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冒険者編
洞窟の正体
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「うわ、なんだ!?」
「地震!?」
「おいおい、マジかよ!!出口まで走れ!!」
洞窟内部に激しい振動が走り、慌てて3人は出入口に逃げようとしたが、天井が崩れて岩石が崩れ落ちる。それを確認したルノは咄嗟に掌を差し出して氷塊の魔法を発動させた。
「氷塊!!」
「おお、氷の円盤ですか!!」
「うおおっ!?」
崩れ落ちる洞窟にルノは氷塊の円盤を生み出し、天井から崩れ落ちる岩石を防ぐ。だが、頭上を防いでも前後左右から岩石が落ちた際の土煙が迫り、地面も罅割れ始める。このまま残っていては生き埋めになってしまうため、ルノは先ほど出現させた螺旋氷弾に視線を向け、岩石で塞がれた通路を撃ち抜く。
「下がってて!!」
「わあっ!?」
「何する気だ!?」
螺旋氷弾が崩れた岩石を粉砕しながら前方に進み、やがて道を開く。ある程度の空間を生み出せれば十分であり、ルノは上空に出現した氷塊を操作して乗り物の形に変形させる。
「これに乗って!!」
「な、何ですかこれ!?」
「何だってんだ一体!?」
作り出したのは自動車というにはあまりにも簡易な氷像だが、ひとまずは身を隠せる場所を作り出せれば十分であり、ルノは二人を中に避難させて自分は螺旋氷弾で邪魔な岩石を掘り起こしながら先に進む。そして出入口を発見し、外に飛び出す。
「ふうっ……死ぬかと思った」
『いや、助かりましたよ。ルノさんがいなければ死んでましたね』
『な、何でもいいからこっから出してくれ!!俺は寒いのが苦手なんだよ!!』
氷の乗物に避難していた二人を開放し、ルノは洞窟に視線を向けると完全に崩れて塞がってしまった。ガジが掘り起こした影響を受けて岩盤が崩れてしまったのかと考えたが、妙な気配を感じ、ルノは二人を下がらせる。
「下がって!!まだ何か感じる!!」
「えっ?感じるって……」
「おいおい、まだ何か起きるのか?」
ルノが崩れた洞窟に掌を構えると、リーリスとガジもそれぞれの武器を構える。未だに振動は収まらず、やがて出入口の岩石を内側から押し返しながら予想外の存在が出現した。
『オアアッ……!!』
「土竜!?」
「そんな馬鹿なっ!?」
「竜種だと!?」
出現したのは先日にルノが討伐した土竜の顔が現れ、全員が驚愕の表情を浮かべる。竜種が出現した事も驚きではあるが、姿を現したのは普通の個体ではなく、姿を現したのは前回ルノが遭遇した土竜と比べて小柄であり、背中に存在するはずの甲羅のような岩石には先ほどの氷属性の魔水晶が埋め込まれていた。
『アアアア……!!』
「こいつは……土竜の子供か!?おいおいここは帝国領土だぞ!?」
「こいつ……なんか前のと違くない?」
「私も初めて見ますね。もしかして亜種……いや、でも魔水晶を生やす魔物なんて聞いた事が……」
『ウオオオッ!!』
小型と言っても体長は7、8メートルを超える土竜が洞窟を崩壊させながら出現し、その瞳の色は青色であり、どうやらルノ達が発見した岩壁の正体は土竜の背中だったらしい。どうしてこんな場所に土竜が存在するのかは不明だが、様子が普通ではなく、ルノ達に向けて口を開く。
『アガアアアッ!!』
「うわっ!?」
「吐息!?」
「うおおっ!?」
土竜の口から冷気の暴風が放たれ、地面が凍り付き、ルノ達の身体が凍り付かされ様とする。予想外の攻撃に3人は怯むが、魔術師であるルノとリーリスは魔法に対する耐性が高く、ルノは掌を構えて冷風を押し換える突風を放つ。
「風圧!!」
『アアアッ……!?』
冷気の吐息に対してルノが生み出した強風が跳ね返し、逆に土竜の肉体が凍り付く。思わぬ反撃に今度は土竜が怯み、その隙にガジが鉄槌を掲げて顎を押し上げるように下から打ち込む。
「このバカ竜がっ!!」
『オゴォッ!?』
竜種に対して怯えずにガジは攻撃を加え、土竜は怯む。損傷はそれほど与えられたなかったようだが、相手の隙を作る事には成功し、その間にルノは凍り付いた衣服を何とかするために上空に意識を集中させる。
「火球!!」
「うお、あっちいっ!?」
「日焼け止め塗ってないのに!?」
上空に大型の炎の塊を発現させ、太陽の代わりに熱を発して強制的に身体や衣服に張り付いた氷を溶かす。身体さえ自由に動ければこちらの物であり、ルノは両腕に意識を集中させ、氷鎧の両腕部分だけを再現して土竜に打ち込む。
「このぉっ!!」
『アガァッ!?』
氷の腕鉄甲を身に着けながらルノは土竜を殴りつけた瞬間、レベルが90を超える彼の怪力によって土竜の肉体が傾き、更に追い打ちとしてガジが頭部に向けて鉄槌を叩きこむ。
「気絶しやがれ!!」
『オオッ!?』
眉間に的確に鉄槌を撃ち込まれた土竜は体内の脳が揺れたのか倒れこみ、その隙にルノは背後に移動して相手の後脚を掴み、渾身の力を込めて身体を持ち上げる。
「せいりゃあっ!!」
「嘘っ!?」
『アアアアッ!?』
