178 / 657
帝都防衛編
帝都での出来事
しおりを挟む
――アイラの話によると討伐軍が出発してから間もなく城下町にて複数の場所に火災が起きたという。帝国は事前に城下町の警備兵の数を増加させて街中を巡回させていた事が幸いし、即座に対応する。しかし、街に配備されていた兵士達が火事に対応している間、帝都の南側で魔王軍の幹部が現れたという。
『我が名はアリシア!!帝国を滅びに導く者!!』
『我が名はエルミナ!!帝国を破滅に陥れる者!!』
南門に現れたのは双子と思われる金髪銀髪の少女であり、どちらも幼いが見目麗しい外見の少女だったという。双子は南門にて民衆を前に叫び声を上げると、杖を取り出して魔法を発動させる。
『喰らえっ!!これが魔王様の怒りだ!!』
『転移!!』
双子が杖を天空に翳した瞬間、魔法陣が空中に展開し、隕石を想像させる巨大な岩石の塊を生み出したという。魔法陣から出現した岩石は地上の建物に向けて落下し、街道に存在した人々は逃げ惑う。
『さあっ!!これが魔王軍の力……』
『サンダーボルト!!』
しかし、空中から解き放たれた岩石は地面に落ちる寸前に地上に存在した人間の一人が生み出した雷撃によって砕け散り、破片と化して周囲に散らばったという。その際、双子の攻撃を邪魔したのは偶然にも居合わせたS級冒険者のドリスだった。
『呼ばれて来たから何事かと思えば……まさかこのような場所で魔王軍と遭遇するとは思いませんでしたわ!!』
『だ、誰!?』
『私達の邪魔をするなっ!!』
『そういう訳には参りませんわ!!貴方達のような悪党は冒険者としては見過ごせませんわ!!』
ルノとの戦闘でより一層に腕を磨いたドリスは雷属性の砲撃魔法で岩石を吹き飛ばし、双子と向かい合う。まさか自分達を邪魔する存在がここまで早く現れる事を予期していなかったのか、双子は激しく動揺する。
『くっ……こ、こんな人が居るなんて聞いてないよお姉ちゃん』
『こら!!仕事中は姉上と言いなさい!!大丈夫よ……私と貴方なら誰にも負けないわ』
『何を話しているんですの?来ないならこっちから行きますわよ!!』
ドリスと向かい合った双子は最初の時とは態度を一変させ、年齢相応の幼さを感じさせる口調になったが、ドリスは容赦なく攻撃を仕掛けた。
『トリプル・マジック……サンダーランス!!』
『連続魔法!?』
『不味い……逃げなきゃっ!!』
魔術師の中でもレベルが50を超えなければ習得できない「連続魔法」の技能スキルを発動させ、ドリスは一度に3つの砲撃魔法を放つ。それを目撃した双子は慌てて杖を構えて自分達の目の前に魔法陣を作り出す。
『止めてっ!!』
『なっ!?』
ドリスの生み出した3つの電撃は魔法陣に飲み込まれて消えてしまい、それを確認した双子の片割れが杖を振り翳す。
『お返しよっ!!自分の魔法でも受けてなさい!!』
『きゃあっ!?』
双子の姉の方であるエルミナが杖を翳した瞬間、杖先から新しい魔法陣が誕生し、先ほど吸収したドリスの砲撃魔法を生み出す。ドリスは返された自分の砲撃魔法を受けて倒れこみ、電撃によって発火した衣服を慌てて両手で振り払う。
『熱いっ!?誰か、水を……』
『ほりゃっ!!』
この世界の法則として使用者が生み出した魔法は使用者自身の肉体は傷つける事はないが、身体に纏わりついている衣服に関しては別であり、ドリスの服は感電して燃えてしまう。ドリスは必死に炎を振り払おうとすると、小髭族の一人が桶に入った水を彼女の身体に浴びせた。
『ぶはっ……!?た、助かりましたわ……」
『大丈夫か嬢ちゃん?』
『ええ、どうにか……あれ?貴方はもしかして……』
『おお、誰かと思えばドリスの嬢ちゃんじゃねえかっ!!』
偶然にもドリスを救い出したのは彼女と同じくS級冒険者であるガジであり、彼も偶然にも帝都に訪れていたらしく、広場の騒ぎを聞きつけて駆けつけてきたらしい。二人は面識があったらしく、再会を喜ぶ。
『お久しぶりですわね!!貴方から受け取ったこの間の水属性の魔石は非常に良質で役立っていますわ』
『おおっ、そいつは良かった。あの魔石を手に入れるのは苦労したからな……』
『ちょっと、こっちを無視して何を話し込んでいるのよ!!』
