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帝都防衛編
魔王軍の真の狙い
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『おい!!何時までこの俺を無視して話している!!』
「あ、すいませんね。というか、まだ居たんですか」
『ふん!!その減らず口もここまでだ!!このまま飲み込んでくれる!!』
「ちょっと待って!!最後に聞きたいことがあるんだけど!!」
大口を開いて自分達を飲み込もうとした蛇竜に対し、ルノは戦闘に入る前に帝国の偵察隊の報告にあった岩人形と行動を共にしていたという人物が何処にいるのかを問う。
「ここに来るまで誰かと一緒に行動していたんじゃないの!?その人達は何処!?」
『虎丸という男の事を言っているのか?奴はもうここにはいないぞ。今頃は帝都に向かっているはずだ』
「えっ……!?」
「まさか……陽動!?私達をここに呼び寄せて帝都を直接狙うつもりですか!!」
「そ、そんなっ……!?」
帝都の戦力の大部分はこの場に集まっており、この間に魔王軍は帝都を襲うために誘導した可能性が高く、急いで戻らなければならない。しかし、蛇竜はルノ達を逃すはずがなく、大顎を開いて彼等を飲み込もうとする。
『これで終わりだ!!人間共めっ!!』
「うわっ!?」
「氷盾!!」
上下から鋭い牙が氷車に乗り込んだルノ達に接近するが、咄嗟にルノは雪の結晶の形をした盾を上下に作り出して牙を防ぐ。しかし、想像以上に圧力が氷の盾に押しかかり、鋭い牙が氷を貫く。
「嘘っ!?」
「くっ……!!」
『ガアアッ!!』
完全に盾が破壊される前にルノは氷車を後退させた瞬間、蛇竜は氷盾を噛み潰す。火竜や土竜のような竜種でさえも破壊は困難なルノの氷塊の魔法を蛇竜は容易く破壊し、再び口を開いてルノ達を飲み込もうとする。
『逃すかぁあああっ!!』
「不味い!?」
「目を瞑って下さい!!フラッシュ!!」
『ぬおっ!?』
接近してきた蛇竜に対して後部座席に乗り込んでいたドリアが身を乗り出し、杖の先端から閃光を放つ。両目を眩まされた蛇竜の動きが止まり、その間にルノは氷車を移動させた。
「今のうちに!!」
「流石は元帝国一の魔術師ですね!!」
「それは言わないで下さい……」
『くっ……甘いわっ!!』
蛇竜の目が眩んでいる内に逃げようとしたルノ達に対し、蛇竜は瞼を閉じながらも正確にルノ達を位置を把握しているかのように頭を振り落とす。
『そこかっ!!』
「うわっ!?」
「あ、危ない!?」
「あっ……そういえば蛇にはピット器官という赤外線を感知する能力があると聞いた事があります。だから目を塞いでも私達の位置が分かるのかも」
「そういう事は早く言ってくれない!?」
『逃さんぞっ!!』
蛇竜は執拗にルノ達に向けて首を伸ばし、洞窟内を突き進む。その移動速度は氷車の最高速度にも劣らず、ルノが運転に集中しなければ即座に口の中に飲み込まれるか巨体に押し潰されてしまう。
「ちょ、何してるんですか!!こういう時こそ砲撃魔法を使ってくださいよ!!」
「す、すいません……思っていたよりも魔力を消耗していたようで、もう1発撃てるかどうか……」
「しょうがないですね……それなら私のとっておきの出番ですね」
助手席に座っていたリーリスは前方から押し寄せる風圧に吹き飛ばされないように気を付けながらマジックガンを取り出し、弾丸を装填して蛇竜に発砲した。
「喰らえっ!!」
『ぬあっ!?な、何だっ!?』
彼女の発砲した冷気の弾丸は見事に蛇竜の巨大な鼻に的中し、氷結化させる。すると先ほどまで正確にルノ達の位置を把握して攻撃していた蛇竜の動作が鈍くなり、リーリスは握り拳を作る。
「よし!!ピット器官の位置は本物の蛇と同じ位置なんですね!!」
「どういう事?」
「蛇は視力が低い代わりにピット器官を利用して獲物を捕らえます。このピット器官の位置はだいたい鼻孔と目の間にあるそうですが、そこを塞いでしまうと蛇は獲物を見つける事が出来なくなるそうです」
「なるほど……そのピット器官を塞いだのか」
『おのれぇえええっ!!何処に消えたっ!?』
蛇竜は混乱したように忙しなく首を動かすが、目の前に存在するルノ達を捉えられないように攻撃を外してしまう。その様子を確認しながらルノは時間を稼ぐため、リーリスに声を掛ける。
「リーリス!!さっき、おやつように木の実を持ってきたと言っていたよね?」
「え?あ、はい。持ってますけど……」
「それを全部頂戴!!」
「いいですけど……あ、そういう事ですか」
「な、なにをする気ですか?」
ルノはリーリスから木の実を受け取り、二人の行動にドリアは戸惑うがルノは氷車に滞空させていた光球に視線を向け、木の実を空中に投げつける。即座にステータス画面を開き、強化スキルの「浄化」を発動させた。
「育て!!」
『うおおっ!?』
