60 / 657
冒険者編
二人目のS級冒険者
しおりを挟む
無事に1人目の依頼を果たした(?)ルノ達は一週間後、今後は街ではなくとある岩山に向かう。次の依頼人は人里から離れた場所に住んでいるらしく、依頼内容も一風変わった内容だった。
「う~んっ……依頼書によるとこの洞窟の中に住んでいるそうですけど」
「本当に洞窟だな……なんか、熊とか住んでそう」
「熊程度ならルノさんなら何とかできるでしょう」
「ブモォッ」
依頼書には岩山の地図も描かれており、ルノ達は洞窟の前に辿り着く。奥が見えない程に暗く、人間よりも魔物が住んでそうな雰囲気だが、一応は確認のために中に入る。
「ミノはここに残っててよ。馬車を守っていてね」
「ブモッ」
「ランタンを用意するのも面倒ですし、光球の魔法で照らしながら進みましょう」
二人は光球の魔法を使用して洞窟を照らしながら移動するが、奥に進むと分かれ道が存在し、どちらに進むのか悩む。
「どっちに行けばいいんだろう?」
「依頼書にはこの洞窟の地図は記されていないですね。仕方ありません、ここは地図製作の能力を使用しましょう」
「確か今まで移動した場所の地図を記録するスキルだっけ?」
「そうですよ。他の人には見えませんけど、ステータス画面を開けば地図が表示されます」
リーリスは多彩なスキルを所持しており、その中の一つである「地図製作」を発動して移動を行う。この能力は地図を記すだけなので発動するだけでは洞窟全体が表示されるわけではない。リーリスは移動した分の地図を記録しながら適当に道を進み、ルノも後に続く。
「結構奥まで進むね」
「心なしか、だんだんと寒くなってきましたね……」
「言われてみれば確かに……」
洞窟を進むと何故か温度が下がったように冷え込み、吐く息さえも白くなる。異様な寒さにルノは疑問を抱きながらも火球の魔法を発動させて暖を取り、周囲に警戒しながら進むと壁から青色の光が漏れ出ている事に気付く。
「あれ、何か光ってない?」
「本当ですね。なんでしょうか……え、嘘っ!?これ、魔石ですよ!!」
「そうなの?」
岩壁を光球で照らした瞬間、青色に光り輝く水晶が露出している事が発覚し、リーリスは驚いた表情を浮かべながら水晶を確認して本物である事を見抜く。
「信じられない……しかも只の魔石じゃありません。純度が高い魔水晶ですよ!!だけど、どうしてこんな場所に水属性の魔水晶が……」
「そんなにおかしい事なの?」
「当たり前じゃないですか!!こんな火山でもないどこにでもありそうな岩山から発掘されるのは土属性の魔石ぐらいですよ!!基本的に水属性の魔石なんて大きな湖や海ぐらいでしか採掘されません!!しかも魔水晶なんてそれこそ海底にまで移動しないと取れませんよ!!」
「え?それならどうしてこんな場所に……」
リーリスの説明を聞きながらルノは不思議そうに壁に埋まっている魔水晶に視線を向け、無意識に手を伸ばす。その瞬間、何故か彼が特別な動作をしたわけでもないのに魔水晶が光り輝き、慌てて手を引っ込める。
「え?今、なんかこの水晶が輝かなかった?」
「ちょ、止めて下さいよ!?ただでさえ馬鹿げたルノさんの魔力で魔水晶が暴発したらどうするんですか!!確実に死にますよ!!私だけがっ(重要)!!」
「ごめんって……」
特に魔法を発動させたわけでもないのに魔水晶が反応した事にルノは疑問を抱き、リーリスは興味深そうに魔水晶を覗き込んでいると、後方の通路から男性の声が響き渡る。
「お前ら!!そこで何をしている!!」
「えっ?」
「……小髭族?」
二人は振り返るとそこには巨大な鉄槌を背負った身長が異様に低い男性が存在し、顔面が髭で覆い隠されていた。リーリスは相手が小髭族だと悟ると、依頼書を取り出し、名前を尋ねた。