『お、お姉ちゃん……もう逃げようよ』
自分達を無視して会話を行うドリスとガジにエルミナは怒鳴りつけるが、アリシアは不安そうな表情を浮かべて姉の服を引っ張り、逃走を促す。しかし、そんな彼女の背後から1人の男性が近づき、刀を構える。
『そこまでだ』
『ひっ!?』
『アリシア!?このっ……きゃあっ!?』
『……童と言えど、暴れるなら容赦はせんぞ』
『おお、ガインの旦那じゃねえか!?』
双子の背後からドリスとガジと同じくS級冒険者である侍のガインが現れ、双子の首筋に日本刀の刃を構える。彼の姿を見てガジは嬉しそうな声を上げ、ドリスは初めて出会うが名前だけは前々から聞いていたガインを目にして驚く。
『我が名はアリシア!!帝国を滅びに導く者!!』
『我が名はエルミナ!!帝国を破滅に陥れる者!!』
南門に現れたのは双子と思われる金髪銀髪の少女であり、どちらも幼いが見目麗しい外見の少女だったという。双子は南門にて民衆を前に叫び声を上げると、杖を取り出して魔法を発動させる。
『喰らえっ!!これが魔王様の怒りだ!!』
『転移!!』
双子が杖を天空に翳した瞬間、魔法陣が空中に展開し、隕石を想像させる巨大な岩石の塊を生み出したという。魔法陣から出現した岩石は地上の建物に向けて落下し、街道に存在した人々は逃げ惑う。
『さあっ!!これが魔王軍の力……』
『サンダーボルト!!』
しかし、空中から解き放たれた岩石は地面に落ちる寸前に地上に存在した人間の一人が生み出した雷撃によって砕け散り、破片と化して周囲に散らばったという。その際、双子の攻撃を邪魔したのは偶然にも居合わせたS級冒険者のドリスだった。
『呼ばれて来たから何事かと思えば……まさかこのような場所で魔王軍と遭遇するとは思いませんでしたわ!!』
『だ、誰!?』
『私達の邪魔をするなっ!!』
『そういう訳には参りませんわ!!貴方達のような悪党は冒険者としては見過ごせませんわ!!』
ルノとの戦闘でより一層に腕を磨いたドリスは雷属性の砲撃魔法で岩石を吹き飛ばし、双子と向かい合う。まさか自分達を邪魔する存在がここまで早く現れる事を予期していなかったのか、双子は激しく動揺する。
『くっ……こ、こんな人が居るなんて聞いてないよお姉ちゃん』
『こら!!仕事中は姉上と言いなさい!!大丈夫よ……私と貴方なら誰にも負けないわ』
『何を話しているんですの?来ないならこっちから行きますわよ!!』
ドリスと向かい合った双子は最初の時とは態度を一変させ、年齢相応の幼さを感じさせる口調になったが、ドリスは容赦なく攻撃を仕掛けた。
『トリプル・マジック……サンダーランス!!』
『連続魔法!?』
『不味い……逃げなきゃっ!!』
魔術師の中でもレベルが50を超えなければ習得できない「連続魔法」の技能スキルを発動させ、ドリスは一度に3つの砲撃魔法を放つ。それを目撃した双子は慌てて杖を構えて自分達の目の前に魔法陣を作り出す。
『止めてっ!!』
『なっ!?』
ドリスの生み出した3つの電撃は魔法陣に飲み込まれて消えてしまい、それを確認した双子の片割れが杖を振り翳す。
『お返しよっ!!自分の魔法でも受けてなさい!!』
『きゃあっ!?』
双子の姉の方であるエルミナが杖を翳した瞬間、杖先から新しい魔法陣が誕生し、先ほど吸収したドリスの砲撃魔法を生み出す。ドリスは返された自分の砲撃魔法を受けて倒れこみ、電撃によって発火した衣服を慌てて両手で振り払う。
『熱いっ!?誰か、水を……』
『ほりゃっ!!』
この世界の法則として使用者が生み出した魔法は使用者自身の肉体は傷つける事はないが、身体に纏わりついている衣服に関しては別であり、ドリスの服は感電して燃えてしまう。ドリスは必死に炎を振り払おうとすると、小髭族の一人が桶に入った水を彼女の身体に浴びせた。
『ぶはっ……!?た、助かりましたわ……」
『大丈夫か嬢ちゃん?』
『ええ、どうにか……あれ?貴方はもしかして……』
『おお、誰かと思えばドリスの嬢ちゃんじゃねえかっ!!』
偶然にもドリスを救い出したのは彼女と同じくS級冒険者であるガジであり、彼も偶然にも帝都に訪れていたらしく、広場の騒ぎを聞きつけて駆けつけてきたらしい。二人は面識があったらしく、再会を喜ぶ。
