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帝都防衛編
冷気の嵐
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「風圧!!」
吸魔石が罅割れる程に強く握りしめたルノは腕を突き出し、暴風の強化スキルを解除させた状態で魔法を発動させた。次の瞬間、吸魔石から漏れ出る冷気を帯びた突風が広範囲に拡散し、冷気を纏った竜巻が岩人形の大群に襲い掛かる。
ゴロロロロッ――!?
地上を埋め尽くしていた岩人形の大群はルノの繰り出した冷気の竜巻によって凍り付き、一気に1000体近くの岩人形を氷結化させる。その光景を確認したルノは吸魔石を拾い上げ、惜しみなく魔法を発動させて岩人形を凍り付かせた。
「最初からこうすれば良かったよ!!」
ガトリングや魔法で攻撃するよりもこちらの方法が効率的であり、穴の底を埋め尽くすほどの数の岩人形を全て氷像へと変化させる。やがて吸魔石を使い果たしたルノは息を荒げながらもガトリングを降ろし、目の前の光景を見て握り拳を作る。
「勝った……のか?」
土竜の周辺には数えきれないほどの岩人形の残骸が存在し、大半は氷像と化しているが行動不能に追い込んだ事は間違いない。これまでの魔王軍との戦闘で最も体力と魔力を消耗したルノは背中越しに倒れこむ。
「ちょ、なんか凄い音がしたんですけど……もう大丈夫なんですか?」
「ルノ殿は無事か!?」
「こ、これは一体……何が起きたのでしょうか?」
ルノが横たわってから十数秒後、様子を伺いに来たバルトス達が土竜の甲羅の中から姿を現し、地上の光景に目を疑う。その一方で倒れているルノを発見し、慌てて彼等はルノの元に集まる。
「ルノさん!!大丈夫ですか?」
「何とかね……皆は平気?」
「大丈夫だ。負傷者はいるが、奇跡的に死傷者は出ていないぞ」
「そう……それなら良かった」
死傷者がいないという言葉にルノは安堵の息を吐き、リーリス手を貸してもらいながら立ち上がる。まだ仕事は残っており、岩人形が出現した洞穴を調べなければならない。まだ岩人形が存在したら非常に不味く、この深い穴を作り出した元凶も見つかっていない。
「ルノさん。お疲れのところを悪いんですが、あの洞穴を調べないといけません。私と一緒に行きませんか?」
「そうだね……皆はここで待っていて下さい。すぐに戻ってきますから」
「僕も同行します。まだ魔力も残っていますので……」
「それならば3人に探索を任せるぞ。何か起きたらすぐに戻ってこい。儂等はここで負傷者の治療を行う」
洞穴の奥を調べるためにルノとリーリス、そしてドリアを加えた三人が探索を行う事が決まる。残りの人間は負傷した兵士の治療と破壊を免れた水大砲の整備を行う。
「じゃあ、乗り物を作るから下がってて……氷塊!!」
「おお、スポーツカーですか。てっきり、あのでかいドラゴンを作り出すかと思いましたよ」
「あれは疲れるから……」
ルノは氷塊の魔法でスポーツカーの氷像を作り出し、用意していた毛布を敷き詰め、運転席側に乗り込む。その後にリーリスとドリアが乗り込むと、バルトスが何かを思い出したように引き留める。
「ちょっと待ってくれ、リーリスよ。これはどうしたらいい?」
「あ、忘れるところでした。ほら、ルノさんのガトリングですよ」
「それ、地味に重いから……リーリスが預かっててよ」
「ありゃ、お気に召しませんでした?」
ガトリングを抱えたリーリスにルノは眉を顰め、戦闘の際にはあまり役には立たなかった。敵が単体ならば脅威的な効果を発揮するが、大多数の敵が相手の場合はガトリングから打ち出される魔力弾では効果が薄く、吸魔石を利用しなければあまり意味はなかった。
「しょうがないですね。それならこれはドリアさんに差し上げましょう」
「いりません!!それのせいで僕は倒れたんですよ!?」
「わがままな人ですね。仕方ない、これは私が預かっておきます」
リーリスはアイテムボックスを開いてガトリングを収納すると、3人を乗せた乗り物が出発する。前方は光球の魔法で照らしながら3人は洞穴の奥に移動を行う。
「……随分と奥が深いですね。もう移動してから3分ぐらいは経過してますよ」
「こんな大きな穴を誰かが作り出したとは考えにくいですね……岩人形が掘り進めたのでしょうか?」
「あ、それは考えられますね。だけど、いくら岩人形でもこんな短時間でこれほどの規模の穴を作り出せるんですかね?」
「報告の人の話だと、地響きが起きた後に急にこの穴が現れたとか言ってたみたいだけど……ん?行き止まりかな」
会話の最中に前方を照らしていた光球が洞穴の奥の岩壁を映し出し、ルノは氷車を停止させる。周囲に警戒して速度を落とした状態で移動した事を考慮しても洞穴は3キロ程は存在した。しかし、道中に報告に届いていた人間らしき人物は存在せず、岩人形以外の存在は発見していない。
「おかしいな……魔王軍の幹部がいると思ったのに」
「そうですね。観察眼のスキルを発動させていたので見落とすはずがないんですけど……」
「……ん?ちょっと待ってください、何か聞こえませんか?」
洞穴の中を調べていると、行き止まりのはずの壁の奥から地響きのような音が響く。
吸魔石が罅割れる程に強く握りしめたルノは腕を突き出し、暴風の強化スキルを解除させた状態で魔法を発動させた。次の瞬間、吸魔石から漏れ出る冷気を帯びた突風が広範囲に拡散し、冷気を纏った竜巻が岩人形の大群に襲い掛かる。
ゴロロロロッ――!?
