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帝都防衛編
状態回復
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ステータス画面の「職業」の項目にルノの指が触れた瞬間、彼の視界に画面が表示された。
『職業を初級魔術師から治癒魔導士に変更します。よろしいですか?この動作を行った場合、初級魔術師は予備職として追加されます』
「予備職……?」
表示された文章の画面にルノは戸惑うが、今は悩んでいる暇はなく、ルノは職業を変更させた。その瞬間、彼の魔法の項目に変化が生じ、使用可能な魔法の項目に新しい文字が表示される。
『治療――怪我を治療する。効果はレベルに依存する レベル:1』
『状態回復――毒・病気・呪詛を治療する レベル:1』
「えっ……レベル1?」
職業を変更した瞬間に覚えた魔法は熟練度の項目が存在せず、代わりにレベルという項目が追加されていた。しかし、何故か画面上に表示されているレベルの数字が「1」となっており、ステータス画面のレベルを確認すると先ほどまで間違いなく「99」だったレベルが「1」に変化していた。
「ちょっ……職業を変更するとレベルがリセットされるの!?聞いてないよそんなの……あれ?」
「な、何っ……!?」
驚きのあまりにルノは身体を起き上げて叫び声を上げてしまうが、どういう事なのか肉体の痛みが弱まっている事に気付き、試しに胸元を除いてみると先程まで腹部にまで迫っていた皮膚の黒色化が完全に止まっている事に気付く。
「……まだ少し痛いけど、普通に動ける。何でだ?」
「き、貴様……一体何をしたっ!?」
「何をって……あっ」
不思議に思ったルノは画面に視線を向けると、職業を変更した影響なのか何時の間にか新しい技能スキルが追加されていた。
『毒耐性――あらゆる毒に対して耐性を得る』
『呪詛耐性――呪詛・怨念に対して耐性を得る』
前者はガインも習得していたスキルだが、後者は初めて見るスキルであり、間違いなくルノが身に付けた覚えはないスキルである。考えられるとしたら治癒魔導士の職業になった人間が初期から覚えているスキルだと考えられ、肉体の激痛が軽減したのは呪詛耐性のスキルによって呪いに強い耐性を得られたからだと考えられる。
「でも、レベルまで1になるなんて……あ、だけど強化スキルは使えるのか」
職業が変更しても魔法の類に関しては問題なく扱え、強化スキルも健在だった。そもそも初級魔法は元々は誰にでも扱える魔法のため、職業を変更させた所で扱えなくなるわけではなく、ルノは早速新しく覚えた回復魔法を試す。
「あ、そういえばこの世界では自分の魔法は自分には通用しないんだっけ?回復魔法の場合などうなるのかな……状態回復!!」
「何だと!?」
「えっ!?あの光って……」
「回復魔法!?」
初級魔法や砲撃魔法の場合は自分自身の肉体を傷つける事は出来ないが、回復魔法の場合は別なのかルノは自分の肉体に魔法を施すと、身体が光り輝き、肉体を侵していた黒色化していた皮膚が徐々に縮小化していく。レベル1にも状態にも関わらず、魔法の効果が高いのはルノが所有している「浄化」の強化スキルのお陰である。
「お、回復魔法なら自分にも適用するのか……良かった」
「そ、そんな……どうして初級魔術師の貴様が回復魔法を扱える!?」
「そういわれましても……」
――通常、こちらの世界の魔法は使用者に影響を及ぼす事はない。しかし、聖属性の一部の魔法に関しては別であり、肉体を強化させる、あるいは回復効果を促す魔法に関しては例外である。正確には魔法を使用するというよりは自らの生命力(魔力)を強める事で肉体機能を強化、あるいは回復させているだけにしか過ぎず、今現在のルノの肉体も魔法による治療というよりは「自己再生」に近い。
やがてルノの肉体を侵していた呪詛は完全に除去されたのか、黒色化した皮膚が元に戻る。しかし、予想以上に魔力を消耗したのかルノは頭を抑え、膝を付く。
「あれ……回復魔法ってこんなに魔力を使うの?いや、もしかして……」
ルノはステータス画面をもう一度見直し、レベルの項目に視線を向ける。職業を変更した事でレベルが低下しており、現在のルノはこの世界に召喚されたばかりの状態に戻っているのだ。違いがあるとすればスキルの類は健在であり、初級魔法の熟練度も変化はない。
(不味いな……このレベルだとゴブリンにも手こずりそうだ。この3人に気付かれないようにしないと)
レベルが低下した事をカイ達に気付かれないように気を付ける必要があり、ルノはまずは身体の半分が凍り付いているカイに視線を向ける。この状況で危険なのは彼一人であり、ルノは掌を構える。
「上手く行くと良いけど……白雷!!」
「ぐあっ!?」
ルノの両手から白色の電撃が放たれ、今までと比べると格段と威力と規模は落ちるが、それでもカイの肉体に衝突させて感電させる。レベル1の魔法と言えど、熟練度自体は限界値のままであるため、傷ついた相手を気絶させるには十分な効果を発揮した。
