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帝都防衛編
吸魔石
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「こ、これが吸魔石の使い方です……がはっ!!」
「大丈夫ですか!?」
「す、すいません。体調は平気なんですが、これを使う度にリーリス様に付き合わされて魔力を根こそぎ奪われる実験の事を思い出しまして……」
「そ、そうなんですか。後でリーリスは叱っておきます」
ドリアから吸魔石を受け取り、ルノは彼のように両手で吸魔石を握りしめ、両手で魔力を注ぎ込もうとする。しかし、ここでルノはある事に気付く。
「あの、すいません……魔力を注ぎ込むってどうやるんですか?」
「え?ですからこのように……あっ」
ここでドリアもルノが「魔力」だけを注ぎ込む方法を知らない事を思い出す。彼が普段から扱う魔法は当然だが魔力を消費して生成されているが、今回は魔法を使用せずに魔力のみを吸魔石に注ぎ込む必要があり、当然だが吸魔石に魔法の力を発動しても意味はない。
「えっと……ですね。ルノ様は魔法を使う時に掌を使いますよね?」
「あ、はい」
「それなら掌から水や炎を生み出すイメージを強く抱いて下さい。ただ単に念じるだけではなく、自分の体内に潜む魔力を感じ取り、操作する事も意識すればできるはずですが……」
「魔力を操作……」
感覚的には「電撃」のような肉体に電流を発生させるようにルノは自分の両手に「冷気」を生み出すイメージを作り出す。強化スキルの「絶対零度」を発動させた時の氷塊のように自分の肉体から冷気を放つ想像を行う。
「んっ……こんな感じですか?」
「そうです!!その調子ですよ!!」
ルノの両手に握りしめられた吸魔石が徐々に変色し、青色へと変化を果たす。更にルノの掌から冷気が迸り、徐々に魔力を送り込む感覚をルノは掴む。
「素晴らしい……こんな短時間で魔力操作を覚えるなんて」
「ちょっと静かにしてください。集中しているんで……」
「す、すいません……」
最初は透明だった吸魔石が徐々に青色へと変化を果たし、遂には離れた場所に存在するドリアにすら感じられる程の冷気を放つ。しかし、異変はそれだけに収まらず、吸魔石の表面に罅割れが生じた。
「あれ?なんだろう……」
「これは……いけない!!手を離してください!!」
「うわっ!?」
吸魔石の表面に罅割れが生じ、それを確認したドリアは慌ててルノから吸魔石を奪い取ると、窓に向けて投げつける。吸魔石が水晶製の窓に触れようとした瞬間、まるで手榴弾のように内側から破裂し、窓一面が凍り付いてしまう。
「わっ!?何だ!?」
「こ、これは……どうやらルノ様に送り込む魔力に耐え切れずに吸魔石が崩壊したようです。だから内蔵していた水属性の魔力が暴発し、冷気へと変化して氷結化したようです」
「ええっ……失敗という事ですか?」
「送り込む魔力の量が多すぎたのかと……次からは気を付けてください」
「すいません……」
ドリアとしては吸魔石を崩壊させるほどの魔力を注ぎ込んだルノに驚かされるが、本人としては岩人形との戦闘で使用する予定の吸魔石を無駄にした事に落ち込み、今度は成功させるように新しい吸魔石を握りしめる。
「よし、今度こそ……うりゃっ」
「あっ、あまり無茶しないで下さいね。疲れたら休憩や魔力回復薬を飲んでください」
事前に部屋の中には吸魔石を詰め込むための水晶製のケースとリーリスが用意してくれた魔力回復薬の瓶が並べられており、とりあえずルノは魔力を注ぎ込む事だけに集中する。今度は壊さないように魔力を送り込む速度も測定し、やがて吸魔石の全体が青色に変色したのを確認すると手放す。
「やった!!成功した……あれ!?」
「いけない!!」
ルノの掌に収まった吸魔石は彼が机の上に置いた瞬間、亀裂が発生し、それを見たドリアが慌てて取り上げて壁際に投げ飛ばす。今度は壁に衝突した瞬間に吸魔石が砕け散ってしまい、冷気が拡散されて壁の一部が凍り付く。
「ああっ……また失敗した」
「いえ、今のは惜しかったと思います。手放すのが遅れたから余分に魔力を注いでしまったんでしょう」
「そうなのか……じゃあ、今度は片手でやってみます」
「あ、あの……吸魔石の予備はあると言っても、あまり無理しないで下さいね」
「すいません……」
ドリアとしてはルノの身を心配して告げたのだが、ルノとしては無駄に吸魔石を破壊するなと叱られたと感じてしまい、次こそは失敗しないように吸魔石に魔力を送り込む。
「そ~っと……よし、これでどうかな」
「凄い……成功です!!」
片手で吸魔石を握りしめたルノは数秒程で魔力を注ぎ込み、水属性の魔力を満たした吸魔石を机の上のケースに収納する。今度は砕ける事はなく、ドリアが作り出した吸魔石よりも美しい輝きを放ち、まるで宝石のように変化した。
「これに収納して蓋を締めれば魔力が漏れる事はないんですか?」
「ええ……リーリス様の話だとそうらしいです。まさかこんな収納方法があったとは……」
吸魔石は通常の魔石と違い、時間の経過に伴って内蔵されている魔力が外部に放出されてしまう欠点を持つが、水晶製のケースで保管すると魔力が消失する事はなく、アイテムボックスなどのスキルで使用せずとも安全に保管できるらしい。
※今回の投稿5秒前の出来事
カタナヅキ「ふうっ……やっとボタンを取り返したぞ」
アイリス「甘い!!星の白金・ザ・世界!!」