空中にばら撒かれた木の実が強化スキルによって銀色の光を放つ光球に晒された瞬間、木の実が芽吹いて巨大な蔓へと変化を果たし、バジリスクの身体に纏わりつく。まるで漁師の網漁のように纏わりついた植物の蔓が蛇竜の口元を塞ぎ、そのまま地面に倒れこむ。
「あ、すいませんね。というか、まだ居たんですか」
『ふん!!その減らず口もここまでだ!!このまま飲み込んでくれる!!』
「ちょっと待って!!最後に聞きたいことがあるんだけど!!」
大口を開いて自分達を飲み込もうとした蛇竜に対し、ルノは戦闘に入る前に帝国の偵察隊の報告にあった岩人形と行動を共にしていたという人物が何処にいるのかを問う。
「ここに来るまで誰かと一緒に行動していたんじゃないの!?その人達は何処!?」
『虎丸という男の事を言っているのか?奴はもうここにはいないぞ。今頃は帝都に向かっているはずだ』
「えっ……!?」
「まさか……陽動!?私達をここに呼び寄せて帝都を直接狙うつもりですか!!」
「そ、そんなっ……!?」
帝都の戦力の大部分はこの場に集まっており、この間に魔王軍は帝都を襲うために誘導した可能性が高く、急いで戻らなければならない。しかし、蛇竜はルノ達を逃すはずがなく、大顎を開いて彼等を飲み込もうとする。
『これで終わりだ!!人間共めっ!!』
「うわっ!?」
「氷盾!!」
上下から鋭い牙が氷車に乗り込んだルノ達に接近するが、咄嗟にルノは雪の結晶の形をした盾を上下に作り出して牙を防ぐ。しかし、想像以上に圧力が氷の盾に押しかかり、鋭い牙が氷を貫く。
「嘘っ!?」
「くっ……!!」
『ガアアッ!!』
完全に盾が破壊される前にルノは氷車を後退させた瞬間、蛇竜は氷盾を噛み潰す。火竜や土竜のような竜種でさえも破壊は困難なルノの氷塊の魔法を蛇竜は容易く破壊し、再び口を開いてルノ達を飲み込もうとする。
『逃すかぁあああっ!!』
「不味い!?」
「目を瞑って下さい!!フラッシュ!!」
『ぬおっ!?』
接近してきた蛇竜に対して後部座席に乗り込んでいたドリアが身を乗り出し、杖の先端から閃光を放つ。両目を眩まされた蛇竜の動きが止まり、その間にルノは氷車を移動させた。
「今のうちに!!」
「流石は元帝国一の魔術師ですね!!」
「それは言わないで下さい……」
『くっ……甘いわっ!!』
蛇竜の目が眩んでいる内に逃げようとしたルノ達に対し、蛇竜は瞼を閉じながらも正確にルノ達を位置を把握しているかのように頭を振り落とす。
『そこかっ!!』
「うわっ!?」
「あ、危ない!?」
「あっ……そういえば蛇にはピット器官という赤外線を感知する能力があると聞いた事があります。だから目を塞いでも私達の位置が分かるのかも」
「そういう事は早く言ってくれない!?」
『逃さんぞっ!!』
蛇竜は執拗にルノ達に向けて首を伸ばし、洞窟内を突き進む。その移動速度は氷車の最高速度にも劣らず、ルノが運転に集中しなければ即座に口の中に飲み込まれるか巨体に押し潰されてしまう。
「ちょ、何してるんですか!!こういう時こそ砲撃魔法を使ってくださいよ!!」
「す、すいません……思っていたよりも魔力を消耗していたようで、もう1発撃てるかどうか……」
「しょうがないですね……それなら私のとっておきの出番ですね」
助手席に座っていたリーリスは前方から押し寄せる風圧に吹き飛ばされないように気を付けながらマジックガンを取り出し、弾丸を装填して蛇竜に発砲した。
「喰らえっ!!」
『ぬあっ!?な、何だっ!?』
彼女の発砲した冷気の弾丸は見事に蛇竜の巨大な鼻に的中し、氷結化させる。すると先ほどまで正確にルノ達の位置を把握して攻撃していた蛇竜の動作が鈍くなり、リーリスは握り拳を作る。
「よし!!ピット器官の位置は本物の蛇と同じ位置なんですね!!」
「どういう事?」
「蛇は視力が低い代わりにピット器官を利用して獲物を捕らえます。このピット器官の位置はだいたい鼻孔と目の間にあるそうですが、そこを塞いでしまうと蛇は獲物を見つける事が出来なくなるそうです」
「なるほど……そのピット器官を塞いだのか」
『おのれぇえええっ!!何処に消えたっ!?』
蛇竜は混乱したように忙しなく首を動かすが、目の前に存在するルノ達を捉えられないように攻撃を外してしまう。その様子を確認しながらルノは時間を稼ぐため、リーリスに声を掛ける。
「リーリス!!さっき、おやつように木の実を持ってきたと言っていたよね?」
「え?あ、はい。持ってますけど……」
「それを全部頂戴!!」
「いいですけど……あ、そういう事ですか」
「な、なにをする気ですか?」
ルノはリーリスから木の実を受け取り、二人の行動にドリアは戸惑うがルノは氷車に滞空させていた光球に視線を向け、木の実を空中に投げつける。即座にステータス画面を開き、強化スキルの「浄化」を発動させた。
「育て!!」
『うおおっ!?』
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