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外伝 〈一人旅〉
※エイプリルフール企画 〈地球編〉
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――ルノがスラミンが「ぷるぷるダンス」のし過ぎで腰を壊したため、回復薬を塗り込んで治療に専念していた。
「はい、動かないで下さいね~」
「ぷるっ、ぷるるんっ……」
回復薬を注ぎながらスラミンの肉体を粘土の様に捏ね回し、治療を行っている最中に訪問者が訪れた。
「ルノさん!!ここに居ましたか!!」
「あれ?どうしたのリーリス?今日は三か月ぶりの非番だから家でゆっくりしてたんじゃないの?」
「いや、そうなんですよ。帝国って意外とブラック企業で……いや、それはどうでもいいんです!!そんな事よりも遂に元の世界へ戻れる装置を開発しましたよ!!」
「え、本当に!?」
「ぷるんっ!?」
リーリスの言葉にルノはスラミンの肉体に予想以上に力で指圧した事により、スラミンが悶えるように身体を震わせる。しかし、ルノは元の世界に戻れるという言葉にリーリスに詰め寄る。
「どうやって戻れるの!?」
「はわわっ……ちょ、全力で揺らさないで下さい!!ルノさんの力で掴まれるといたたたたっ!?」
「あ、ごめん……」
「ぷるぷるっ」
ルノが興奮して手加減を忘れて本気で肩を掴んでしまい、リーリスは悲鳴をあげる。その様子を解放されたスラミンが呆れた表情を浮かべるが、気を取り直して本題に戻る。
「それで本当に元の世界に戻れる装置なんて作り出せたの?」
「マジですよ。試しに使ってみたら地球に戻れたんです」
「え?でもリーリスはここにいるじゃん」
「いや、どうも限定的にしか戻れないんですよ。元の世界に戻れる時間は1時間だけですね」
「なんで?」
「さあ、私も原理はよく分かりません。本当は仕事を押し付けてくる皇帝陛下の髪の毛を根絶させるための薬を開発してたら急に爆発してあっちの世界に戻れたんです。1時間ぐらい経過したら急に魔法陣が誕生してこっちの世界に戻されました」
「何やってんのもう……」
実験の過程で偶然にも地球へと帰還する薬品を開発したリーリスによると元の世界に戻れる時間は1時間までであり、あちらの世界に戻っても1時間経過すれば元に戻るという。
「ほら、これがその薬ですよ」
「なにこれ……髑髏マークが付いてるんだけど、魔王軍の魔道具?」
「違いますよ。これを叩きつければ爆発して地球に戻る事が出来ます。さあ、ルノさんも一緒に家族に会いたいでしょう?行きますよ!!」
「え、ちょっ……まだ戻りたいとは言ってないんだけどぉおおおおっ!!」
返事も待たずにリーリスは薬品を地面に叩きつけた瞬間、屋敷が崩壊する程の大爆発が発生し、二人の肉体が光へと包まれた――
――爆発に飲み込まれたはずのルノが目を開くと、そこは自分の屋敷ではなく、見覚えのある学校の教室の風景が映し出されていた。慌てて身体を起き上げると、ルノは黒板の日付を確認し、自分があちらの世界に飛ばされた日と同じ日である事に気付く。
「嘘っ……本当に戻ってこれたの?」
ルノは教室の窓に視線を向けると、そこには部活動に励む運動部の姿があり、自分が本当に元の世界へ戻れた事を確信した。
「やった!!戻ってこれたんだ……いや、でも1時間だけって言ってたな」
咄嗟に喜びそうになったがルノはリーリスから言われた言葉を思い出し、慌てて時計を確認する。どうやらあちらの世界に飛ばされてから数分しか経過しておらず、急いで戻れば自宅の家族とも会えるだろう。
「すぐに戻らないと……うわっ!?」
だが、教室を出ようとした瞬間、窓から強烈な光と衝撃波が走り、ルノの肉体は壁際に叩きつけられ、コンクリートの壁を破壊して校庭にまで吹き飛ばされる。
「いだぁっ!?」
頭から地面に衝突したルノは悲鳴を上げるが、実のところはそれほど痛くはない事に気付き、不思議に思いながらも自分の身体を確認する。校舎の2階から落ちたにも関わらずにルノの肉体に傷はなく、衣服が少し切り裂かれた程度である。普通ならば即死してもおかしくはないのだが、ここでルノは肉体の異変に気付く。
「もしかして……火球!!」
試しに掌を翳して魔法名を告げると、彼の掌に炎の球体が誕生し、その光景にルノは唖然とした。元の世界に戻っても魔法が扱えるどころか身体能力もそのままだった。
「な、何が起きてるんだ……いや、それよりも皆は無事なのか!?」
慌ててグラウンドの方で起きた爆発の正体を確かめるため、ルノは飛翔術を利用して校舎を飛び越える。そしてグラウンドに視線を向けると、まるで隕石が落ちたようにクレーターが形成されており、その中心部には嫌に見覚えのある存在が居た。
『くっ……おのれ、人間共めぇえええっ!!』
「魔王っ!?」
