力も魔法も半人前、なら二つ合わせれば一人前ですよね?

カタナヅキ

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ゴノ闘技場編

カジノの主

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「アリスラちゃ~ん、ちょっと待ってくれるぅっ?」
「っ……この声は、カトレアさん!?」
「えっ!?カトレア?」
「カトレア!?」


レノ達は天井を見上げると、そこにはシャンデリアの腕に座り込む女性が存在した。その人物は先ほどバニーガールの格好で試合の選手に指示を出していた人物で間違いなく、試合の時とは雰囲気が変化していた。

女性の姿を確認した者達は焦った表情を浮かべ、アリスラでさえも冷や汗を流す。一方でレノはカトレアという名前を聞いて黒狼の幹部であり、一人だけ逃げ遂せた「カトレア」という名前の吸血鬼の事を思い出す。


「カトレア……まさか、黒狼の幹部の!?」
「久しぶりね~坊や、それにそっちのお嬢ちゃんも元気そうで何よりだわ~」
「カトレアさん、この二人はお知り合いなんですか?」


カトレアはレノとドリスに気付くと朗らかに笑みを浮かべ、その様子を見てアリスラは驚いた表情を浮かべる。一方でレノ達も状況を理解できず、どうしてこの場にカトレアがいるのかと戸惑う。


「ん~……知り合いといえば知り合いだけど、別に仲が良かったわけじゃないから気にしなくていいわよ~」
「そ、そうなんですか?」
「但し、二人とも可愛いからどっちも殺したら駄目よぉっ?どっちも生け捕りにして私の新しい玩具として可愛がってあげるわ~」
「何を勝手な……きゃっ!?」


ドリスはカトレアの言い分に怒りを抱くが、シャンデリアからカトレアは飛び降りると、アリスラの背後へと降りたつ。アリスラは驚いて振り返ると、彼女に対してカトレアは耳元で囁き、次の瞬間にアリスラは顔色を青ざめる。


「アリスラちゃん、頼んだわよ……失敗したら、後でちょっときついお仕置きだから」
「……は、はい、任せてください」
「うん、いい子ね。じゃあ、もしもの時はこれを使いなさい。大丈夫、壊れたりしないように上手く調整して作った薬だから」


カトレアはアリスラに薬瓶を渡すと、それを見たアリスラは冷や汗を流し、そんな彼女にカトレアは軽く肩を叩く。最後にカトレアはレノとドリスに掌を振って近くの椅子に座り込む。

試合場の時にカトレアに気付かなかったのは雰囲気が異なり、観察能力に長けているレノでさえも気づけなかった。だが、カトレアは自らが動くつもりはないのか椅子に座り込み、様子を伺う。


「くっ……あんた達もとんでもない人に目を付けられたね。だけど、こっちも失敗は許されないんだ……行くよ!!」


アリスラは薬瓶を取り出すと、その中身を一気に飲み込む。それを見たレノとドリスは身構えると、薬瓶が床に落ちてアリスラの身体に異変が生じる。


「ううっ……がぁあああっ!!」
「な、何ですの!?」
「まさか……!?」


薬を飲んだ瞬間にアリスラは獣のような咆哮を放ち、髪の毛を逆立たせて瞳に怪しい光が灯る。その様子を見てただ事ではないと悟ったレノはドリスを庇うように前に出ると、躊躇せずにアリスラに魔法剣を発動させた。


「嵐刃!!」
「ぐううっ……があっ!!」


レノがカトレアに向けて刃を振り抜くと、三日月状の風の刃が接近してアリスラに襲い掛かろうとした。だが、それに対してアリスラは両手に握りしめた双剣を振り払うと、驚くべきごとに力ずくで風の刃を斬り裂く。

単純な力技でレノの嵐刃を打ち破った者は存在せず、双剣で斬り裂かれた風の魔力が周囲にかまいたちのように広がり、兵士達は傷を負う。


「ぎゃあっ!?」
「いでぇっ!?」
「な、何だっ!?」
「そんな、魔法剣を破るなんてあり得ませんわ!?」
「嘘だろ……」
「ふううっ……うがぁっ!!」


嵐刃を力ずくで打ち破ったアリスラは両手の剣を逆手に持ち帰ると、レノとドリスの元に目掛けて突っ込む。それに対してレノとドリスは咄嗟に避けようとしたが、アリスラの動きが早過ぎて回避が間に合わずに剣で受けるしかなかった。


「うわっ!?」
「きゃあっ!?」


金属音が鳴り響き、突っ込んできたアリスラの双剣を防ぐ事が精いっぱいだったレノとドリスは左右に吹き飛ばされ、ドリスは後方に存在した机に突っ込んで倒れ込む。一方でレノはどうにか踏み止まるが、既にアリスラは次の攻撃に移ろうとしていた。


「がああっ!!」
「くぅっ!?」


双剣を抱えたアリスラが飛び掛かり、レノへ向けて刃を振り下ろす。その攻撃に対してレノは荒正で防ぐ事には成功したが、力が強すぎて膝を崩してしまい、上から押し付けられる。

このままではアリスラに斬られると判断したレノは完全に押し切られる前に両足に魔力を送り込み、瞬脚を発動させて後ろへ飛び込む。


「このっ!!」
「がうっ!?」


足の裏から風の魔力を噴き出して後方へ跳躍したレノは体勢を立て直そうとすると、アリスラの方は剣を持ち直して今度は両手を突き出して突進してきた。
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