最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

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帝都防衛編

閑話 〈唐突な最終決戦!!(本編とは繋がりません)〉

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「行くぞガイアぁあああっ!!」
「人間がぁあああっ!!」


崩壊を開始した王城の玉座の間に氷鎧を装備したルノが第二形態へと変身を果たしたガイアと衝突する。通常の第一形態は人間に近い姿をしていたガイアだったが、第二形態は肉食恐竜のように変化を果たし、氷鎧を身に付けたルノに噛みつく。


「がああっ!!」
「くっ……!!」
「そ、そんな!!ルノさんが押されているなんて……」
「ここに来る途中に10匹の竜種を倒すのに魔力を使い果たしているんです!!」
「くっ……こんな時に儂等は見ている事しか出来ないのか!!」


既にルノは王城に辿り着いた時には疲労困憊の状態に陥っており、変身したガイアに追い詰められる。その様子を負傷した四天王とバルトスが悲鳴を上げるが、ルノは最後の力を振り絞ってガイアの顎を掴む。


「うおおおおっ!!」
「あがぁっ……!?」
「その調子ですよ!!そのまま引き千切って下さい!!」
「正義の味方の台詞じゃねえな……」


ルノが氷鎧を操作してガイアの顎を引き裂く勢いで広げるが、口を抑えられながらもガイアは目元を光らせ、体内から火炎を放つ。


「アガァアアアアアッ!!」
「うわぁっ!?」
「ルノさん!?」
「駄目だ、行くなっ!!」
「そ、そんな……!!」


ガイアの口元から火炎が解き放たれ、ルノの身体を飲み込む。その光景にリーリスが駆け寄ろうとしたが、咄嗟にダンテが抑えつける。ガイアは彼の身体を焼き尽くす勢いで炎を吐き続けるが、火炎の中から腕が伸びてガイアの顎を掴む。


「まだだぁっ!!」
「ウガァッ!?」


氷鎧を溶かされ、炎に包まれながらもルノは腕を伸ばしてガイアの口内を塞ぎ、そのまま彼は魔法を放つ。


「黒炎槍!!」
「アギャアアアアアアアアアアアアアッ!?」


口内から黒炎の槍を飲み込まされたガイアは断末魔の悲鳴を上げ、そのまま風船のように身体を破裂して絶命した。その様子を確認したルノは笑みを浮かべ、全身に火傷を負った状態で倒れこむ。


「ルノさん!!ちょ、離せこらっ!!」
「ぐおっ!?」
「ダンテ!?」


リーリスは自分を抑えつけるダンテの股間を蹴り上げ、彼を振り払ってルノの元に駆け寄り、全員が彼に回復魔法を施すのかと思ったが、リーリスは背中のカバンから小瓶を取り出す。


「はい、これを飲んでください。ほら、ゆっくり咳き込まないように気を付けて~」
「ううっ……あ、治った」
『ええっ!?』


エルフ王国に立ち寄った際、ルノとリーリスは精霊薬の製造法の秘密を暴き、大量の精霊薬を作り出す。回復薬の中でも最高峰の薬を飲んだ事でルノは体力と魔力と怪我を完全回復して起き上がる。


「いや、流石に死ぬかと思ったよ。戦う前に精霊薬を飲んでたらよかったね」
「もう、ルノさんってばドジなんですから~」
「ええっ……」
「何だそりゃっ!!」
「うおおおっ……(股間を抑えて悶絶)」


あっさりと復活したルノに全員がツッコミを入れる中、ダンテだけは苦しみ悶えながら股間を抑えていた――




――こうして数多くの犠牲を生み出しながらも最後の魔王軍を打ち倒したルノは世界の英雄となり、末永くこちらの世界で平和な余生を過ごした――はずもなく、彼が生きている間は様々な問題事に巻き込まれた。



※エイプリール用のネタだったのですが、予想よりも短かったので投稿しました(;´・ω・)
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