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外伝 〈一人旅〉
リディアの恐怖
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「リディアがここに居るとは思わなかったよ。でも、丁度いいや。あんたに聞きたいことがある」
「な、何よ……それよりもどうしてあんたがここに居るのか答えなさいよ」
「魔王を倒した後に色々とあってここに辿り着いたんだよ」
「はあっ!?」
魔王を倒したという言葉にリディアは目を見開き、彼女は信じられない表情を浮かべて怒鳴りつけた。
「魔王様があんたなんかにやられるはずがないでしょう!!あの御方には魔法なんて効かないのよ!!」
「だから苦労したよ。でも、魔王はもう戻ってこない場所に吹き飛ばしたよ」
「ふ、封印したっていうの?」
「ちょっと違うけど……もうこの星にはいないよ」
リディアは魔王を倒したという言葉に信じられないが、火竜や牙竜を打ち倒したルノの力は思い知っており、彼ならば魔王を倒せる実力を持っているのではないかと考える。
「……魔王様の正体を知っているの?」
「スライム、だろ?」
「信じられない……本当にあの御方を倒したの?」
魔王の正体を告げたルノにリディアは動揺を隠せず、自分が忠義を誓っていた相手が既に倒されたという言葉に彼女は腰を抜かす。
「魔王様が人間なんかに敗れるなんて……でも、確かにあんたなら魔王様を倒す力を身に付けていてもおかしくないわね」
「なんか、口調が変わってない?そっちが素?」
「うるっさいわね!!男受けがいいように普段から演技してたのよ!!」
リディアの口調は最初に遭遇した時と大分変っており、今現在では年齢相応の落ち着いた口調になっていた。だが、ルノがこの場所に訪れたのは彼女と雑談するためではなく、魔物使いの能力を尋ねるために訪れたのだ。
「それよりも色々と聞きたいことがある。いい加減に出てきてよ」
「……断ったらどうする気?」
「その家を半壊にはしたくない」
「分かったわよ!!」
『シャアッ?』
ルノの言葉に怯えたようにリディアは家から姿を現すと、ガーゴイルが不思議そうに首を傾げる。彼女の服装は他の囚人達と同様に囚人服を着こんでいるが、それにしては清潔感が保たれており、肌の艶も良かった。
「……この島に住んでいる人間にしては妙に元気そうに見えるね?」
「生憎と私は食料には困っていないのよ。ここの愚鈍な奴等と違ってね」
「ここの人達の集めた食料を奪ったくせに偉そうに言うな」
「別にいいじゃない。ここの奴等は悪人なのよ?同情する義理はないでしょ」
「国家を滅亡に追い込んだ大悪党の吐く台詞じゃないけどね」
リディアの住み込んだ建物は元々は地上の食糧庫であり、彼女はこの島の住民が集めた食料を無理やりに奪い取って生活している。ルノが気になったのはリディアの従えているガーゴイルは何処から引き連れてきたかであり、彼女に尋ねる。
「そこの石像君は何処から連れてきたの?」
「こいつは私の最後の魔獣よ……飛行船に送り込まれる前に同行させていたのよ」
「こいつを利用すれば逃げられたんじゃないの?」
「どうやって?飛行船にはどれだけの腕利きの兵士がいると思っているのよ。忍び込ませて同行させるだけで精一杯だったわ」
『シャアアッ……』
ガーゴイルは元々はこの島に生息していたわけではなく、リディアが連れ出した魔物だった。彼女はガーゴイルを利用してこの島の囚人を脅し、食糧庫の建物を奪い取ったという。
「それでこんな所に何の用よ……私の事を殺しに来たわけじゃないんでしょ?」
「まあね。あんたに聞きたいのは魔物使いの能力だよ」
「能力……私の?」
「あの、兄貴……俺達はどうしたらいいですかね?」
『シャアアッ!!』
会話の最中にニオとロナクが割り込み、彼等を見てガーゴイルが興奮したように鳴き声を上げるが、リディアがすぐに黙らせる。
「大丈夫よ。あんたは黙ってなさい」
『シャアッ……』
「二人は戻っててよ。この人と話があるから」
「は、はい!!」
「お気をつけて!!」
二人は即座にその場を離れ、立ち去ったのを確認してからルノはリディアと向かい合う。彼女は尋問の際には何も話さなかったが、魔王軍は既に壊滅状態にあり、今回の件は彼女自身の能力に関する事なので話し合いに応じる様子だった。
「魔物使いがどうやって魔物と契約しているのかを知りたい」
「はあ?どういう意味よ?なんであんたがそんな事を……」
「色々と調べたいことがあってね……専門家から直接聞きたい」
「……条件があるわ。私を殺さないと約束して」
「別にいいよ。なんなら他の皆にはあんたがここで生活している事は黙っている」
ルノの言葉にリディアは考え込み、結局は抵抗は無意味と判断したのか彼女は深い溜息を吐いて頷く。
「いいわ。それで、魔物使いがどうやって魔獣を従えているのかを知りたいのね?」
「そう。俺も魔獣は飼っているけど、魔物使いの場合は魔獣を従えさせる方法は違うんでしょ?」
「当然よ」
