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冒険者編
殺人犯の正体
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「どうして真っ先にゼーニさんが疑われるんですか?」
「俺はここに訪れたのは初めてだが、商会の連中は定期的にクロガネの所に訪れていたんだよ。あの爺、何度も材料を要求しておきながら作業は遅々として進まないからゼーニの旦那も苛立ってたんだよ。それで何度かゼーニも直接乗り込んで怒鳴り散らしてたからな。周辺の住民も承知済みさ」
「クロガネさんとゼーニという人はそんなに仲が悪かったんですか?」
「さあな……そこら辺は俺も知らねえ。俺が雇われたのは二か月ぐらい前だからな。普段は屋敷の警護ぐらいしか任されてねえから知らねえよ」
「死体を埋葬したのは何処?」
「焼却したとしか聞いてねえよ。灰も何処かに捨てたんじゃねえか?」
「……事件の死体を隠蔽する行為は重罪、罪は免れない」
「お、俺は関係ねえぞっ!?あいつらに雇われただけだ!!」
「まあ、この人の情報が正しいかも不明ですからね。それにしても既に殺されていたとは……犯人も分からないんですか?」
イリスの質問に勘十郎は黙り込み、彼も心当たりはないのか首を横に振る。嘘を言っている様子には見えないが、もしも彼の証言が事実だとしたら商会の人間が訪れた時には既にクロガネは死亡しており、その死体を彼等が焼却して自分達が疑われるのを避けたらしい。
「貴方達はクロガネさんを殺した犯人を探そうとはしなかったんですか?証拠隠滅する前に何か手掛かりとかは……」
「だから知らねえって……俺も人から聞かされた話だ。だが、ゼーニも必死に自分達がクロガネの殺人犯に疑われ鵜のを避けるために探偵を雇ったそうだぜ」
「探偵?」
「ゼーニが大金を費やして雇った探偵だ。少なくとも一週間前まではそいつは調査をしていたらしいんだが……6日前に水死体で見つかった」
「水死体?」
「ゼーニが屋敷で飼っている池の中に死んでんたんだよ。鯉の世話役を任された使用人が発見して大騒ぎになったんだよ」
「調査をしていた探偵が死んだ……殺人ですか?」
「特に死体に変化はないが、少なくとも前日までは普通に生活していたよ。だが、そいつの家で手紙が見つかった」
「え?遺書ですか?」
「いや、そいつが書いた物じゃねえ。手紙の内容はこうだ……これ以上は関わるな、だ」
勘十郎の言葉に全員が黙り込み、話をしている勘十郎も冷や汗を掻きながらパイプを咥える。
「正直、俺はその手紙を見た時からゼーニの奴から離れようと考えている。得体の知れない何かに探偵は関わって殺されたとしか思えない……あいつはきっとクロガネ殺しの犯人に繋がる証拠を見つけようとして殺されたんだ」
「それしか考えられませんね。だけど、クロガネを殺した犯人は商会の人間じゃないとすると、一体誰が?」
「ここの爺さんは結構恨まれていたらしいぜ。金払いさえ良ければどんな奴からの依頼も引き受けていたらしいからな。紹介の奴らは爺さんを恨んでいる誰かに殺されたと考えているようだがな」
「つまり、何も分からないという事ですか」
「ま、まあ……そういう事だな」
ルノ達の予想ではクロガネを殺害したのは最後に彼に銅像製作を依頼したゼーニの商会が怪しいと考えていたが、雇われている勘十郎の話では商会の人間もクロガネの殺人犯を追っているらしく、既に殺されていた事が判明する。しかし、それならば何者がクロガネを殺したのか分からなくなった。
「そういえば銅像は見つかったんですか?少なくとも工房の方には見かけませんでしたけど……」
「何?お前等、工房に入ったのか?」
「この家の調査はだいたい終わっている。だけど、そのアダマンタイトの銅像は見つけていない」
「マジかよ……くそ、という事は盗まれたのかっ!!」
ヒカゲの言葉に勘十郎は悪態を吐き、パイプを地面に放り投げる。彼の目的はアダマンタイトの銅像を運び出すためにこの屋敷に訪れたようだが、少なくともルノ達が探した限りは屋敷の中に銅像は存在しない。
「クロガネさんを殺した犯人も気になりますが、その犯人の目的も気になりますね。銅像が存在しない所、その犯人が盗み出したと考えるべきでしょうね」
「おいおい、禿親父の銅像なんて悪趣味な物を誰が欲しがるんだよ?」
「形はともかく、貴重なアダマンタイトで構成された銅像……価値は高い」
「溶かして別の武器に作り替えたりして……」
「その可能性が一番高いですね。でも、商会の人間が殺した可能性もあります。この人の話が真実なのかも私達には分かりませんし……」
「何だよ、疑ってんのか?」
リーリスの言葉に勘十郎は不満そうな声を上げるが、彼に命を狙われたルノ達にとっては彼の話を簡単に信用するわけにはいかない。しかし、ここに残ってもクロガネが死亡した手掛かりが手に入るとは思えず、次の行動に移る必要があった。
※こちらの話の投稿の10秒前
カタナヅキ「きょ、今日こそは勝手に投稿させないぞ!!(;´・ω・)」
アイリス「流石に警戒されてますね(´ω`)」