※本編で補足できるか分からないので説明しますが、治癒魔導士の回復魔法は自分自身に使用した場合でも効果はあります。しかし、他人に扱うよりも効果は低く、魔力消耗も激しいです。
『職業を初級魔術師から治癒魔導士に変更します。よろしいですか?この動作を行った場合、初級魔術師は予備職として追加されます』
「予備職……?」
表示された文章の画面にルノは戸惑うが、今は悩んでいる暇はなく、ルノは職業を変更させた。その瞬間、彼の魔法の項目に変化が生じ、使用可能な魔法の項目に新しい文字が表示される。
『治療――怪我を治療する。効果はレベルに依存する レベル:1』
『状態回復――毒・病気・呪詛を治療する レベル:1』
「えっ……レベル1?」
職業を変更した瞬間に覚えた魔法は熟練度の項目が存在せず、代わりにレベルという項目が追加されていた。しかし、何故か画面上に表示されているレベルの数字が「1」となっており、ステータス画面のレベルを確認すると先ほどまで間違いなく「99」だったレベルが「1」に変化していた。
「ちょっ……職業を変更するとレベルがリセットされるの!?聞いてないよそんなの……あれ?」
「な、何っ……!?」
驚きのあまりにルノは身体を起き上げて叫び声を上げてしまうが、どういう事なのか肉体の痛みが弱まっている事に気付き、試しに胸元を除いてみると先程まで腹部にまで迫っていた皮膚の黒色化が完全に止まっている事に気付く。
「……まだ少し痛いけど、普通に動ける。何でだ?」
「き、貴様……一体何をしたっ!?」
「何をって……あっ」
不思議に思ったルノは画面に視線を向けると、職業を変更した影響なのか何時の間にか新しい技能スキルが追加されていた。
『毒耐性――あらゆる毒に対して耐性を得る』
『呪詛耐性――呪詛・怨念に対して耐性を得る』
前者はガインも習得していたスキルだが、後者は初めて見るスキルであり、間違いなくルノが身に付けた覚えはないスキルである。考えられるとしたら治癒魔導士の職業になった人間が初期から覚えているスキルだと考えられ、肉体の激痛が軽減したのは呪詛耐性のスキルによって呪いに強い耐性を得られたからだと考えられる。
「でも、レベルまで1になるなんて……あ、だけど強化スキルは使えるのか」
職業が変更しても魔法の類に関しては問題なく扱え、強化スキルも健在だった。そもそも初級魔法は元々は誰にでも扱える魔法のため、職業を変更させた所で扱えなくなるわけではなく、ルノは早速新しく覚えた回復魔法を試す。
「あ、そういえばこの世界では自分の魔法は自分には通用しないんだっけ?回復魔法の場合などうなるのかな……状態回復!!」
「何だと!?」
「えっ!?あの光って……」
「回復魔法!?」
初級魔法や砲撃魔法の場合は自分自身の肉体を傷つける事は出来ないが、回復魔法の場合は別なのかルノは自分の肉体に魔法を施すと、身体が光り輝き、肉体を侵していた黒色化していた皮膚が徐々に縮小化していく。レベル1にも状態にも関わらず、魔法の効果が高いのはルノが所有している「浄化」の強化スキルのお陰である。
「お、回復魔法なら自分にも適用するのか……良かった」
「そ、そんな……どうして初級魔術師の貴様が回復魔法を扱える!?」
「そういわれましても……」
――通常、こちらの世界の魔法は使用者に影響を及ぼす事はない。しかし、聖属性の一部の魔法に関しては別であり、肉体を強化させる、あるいは回復効果を促す魔法に関しては例外である。正確には魔法を使用するというよりは自らの生命力(魔力)を強める事で肉体機能を強化、あるいは回復させているだけにしか過ぎず、今現在のルノの肉体も魔法による治療というよりは「自己再生」に近い。
やがてルノの肉体を侵していた呪詛は完全に除去されたのか、黒色化した皮膚が元に戻る。しかし、予想以上に魔力を消耗したのかルノは頭を抑え、膝を付く。
「あれ……回復魔法ってこんなに魔力を使うの?いや、もしかして……」
ルノはステータス画面をもう一度見直し、レベルの項目に視線を向ける。職業を変更した事でレベルが低下しており、現在のルノはこの世界に召喚されたばかりの状態に戻っているのだ。違いがあるとすればスキルの類は健在であり、初級魔法の熟練度も変化はない。
(不味いな……このレベルだとゴブリンにも手こずりそうだ。この3人に気付かれないようにしないと)
レベルが低下した事をカイ達に気付かれないように気を付ける必要があり、ルノはまずは身体の半分が凍り付いているカイに視線を向ける。この状況で危険なのは彼一人であり、ルノは掌を構える。
「上手く行くと良いけど……白雷!!」
「ぐあっ!?」
ルノの両手から白色の電撃が放たれ、今までと比べると格段と威力と規模は落ちるが、それでもカイの肉体に衝突させて感電させる。レベル1の魔法と言えど、熟練度自体は限界値のままであるため、傷ついた相手を気絶させるには十分な効果を発揮した。
※本編で補足できるか分からないので説明しますが、治癒魔導士の回復魔法は自分自身に使用した場合でも効果はあります。しかし、他人に扱うよりも効果は低く、魔力消耗も激しいです。
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