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冒険者編
帰還後……
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――様々な出来事に遭遇した旅も終わりを迎え、遂にルノとリーリスは帝都へと帰還する。事前に報告していたので既に出迎えの準備は出来ており、城門では先帝バルトスとギルドマスターのアイラが兵士と共に待ち構えていた。
「ただいま戻りましたよ~」
「おお、よくぞ帰ってきた二人とも」
「無事でよかったよ」
「お久しぶりです。あ、これお土産の日の国バナナです」
「あ、ありがとう……バナナ型のお菓子か」
二人と顔を合わせたレナは自分が帝都に戻ってきたことを実感し、一先ずは旅の間に起きたことを報告する。定期的にリーリスが報告書を送っていたようだが、一応は口頭で報告を行う。
「ヒカゲさんから先に連絡が届いていると思いますけど、魔王軍の幹部と思われる少女を捕まえました。それとエルフ王国が異世界人を召喚した可能性があります」
「うむ。後で詳しく話を聞こう」
「それとS級冒険者の依頼の件も帝国領内の人達だけは顔を合わせました。最後の一人だけは会えませんでしたけど……」
「大丈夫さ、君の出会った4人からは連絡が届いている。獣人国の依頼者に関してはギルドから断わりの連絡を入れておいたよ」
「やっぱり、依頼失敗になるんですか?」
「いや、今回は帝国の方から事情を説明しているよ。それと領内のS級冒険者、並びにBランク以上の冒険者も帝都に集めている」
「え?」
冒険者の中でも高ランクの人間を集めているという言葉にルノは不思議に思い、リーリスも何事か起きたのかと先帝に顔を向けると、彼の口から衝撃的な事実が伝えられる。
「うむ……実は先日、帝都の北方に存在するガンマ火山が噴火を引き起こしたのだ」
「噴火?あそこは休火山だったんじゃ……」
「確かに今までの調査では休火山だと思われていた。しかし、実際に火山は噴火してしまった……幸い、あの周辺には村や町は存在しない。火砕流による人的被害はないのだが……」
「のだが?」
「まさか竜種が目覚めてしまったんですか?」
火山等の地域には竜種が生息しやすく、特に火竜が好んで住処とする事が多い。しかし、噴火したガンマ火山は休火山として認識されており、火属性の魔石すら採取できない。なので火竜が住み着く事は有り得ないはずだが、先帝は眉を顰めながら答えた。
「竜種ならば討伐軍を送るだけで問題はないのだが……火山から生まれたのは岩人形の大群だ」
「岩人形が!?」
「岩人形……?」
初めて聞く名前にルノは首を傾げるが、リーリスは動揺を隠せず、先帝が更に説明を続ける。
「岩人形の総数は物見の報告によると最低でも1万を超えている。そして……この帝都に向けて移動を行っている」
「マジですか……それは不味いですね」
「うむ。だからこそ周辺の街に配備させている兵士や冒険者も呼び集めているが、それでも数が足りるどうか……」
「まさか岩人形が大量発生するとは……くそ、どうなっているんだ」
「あの、すいません……岩人形ってなんですか?」
全員が暗い顔を浮かべる中、ルノは恐る恐る手を上げて質問すると、リーリスが説明を行う。
「岩人形というのは人型の形をした岩の化物です。生まれてくる地域によって危険度が異なり、岩石の質の違いがあります。中には砂や煉瓦で構成された岩人形も存在しますよ」
「へえ……そんなに厄介なの?」
「ああ、岩人形に対抗するには魔術師の魔法が有効的なんだが、溶岩から生まれてくる岩人形の場合は火属性に対する耐性を持っている。全ての岩人形の弱点は水を与える事なんだが、あいにくと王都は乾季を迎えてしまっている。天候には期待できない」
「それに岩人形は体内に核、要は経験石の事なんですけど……この経験石を破壊しない限りは何度でも再生して復活します。しかも核の位置は個体差があるので見極めるのは難しいです。だから魔法で粉々にするのが一番ですが、熟練の魔術師でも岩人形を破壊する程の威力の魔法を生み出すのは難しいんです」
「それに今回の岩人形の数は尋常ではなく、間違いなく帝都に向けて近づいている。恐らく、何者かの企みによって帝都に接近しているのだろうが……敵がどうやって岩人形を操作しているのかが判明していない」
「それは……不味いですね」
やっと状況を理解し始めたルノだが、帝都に岩人形の大群が到着するまでどれほどの猶予があるのか気になり、率直に質問する。
「岩人形の大群は帝都に到着するまでどれくらいの時間が残ってるんですか?」
「今現在の進行速度ならば二週間で到着するだろう。奴等は力は強いが、その分に鈍重だからね」
「二週間ですか。それぐらいの余裕があったら対抗策も十分に用意できますね」
「うむ。ルノ殿には戻ってきて早々に悪いが、帝都の防備に協力して貰いたい。無論、仕事に見合った報酬は約束しよう」