リディアによると魔物使いが魔獣を従えさせるのは魔物を飼育して調教するわけではなく、人間と魔獣の間に特別な繋がりを築く事が重要だと説明する。
「な、何よ……それよりもどうしてあんたがここに居るのか答えなさいよ」
「魔王を倒した後に色々とあってここに辿り着いたんだよ」
「はあっ!?」
魔王を倒したという言葉にリディアは目を見開き、彼女は信じられない表情を浮かべて怒鳴りつけた。
「魔王様があんたなんかにやられるはずがないでしょう!!あの御方には魔法なんて効かないのよ!!」
「だから苦労したよ。でも、魔王はもう戻ってこない場所に吹き飛ばしたよ」
「ふ、封印したっていうの?」
「ちょっと違うけど……もうこの星にはいないよ」
リディアは魔王を倒したという言葉に信じられないが、火竜や牙竜を打ち倒したルノの力は思い知っており、彼ならば魔王を倒せる実力を持っているのではないかと考える。
「……魔王様の正体を知っているの?」
「スライム、だろ?」
「信じられない……本当にあの御方を倒したの?」
魔王の正体を告げたルノにリディアは動揺を隠せず、自分が忠義を誓っていた相手が既に倒されたという言葉に彼女は腰を抜かす。
「魔王様が人間なんかに敗れるなんて……でも、確かにあんたなら魔王様を倒す力を身に付けていてもおかしくないわね」
「なんか、口調が変わってない?そっちが素?」
「うるっさいわね!!男受けがいいように普段から演技してたのよ!!」
リディアの口調は最初に遭遇した時と大分変っており、今現在では年齢相応の落ち着いた口調になっていた。だが、ルノがこの場所に訪れたのは彼女と雑談するためではなく、魔物使いの能力を尋ねるために訪れたのだ。
「それよりも色々と聞きたいことがある。いい加減に出てきてよ」
「……断ったらどうする気?」
「その家を半壊にはしたくない」
「分かったわよ!!」
『シャアッ?』
ルノの言葉に怯えたようにリディアは家から姿を現すと、ガーゴイルが不思議そうに首を傾げる。彼女の服装は他の囚人達と同様に囚人服を着こんでいるが、それにしては清潔感が保たれており、肌の艶も良かった。
「……この島に住んでいる人間にしては妙に元気そうに見えるね?」
「生憎と私は食料には困っていないのよ。ここの愚鈍な奴等と違ってね」
「ここの人達の集めた食料を奪ったくせに偉そうに言うな」
「別にいいじゃない。ここの奴等は悪人なのよ?同情する義理はないでしょ」
「国家を滅亡に追い込んだ大悪党の吐く台詞じゃないけどね」
リディアの住み込んだ建物は元々は地上の食糧庫であり、彼女はこの島の住民が集めた食料を無理やりに奪い取って生活している。ルノが気になったのはリディアの従えているガーゴイルは何処から引き連れてきたかであり、彼女に尋ねる。
「そこの石像君は何処から連れてきたの?」
「こいつは私の最後の魔獣よ……飛行船に送り込まれる前に同行させていたのよ」
「こいつを利用すれば逃げられたんじゃないの?」
「どうやって?飛行船にはどれだけの腕利きの兵士がいると思っているのよ。忍び込ませて同行させるだけで精一杯だったわ」
『シャアアッ……』
ガーゴイルは元々はこの島に生息していたわけではなく、リディアが連れ出した魔物だった。彼女はガーゴイルを利用してこの島の囚人を脅し、食糧庫の建物を奪い取ったという。
「それでこんな所に何の用よ……私の事を殺しに来たわけじゃないんでしょ?」
「まあね。あんたに聞きたいのは魔物使いの能力だよ」
「能力……私の?」
「あの、兄貴……俺達はどうしたらいいですかね?」
『シャアアッ!!』
会話の最中にニオとロナクが割り込み、彼等を見てガーゴイルが興奮したように鳴き声を上げるが、リディアがすぐに黙らせる。
「大丈夫よ。あんたは黙ってなさい」
『シャアッ……』
「二人は戻っててよ。この人と話があるから」
「は、はい!!」
「お気をつけて!!」
二人は即座にその場を離れ、立ち去ったのを確認してからルノはリディアと向かい合う。彼女は尋問の際には何も話さなかったが、魔王軍は既に壊滅状態にあり、今回の件は彼女自身の能力に関する事なので話し合いに応じる様子だった。
「魔物使いがどうやって魔物と契約しているのかを知りたい」
「はあ?どういう意味よ?なんであんたがそんな事を……」
「色々と調べたいことがあってね……専門家から直接聞きたい」
「……条件があるわ。私を殺さないと約束して」
「別にいいよ。なんなら他の皆にはあんたがここで生活している事は黙っている」
ルノの言葉にリディアは考え込み、結局は抵抗は無意味と判断したのか彼女は深い溜息を吐いて頷く。
「いいわ。それで、魔物使いがどうやって魔獣を従えているのかを知りたいのね?」
「そう。俺も魔獣は飼っているけど、魔物使いの場合は魔獣を従えさせる方法は違うんでしょ?」
「当然よ」
リディアによると魔物使いが魔獣を従えさせるのは魔物を飼育して調教するわけではなく、人間と魔獣の間に特別な繋がりを築く事が重要だと説明する。
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