最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

帝都防衛編

閑話 〈もう一人の勇者の行方〉

――ルノと魔王が交戦を始めた頃、一人の少年が帝都に訪れていた。彼の名前は「ナオ」エルフ王国に召喚された「勇者」である。日の国で行動していた時と違い、今回は護衛も付けずに単独で行動していた。


「へえ……ここがルノ君の屋敷か。大きいな……」


ナオはルノが住んでいる屋敷の前に辿り着き、今回彼が訪れたのは「従弟」であるルノに会うためである。偶然にもルノとナオは従弟同士であり、お互いにこの世界に召喚された事は知っているが、立場的に今まで存在を知りながらも会う事は出来なかった。

しかし、現在のナオはエルフ王国の護衛を巻いてこの国に訪れており、帝国に迫ろうとしている危機をルノに教えるために訪れた。ナオの力だけではどうしようもできず、従弟であるルノに助力を求めるために彼は危険を犯してルノが住んでいる屋敷に辿り着く。


「ルノ君がいるといいけど……ん？なんだ……扉が開いてる？」


鉄柵越しに屋敷の扉が開かれている事に気付き、ナオは疑問を抱きながらも屋敷の中に忍び込むために「跳躍」のスキルを発動させて鉄柵を飛び越える。高度が１０メートルを超える鉄柵を軽々と飛び越え、屋敷の敷地内に入り込む。


「何だろう……雰囲気がおかしい」


開け放たれた扉から屋敷の様子を除くと、まるで泥棒が入ったかのよに荒らされている事に気付き、ナオは驚く。この場所で何が起きたのかは彼は知らず、中に入って様子を調べる。


「まさか、もうあいつらがここに来たのか！？ルノ君が危ない！！」


ナオは拳を握りしめ、エルフ王国に現れた「敵」の事を思い浮かべる。日の国からナオが帰還した後、彼が留守の間に恐るべき能力を身に付けた存在が現れ、ナオは逃げ延びる事は出来たが王国の森人族達は捕まってしまう。


「不味い！！ルノ君を探さないと……」


ルノの安否を確かめるために屋敷の中を移動し、彼の姿を必死に探す。しかし、屋敷中を探し回ってもルノの姿は見当たらず、ナオは不安を抱く。


「まさか、もう捕まったのか？いや、王国の人と一緒に居るかも知れない。すぐに知らせないと……」


屋敷の中にルノの姿が見当たらず、ナオは拳を壁に叩きつける。しかし、冷静に考えて王国の人間と知り合いがいないナオが王城に出向いても兵士の門前払いされる可能性が高く、しかもエルフ王国が勇者召喚を行ったのは機密事項のため、この国の人間が彼が異世界から召喚された勇者とは信じてくれる可能性も低い。


「くそ、落ち着け……まだルノ君が捕まったとは限らない。冷静になれ……城に忍び込む？いや、幾らなんでも危険すぎる。侵入者と間違えられたら……」


どうやって王国の人間に危機を伝えるべきかナオは考えていると、不意に彼は屋敷の窓から何者かが敷地内に入る光景を確認した。


『ルノさ～ん！！いますか～？』
「あれは……確かルノ君と一緒にいた……」


窓の外から屋敷に入り込んだ人物に視線を向け、ナオは日の国でルノと行動を共にしていた女性だと気付く――





※アイリス「本編は更新しないといいましたが、閑話は投稿しないとは言ってませんよね？」( ｀ー´)ノ公開ボタン
　カタナヅキ「き、貴様ぁああっ！！」( ﾟДﾟ)それを寄越せ！！