カタナヅキ「なにぃっ!?か、身体が……動かんっ!!」
アイリス「じゃあ、頂いていきますね。ポチっとな(´∀`)ノ公開ボタン」
「大丈夫ですか!?」
「す、すいません。体調は平気なんですが、これを使う度にリーリス様に付き合わされて魔力を根こそぎ奪われる実験の事を思い出しまして……」
「そ、そうなんですか。後でリーリスは叱っておきます」
ドリアから吸魔石を受け取り、ルノは彼のように両手で吸魔石を握りしめ、両手で魔力を注ぎ込もうとする。しかし、ここでルノはある事に気付く。
「あの、すいません……魔力を注ぎ込むってどうやるんですか?」
「え?ですからこのように……あっ」
ここでドリアもルノが「魔力」だけを注ぎ込む方法を知らない事を思い出す。彼が普段から扱う魔法は当然だが魔力を消費して生成されているが、今回は魔法を使用せずに魔力のみを吸魔石に注ぎ込む必要があり、当然だが吸魔石に魔法の力を発動しても意味はない。
「えっと……ですね。ルノ様は魔法を使う時に掌を使いますよね?」
「あ、はい」
「それなら掌から水や炎を生み出すイメージを強く抱いて下さい。ただ単に念じるだけではなく、自分の体内に潜む魔力を感じ取り、操作する事も意識すればできるはずですが……」
「魔力を操作……」
感覚的には「電撃」のような肉体に電流を発生させるようにルノは自分の両手に「冷気」を生み出すイメージを作り出す。強化スキルの「絶対零度」を発動させた時の氷塊のように自分の肉体から冷気を放つ想像を行う。
「んっ……こんな感じですか?」
「そうです!!その調子ですよ!!」
ルノの両手に握りしめられた吸魔石が徐々に変色し、青色へと変化を果たす。更にルノの掌から冷気が迸り、徐々に魔力を送り込む感覚をルノは掴む。
「素晴らしい……こんな短時間で魔力操作を覚えるなんて」
「ちょっと静かにしてください。集中しているんで……」
「す、すいません……」
最初は透明だった吸魔石が徐々に青色へと変化を果たし、遂には離れた場所に存在するドリアにすら感じられる程の冷気を放つ。しかし、異変はそれだけに収まらず、吸魔石の表面に罅割れが生じた。
「あれ?なんだろう……」
「これは……いけない!!手を離してください!!」
「うわっ!?」
吸魔石の表面に罅割れが生じ、それを確認したドリアは慌ててルノから吸魔石を奪い取ると、窓に向けて投げつける。吸魔石が水晶製の窓に触れようとした瞬間、まるで手榴弾のように内側から破裂し、窓一面が凍り付いてしまう。
「わっ!?何だ!?」
「こ、これは……どうやらルノ様に送り込む魔力に耐え切れずに吸魔石が崩壊したようです。だから内蔵していた水属性の魔力が暴発し、冷気へと変化して氷結化したようです」
「ええっ……失敗という事ですか?」
「送り込む魔力の量が多すぎたのかと……次からは気を付けてください」
「すいません……」
ドリアとしては吸魔石を崩壊させるほどの魔力を注ぎ込んだルノに驚かされるが、本人としては岩人形との戦闘で使用する予定の吸魔石を無駄にした事に落ち込み、今度は成功させるように新しい吸魔石を握りしめる。
「よし、今度こそ……うりゃっ」
「あっ、あまり無茶しないで下さいね。疲れたら休憩や魔力回復薬を飲んでください」
事前に部屋の中には吸魔石を詰め込むための水晶製のケースとリーリスが用意してくれた魔力回復薬の瓶が並べられており、とりあえずルノは魔力を注ぎ込む事だけに集中する。今度は壊さないように魔力を送り込む速度も測定し、やがて吸魔石の全体が青色に変色したのを確認すると手放す。
「やった!!成功した……あれ!?」
「いけない!!」
ルノの掌に収まった吸魔石は彼が机の上に置いた瞬間、亀裂が発生し、それを見たドリアが慌てて取り上げて壁際に投げ飛ばす。今度は壁に衝突した瞬間に吸魔石が砕け散ってしまい、冷気が拡散されて壁の一部が凍り付く。
「ああっ……また失敗した」
「いえ、今のは惜しかったと思います。手放すのが遅れたから余分に魔力を注いでしまったんでしょう」
「そうなのか……じゃあ、今度は片手でやってみます」
「あ、あの……吸魔石の予備はあると言っても、あまり無理しないで下さいね」
「すいません……」
ドリアとしてはルノの身を心配して告げたのだが、ルノとしては無駄に吸魔石を破壊するなと叱られたと感じてしまい、次こそは失敗しないように吸魔石に魔力を送り込む。
「そ~っと……よし、これでどうかな」
「凄い……成功です!!」
片手で吸魔石を握りしめたルノは数秒程で魔力を注ぎ込み、水属性の魔力を満たした吸魔石を机の上のケースに収納する。今度は砕ける事はなく、ドリアが作り出した吸魔石よりも美しい輝きを放ち、まるで宝石のように変化した。
「これに収納して蓋を締めれば魔力が漏れる事はないんですか?」
「ええ……リーリス様の話だとそうらしいです。まさかこんな収納方法があったとは……」
吸魔石は通常の魔石と違い、時間の経過に伴って内蔵されている魔力が外部に放出されてしまう欠点を持つが、水晶製のケースで保管すると魔力が消失する事はなく、アイテムボックスなどのスキルで使用せずとも安全に保管できるらしい。
※今回の投稿5秒前の出来事
カタナヅキ「ふうっ……やっとボタンを取り返したぞ」
アイリス「甘い!!星の白金・ザ・世界!!」
カタナヅキ「なにぃっ!?か、身体が……動かんっ!!」
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