要とする食料の類は時間の概念を受け付けない異空間に保存できる「収納石」と呼ばれる魔道具や魔術師が扱う「アイテムボックス」などのスキルを利用すれば大量の食糧を簡単に持ち運び出来る。しかも帝国の場合はここ数年は豊作なので食料は溢れ余っており、仮に帝国が籠城した場合は民を含めて10年分は持ち応えられる程の兵糧を所有している。
(まあ、食料は問題ないとしても厄介なのは昆虫種に対抗できる戦力が集まるかどうかですね。私の作り出した魔導大砲なら昆虫種にも十分に対抗できると思いますけど、弾も砲台もかなりやられたのが痛いですね……)
ルノの力を借りて作り出した魔導大砲に関しては先の蛇竜と1万を超える岩人形との戦闘で大部分が破損しており、回収出来た分を修理したとしても半分にも満たない。そもそも弾に関しても問題があり、吸魔石に水属性の魔力を注ぎ込んで大砲の弾を作り出すルノが存在しなければ補充は出来ない。
(魔導大砲は明らかに時代の先取りした兵器ですね……実用化は早すぎました)
魔導大砲は凄まじい威力を誇るが、やはりコストの点では使い勝手が難しく、しかも開発費用も高い。今回は緊急事態という事で予算は降りたが、それでも帝国は莫大な損失を負っている。これ以上の魔導大砲の使用は控えるべきである。
「ああ、もう……問題が山積みですね。ルノさんに頼りまくったツケが一気に来た気分です」
「えっ?」
「何でもありません。ほら、王城が見えてきましたよ……貴方は私の後ろに付いてきてください」
「は、はい……」
申し訳なさそうに自分の後に付いてくる直央に対し、リーリスは溜息を吐く。面倒事を持ち込んできたのは事実だが、別に直央自体が悪いわけでもない。直央も王国を救いたい一心でわざわざ一人で危険を犯してここまでやってきたのは間違いなく、リーリスはこれ以上は何も言わずに黙って王城内へと案内した。
※「同作者の不遇職とバカにされましたが、実際は悪くありません?」の第二巻の発売が決定しました!!それと今日から新作の「魔石の勇者」の投稿を行います!!予約ミスして4月に1話だけ投稿してしまいましたが……(;´・ω・)
ルノ「おめでとうレナ君」
レナ(不遇職主人公)「ありがとう。無事に2巻が出てよかったよ」
リーリス「不遇職の世界観は最弱職の数百年後ですからね。ちなみに最弱職の一部のキャラクターも出演予定です」
乱「おめでとう」
ルノ「え、誰!?」
カタナヅキ「魔石の勇者の主人公君です」
「リーリスさんはどうしてルノ君の屋敷に来たんですか?」
「ああ、貴方は知らないかも知れないですけどさっきこの帝都にも魔王軍が現れたんですよ」
「え?魔王軍……?」
魔王軍の存在はエルフ王国にも伝わっており、帝国領以内で活動するテロ組織だと直央は聞いている。しかし、帝国の中で最も警備が強いはずの帝都に魔王軍が現れたという事に直央は驚きを隠せず、リーリスは仕方ないので彼にも事情を話す。
「まあ、騒動を引き起こした魔王軍の幹部は偶然にも立ち会わせた冒険者の方々が対処してくださったんですけど、どうやら他の場所でも魔王軍と関与していると思われる人間の破壊工作が発見されたんです。幸いにも巡回中の兵士が未然に阻止したんですけど、下手をしたらうちの国のお姫様が危なかったんです」
「お姫様……ジャンヌ王女?」
直央もバルトロス帝国の王女の話は耳にしたことがあり、現在は病気で伏せっていると聞いている。リーリスの見立てでは彼女を治すことが出来るのはエルフ王国が所有している「精霊薬」だけなのだが、そのエルフ王国が現在は滅亡の危機に瀕している。このまま王国が滅びれば当然だが王女を救い出す手段も失われる事に等しく、帝国としても王国が滅びるのは都合が悪い。
(帝国の唯一の跡取りが死亡すれば間違いなく大きな騒乱が怒るでしょうね……もしかしたらルノさんを新しい国王に推挙する人間もいるかもしれません)