「すいませ~ん。貴方がS級冒険者で鍛冶職人のガジさんですか?」
「確かに儂はガジだが……お前達は何者だ!!」
「この人が貴方の依頼を引き受けたルノさんですよ~」
「あ、初めまして」
「何っ!?その小僧が!?」
姿を現したのは今回の依頼人だったらしく、彼は驚いた表情を浮かべながら二人の元に近づき、じろじろと様子を伺い、ガジは髭を撫でながら驚いた表情を浮かべる。
「ふむ、確かに噂通りの容姿だな。男の癖に女みたい綺麗な顔立ちをしてやがる」
「え、噂になってるんですか?」
「そりゃそうだ。帝国最強の魔術師の噂を知らねえ奴なんていねえよ。だが、それなら話は早い。今回の依頼の事を話し合おうじゃねえか」
「その前にこれの事を何か知っているなら説明してくださいよ。どうしてこんな辺鄙な場所に水属性の魔水晶があるんですか?」
「ああ、もう見ちまったのか……そうだな、こいつの事を先に話すか」
ガジは頭を掻きながら岩壁に近づき、壁に埋め込まれている魔水晶を叩きながら二人に振り返り、まずは彼がどうしてこの洞窟に住み始めた切っ掛けを話しはじめる――
「う~んっ……依頼書によるとこの洞窟の中に住んでいるそうですけど」
「本当に洞窟だな……なんか、熊とか住んでそう」
「熊程度ならルノさんなら何とかできるでしょう」
「ブモォッ」
依頼書には岩山の地図も描かれており、ルノ達は洞窟の前に辿り着く。奥が見えない程に暗く、人間よりも魔物が住んでそうな雰囲気だが、一応は確認のために中に入る。
「ミノはここに残っててよ。馬車を守っていてね」
「ブモッ」
「ランタンを用意するのも面倒ですし、光球の魔法で照らしながら進みましょう」
二人は光球の魔法を使用して洞窟を照らしながら移動するが、奥に進むと分かれ道が存在し、どちらに進むのか悩む。
「どっちに行けばいいんだろう?」
「依頼書にはこの洞窟の地図は記されていないですね。仕方ありません、ここは地図製作の能力を使用しましょう」
「確か今まで移動した場所の地図を記録するスキルだっけ?」
「そうですよ。他の人には見えませんけど、ステータス画面を開けば地図が表示されます」
リーリスは多彩なスキルを所持しており、その中の一つである「地図製作」を発動して移動を行う。この能力は地図を記すだけなので発動するだけでは洞窟全体が表示されるわけではない。リーリスは移動した分の地図を記録しながら適当に道を進み、ルノも後に続く。
「結構奥まで進むね」
「心なしか、だんだんと寒くなってきましたね……」
「言われてみれば確かに……」
洞窟を進むと何故か温度が下がったように冷え込み、吐く息さえも白くなる。異様な寒さにルノは疑問を抱きながらも火球の魔法を発動させて暖を取り、周囲に警戒しながら進むと壁から青色の光が漏れ出ている事に気付く。
「あれ、何か光ってない?」
「本当ですね。なんでしょうか……え、嘘っ!?これ、魔石ですよ!!」
「そうなの?」
岩壁を光球で照らした瞬間、青色に光り輝く水晶が露出している事が発覚し、リーリスは驚いた表情を浮かべながら水晶を確認して本物である事を見抜く。
「信じられない……しかも只の魔石じゃありません。純度が高い魔水晶ですよ!!だけど、どうしてこんな場所に水属性の魔水晶が……」
「そんなにおかしい事なの?」
「当たり前じゃないですか!!こんな火山でもないどこにでもありそうな岩山から発掘されるのは土属性の魔石ぐらいですよ!!基本的に水属性の魔石なんて大きな湖や海ぐらいでしか採掘されません!!しかも魔水晶なんてそれこそ海底にまで移動しないと取れませんよ!!」
「え?それならどうしてこんな場所に……」
リーリスの説明を聞きながらルノは不思議そうに壁に埋まっている魔水晶に視線を向け、無意識に手を伸ばす。その瞬間、何故か彼が特別な動作をしたわけでもないのに魔水晶が光り輝き、慌てて手を引っ込める。