『お久しぶりですわね!!貴方から受け取ったこの間の水属性の魔石は非常に良質で役立っていますわ』
『おおっ、そいつは良かった。あの魔石を手に入れるのは苦労したからな……』
『ちょっと、こっちを無視して何を話し込んでいるのよ!!』
『お、お姉ちゃん……もう逃げようよ』
自分達を無視して会話を行うドリスとガジにエルミナは怒鳴りつけるが、アリシアは不安そうな表情を浮かべて姉の服を引っ張り、逃走を促す。しかし、そんな彼女の背後から1人の男性が近づき、刀を構える。
『そこまでだ』
『ひっ!?』
『アリシア!?このっ……きゃあっ!?』
『……童と言えど、暴れるなら容赦はせんぞ』
『おお、ガインの旦那じゃねえか!?』
双子の背後からドリスとガジと同じくS級冒険者である侍のガインが現れ、双子の首筋に日本刀の刃を構える。彼の姿を見てガジは嬉しそうな声を上げ、ドリスは初めて出会うが名前だけは前々から聞いていたガインを目にして驚く。
1
お気に入りに追加
11,307
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活
昼寝部
ファンタジー
この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。
しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。
そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。
しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。
そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。
これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

俺しか使えない『アイテムボックス』がバグってる
十本スイ
ファンタジー
俗にいう神様転生とやらを経験することになった主人公――札月沖長。ただしよくあるような最強でチートな能力をもらい、異世界ではしゃぐつもりなど到底なかった沖長は、丈夫な身体と便利なアイテムボックスだけを望んだ。しかしこの二つ、神がどういう解釈をしていたのか、特にアイテムボックスについてはバグっているのではと思うほどの能力を有していた。これはこれで便利に使えばいいかと思っていたが、どうも自分だけが転生者ではなく、一緒に同世界へ転生した者たちがいるようで……。しかもそいつらは自分が主人公で、沖長をイレギュラーだの踏み台だなどと言ってくる。これは異世界ではなく現代ファンタジーの世界に転生することになった男が、その世界の真実を知りながらもマイペースに生きる物語である。
勇者一行から追放された二刀流使い~仲間から捜索願いを出されるが、もう遅い!~新たな仲間と共に魔王を討伐ス
R666
ファンタジー
アマチュアニートの【二龍隆史】こと36歳のおっさんは、ある日を境に実の両親達の手によって包丁で腹部を何度も刺されて地獄のような痛みを味わい死亡。
そして彼の魂はそのまま天界へ向かう筈であったが女神を自称する危ない女に呼び止められると、ギフトと呼ばれる最強の特典を一つだけ選んで、異世界で勇者達が魔王を討伐できるように手助けをして欲しいと頼み込まれた。
最初こそ余り乗り気ではない隆史ではあったが第二の人生を始めるのも悪くないとして、ギフトを一つ選び女神に言われた通りに勇者一行の手助けをするべく異世界へと乗り込む。
そして異世界にて真面目に勇者達の手助けをしていたらチキン野郎の役立たずという烙印を押されてしまい隆史は勇者一行から追放されてしまう。
※これは勇者一行から追放された最凶の二刀流使いの隆史が新たな仲間を自ら探して、自分達が新たな勇者一行となり魔王を討伐するまでの物語である※

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。