ルノ「ん?なんだこのボタン(*´ω`)ノコウカイボタン」
カタナヅキ「あああああああっ(ノД`)オマエカアアアッ!!」
「俺はここに訪れたのは初めてだが、商会の連中は定期的にクロガネの所に訪れていたんだよ。あの爺、何度も材料を要求しておきながら作業は遅々として進まないからゼーニの旦那も苛立ってたんだよ。それで何度かゼーニも直接乗り込んで怒鳴り散らしてたからな。周辺の住民も承知済みさ」
「クロガネさんとゼーニという人はそんなに仲が悪かったんですか?」
「さあな……そこら辺は俺も知らねえ。俺が雇われたのは二か月ぐらい前だからな。普段は屋敷の警護ぐらいしか任されてねえから知らねえよ」
「死体を埋葬したのは何処?」
「焼却したとしか聞いてねえよ。灰も何処かに捨てたんじゃねえか?」
「……事件の死体を隠蔽する行為は重罪、罪は免れない」
「お、俺は関係ねえぞっ!?あいつらに雇われただけだ!!」
「まあ、この人の情報が正しいかも不明ですからね。それにしても既に殺されていたとは……犯人も分からないんですか?」
イリスの質問に勘十郎は黙り込み、彼も心当たりはないのか首を横に振る。嘘を言っている様子には見えないが、もしも彼の証言が事実だとしたら商会の人間が訪れた時には既にクロガネは死亡しており、その死体を彼等が焼却して自分達が疑われるのを避けたらしい。
「貴方達はクロガネさんを殺した犯人を探そうとはしなかったんですか?証拠隠滅する前に何か手掛かりとかは……」
「だから知らねえって……俺も人から聞かされた話だ。だが、ゼーニも必死に自分達がクロガネの殺人犯に疑われ鵜のを避けるために探偵を雇ったそうだぜ」
「探偵?」
「ゼーニが大金を費やして雇った探偵だ。少なくとも一週間前まではそいつは調査をしていたらしいんだが……6日前に水死体で見つかった」
「水死体?」
「ゼーニが屋敷で飼っている池の中に死んでんたんだよ。鯉の世話役を任された使用人が発見して大騒ぎになったんだよ」
「調査をしていた探偵が死んだ……殺人ですか?」
「特に死体に変化はないが、少なくとも前日までは普通に生活していたよ。だが、そいつの家で手紙が見つかった」
「え?遺書ですか?」
「いや、そいつが書いた物じゃねえ。手紙の内容はこうだ……これ以上は関わるな、だ」
勘十郎の言葉に全員が黙り込み、話をしている勘十郎も冷や汗を掻きながらパイプを咥える。
「正直、俺はその手紙を見た時からゼーニの奴から離れようと考えている。得体の知れない何かに探偵は関わって殺されたとしか思えない……あいつはきっとクロガネ殺しの犯人に繋がる証拠を見つけようとして殺されたんだ」
「それしか考えられませんね。だけど、クロガネを殺した犯人は商会の人間じゃないとすると、一体誰が?」
「ここの爺さんは結構恨まれていたらしいぜ。金払いさえ良ければどんな奴からの依頼も引き受けていたらしいからな。紹介の奴らは爺さんを恨んでいる誰かに殺されたと考えているようだがな」
「つまり、何も分からないという事ですか」
「ま、まあ……そういう事だな」
ルノ達の予想ではクロガネを殺害したのは最後に彼に銅像製作を依頼したゼーニの商会が怪しいと考えていたが、雇われている勘十郎の話では商会の人間もクロガネの殺人犯を追っているらしく、既に殺されていた事が判明する。しかし、それならば何者がクロガネを殺したのか分からなくなった。
「そういえば銅像は見つかったんですか?少なくとも工房の方には見かけませんでしたけど……」
「何?お前等、工房に入ったのか?」
「この家の調査はだいたい終わっている。だけど、そのアダマンタイトの銅像は見つけていない」
「マジかよ……くそ、という事は盗まれたのかっ!!」
ヒカゲの言葉に勘十郎は悪態を吐き、パイプを地面に放り投げる。彼の目的はアダマンタイトの銅像を運び出すためにこの屋敷に訪れたようだが、少なくともルノ達が探した限りは屋敷の中に銅像は存在しない。
「クロガネさんを殺した犯人も気になりますが、その犯人の目的も気になりますね。銅像が存在しない所、その犯人が盗み出したと考えるべきでしょうね」
「おいおい、禿親父の銅像なんて悪趣味な物を誰が欲しがるんだよ?」
「形はともかく、貴重なアダマンタイトで構成された銅像……価値は高い」
「溶かして別の武器に作り替えたりして……」
「その可能性が一番高いですね。でも、商会の人間が殺した可能性もあります。この人の話が真実なのかも私達には分かりませんし……」
「何だよ、疑ってんのか?」
リーリスの言葉に勘十郎は不満そうな声を上げるが、彼に命を狙われたルノ達にとっては彼の話を簡単に信用するわけにはいかない。しかし、ここに残ってもクロガネが死亡した手掛かりが手に入るとは思えず、次の行動に移る必要があった。
※こちらの話の投稿の10秒前
カタナヅキ「きょ、今日こそは勝手に投稿させないぞ!!(;´・ω・)」
アイリス「流石に警戒されてますね(´ω`)」
ルノ「ん?なんだこのボタン(*´ω`)ノコウカイボタン」
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