214 / 657
外伝 〈一人旅〉
海竜調教作戦
しおりを挟む
――数分後、ルノは飛翔術を利用して海竜と遭遇した海域へと移動を行う。前回は不意を突かれて殺されかけそうになったが、今回は事前に戦闘前の準備を整える。
「ここら辺でいいかな……ダイブ!!」
海面に視線を向けて上半身が裸の状態のルノは飛翔術を解除して海に飛び込む。海中では飛翔術は利用できず、氷塊の魔法を利用してサーフボードのような形状に変化した氷の塊にしがみついて海中を移動した。
(……新しく覚えた「潜水」の技能スキルが上手く発動しているな)
海に潜る前にルノはSPを利用して泳ぐのに役立ちそうな技能スキルを習得しており、海中の水泳速度と息継ぎ無しに長時間泳ぐ事が出来る「潜水」のスキルを覚えていた。このスキルのお陰で海に潜っても潜水病になる事はなく、ある程度の深度まで生身の肉体で泳ぐ事が出来る。
(さてと……目当ての獲物は何処にいるのかな?)
視界が悪い海中を移動しながらルノは海竜の姿を探す。島の囚人達の話によると飛行船が新たな囚人を海中に落とす際には必ず姿を現すと聞いており、飢えに耐え切れずに海で魚を捕まえようとした人間達も餌食になっている事が判明した。縄張りを侵す者は決して許さず、例え相手が自分よりも遥かに小さくて力の弱い相手だろうと海竜は許さない。
(おっ……来たかな?)
海中を移動中、唐突に強烈な水圧がルノの肉体に押しかかり、巨大な物体が接近する光景を確認する。ルノは即座に氷塊を操作して海上へ向けて移動を行い、左手に魔力を集中させる。
(行けっ!!)
海面から氷塊にしがみついたルノが飛び出した瞬間、ほぼ同時に彼を飲み込もうと大口を開けた海竜が浮上し、ルノの肉体が巨大な口の中に入り込む。
『オオオオオオッ!!』
海竜の咆哮が響き渡り、巨大な口が閉じられてしまう。しかし、直後に口内から白色の電流が迸り、海竜は白目を向いて口内を開いてしまう。
『オアアッ……!?』
「脱出!!」
開かれた口の中から氷塊をサーフボード代わりに利用して乗り込んだルノが姿を現し、左腕に「白雷」を纏わせた状態で上空へと移動を行う。完全に牙で磨り潰される前に喉へと移動し、体内に直接電撃を流し込んで海竜の口から脱出を果たす。
『アアアアッ……!?』
「舌が痺れただろ?しばらくは治らないよ!!」
ルノの白雷は生物に帯電する性質を持っており、海竜の舌先に電流が迸る。必死に痺れを振り払おうと海竜は舌先を震わせるが、その光景があまりにも間抜けなのでルノは笑いそうになるが、海竜が意識を奪われている内にその場を離れる。
「よし、上手くいった……後は何度も繰り返さないとな」
海獄島の海岸に移動すると、ルノは未だに舌先を情けなく震わせて痺れを治そうとする海竜に視線を向け、作戦が成功した事を確信する。しばらくすると痺れが消えたのか海竜の肉体が海中に沈み、完全に姿を消す。
「……夜になったらまた来よう」
海竜が姿を消すのを見届けるとルノは囚人達の食料の配給の行うために戻る事にしたが、この数時間後に再び彼は海獄島を抜け出す事を決意する――
――数時間後、日が暮れて完全に暗闇に覆われた海の中でルノは光球の魔法を利用して再び海中を移動していた。火球の魔法の場合だと海中では長時間は維持できないが、光球の魔法ならば特に問題なく、水圧の影響も受けずに輝き続ける事が出来ると発覚した。
(チョウチンアンコウになった気分だな……あれ、夜だと大きな魚も居るのかな?)
