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帝都防衛編
蛇竜
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「ちょっと待ってください……この岩壁、よく見るとおかしくないですか?色合いがどうも緑色っぽいというか……」
「本当だ。それに壁というより、なんというか動物の鱗のような……」
「……まさか!?」
3人は洞穴の行き止まりの壁の異変に気付き、直後に激しい振動が走る。そして何処からか3人の耳に聞き覚えのある声が響き渡る。
『待っていたぞ……人間めっ!!』
「えっ!?」
「この声……」
「……ガイア!?」
洞穴の内部に魔王軍の僕であるガイアの声が響き渡り、唐突に洞穴の奥の壁が動き出し、やがて巨大な蛇の顔が出現した。どうやら壁だと思い込んでいたのは巨大な蛇の頭の部分だったらしく、頭部だけで20メートルは存在しそうな巨大な蛇が姿を現した。
「ま、まさか!?」
「蛇……?」
「……違います。こいつは蛇竜です!!」
『ふははははっ!!』
リーリスの言葉に巨大な蛇は笑い声をあげ、その声は間違いなくガイアの声音だった。何が起きているのか理解できない3人に対し、ガイアは自らの姿を自慢するように答える。
『どうだ!!これこそが俺の真の姿だ!!恐れおののけ!!』
「えっ?本当にガイアなの?」
「ちょっと!!何を食ったらそんなにでかくなるんですか!!」
「というより、どうして魔物が人語を話せるのですか!!」
『ええい、やかましい!!質問は一人ずつにしろ!!』
蛇竜は苛立つように声を上げ、どうやらすぐに襲うつもりはないらしく、自分の力を誇示するように語り掛ける。そんな蛇竜の反応に三人は顔を見合わせ、要望通りに一人ずつ質問を行う。
「じゃあ、私から聞きますね。貴方は本当にガイアなんですか?何というか、偉く外見が変わってますけど」
『うむ!!これこそが俺の本当の姿だ!!』
「でも、なんで俺達と会ったときは小さくなってたの?」
『それは奴等のせいだ!!あいつらは俺の住処に入り込み、奇怪な道具で俺をあの姿へと変貌させてしまった!!お陰でどれほど惨めな生活を送ってきたと思う!?』
「そ、それなら貴方は魔王軍を恨んでいるのですか?」
『当然だ!!奴等を見つけたら飲み込んで腹の足しにしてやる!!』
会話の内容からガイアは不本意ながらに魔王軍に従わされていたようであり、それならば戦闘は避けられるかと考えたが、ガイアは目元を鋭くさせてルノを睨みつける。暗闇の中にも関わらず電灯のように瞳は輝いており、自分達を見つめてくるガイアにルノは不思議に思うが、やがて忌々しそうに蛇竜は呟く。
『……ちっ、やはり駄目か。どうやら貴様等3人は随分と魔法耐性が高いようだな』
「え?」
「あ、そういえば蛇竜の瞳から発せられる光は「石化」させる能力を持っています。並の人間なら光を浴びた瞬間に石になってやがて死んでしまいますよ」
「ええっ!?」
『安心しろ。それはもう試したが、貴様等は全員魔術師だな?魔術師という輩は強い魔法耐性を持っているせいか、俺の魔眼さえも効かないらしい』
この場に存在する3人は帝国の中に存在する魔術師の中でも指折りの実力者であり、蛇竜の「石化の魔眼」を魔法耐性で防ぐ。それでも普通の人間ならば石化して死に至らしめる瞳を向けてきた蛇竜にルノは不満を抱き、文句を告げる。
「ちょっと、どうしてそんな危ない瞳を向けてくるんですか?死んだらどうするんですか!!」
『やかましい!!貴様のせいでこの俺がどれほど惨めな目にあったと思っている!?奴等の奴隷としてこき使われ、泥水をすすり、残飯を喰らって生き延びてきたんだぞ!!それもこれも貴様のせいだ!!』
「どうしてそこでルノさんのだけせいになるんですか?魔王軍の目的は帝国の支配なんでしょう?」
『違う!!奴等は本格的に活動を始めた理由はその男のせいだ!!勇者召喚などを行い、異世界人に助けを求め追って……お陰で魔王軍は危機感を抱いて実力行使で貴様等の国を乗っ取ろうとしたのだ!!』
「えっ……?」
「なるほど……そういう事だったんですね」
ガイアの言葉にルノは驚くが、リーリスは納得したように頷き、どうしてルノが訪れる前は魔王軍が活発的な行動を控えていた理由を知る。
「魔王軍は勇者召喚が行われる前は秘密裡に帝国を乗っ取るつもりだったんですね?それなら納得です。長い時を掛けて大臣の職に就いたデキン、エルフ王国の将軍のリディア、この二人が国の重職に就いていた時から違和感はあったんですけど、魔王軍は最初は裏から国を乗っ取ろうとしたんですね」
「どういう事?」
「つまり魔王軍は本来は今のような実力行使で国を潰そうとするつもりはなかったんですよ。だけど、勇者召喚によって異世界から勇者という存在が現れた事で計画が狂ってしまった」
「どうして?勇者が召喚されたら不味い事が起きるの?」
「そりゃそうですよ。現に今の魔王軍はルノさんのせいで追い詰められているじゃないですか。それに過去に存在した魔王軍も異世界から訪れた勇者のせいで何度も壊滅の危機を味わっています。だから魔王軍は勇者という存在を恐れていたんですよ」
