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帝都防衛編
職業切り替え
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「さてと……そこの君達も逃げないでね」
「ひっ!?」
「き、気付かれたよお姉ちゃん……」
戦闘の最中に忍び足で離れようとしていた双子に対してルノは注意すると、彼は倒れているカイに近づく。両腕を確認すると、腕の部分に「黒蛇」を想像させる紋様が刻まれており、禍々しい魔力を滲みだしていた。
「黒影とか言っていたけど……ヒカゲさんと何か関係があるのかな?後で聞いてみよう」
腕の部分以外は触れても問題はないらしく、ルノはカイの身体を持ち上げようとするが、予想よりも重くて彼の身体を落としてしまう。レベル1に低下した事で身体能力も低下しており、このままでは運び込む事が出来ない。
「参ったな……これだと変える事も出来ないよ」
魔法の効果も低下している事は間違いなく、氷塊の魔法の類で乗り物を作り出して移動するにも時間が掛かるだろう。そう考えたルノはステータス画面を開き、どうにか出来ないのか探していると、新しい項目が追加されている事に気付く
―――――――――――――
職業:治癒魔術師
予備職:初級魔術師
状態:普通
SP:100
レベル:1 (99)
―――――――――――――
「何だ……予備職?あ、もしかしてリーリスが言っていた二重職になったのかな?でも、なんだろうレベルの隣に存在する「(99)」のって……」
ステータス画面に追加されていた「予備職」とレベルの項目に「(99)」が追加されており、考えられるとしたら予備職は名前の通りに覚えている他の職業を示し、レベルに関しては予備職のレベルを現しているのかも知れない。
「でも、何でSPが100なんだろう?SPだけは引き継がれたとしても100にはならないはずなのに……ボーナスでも入ったのかな?」
SPに関してはいくつかスキルを覚えていた時に消費したにも関わらず、何故か数値は100に変化していた。考えられるとしたらレベルを限界値まで上昇させたことで大幅にSPを獲得した可能性が高く、ルノは画面の職業の項目に視線を向ける。
「どうにかこれを初級魔術師に戻せないかな……押せば変わるとか?」
「……あの人、何をやってるんだろう」
「さあ……どっちにしろ、緊張感がなくなったわね」
ルノの行動に双子は訝し気な表情を浮かべ、今の彼からは先程までの威圧感を感じられず、双子は戸惑う。一方でルノは予備職である初級魔術師の職業に戻れないのかを試すが、職業の項目に指を触れると文章が表示された。
『別の職業に変更しますか?』
「お、やった。戻れるのかな?」
『SPを5消費しますが、よろしいですか?』
「ええっ……ただじゃないのか。まあ、別にいいか」
職業を切り替えるだけでもSPを消費するらしく、少々勿体ない気はしたがルノはSPを消費して元の職業へと切り替えた。特に肉体に変化はないが、試しにルノはカイの身体を持ち上げると、今度は片腕だけで身体を担ぎ上げる事に成功する。
「やった。元に戻った!!じゃあ、君たちも一緒に来てもらうよ」
「ううっ……分かったわよ」
「は、はい……」
カイを担ぎ上げながらルノは双子に近づくと、どちらも観念したように抵抗を放棄し、彼の元に近づこうとした時、唐突に周囲から突風が発生した。
「きゃあっ!?」
「わあっ!?」
「何だっ!?」
ルノ達を中心に渦を描くように強風が発生し、3人は身体を吹き飛ばされないように地面に伏せる。何が起きているのかは不明だが、更に周囲から霧が誕生する。霧がルノ達の周囲を取り囲み、視界を奪う。1メートル先も見えない程の濃霧にルノは戸惑いながらも掌を伸ばす。
「いやぁっ!!」
「や、止めて!!」
「えっ?」
だが、彼が魔法を使う前に双子の悲鳴が響き渡り、慌てて二人が存在した位置に顔を向けるが、霧で覆われているため何も見えない。
「もう用無しなんですよ……貴方達は」
「誰だ!!」
霧の中から男性の声が聞こえ、ルノは咄嗟に掌を振り払い、風圧の魔法で周囲の霧を吹き飛ばす。そして地面に倒れている双子に気付き、目を見開く。
「ううっ……おねえ、ちゃん……」
「あ、がぁっ……!!」
「そんなっ!!」
倒れているエルミナの頭部に短剣が突き刺さり、アリシアは胸元に短剣が突き刺さっていた。慌ててルノはカイを放り捨てて二人の元に駆け付け、治療を施そうとするが既にどちらも致命傷だった。
「痛い……痛いよぉっ……!!」
「何でこんな……くそっ!!」
『回復魔法は現在の状態では使用できません』
ルノは先ほど自分の肉体を治療した時のように回復魔法を施そうとしたが、現在の職業では使用できないという文章が表示され、拳を地面に殴りつける。だが、今から職業を変更して治療する時間もなく、ルノに抱えられたアリシアは先に逝った姉の身体に手を伸ばして呟く。
「おねえ、ちゃ……」
「そんなっ……」
自分の胸元で最後まで姉の安否を気遣いながら息絶えたアリシアに対し、ルノは歯を食いしばりながら彼女の身体をエルミナの傍に横たわらせた。
