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帝国の危機
自称「貧弱」の勇者
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「それで……どうすればルノ君に会わせてくれるですか?」
「別に会わせないとは言いませんよ。ですけど、ルノさんは帝国の重要人物なんです。こそこそと屋敷に忍び込んで会おうとせずにちゃんと許可を取って下さいよ」
「そういう訳にもいかないんだよ……すぐにルノ君に伝えないといけない事があるんだ」
直央は沈痛な表情を浮かべてリーリスの言葉を拒否し、彼女がルノと会わせる気がないのならば立ち去ろうとする。しかし、みすみす直央を見逃すわけにはいかず、リーリスは彼を引き留めた。
「ちょっと待ってください!!別に会わせないとは言ってませんよ?だけど、私もルノさんを探しているんです。ここで何が起きたのか知っていますか?」
「そうなんですか?いや、俺がここに来た時はもう屋敷の中にルノ君は居なかったけど……」
「それはどれくらい前の時間ですか?」
「そんなに時間は経っていないはずだけど……10分ぐらい前?」
「という事は最低でもルノさんが抜けだしたのは最低でも10分前ですか……それだけの時間があればルノさんが手紙の場所に向かった可能性が高いですね」
「ぷるぷるっ……」
魔法を使用すれば音速を超えて移動出来るルノならば他の人間に相談せず、魔王軍が書き残した手紙の場所に移動している可能性も高い。すぐにでも追いかけたいところだが、生憎と普通の馬で移動すれば到着までに何日もかかってしまう。これまでの移動手段をルノに任せてばかりなのが災いし、リーリスは悔し気に爪を噛む。
「しまった……こんな事なら転移魔法でも研究しておけば良かったですね。私とした事が油断してました」
「どういう事?ルノ君はここにはいないの?」
「ああっ……まあ、多分ですけど割と早く戻ってくると思いますよ。ルノさんに勝てる存在なんてこの星に居るとは思いませんし……あっ、戻ってくるまでお茶します?」
「そんな悠長な事を言ってられないんだ!!」
「うわ、びっくりした!?もう、急に怒鳴らないで下さいよ……」
「あ、すいません……でも、本当に時間がないんです」
軽い様子でお茶を誘ってきたリーリスに対し、直央は怒鳴りつける。そんな彼の態度に疑問を抱いたリーリスは直央がこの屋敷に訪れた目的を問う。
「そういえばどうして直央さんはここに来たんですか?ルノさんの所に遊びに来たわけではないんですよね」
「ああっ……どうしてもルノ君に伝えたい事がある。だから俺はここに来た」
「話してくださいよ。何があったんですか?」
リーリスの言葉に直央は黙り込み、どのように話せばいいのか悩んでいる様子であり、そんな彼の態度に痺れを切らしてリーリスは転がっていた椅子と机を立て直して座り込む。
「ほらほら、遠慮せずに教えてくださいよ。あ、お茶飲みます?」
「なんで他人の家でそんなに態度偉そうなの……ここ、ルノ君の家なんだよね?」
「いいんですよ。私のルノさんの仲なんですから……何気に二か月ぐらいは寝食を共にするような仲なんですよ」
「え?そうなの?そういえば日の国に居た時も一緒の部屋に居たような……」
「ぷるぷるっ……」
直央は用意された椅子に座り込み、スラミンが何処からか水を入れたコップを差し出す。まさか他人の家でスライムにもてなされるとは思わなかった直央は戸惑うが、水を飲み干すと何処から話すべきか悩む。
「……話す前に軽く自己紹介をしませんか?俺は直央です。エルフ王国に召喚された一応は「勇者」です……そちらは?」
「どうも初めまして、私は帝国の開発部の所長兼帝国四天王の末席を任されているリーリスと申します」
「えっ……帝国四天王ってあの?」
帝国四天王の名前はエルフ王国でも有名であり、直央は自分と相対しているリーリスが予想以上に重要人物だった事に驚きを隠せない。だが、そんな彼の考えを読み取ったようにリーリスは補足する。
「まあ、将軍と言っても私は他の4人と比べて戦闘能力は劣りますので基本は後方支援に徹しています。なので戦闘方面では一度も役に立った事がありません!!逆に凄いでしょう?」
「それ、自慢する事じゃないと思うけど……というか、四天王なのに5人いるんですか?」
「ああ、このやり取りも懐かしいですね。ルノさんと最初に出会った時も同じことを言われましたよ。流石は同郷の人間ですね」
「そうなのか……いや、それはどうでもいいんですよ!!」
「ぷるるんっ……」
「ちょ、だから急に怒鳴らいで下さいよ。ほら、スラミンが怖がっちゃうじゃないですか」
「あ、ごめん……」
机の上のスラミンが直央の怒鳴り声を聞いてリーリスの元に移動し、ぷるぷると震える。その様子を見て直央は冷静さを取り戻し、本題に入る。
「……本当はルノ君に力を貸してもらいたかったけど、貴方が帝国の将軍なら伝えない訳にはいかない。今、エルフ王国では大変な事が起きているんです」