朝や昼の時間帯と異なり、夜間の間はそれなりに大きな魚も泳いでおり、ルノは氷塊にしがみつきながら移動を行う。
(夜だと余計に視界が悪いな……一応はゴーグルを作っておいて良かった)
今回は目元に氷塊の魔法で作り出したゴーグルも装着しており、ルノは光球で照らしながら海底へと移動する。潜り始めてからそれなりに時間が経過しているが海竜が姿を現す様子はなく、もしかしたら夜間の間は海竜は別の場所に移動しているか、あるいは寝ている可能性が出てきた。
(あんな化物みたいな奴でも生物だもんな。もしかしたら今は寝てるのかも……だからこの魚達も泳いでいるのか)
海竜が姿を現さない事が原因なのか、海獄島の周辺の海域でも大きめの魚も存在し、島の周囲を泳いでいた。中には1メートルを超える魚も存在したが、どの魚もルノを見た瞬間に一目散に離れてしまう。
(夜の間なら魚も捕まえられそうだけど、なんでこの島の囚人は気付いてないんだろう……あ、でも船を造っても海竜に食われたんだっけ)
海獄島の周辺は断崖絶壁であり、そもそも船が存在しないので囚人達が魚を捕まえる事は難しい。これまでに何人も船を作り出して脱出しようとした人間が居たそうだが、海竜の餌食となった事で島の囚人達は漁業を行うという発想自体も思いつかなかった可能性も高い。
(う~ん……勿体ないな。帰ったら夜の間は大丈夫だと伝えようかな?いや、絶対に海竜が現れないという保証もないし、それに船がなければどうしようもないか……)
夜の間は海獄島の周辺にも普通の魚は寄り付く事が判明したが、肝心の船が存在しなければ魚を捕まえる事も難しく、ルノは報告すべきか否か悩む
「ここら辺でいいかな……ダイブ!!」
海面に視線を向けて上半身が裸の状態のルノは飛翔術を解除して海に飛び込む。海中では飛翔術は利用できず、氷塊の魔法を利用してサーフボードのような形状に変化した氷の塊にしがみついて海中を移動した。
(……新しく覚えた「潜水」の技能スキルが上手く発動しているな)
海に潜る前にルノはSPを利用して泳ぐのに役立ちそうな技能スキルを習得しており、海中の水泳速度と息継ぎ無しに長時間泳ぐ事が出来る「潜水」のスキルを覚えていた。このスキルのお陰で海に潜っても潜水病になる事はなく、ある程度の深度まで生身の肉体で泳ぐ事が出来る。
(さてと……目当ての獲物は何処にいるのかな?)
視界が悪い海中を移動しながらルノは海竜の姿を探す。島の囚人達の話によると飛行船が新たな囚人を海中に落とす際には必ず姿を現すと聞いており、飢えに耐え切れずに海で魚を捕まえようとした人間達も餌食になっている事が判明した。縄張りを侵す者は決して許さず、例え相手が自分よりも遥かに小さくて力の弱い相手だろうと海竜は許さない。
(おっ……来たかな?)
海中を移動中、唐突に強烈な水圧がルノの肉体に押しかかり、巨大な物体が接近する光景を確認する。ルノは即座に氷塊を操作して海上へ向けて移動を行い、左手に魔力を集中させる。
(行けっ!!)
海面から氷塊にしがみついたルノが飛び出した瞬間、ほぼ同時に彼を飲み込もうと大口を開けた海竜が浮上し、ルノの肉体が巨大な口の中に入り込む。
『オオオオオオッ!!』
海竜の咆哮が響き渡り、巨大な口が閉じられてしまう。しかし、直後に口内から白色の電流が迸り、海竜は白目を向いて口内を開いてしまう。
『オアアッ……!?』
「脱出!!」
開かれた口の中から氷塊をサーフボード代わりに利用して乗り込んだルノが姿を現し、左腕に「白雷」を纏わせた状態で上空へと移動を行う。完全に牙で磨り潰される前に喉へと移動し、体内に直接電撃を流し込んで海竜の口から脱出を果たす。
『アアアアッ……!?』
「舌が痺れただろ?しばらくは治らないよ!!」
ルノの白雷は生物に帯電する性質を持っており、海竜の舌先に電流が迸る。必死に痺れを振り払おうと海竜は舌先を震わせるが、その光景があまりにも間抜けなのでルノは笑いそうになるが、海竜が意識を奪われている内にその場を離れる。
「よし、上手くいった……後は何度も繰り返さないとな」
海獄島の海岸に移動すると、ルノは未だに舌先を情けなく震わせて痺れを治そうとする海竜に視線を向け、作戦が成功した事を確信する。しばらくすると痺れが消えたのか海竜の肉体が海中に沈み、完全に姿を消す。
「……夜になったらまた来よう」
海竜が姿を消すのを見届けるとルノは囚人達の食料の配給の行うために戻る事にしたが、この数時間後に再び彼は海獄島を抜け出す事を決意する――
――数時間後、日が暮れて完全に暗闇に覆われた海の中でルノは光球の魔法を利用して再び海中を移動していた。火球の魔法の場合だと海中では長時間は維持できないが、光球の魔法ならば特に問題なく、水圧の影響も受けずに輝き続ける事が出来ると発覚した。
(チョウチンアンコウになった気分だな……あれ、夜だと大きな魚も居るのかな?)