――そこには宇宙の彼方へ吹き飛ばしたはずの魔王が存在し、怒りの咆哮を上げた。
※まさかの地球での最終決戦です!!(続きません)
「はい、動かないで下さいね~」
「ぷるっ、ぷるるんっ……」
回復薬を注ぎながらスラミンの肉体を粘土の様に捏ね回し、治療を行っている最中に訪問者が訪れた。
「ルノさん!!ここに居ましたか!!」
「あれ?どうしたのリーリス?今日は三か月ぶりの非番だから家でゆっくりしてたんじゃないの?」
「いや、そうなんですよ。帝国って意外とブラック企業で……いや、それはどうでもいいんです!!そんな事よりも遂に元の世界へ戻れる装置を開発しましたよ!!」
「え、本当に!?」
「ぷるんっ!?」
リーリスの言葉にルノはスラミンの肉体に予想以上に力で指圧した事により、スラミンが悶えるように身体を震わせる。しかし、ルノは元の世界に戻れるという言葉にリーリスに詰め寄る。
「どうやって戻れるの!?」
「はわわっ……ちょ、全力で揺らさないで下さい!!ルノさんの力で掴まれるといたたたたっ!?」
「あ、ごめん……」
「ぷるぷるっ」
ルノが興奮して手加減を忘れて本気で肩を掴んでしまい、リーリスは悲鳴をあげる。その様子を解放されたスラミンが呆れた表情を浮かべるが、気を取り直して本題に戻る。
「それで本当に元の世界に戻れる装置なんて作り出せたの?」
「マジですよ。試しに使ってみたら地球に戻れたんです」
「え?でもリーリスはここにいるじゃん」
「いや、どうも限定的にしか戻れないんですよ。元の世界に戻れる時間は1時間だけですね」
「なんで?」
「さあ、私も原理はよく分かりません。本当は仕事を押し付けてくる皇帝陛下の髪の毛を根絶させるための薬を開発してたら急に爆発してあっちの世界に戻れたんです。1時間ぐらい経過したら急に魔法陣が誕生してこっちの世界に戻されました」
「何やってんのもう……」
実験の過程で偶然にも地球へと帰還する薬品を開発したリーリスによると元の世界に戻れる時間は1時間までであり、あちらの世界に戻っても1時間経過すれば元に戻るという。
「ほら、これがその薬ですよ」
「なにこれ……髑髏マークが付いてるんだけど、魔王軍の魔道具?」
「違いますよ。これを叩きつければ爆発して地球に戻る事が出来ます。さあ、ルノさんも一緒に家族に会いたいでしょう?行きますよ!!」
「え、ちょっ……まだ戻りたいとは言ってないんだけどぉおおおおっ!!」
返事も待たずにリーリスは薬品を地面に叩きつけた瞬間、屋敷が崩壊する程の大爆発が発生し、二人の肉体が光へと包まれた――
――爆発に飲み込まれたはずのルノが目を開くと、そこは自分の屋敷ではなく、見覚えのある学校の教室の風景が映し出されていた。慌てて身体を起き上げると、ルノは黒板の日付を確認し、自分があちらの世界に飛ばされた日と同じ日である事に気付く。
「嘘っ……本当に戻ってこれたの?」
ルノは教室の窓に視線を向けると、そこには部活動に励む運動部の姿があり、自分が本当に元の世界へ戻れた事を確信した。
「やった!!戻ってこれたんだ……いや、でも1時間だけって言ってたな」
咄嗟に喜びそうになったがルノはリーリスから言われた言葉を思い出し、慌てて時計を確認する。どうやらあちらの世界に飛ばされてから数分しか経過しておらず、急いで戻れば自宅の家族とも会えるだろう。
「すぐに戻らないと……うわっ!?」
だが、教室を出ようとした瞬間、窓から強烈な光と衝撃波が走り、ルノの肉体は壁際に叩きつけられ、コンクリートの壁を破壊して校庭にまで吹き飛ばされる。
「いだぁっ!?」
頭から地面に衝突したルノは悲鳴を上げるが、実のところはそれほど痛くはない事に気付き、不思議に思いながらも自分の身体を確認する。校舎の2階から落ちたにも関わらずにルノの肉体に傷はなく、衣服が少し切り裂かれた程度である。普通ならば即死してもおかしくはないのだが、ここでルノは肉体の異変に気付く。
「もしかして……火球!!」
試しに掌を翳して魔法名を告げると、彼の掌に炎の球体が誕生し、その光景にルノは唖然とした。元の世界に戻っても魔法が扱えるどころか身体能力もそのままだった。
「な、何が起きてるんだ……いや、それよりも皆は無事なのか!?」
慌ててグラウンドの方で起きた爆発の正体を確かめるため、ルノは飛翔術を利用して校舎を飛び越える。そしてグラウンドに視線を向けると、まるで隕石が落ちたようにクレーターが形成されており、その中心部には嫌に見覚えのある存在が居た。
『くっ……おのれ、人間共めぇえええっ!!』
「魔王っ!?」
――そこには宇宙の彼方へ吹き飛ばしたはずの魔王が存在し、怒りの咆哮を上げた。
※まさかの地球での最終決戦です!!(続きません)
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