最弱職の初級魔術師 初級魔法を極めたらいつの間にか「千の魔術師」と呼ばれていました。

カタナヅキ

文字の大きさ
上 下
167 / 657
帝都防衛編

閑話 〈唐突な最終決戦!!(本編とは繋がりません)〉

しおりを挟む
「行くぞガイアぁあああっ!!」
「人間がぁあああっ!!」


崩壊を開始した王城の玉座の間に氷鎧を装備したルノが第二形態へと変身を果たしたガイアと衝突する。通常の第一形態は人間に近い姿をしていたガイアだったが、第二形態は肉食恐竜のように変化を果たし、氷鎧を身に付けたルノに噛みつく。


「がああっ!!」
「くっ……!!」
「そ、そんな!!ルノさんが押されているなんて……」
「ここに来る途中に10匹の竜種を倒すのに魔力を使い果たしているんです!!」
「くっ……こんな時に儂等は見ている事しか出来ないのか!!」


既にルノは王城に辿り着いた時には疲労困憊の状態に陥っており、変身したガイアに追い詰められる。その様子を負傷した四天王とバルトスが悲鳴を上げるが、ルノは最後の力を振り絞ってガイアの顎を掴む。


「うおおおおっ!!」
「あがぁっ……!?」
「その調子ですよ!!そのまま引き千切って下さい!!」
「正義の味方の台詞じゃねえな……」


ルノが氷鎧を操作してガイアの顎を引き裂く勢いで広げるが、口を抑えられながらもガイアは目元を光らせ、体内から火炎を放つ。


「アガァアアアアアッ!!」
「うわぁっ!?」
「ルノさん!?」
「駄目だ、行くなっ!!」
「そ、そんな……!!」


ガイアの口元から火炎が解き放たれ、ルノの身体を飲み込む。その光景にリーリスが駆け寄ろうとしたが、咄嗟にダンテが抑えつける。ガイアは彼の身体を焼き尽くす勢いで炎を吐き続けるが、火炎の中から腕が伸びてガイアの顎を掴む。


「まだだぁっ!!」
「ウガァッ!?」


氷鎧を溶かされ、炎に包まれながらもルノは腕を伸ばしてガイアの口内を塞ぎ、そのまま彼は魔法を放つ。


「黒炎槍!!」
「アギャアアアアアアアアアアアアアッ!?」


口内から黒炎の槍を飲み込まされたガイアは断末魔の悲鳴を上げ、そのまま風船のように身体を破裂して絶命した。その様子を確認したルノは笑みを浮かべ、全身に火傷を負った状態で倒れこむ。


「ルノさん!!ちょ、離せこらっ!!」
「ぐおっ!?」
「ダンテ!?」


リーリスは自分を抑えつけるダンテの股間を蹴り上げ、彼を振り払ってルノの元に駆け寄り、全員が彼に回復魔法を施すのかと思ったが、リーリスは背中のカバンから小瓶を取り出す。


「はい、これを飲んでください。ほら、ゆっくり咳き込まないように気を付けて~」
「ううっ……あ、治った」
『ええっ!?』


エルフ王国に立ち寄った際、ルノとリーリスは精霊薬の製造法の秘密を暴き、大量の精霊薬を作り出す。回復薬の中でも最高峰の薬を飲んだ事でルノは体力と魔力と怪我を完全回復して起き上がる。


「いや、流石に死ぬかと思ったよ。戦う前に精霊薬を飲んでたらよかったね」
「もう、ルノさんってばドジなんですから~」
「ええっ……」
「何だそりゃっ!!」
「うおおおっ……(股間を抑えて悶絶)」


あっさりと復活したルノに全員がツッコミを入れる中、ダンテだけは苦しみ悶えながら股間を抑えていた――




――こうして数多くの犠牲を生み出しながらも最後の魔王軍を打ち倒したルノは世界の英雄となり、末永くこちらの世界で平和な余生を過ごした――はずもなく、彼が生きている間は様々な問題事に巻き込まれた。



※エイプリール用のネタだったのですが、予想よりも短かったので投稿しました(;´・ω・)
しおりを挟む
感想 1,841

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です

葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。 王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。 孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。 王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。 働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。 何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。 隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。 そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。 ※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。 ※小説家になろう様でも掲載予定です。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

【一話完結】断罪が予定されている卒業パーティーに欠席したら、みんな死んでしまいました

ツカノ
ファンタジー
とある国の王太子が、卒業パーティーの日に最愛のスワロー・アーチェリー男爵令嬢を虐げた婚約者のロビン・クック公爵令嬢を断罪し婚約破棄をしようとしたが、何故か公爵令嬢は現れない。これでは断罪どころか婚約破棄ができないと王太子が焦り始めた時、招かれざる客が現れる。そして、招かれざる客の登場により、彼らの運命は転がる石のように急転直下し、恐怖が始まったのだった。さて彼らの運命は、如何。

「魔道具の燃料でしかない」と言われた聖女が追い出されたので、結界は消えます

七辻ゆゆ
ファンタジー
聖女ミュゼの仕事は魔道具に力を注ぐだけだ。そうして国を覆う大結界が発動している。 「ルーチェは魔道具に力を注げる上、癒やしの力まで持っている、まさに聖女だ。燃料でしかない平民のおまえとは比べようもない」 そう言われて、ミュゼは城を追い出された。 しかし城から出たことのなかったミュゼが外の世界に恐怖した結果、自力で結界を張れるようになっていた。 そしてミュゼが力を注がなくなった大結界は力を失い……

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。