リーリスの言葉にドリアが納得したように頷くが、ルノはある疑問を抱く。
「本当だ。それに壁というより、なんというか動物の鱗のような……」
「……まさか!?」
3人は洞穴の行き止まりの壁の異変に気付き、直後に激しい振動が走る。そして何処からか3人の耳に聞き覚えのある声が響き渡る。
『待っていたぞ……人間めっ!!』
「えっ!?」
「この声……」
「……ガイア!?」
洞穴の内部に魔王軍の僕であるガイアの声が響き渡り、唐突に洞穴の奥の壁が動き出し、やがて巨大な蛇の顔が出現した。どうやら壁だと思い込んでいたのは巨大な蛇の頭の部分だったらしく、頭部だけで20メートルは存在しそうな巨大な蛇が姿を現した。
「ま、まさか!?」
「蛇……?」
「……違います。こいつは蛇竜です!!」
『ふははははっ!!』
リーリスの言葉に巨大な蛇は笑い声をあげ、その声は間違いなくガイアの声音だった。何が起きているのか理解できない3人に対し、ガイアは自らの姿を自慢するように答える。
『どうだ!!これこそが俺の真の姿だ!!恐れおののけ!!』
「えっ?本当にガイアなの?」
「ちょっと!!何を食ったらそんなにでかくなるんですか!!」
「というより、どうして魔物が人語を話せるのですか!!」
『ええい、やかましい!!質問は一人ずつにしろ!!』
蛇竜は苛立つように声を上げ、どうやらすぐに襲うつもりはないらしく、自分の力を誇示するように語り掛ける。そんな蛇竜の反応に三人は顔を見合わせ、要望通りに一人ずつ質問を行う。
「じゃあ、私から聞きますね。貴方は本当にガイアなんですか?何というか、偉く外見が変わってますけど」
『うむ!!これこそが俺の本当の姿だ!!』
「でも、なんで俺達と会ったときは小さくなってたの?」
『それは奴等のせいだ!!あいつらは俺の住処に入り込み、奇怪な道具で俺をあの姿へと変貌させてしまった!!お陰でどれほど惨めな生活を送ってきたと思う!?』
「そ、それなら貴方は魔王軍を恨んでいるのですか?」
『当然だ!!奴等を見つけたら飲み込んで腹の足しにしてやる!!』
会話の内容からガイアは不本意ながらに魔王軍に従わされていたようであり、それならば戦闘は避けられるかと考えたが、ガイアは目元を鋭くさせてルノを睨みつける。暗闇の中にも関わらず電灯のように瞳は輝いており、自分達を見つめてくるガイアにルノは不思議に思うが、やがて忌々しそうに蛇竜は呟く。
『……ちっ、やはり駄目か。どうやら貴様等3人は随分と魔法耐性が高いようだな』
「え?」
「あ、そういえば蛇竜の瞳から発せられる光は「石化」させる能力を持っています。並の人間なら光を浴びた瞬間に石になってやがて死んでしまいますよ」
「ええっ!?」
『安心しろ。それはもう試したが、貴様等は全員魔術師だな?魔術師という輩は強い魔法耐性を持っているせいか、俺の魔眼さえも効かないらしい』
この場に存在する3人は帝国の中に存在する魔術師の中でも指折りの実力者であり、蛇竜の「石化の魔眼」を魔法耐性で防ぐ。それでも普通の人間ならば石化して死に至らしめる瞳を向けてきた蛇竜にルノは不満を抱き、文句を告げる。
「ちょっと、どうしてそんな危ない瞳を向けてくるんですか?死んだらどうするんですか!!」
『やかましい!!貴様のせいでこの俺がどれほど惨めな目にあったと思っている!?奴等の奴隷としてこき使われ、泥水をすすり、残飯を喰らって生き延びてきたんだぞ!!それもこれも貴様のせいだ!!』
「どうしてそこでルノさんのだけせいになるんですか?魔王軍の目的は帝国の支配なんでしょう?」
『違う!!奴等は本格的に活動を始めた理由はその男のせいだ!!勇者召喚などを行い、異世界人に助けを求め追って……お陰で魔王軍は危機感を抱いて実力行使で貴様等の国を乗っ取ろうとしたのだ!!』
「えっ……?」
「なるほど……そういう事だったんですね」
ガイアの言葉にルノは驚くが、リーリスは納得したように頷き、どうしてルノが訪れる前は魔王軍が活発的な行動を控えていた理由を知る。
「魔王軍は勇者召喚が行われる前は秘密裡に帝国を乗っ取るつもりだったんですね?それなら納得です。長い時を掛けて大臣の職に就いたデキン、エルフ王国の将軍のリディア、この二人が国の重職に就いていた時から違和感はあったんですけど、魔王軍は最初は裏から国を乗っ取ろうとしたんですね」
「どういう事?」
「つまり魔王軍は本来は今のような実力行使で国を潰そうとするつもりはなかったんですよ。だけど、勇者召喚によって異世界から勇者という存在が現れた事で計画が狂ってしまった」
「どうして?勇者が召喚されたら不味い事が起きるの?」
「そりゃそうですよ。現に今の魔王軍はルノさんのせいで追い詰められているじゃないですか。それに過去に存在した魔王軍も異世界から訪れた勇者のせいで何度も壊滅の危機を味わっています。だから魔王軍は勇者という存在を恐れていたんですよ」
リーリスの言葉にドリアが納得したように頷くが、ルノはある疑問を抱く。
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