朝や昼の時間帯と異なり、夜間の間はそれなりに大きな魚も泳いでおり、ルノは氷塊にしがみつきながら移動を行う。
(夜だと余計に視界が悪いな……一応はゴーグルを作っておいて良かった)
今回は目元に氷塊の魔法で作り出したゴーグルも装着しており、ルノは光球で照らしながら海底へと移動する。潜り始めてからそれなりに時間が経過しているが海竜が姿を現す様子はなく、もしかしたら夜間の間は海竜は別の場所に移動しているか、あるいは寝ている可能性が出てきた。
(あんな化物みたいな奴でも生物だもんな。もしかしたら今は寝てるのかも……だからこの魚達も泳いでいるのか)
海竜が姿を現さない事が原因なのか、海獄島の周辺の海域でも大きめの魚も存在し、島の周囲を泳いでいた。中には1メートルを超える魚も存在したが、どの魚もルノを見た瞬間に一目散に離れてしまう。
(夜の間なら魚も捕まえられそうだけど、なんでこの島の囚人は気付いてないんだろう……あ、でも船を造っても海竜に食われたんだっけ)
海獄島の周辺は断崖絶壁であり、そもそも船が存在しないので囚人達が魚を捕まえる事は難しい。これまでに何人も船を作り出して脱出しようとした人間が居たそうだが、海竜の餌食となった事で島の囚人達は漁業を行うという発想自体も思いつかなかった可能性も高い。
(う~ん……勿体ないな。帰ったら夜の間は大丈夫だと伝えようかな?いや、絶対に海竜が現れないという保証もないし、それに船がなければどうしようもないか……)
夜の間は海獄島の周辺にも普通の魚は寄り付く事が判明したが、肝心の船が存在しなければ魚を捕まえる事も難しく、ルノは報告すべきか否か悩む
0
お気に入りに追加
11,307
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です

[完結]異世界転生したら幼女になったが 速攻で村を追い出された件について ~そしていずれ最強になる幼女~
k33
ファンタジー
初めての小説です..!
ある日 主人公 マサヤがトラックに引かれ幼女で異世界転生するのだが その先には 転生者は嫌われていると知る そして別の転生者と出会い この世界はゲームの世界と知る そして、そこから 魔法専門学校に入り Aまで目指すが 果たして上がれるのか!? そして 魔王城には立ち寄った者は一人もいないと別の転生者は言うが 果たして マサヤは 魔王城に入り 魔王を倒し無事に日本に帰れるのか!?

断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。

冤罪だと誰も信じてくれず追い詰められた僕、濡れ衣が明るみになったけど今更仲直りなんてできない
一本橋
恋愛
女子の体操着を盗んだという身に覚えのない罪を着せられ、僕は皆の信頼を失った。
クラスメイトからは日常的に罵倒を浴びせられ、向けられるのは蔑みの目。
さらに、信じていた初恋だった女友達でさえ僕を見限った。
両親からは拒絶され、姉からもいないものと扱われる日々。
……だが、転機は訪れる。冤罪だった事が明かになったのだ。
それを機に、今まで僕を蔑ろに扱った人達から次々と謝罪の声が。
皆は僕と関係を戻したいみたいだけど、今更仲直りなんてできない。
※小説家になろう、カクヨムと同時に投稿しています。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました
ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。