「エルフ王国が?それは聞き捨てなりませんね……何があったんです?」
帝国と双璧を為す強大国家として知られているエルフ王国が危機に瀕していると聞き、リーリスは詳細を尋ねる。
「別に会わせないとは言いませんよ。ですけど、ルノさんは帝国の重要人物なんです。こそこそと屋敷に忍び込んで会おうとせずにちゃんと許可を取って下さいよ」
「そういう訳にもいかないんだよ……すぐにルノ君に伝えないといけない事があるんだ」
直央は沈痛な表情を浮かべてリーリスの言葉を拒否し、彼女がルノと会わせる気がないのならば立ち去ろうとする。しかし、みすみす直央を見逃すわけにはいかず、リーリスは彼を引き留めた。
「ちょっと待ってください!!別に会わせないとは言ってませんよ?だけど、私もルノさんを探しているんです。ここで何が起きたのか知っていますか?」
「そうなんですか?いや、俺がここに来た時はもう屋敷の中にルノ君は居なかったけど……」
「それはどれくらい前の時間ですか?」
「そんなに時間は経っていないはずだけど……10分ぐらい前?」
「という事は最低でもルノさんが抜けだしたのは最低でも10分前ですか……それだけの時間があればルノさんが手紙の場所に向かった可能性が高いですね」
「ぷるぷるっ……」
魔法を使用すれば音速を超えて移動出来るルノならば他の人間に相談せず、魔王軍が書き残した手紙の場所に移動している可能性も高い。すぐにでも追いかけたいところだが、生憎と普通の馬で移動すれば到着までに何日もかかってしまう。これまでの移動手段をルノに任せてばかりなのが災いし、リーリスは悔し気に爪を噛む。
「しまった……こんな事なら転移魔法でも研究しておけば良かったですね。私とした事が油断してました」
「どういう事?ルノ君はここにはいないの?」
「ああっ……まあ、多分ですけど割と早く戻ってくると思いますよ。ルノさんに勝てる存在なんてこの星に居るとは思いませんし……あっ、戻ってくるまでお茶します?」
「そんな悠長な事を言ってられないんだ!!」
「うわ、びっくりした!?もう、急に怒鳴らないで下さいよ……」
「あ、すいません……でも、本当に時間がないんです」
軽い様子でお茶を誘ってきたリーリスに対し、直央は怒鳴りつける。そんな彼の態度に疑問を抱いたリーリスは直央がこの屋敷に訪れた目的を問う。
「そういえばどうして直央さんはここに来たんですか?ルノさんの所に遊びに来たわけではないんですよね」
「ああっ……どうしてもルノ君に伝えたい事がある。だから俺はここに来た」
「話してくださいよ。何があったんですか?」
リーリスの言葉に直央は黙り込み、どのように話せばいいのか悩んでいる様子であり、そんな彼の態度に痺れを切らしてリーリスは転がっていた椅子と机を立て直して座り込む。
「ほらほら、遠慮せずに教えてくださいよ。あ、お茶飲みます?」
「なんで他人の家でそんなに態度偉そうなの……ここ、ルノ君の家なんだよね?」
「いいんですよ。私のルノさんの仲なんですから……何気に二か月ぐらいは寝食を共にするような仲なんですよ」
「え?そうなの?そういえば日の国に居た時も一緒の部屋に居たような……」
「ぷるぷるっ……」
直央は用意された椅子に座り込み、スラミンが何処からか水を入れたコップを差し出す。まさか他人の家でスライムにもてなされるとは思わなかった直央は戸惑うが、水を飲み干すと何処から話すべきか悩む。
「……話す前に軽く自己紹介をしませんか?俺は直央です。エルフ王国に召喚された一応は「勇者」です……そちらは?」
「どうも初めまして、私は帝国の開発部の所長兼帝国四天王の末席を任されているリーリスと申します」
「えっ……帝国四天王ってあの?」
帝国四天王の名前はエルフ王国でも有名であり、直央は自分と相対しているリーリスが予想以上に重要人物だった事に驚きを隠せない。だが、そんな彼の考えを読み取ったようにリーリスは補足する。
「まあ、将軍と言っても私は他の4人と比べて戦闘能力は劣りますので基本は後方支援に徹しています。なので戦闘方面では一度も役に立った事がありません!!逆に凄いでしょう?」
「それ、自慢する事じゃないと思うけど……というか、四天王なのに5人いるんですか?」
「ああ、このやり取りも懐かしいですね。ルノさんと最初に出会った時も同じことを言われましたよ。流石は同郷の人間ですね」
「そうなのか……いや、それはどうでもいいんですよ!!」
「ぷるるんっ……」
「ちょ、だから急に怒鳴らいで下さいよ。ほら、スラミンが怖がっちゃうじゃないですか」
「あ、ごめん……」
机の上のスラミンが直央の怒鳴り声を聞いてリーリスの元に移動し、ぷるぷると震える。その様子を見て直央は冷静さを取り戻し、本題に入る。
「……本当はルノ君に力を貸してもらいたかったけど、貴方が帝国の将軍なら伝えない訳にはいかない。今、エルフ王国では大変な事が起きているんです」
「エルフ王国が?それは聞き捨てなりませんね……何があったんです?」
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