「え?今、なんかこの水晶が輝かなかった?」
「ちょ、止めて下さいよ!?ただでさえ馬鹿げたルノさんの魔力で魔水晶が暴発したらどうするんですか!!確実に死にますよ!!私だけがっ(重要)!!」
「ごめんって……」
特に魔法を発動させたわけでもないのに魔水晶が反応した事にルノは疑問を抱き、リーリスは興味深そうに魔水晶を覗き込んでいると、後方の通路から男性の声が響き渡る。
「お前ら!!そこで何をしている!!」
「えっ?」
「……小髭族?」
二人は振り返るとそこには巨大な鉄槌を背負った身長が異様に低い男性が存在し、顔面が髭で覆い隠されていた。リーリスは相手が小髭族だと悟ると、依頼書を取り出し、名前を尋ねた。
「すいませ~ん。貴方がS級冒険者で鍛冶職人のガジさんですか?」
「確かに儂はガジだが……お前達は何者だ!!」
「この人が貴方の依頼を引き受けたルノさんですよ~」
「あ、初めまして」
「何っ!?その小僧が!?」
姿を現したのは今回の依頼人だったらしく、彼は驚いた表情を浮かべながら二人の元に近づき、じろじろと様子を伺い、ガジは髭を撫でながら驚いた表情を浮かべる。
「ふむ、確かに噂通りの容姿だな。男の癖に女みたい綺麗な顔立ちをしてやがる」
「え、噂になってるんですか?」
「そりゃそうだ。帝国最強の魔術師の噂を知らねえ奴なんていねえよ。だが、それなら話は早い。今回の依頼の事を話し合おうじゃねえか」
「その前にこれの事を何か知っているなら説明してくださいよ。どうしてこんな辺鄙な場所に水属性の魔水晶があるんですか?」
「ああ、もう見ちまったのか……そうだな、こいつの事を先に話すか」
ガジは頭を掻きながら岩壁に近づき、壁に埋め込まれている魔水晶を叩きながら二人に振り返り、まずは彼がどうしてこの洞窟に住み始めた切っ掛けを話しはじめる――
0
お気に入りに追加
11,318
あなたにおすすめの小説
食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
断腸の思いで王家に差し出した孫娘が婚約破棄されて帰ってきた
兎屋亀吉
恋愛
ある日王家主催のパーティに行くといって出かけた孫娘のエリカが泣きながら帰ってきた。買ったばかりのドレスは真っ赤なワインで汚され、左頬は腫れていた。話を聞くと王子に婚約を破棄され、取り巻きたちに酷いことをされたという。許せん。戦じゃ。この命燃え尽きようとも、必ずや王家を滅ぼしてみせようぞ。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
「守ることしかできない魔法は不要だ」と追放された結界師は幼なじみと共に最強になる~今更俺の結界が必要だと土下座したところでもう遅い~
平山和人
ファンタジー
主人公のカイトは、王太子率いる勇者パーティーの一員として参加していた。しかし、王太子は彼の力を過小評価し、「結界魔法しか使えない欠陥品」と罵って、宮廷魔導師の資格を剥奪し、国外追放を命じる。
途方に暮れるリクを救ったのは、同じ孤児院出身の幼馴染のフィーナだった。フィーナは「あなたが国を出るなら、私もついていきます」と決意し、カイトとともに故郷を後にする。
ところが、カイトが以前に張り巡らせていた強力な結界が解けたことで、国は大混乱に陥る。国民たちは、失われた最強の結界師であるカイトの力を必死に求めてやってくるようになる。
そんな中、弱体化した王太子がついにカイトの元に土下座して謝罪してくるが、カイトは申し出を断り、フレアと共に新天地で新しい人生を切り開くことを決意する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。