「ひっ!?」
「き、気付かれたよお姉ちゃん……」
戦闘の最中に忍び足で離れようとしていた双子に対してルノは注意すると、彼は倒れているカイに近づく。両腕を確認すると、腕の部分に「黒蛇」を想像させる紋様が刻まれており、禍々しい魔力を滲みだしていた。
「黒影とか言っていたけど……ヒカゲさんと何か関係があるのかな?後で聞いてみよう」
腕の部分以外は触れても問題はないらしく、ルノはカイの身体を持ち上げようとするが、予想よりも重くて彼の身体を落としてしまう。レベル1に低下した事で身体能力も低下しており、このままでは運び込む事が出来ない。
「参ったな……これだと変える事も出来ないよ」
魔法の効果も低下している事は間違いなく、氷塊の魔法の類で乗り物を作り出して移動するにも時間が掛かるだろう。そう考えたルノはステータス画面を開き、どうにか出来ないのか探していると、新しい項目が追加されている事に気付く
―――――――――――――
職業:治癒魔術師
予備職:初級魔術師
状態:普通
SP:100
レベル:1 (99)
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「何だ……予備職?あ、もしかしてリーリスが言っていた二重職になったのかな?でも、なんだろうレベルの隣に存在する「(99)」のって……」
ステータス画面に追加されていた「予備職」とレベルの項目に「(99)」が追加されており、考えられるとしたら予備職は名前の通りに覚えている他の職業を示し、レベルに関しては予備職のレベルを現しているのかも知れない。
「でも、何でSPが100なんだろう?SPだけは引き継がれたとしても100にはならないはずなのに……ボーナスでも入ったのかな?」
SPに関してはいくつかスキルを覚えていた時に消費したにも関わらず、何故か数値は100に変化していた。考えられるとしたらレベルを限界値まで上昇させたことで大幅にSPを獲得した可能性が高く、ルノは画面の職業の項目に視線を向ける。
「どうにかこれを初級魔術師に戻せないかな……押せば変わるとか?」
「……あの人、何をやってるんだろう」
「さあ……どっちにしろ、緊張感がなくなったわね」
ルノの行動に双子は訝し気な表情を浮かべ、今の彼からは先程までの威圧感を感じられず、双子は戸惑う。一方でルノは予備職である初級魔術師の職業に戻れないのかを試すが、職業の項目に指を触れると文章が表示された。
『別の職業に変更しますか?』
「お、やった。戻れるのかな?」
『SPを5消費しますが、よろしいですか?』
「ええっ……ただじゃないのか。まあ、別にいいか」
職業を切り替えるだけでもSPを消費するらしく、少々勿体ない気はしたがルノはSPを消費して元の職業へと切り替えた。特に肉体に変化はないが、試しにルノはカイの身体を持ち上げると、今度は片腕だけで身体を担ぎ上げる事に成功する。
「やった。元に戻った!!じゃあ、君たちも一緒に来てもらうよ」
「ううっ……分かったわよ」
「は、はい……」
カイを担ぎ上げながらルノは双子に近づくと、どちらも観念したように抵抗を放棄し、彼の元に近づこうとした時、唐突に周囲から突風が発生した。
「きゃあっ!?」
「わあっ!?」
「何だっ!?」
ルノ達を中心に渦を描くように強風が発生し、3人は身体を吹き飛ばされないように地面に伏せる。何が起きているのかは不明だが、更に周囲から霧が誕生する。霧がルノ達の周囲を取り囲み、視界を奪う。1メートル先も見えない程の濃霧にルノは戸惑いながらも掌を伸ばす。
「いやぁっ!!」
「や、止めて!!」
「えっ?」
だが、彼が魔法を使う前に双子の悲鳴が響き渡り、慌てて二人が存在した位置に顔を向けるが、霧で覆われているため何も見えない。
「もう用無しなんですよ……貴方達は」
「誰だ!!」
霧の中から男性の声が聞こえ、ルノは咄嗟に掌を振り払い、風圧の魔法で周囲の霧を吹き飛ばす。そして地面に倒れている双子に気付き、目を見開く。
「ううっ……おねえ、ちゃん……」
「あ、がぁっ……!!」
「そんなっ!!」
倒れているエルミナの頭部に短剣が突き刺さり、アリシアは胸元に短剣が突き刺さっていた。慌ててルノはカイを放り捨てて二人の元に駆け付け、治療を施そうとするが既にどちらも致命傷だった。
「痛い……痛いよぉっ……!!」
「何でこんな……くそっ!!」
『回復魔法は現在の状態では使用できません』
ルノは先ほど自分の肉体を治療した時のように回復魔法を施そうとしたが、現在の職業では使用できないという文章が表示され、拳を地面に殴りつける。だが、今から職業を変更して治療する時間もなく、ルノに抱えられたアリシアは先に逝った姉の身体に手を伸ばして呟く。
「おねえ、ちゃ……」
「そんなっ……」
自分の胸元で最後まで姉の安否を気遣いながら息絶えたアリシアに対し、ルノは歯を食いしばりながら彼女の身体をエルミナの傍に横たわらせた。
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