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帝都防衛編
水大砲の威力
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――ルノが帝都に帰還してから数日後、遂に王城内に保管されていた吸魔石を全て水属性の魔力を注ぎ込む。このような短期間で水属性の魔石を完成させたルノに全員が驚愕するが、重要なのは彼の作り出した魔石がどれほど利用できるかである。
「それじゃあ、新型の水大砲のテストを行いますよ~」
「これが水大砲か……外見は本当に大砲だな」
裏庭にて目に隈を作ったリーリスが新型の水大砲の準備を行う。名前の通りに大砲のような形状をしているが、違いがあるとすれば砲弾は鉄球ではなく、ルノが作り出した吸魔石を装填する必要がある。今回は試作品という事もあり、見学に訪れたのはルノと先帝だけである。他の人間には業務があるため、今回は二人だけが水大砲の性能を確かめる事にした。
「リーリスよ。この水大砲は吸魔石を装填すると言っていたが、それは吸魔石を砲弾代わりに利用するという事か?」
「そういう事ですよ。詳しい原理の説明は省きますけど、この大砲の内部で吸魔石に刺激を与えて水属性の魔力を暴発させ、その冷気の塊を撃ち込むんです」
「水を出すんじゃないの?」
「それは旧来の水大砲ですね。岩人形は水以外にも冷気に弱いので十分な効果は見込めますよ」
「大丈夫かな……爆発とかしない?」
「まあ、そう連続的に何度も使える代物じゃないですね。だからこれを量産して交代しながら撃ち込み続けるです」
「仕方がないとはいえ、金が掛かりそうじゃのう」
「一応はこれでも最低限の費用で作り出したんですよ」
必要な水大砲の数は最低でも500は必要であり、帝都を守護する防壁に設置しなければならない。しかも連続使用は大きな負荷を掛ける事を考えても出来れば倍の大砲は用意しておきたいところだが、予算はともかく時間的に考えても500台の水大砲しか用意できない。
「しかし、この実験が成功すれば岩人形以外の存在にも利用できそうじゃな」
「そうですね。上手く成功すれば砲撃魔法にも劣らない威力を生み出せますし、普通の人間でも利用できると考えれば強力な兵器にもなります。それに水属性以外の魔石でも装填可能ですよ」
「それ、凄くない?」
「うむ……最早、神器にも劣らぬ代物だな」
「買いかぶり過ぎですよ。でも、私としても洒落で作った兵器がここまで期待されるのはちょっと嬉しいですけどね」
水大砲の設置を終えたリーリスは大砲の正面に視線を向け、大砲の試し撃ちのために標的を用意する必要がある。
「ルノさん、土塊の魔法で何か作ってくれません?」
「土塊で?氷塊ならすぐに作れるけど……」
「駄目ですよ。氷像に冷気の砲弾を撃ち込んでも効果を確かめられませんから」
「確かにその通りだが……」
リーリスの要求にルノは従い、両手を地面に抑えて土塊の魔法を発動させる。ルノは岩人形という存在を見た事はないが、試しに人型の土人形を生み出す。大きさは2メートル程度であり、土砂を練り固めて作り出す。
「こんな感じ?」
「いい感じですよ。じゃあ、今から撃ち込みますから離れてくださいね」
「どうやって砲撃するのだ?」
「ちょっとコツがいりますよ。ここをこういう風に……」
水大砲の砲撃方法を説明しながらリーリスは準備を整え、土人形に向けて砲口を構えると、砲撃を行う。
「行きますよ~……発射!!」
「おおっ」
「これはっ!?」
掛け声と共に水大砲から冷気の砲弾が発射され、砲弾というよりは光線を想像させる一撃が放たれる。そのまま冷気の光線はルノが作り出した土人形を貫通し、更に後方に存在する城壁にまで到達し、表面を氷結化させた。
『…………』
あまりの光景に3人は黙り込み、光線に撃ち抜かれて渦れた土人形と壁一面が氷結化してしまった城壁に視線を向け、全員が冷や汗を流す。予想以上の威力に戸惑いを隠せず、砲弾どころか光線を生み出してしまった水大砲に視線を向ける。
「い、いや待て!!何だこの馬鹿げた威力はっ!?」
「いや、私も驚いてますよ!!何ですかこのふざけた威力……吸魔石に貯蔵された魔力が多すぎたせいですか!?」
「え、それって俺のせいになるの……?」
途轍もない威力を生み出した水大砲に対し、先帝とリーリスは慌てふためき、唐突に名前を呼ばれたルノは戸惑う。一応は吸魔石が破裂しない程度の水属性の魔力を注ぎ込んだつもりだが、どうやら想定以上に魔力が膨大過ぎたせいで砲撃の威力が上昇した可能性が高い。
「ちょ、これどうするんですか!?砲口部分が凍り付きましたよ!!これだと連射するには氷が溶けるまで待つしか……」
「ええっ!?」
「むうっ……儂は今、戦争の歴史を塗り替える程の兵器の誕生を目撃してしまったのか……?」
「いや、こんな威力を引き出せるのはルノさんがいるせいですから!!普通ならこんな馬鹿げた威力引き出せませんから!!」
「なんかごめん……」
予想以上の結果になってしまい、ルノ達は砲台部分まで凍り付いてしまった水大砲に視線を向け、岩人形を倒すために作り出した兵器が後の戦争を覆すほどの破壊兵器にならない事を祈る。
※投稿が遅れてしまい、申し訳ありません!!今日の投稿は1話ですが、明日は閑話を含めて2話投稿します!!