地上を埋め尽くしていた岩人形の大群はルノの繰り出した冷気の竜巻によって凍り付き、一気に1000体近くの岩人形を氷結化させる。その光景を確認したルノは吸魔石を拾い上げ、惜しみなく魔法を発動させて岩人形を凍り付かせた。
「最初からこうすれば良かったよ!!」
ガトリングや魔法で攻撃するよりもこちらの方法が効率的であり、穴の底を埋め尽くすほどの数の岩人形を全て氷像へと変化させる。やがて吸魔石を使い果たしたルノは息を荒げながらもガトリングを降ろし、目の前の光景を見て握り拳を作る。
「勝った……のか?」
土竜の周辺には数えきれないほどの岩人形の残骸が存在し、大半は氷像と化しているが行動不能に追い込んだ事は間違いない。これまでの魔王軍との戦闘で最も体力と魔力を消耗したルノは背中越しに倒れこむ。
「ちょ、なんか凄い音がしたんですけど……もう大丈夫なんですか?」
「ルノ殿は無事か!?」
「こ、これは一体……何が起きたのでしょうか?」
ルノが横たわってから十数秒後、様子を伺いに来たバルトス達が土竜の甲羅の中から姿を現し、地上の光景に目を疑う。その一方で倒れているルノを発見し、慌てて彼等はルノの元に集まる。
「ルノさん!!大丈夫ですか?」
「何とかね……皆は平気?」
「大丈夫だ。負傷者はいるが、奇跡的に死傷者は出ていないぞ」
「そう……それなら良かった」
死傷者がいないという言葉にルノは安堵の息を吐き、リーリス手を貸してもらいながら立ち上がる。まだ仕事は残っており、岩人形が出現した洞穴を調べなければならない。まだ岩人形が存在したら非常に不味く、この深い穴を作り出した元凶も見つかっていない。
「ルノさん。お疲れのところを悪いんですが、あの洞穴を調べないといけません。私と一緒に行きませんか?」
「そうだね……皆はここで待っていて下さい。すぐに戻ってきますから」
「僕も同行します。まだ魔力も残っていますので……」
「それならば3人に探索を任せるぞ。何か起きたらすぐに戻ってこい。儂等はここで負傷者の治療を行う」
洞穴の奥を調べるためにルノとリーリス、そしてドリアを加えた三人が探索を行う事が決まる。残りの人間は負傷した兵士の治療と破壊を免れた水大砲の整備を行う。
「じゃあ、乗り物を作るから下がってて……氷塊!!」
「おお、スポーツカーですか。てっきり、あのでかいドラゴンを作り出すかと思いましたよ」
「あれは疲れるから……」
ルノは氷塊の魔法でスポーツカーの氷像を作り出し、用意していた毛布を敷き詰め、運転席側に乗り込む。その後にリーリスとドリアが乗り込むと、バルトスが何かを思い出したように引き留める。
「ちょっと待ってくれ、リーリスよ。これはどうしたらいい?」
「あ、忘れるところでした。ほら、ルノさんのガトリングですよ」
「それ、地味に重いから……リーリスが預かっててよ」
「ありゃ、お気に召しませんでした?」
ガトリングを抱えたリーリスにルノは眉を顰め、戦闘の際にはあまり役には立たなかった。敵が単体ならば脅威的な効果を発揮するが、大多数の敵が相手の場合はガトリングから打ち出される魔力弾では効果が薄く、吸魔石を利用しなければあまり意味はなかった。
「しょうがないですね。それならこれはドリアさんに差し上げましょう」
「いりません!!それのせいで僕は倒れたんですよ!?」
「わがままな人ですね。仕方ない、これは私が預かっておきます」
リーリスはアイテムボックスを開いてガトリングを収納すると、3人を乗せた乗り物が出発する。前方は光球の魔法で照らしながら3人は洞穴の奥に移動を行う。
「……随分と奥が深いですね。もう移動してから3分ぐらいは経過してますよ」
「こんな大きな穴を誰かが作り出したとは考えにくいですね……岩人形が掘り進めたのでしょうか?」
「あ、それは考えられますね。だけど、いくら岩人形でもこんな短時間でこれほどの規模の穴を作り出せるんですかね?」
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「おかしいな……魔王軍の幹部がいると思ったのに」
「そうですね。観察眼のスキルを発動させていたので見落とすはずがないんですけど……」
「……ん?ちょっと待ってください、何か聞こえませんか?」
洞穴の中を調べていると、行き止まりのはずの壁の奥から地響きのような音が響く。
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