一本背負いの要領でルノは土竜の肉体を投げ飛ばし、相手は背中から地面に衝突し、裏返った亀のように手足をばたつかせた。
「地震!?」
「おいおい、マジかよ!!出口まで走れ!!」
洞窟内部に激しい振動が走り、慌てて3人は出入口に逃げようとしたが、天井が崩れて岩石が崩れ落ちる。それを確認したルノは咄嗟に掌を差し出して氷塊の魔法を発動させた。
「氷塊!!」
「おお、氷の円盤ですか!!」
「うおおっ!?」
崩れ落ちる洞窟にルノは氷塊の円盤を生み出し、天井から崩れ落ちる岩石を防ぐ。だが、頭上を防いでも前後左右から岩石が落ちた際の土煙が迫り、地面も罅割れ始める。このまま残っていては生き埋めになってしまうため、ルノは先ほど出現させた螺旋氷弾に視線を向け、岩石で塞がれた通路を撃ち抜く。
「下がってて!!」
「わあっ!?」
「何する気だ!?」
螺旋氷弾が崩れた岩石を粉砕しながら前方に進み、やがて道を開く。ある程度の空間を生み出せれば十分であり、ルノは上空に出現した氷塊を操作して乗り物の形に変形させる。
「これに乗って!!」
「な、何ですかこれ!?」
「何だってんだ一体!?」
作り出したのは自動車というにはあまりにも簡易な氷像だが、ひとまずは身を隠せる場所を作り出せれば十分であり、ルノは二人を中に避難させて自分は螺旋氷弾で邪魔な岩石を掘り起こしながら先に進む。そして出入口を発見し、外に飛び出す。
「ふうっ……死ぬかと思った」
『いや、助かりましたよ。ルノさんがいなければ死んでましたね』
『な、何でもいいからこっから出してくれ!!俺は寒いのが苦手なんだよ!!』
氷の乗物に避難していた二人を開放し、ルノは洞窟に視線を向けると完全に崩れて塞がってしまった。ガジが掘り起こした影響を受けて岩盤が崩れてしまったのかと考えたが、妙な気配を感じ、ルノは二人を下がらせる。
「下がって!!まだ何か感じる!!」
「えっ?感じるって……」
「おいおい、まだ何か起きるのか?」
ルノが崩れた洞窟に掌を構えると、リーリスとガジもそれぞれの武器を構える。未だに振動は収まらず、やがて出入口の岩石を内側から押し返しながら予想外の存在が出現した。
『オアアッ……!!』
「土竜!?」
「そんな馬鹿なっ!?」
「竜種だと!?」
出現したのは先日にルノが討伐した土竜の顔が現れ、全員が驚愕の表情を浮かべる。竜種が出現した事も驚きではあるが、姿を現したのは普通の個体ではなく、姿を現したのは前回ルノが遭遇した土竜と比べて小柄であり、背中に存在するはずの甲羅のような岩石には先ほどの氷属性の魔水晶が埋め込まれていた。
『アアアア……!!』
「こいつは……土竜の子供か!?おいおいここは帝国領土だぞ!?」
「こいつ……なんか前のと違くない?」
「私も初めて見ますね。もしかして亜種……いや、でも魔水晶を生やす魔物なんて聞いた事が……」
『ウオオオッ!!』
小型と言っても体長は7、8メートルを超える土竜が洞窟を崩壊させながら出現し、その瞳の色は青色であり、どうやらルノ達が発見した岩壁の正体は土竜の背中だったらしい。どうしてこんな場所に土竜が存在するのかは不明だが、様子が普通ではなく、ルノ達に向けて口を開く。
『アガアアアッ!!』
「うわっ!?」
「吐息!?」
「うおおっ!?」
土竜の口から冷気の暴風が放たれ、地面が凍り付き、ルノ達の身体が凍り付かされ様とする。予想外の攻撃に3人は怯むが、魔術師であるルノとリーリスは魔法に対する耐性が高く、ルノは掌を構えて冷風を押し換える突風を放つ。
「風圧!!」
『アアアッ……!?』
冷気の吐息に対してルノが生み出した強風が跳ね返し、逆に土竜の肉体が凍り付く。思わぬ反撃に今度は土竜が怯み、その隙にガジが鉄槌を掲げて顎を押し上げるように下から打ち込む。
「このバカ竜がっ!!」
『オゴォッ!?』
竜種に対して怯えずにガジは攻撃を加え、土竜は怯む。損傷はそれほど与えられたなかったようだが、相手の隙を作る事には成功し、その間にルノは凍り付いた衣服を何とかするために上空に意識を集中させる。
「火球!!」
「うお、あっちいっ!?」
「日焼け止め塗ってないのに!?」
上空に大型の炎の塊を発現させ、太陽の代わりに熱を発して強制的に身体や衣服に張り付いた氷を溶かす。身体さえ自由に動ければこちらの物であり、ルノは両腕に意識を集中させ、氷鎧の両腕部分だけを再現して土竜に打ち込む。
「このぉっ!!」
『アガァッ!?』
氷の腕鉄甲を身に着けながらルノは土竜を殴りつけた瞬間、レベルが90を超える彼の怪力によって土竜の肉体が傾き、更に追い打ちとしてガジが頭部に向けて鉄槌を叩きこむ。
「気絶しやがれ!!」
『オオッ!?』
眉間に的確に鉄槌を撃ち込まれた土竜は体内の脳が揺れたのか倒れこみ、その隙にルノは背後に移動して相手の後脚を掴み、渾身の力を込めて身体を持ち上げる。
「せいりゃあっ!!」
「嘘っ!?」
『アアアアッ!?』
一本背負いの要領でルノは土竜の肉体を投げ飛ばし、相手は背中から地面に衝突し、裏返った亀のように手足をばたつかせた。
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