王女が死亡すれば帝国の血筋を継ぐ人間は存在しなくなり、当然だが帝国内で権力争いが勃発する。新しい子供を授かろうにも先帝も皇帝も高齢なので年齢的に難しく、そもそも二人の妻は既に死去している。珍しい事に帝国の王族は一夫多妻制ではなく、一夫一妻制を採用しているので妾という存在は居ない。
(王女様が治せる精霊薬がエルフ王国にしか存在しないのなら王国が滅びるのは不味いですね。きっと家族思いの皇帝も先帝も軍を派遣して救援に向かうでしょう。まあ、ルノさんさえ戻ればどうにか出来そうですけど……)
エルフ王国の救援のために軍隊に派遣するにしても色々と問題があり、帝国の主力は先の蛇竜との戦闘で疲弊している。それに今回はルノの魔法で日帰りで戻ることが出来たが、エルフ王国の軍隊ですら対応できない相手と戦う以上はそれ相応の戦力を必要とする。そう考えれば帝都の守備を任されている兵士だけでは数が足らず、各地の領地に配備している兵士も呼び出さなければならない。
(帝国が軍隊を派遣するには最低でも1、2週間は必要ですね。まあ、兵糧に関しては収納石やアイテムボックスのスキル持ちの人間が居ればどうにかなりそうですけど……)
地球と違い、軍隊が必要とする食料の類は時間の概念を受け付けない異空間に保存できる「収納石」と呼ばれる魔道具や魔術師が扱う「アイテムボックス」などのスキルを利用すれば大量の食糧を簡単に持ち運び出来る。しかも帝国の場合はここ数年は豊作なので食料は溢れ余っており、仮に帝国が籠城した場合は民を含めて10年分は持ち応えられる程の兵糧を所有している。
(まあ、食料は問題ないとしても厄介なのは昆虫種に対抗できる戦力が集まるかどうかですね。私の作り出した魔導大砲なら昆虫種にも十分に対抗できると思いますけど、弾も砲台もかなりやられたのが痛いですね……)
ルノの力を借りて作り出した魔導大砲に関しては先の蛇竜と1万を超える岩人形との戦闘で大部分が破損しており、回収出来た分を修理したとしても半分にも満たない。そもそも弾に関しても問題があり、吸魔石に水属性の魔力を注ぎ込んで大砲の弾を作り出すルノが存在しなければ補充は出来ない。
(魔導大砲は明らかに時代の先取りした兵器ですね……実用化は早すぎました)
魔導大砲は凄まじい威力を誇るが、やはりコストの点では使い勝手が難しく、しかも開発費用も高い。今回は緊急事態という事で予算は降りたが、それでも帝国は莫大な損失を負っている。これ以上の魔導大砲の使用は控えるべきである。
「ああ、もう……問題が山積みですね。ルノさんに頼りまくったツケが一気に来た気分です」
「えっ?」
「何でもありません。ほら、王城が見えてきましたよ……貴方は私の後ろに付いてきてください」
「は、はい……」
申し訳なさそうに自分の後に付いてくる直央に対し、リーリスは溜息を吐く。面倒事を持ち込んできたのは事実だが、別に直央自体が悪いわけでもない。直央も王国を救いたい一心でわざわざ一人で危険を犯してここまでやってきたのは間違いなく、リーリスはこれ以上は何も言わずに黙って王城内へと案内した。
※「同作者の不遇職とバカにされましたが、実際は悪くありません?」の第二巻の発売が決定しました!!それと今日から新作の「魔石の勇者」の投稿を行います!!予約ミスして4月に1話だけ投稿してしまいましたが……(;´・ω・)
ルノ「おめでとうレナ君」
レナ(不遇職主人公)「ありがとう。無事に2巻が出てよかったよ」
リーリス「不遇職の世界観は最弱職の数百年後ですからね。ちなみに最弱職の一部のキャラクターも出演予定です」
乱「おめでとう」
ルノ「え、誰!?」
カタナヅキ「魔石の勇者の主人公君です」
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