「防備……ですか?」
ルノとしては別に帝都に岩人形が訪れる前に自らが出向き、岩人形の大群の討伐を依頼されるのかと思ったが、先帝は彼の考えを見越したように話を続けた。
「ただいま戻りましたよ~」
「おお、よくぞ帰ってきた二人とも」
「無事でよかったよ」
「お久しぶりです。あ、これお土産の日の国バナナです」
「あ、ありがとう……バナナ型のお菓子か」
二人と顔を合わせたレナは自分が帝都に戻ってきたことを実感し、一先ずは旅の間に起きたことを報告する。定期的にリーリスが報告書を送っていたようだが、一応は口頭で報告を行う。
「ヒカゲさんから先に連絡が届いていると思いますけど、魔王軍の幹部と思われる少女を捕まえました。それとエルフ王国が異世界人を召喚した可能性があります」
「うむ。後で詳しく話を聞こう」
「それとS級冒険者の依頼の件も帝国領内の人達だけは顔を合わせました。最後の一人だけは会えませんでしたけど……」
「大丈夫さ、君の出会った4人からは連絡が届いている。獣人国の依頼者に関してはギルドから断わりの連絡を入れておいたよ」
「やっぱり、依頼失敗になるんですか?」
「いや、今回は帝国の方から事情を説明しているよ。それと領内のS級冒険者、並びにBランク以上の冒険者も帝都に集めている」
「え?」
冒険者の中でも高ランクの人間を集めているという言葉にルノは不思議に思い、リーリスも何事か起きたのかと先帝に顔を向けると、彼の口から衝撃的な事実が伝えられる。
「うむ……実は先日、帝都の北方に存在するガンマ火山が噴火を引き起こしたのだ」
「噴火?あそこは休火山だったんじゃ……」
「確かに今までの調査では休火山だと思われていた。しかし、実際に火山は噴火してしまった……幸い、あの周辺には村や町は存在しない。火砕流による人的被害はないのだが……」
「のだが?」
「まさか竜種が目覚めてしまったんですか?」
火山等の地域には竜種が生息しやすく、特に火竜が好んで住処とする事が多い。しかし、噴火したガンマ火山は休火山として認識されており、火属性の魔石すら採取できない。なので火竜が住み着く事は有り得ないはずだが、先帝は眉を顰めながら答えた。
「竜種ならば討伐軍を送るだけで問題はないのだが……火山から生まれたのは岩人形の大群だ」
「岩人形が!?」
「岩人形……?」
初めて聞く名前にルノは首を傾げるが、リーリスは動揺を隠せず、先帝が更に説明を続ける。
「岩人形の総数は物見の報告によると最低でも1万を超えている。そして……この帝都に向けて移動を行っている」
「マジですか……それは不味いですね」
「うむ。だからこそ周辺の街に配備させている兵士や冒険者も呼び集めているが、それでも数が足りるどうか……」
「まさか岩人形が大量発生するとは……くそ、どうなっているんだ」
「あの、すいません……岩人形ってなんですか?」
全員が暗い顔を浮かべる中、ルノは恐る恐る手を上げて質問すると、リーリスが説明を行う。
「岩人形というのは人型の形をした岩の化物です。生まれてくる地域によって危険度が異なり、岩石の質の違いがあります。中には砂や煉瓦で構成された岩人形も存在しますよ」
「へえ……そんなに厄介なの?」
「ああ、岩人形に対抗するには魔術師の魔法が有効的なんだが、溶岩から生まれてくる岩人形の場合は火属性に対する耐性を持っている。全ての岩人形の弱点は水を与える事なんだが、あいにくと王都は乾季を迎えてしまっている。天候には期待できない」
「それに岩人形は体内に核、要は経験石の事なんですけど……この経験石を破壊しない限りは何度でも再生して復活します。しかも核の位置は個体差があるので見極めるのは難しいです。だから魔法で粉々にするのが一番ですが、熟練の魔術師でも岩人形を破壊する程の威力の魔法を生み出すのは難しいんです」
「それに今回の岩人形の数は尋常ではなく、間違いなく帝都に向けて近づいている。恐らく、何者かの企みによって帝都に接近しているのだろうが……敵がどうやって岩人形を操作しているのかが判明していない」
「それは……不味いですね」
やっと状況を理解し始めたルノだが、帝都に岩人形の大群が到着するまでどれほどの猶予があるのか気になり、率直に質問する。
「岩人形の大群は帝都に到着するまでどれくらいの時間が残ってるんですか?」
「今現在の進行速度ならば二週間で到着するだろう。奴等は力は強いが、その分に鈍重だからね」
「二週間ですか。それぐらいの余裕があったら対抗策も十分に用意できますね」
「うむ。ルノ殿には戻ってきて早々に悪いが、帝都の防備に協力して貰いたい。無論、仕事に見合った報酬は約束しよう」
「防備……ですか?」
ルノとしては別に帝都に岩人形が訪れる前に自らが出向き、岩人形の大群の討伐を依頼されるのかと思ったが、先帝は彼の考えを見越したように話を続けた。
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