「それじゃあ、新型の水大砲のテストを行いますよ~」
「これが水大砲か……外見は本当に大砲だな」
裏庭にて目に隈を作ったリーリスが新型の水大砲の準備を行う。名前の通りに大砲のような形状をしているが、違いがあるとすれば砲弾は鉄球ではなく、ルノが作り出した吸魔石を装填する必要がある。今回は試作品という事もあり、見学に訪れたのはルノと先帝だけである。他の人間には業務があるため、今回は二人だけが水大砲の性能を確かめる事にした。
「リーリスよ。この水大砲は吸魔石を装填すると言っていたが、それは吸魔石を砲弾代わりに利用するという事か?」
「そういう事ですよ。詳しい原理の説明は省きますけど、この大砲の内部で吸魔石に刺激を与えて水属性の魔力を暴発させ、その冷気の塊を撃ち込むんです」
「水を出すんじゃないの?」
「それは旧来の水大砲ですね。岩人形は水以外にも冷気に弱いので十分な効果は見込めますよ」
「大丈夫かな……爆発とかしない?」
「まあ、そう連続的に何度も使える代物じゃないですね。だからこれを量産して交代しながら撃ち込み続けるです」
「仕方がないとはいえ、金が掛かりそうじゃのう」
「一応はこれでも最低限の費用で作り出したんですよ」
必要な水大砲の数は最低でも500は必要であり、帝都を守護する防壁に設置しなければならない。しかも連続使用は大きな負荷を掛ける事を考えても出来れば倍の大砲は用意しておきたいところだが、予算はともかく時間的に考えても500台の水大砲しか用意できない。
「しかし、この実験が成功すれば岩人形以外の存在にも利用できそうじゃな」
「そうですね。上手く成功すれば砲撃魔法にも劣らない威力を生み出せますし、普通の人間でも利用できると考えれば強力な兵器にもなります。それに水属性以外の魔石でも装填可能ですよ」
「それ、凄くない?」
「うむ……最早、神器にも劣らぬ代物だな」
「買いかぶり過ぎですよ。でも、私としても洒落で作った兵器がここまで期待されるのはちょっと嬉しいですけどね」
水大砲の設置を終えたリーリスは大砲の正面に視線を向け、大砲の試し撃ちのために標的を用意する必要がある。
「ルノさん、土塊の魔法で何か作ってくれません?」
「土塊で?氷塊ならすぐに作れるけど……」
「駄目ですよ。氷像に冷気の砲弾を撃ち込んでも効果を確かめられませんから」
「確かにその通りだが……」
リーリスの要求にルノは従い、両手を地面に抑えて土塊の魔法を発動させる。ルノは岩人形という存在を見た事はないが、試しに人型の土人形を生み出す。大きさは2メートル程度であり、土砂を練り固めて作り出す。
「こんな感じ?」
「いい感じですよ。じゃあ、今から撃ち込みますから離れてくださいね」
「どうやって砲撃するのだ?」
「ちょっとコツがいりますよ。ここをこういう風に……」
水大砲の砲撃方法を説明しながらリーリスは準備を整え、土人形に向けて砲口を構えると、砲撃を行う。
「行きますよ~……発射!!」
「おおっ」
「これはっ!?」
掛け声と共に水大砲から冷気の砲弾が発射され、砲弾というよりは光線を想像させる一撃が放たれる。そのまま冷気の光線はルノが作り出した土人形を貫通し、更に後方に存在する城壁にまで到達し、表面を氷結化させた。
『…………』
あまりの光景に3人は黙り込み、光線に撃ち抜かれて渦れた土人形と壁一面が氷結化してしまった城壁に視線を向け、全員が冷や汗を流す。予想以上の威力に戸惑いを隠せず、砲弾どころか光線を生み出してしまった水大砲に視線を向ける。
「い、いや待て!!何だこの馬鹿げた威力はっ!?」
「いや、私も驚いてますよ!!何ですかこのふざけた威力……吸魔石に貯蔵された魔力が多すぎたせいですか!?」
「え、それって俺のせいになるの……?」
途轍もない威力を生み出した水大砲に対し、先帝とリーリスは慌てふためき、唐突に名前を呼ばれたルノは戸惑う。一応は吸魔石が破裂しない程度の水属性の魔力を注ぎ込んだつもりだが、どうやら想定以上に魔力が膨大過ぎたせいで砲撃の威力が上昇した可能性が高い。
「ちょ、これどうするんですか!?砲口部分が凍り付きましたよ!!これだと連射するには氷が溶けるまで待つしか……」
「ええっ!?」
「むうっ……儂は今、戦争の歴史を塗り替える程の兵器の誕生を目撃してしまったのか……?」
「いや、こんな威力を引き出せるのはルノさんがいるせいですから!!普通ならこんな馬鹿げた威力引き出せませんから!!」
「なんかごめん……」
予想以上の結果になってしまい、ルノ達は砲台部分まで凍り付いてしまった水大砲に視線を向け、岩人形を倒すために作り出した兵器が後の戦争を覆すほどの破壊兵器にならない事を祈る。
※投稿が遅れてしまい、申し訳ありません!!今日の投稿は1話ですが、明日は閑話を含めて2話投稿します!!
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