189 / 215
ゴノ闘技場編
カジノの主
しおりを挟む
「アリスラちゃ~ん、ちょっと待ってくれるぅっ?」
「っ……この声は、カトレアさん!?」
「えっ!?カトレア?」
「カトレア!?」
レノ達は天井を見上げると、そこにはシャンデリアの腕に座り込む女性が存在した。その人物は先ほどバニーガールの格好で試合の選手に指示を出していた人物で間違いなく、試合の時とは雰囲気が変化していた。
女性の姿を確認した者達は焦った表情を浮かべ、アリスラでさえも冷や汗を流す。一方でレノはカトレアという名前を聞いて黒狼の幹部であり、一人だけ逃げ遂せた「カトレア」という名前の吸血鬼の事を思い出す。
「カトレア……まさか、黒狼の幹部の!?」
「久しぶりね~坊や、それにそっちのお嬢ちゃんも元気そうで何よりだわ~」
「カトレアさん、この二人はお知り合いなんですか?」
カトレアはレノとドリスに気付くと朗らかに笑みを浮かべ、その様子を見てアリスラは驚いた表情を浮かべる。一方でレノ達も状況を理解できず、どうしてこの場にカトレアがいるのかと戸惑う。
「ん~……知り合いといえば知り合いだけど、別に仲が良かったわけじゃないから気にしなくていいわよ~」
「そ、そうなんですか?」
「但し、二人とも可愛いからどっちも殺したら駄目よぉっ?どっちも生け捕りにして私の新しい玩具として可愛がってあげるわ~」
「何を勝手な……きゃっ!?」
ドリスはカトレアの言い分に怒りを抱くが、シャンデリアからカトレアは飛び降りると、アリスラの背後へと降りたつ。アリスラは驚いて振り返ると、彼女に対してカトレアは耳元で囁き、次の瞬間にアリスラは顔色を青ざめる。
「アリスラちゃん、頼んだわよ……失敗したら、後でちょっときついお仕置きだから」
「……は、はい、任せてください」
「うん、いい子ね。じゃあ、もしもの時はこれを使いなさい。大丈夫、壊れたりしないように上手く調整して作った薬だから」
カトレアはアリスラに薬瓶を渡すと、それを見たアリスラは冷や汗を流し、そんな彼女にカトレアは軽く肩を叩く。最後にカトレアはレノとドリスに掌を振って近くの椅子に座り込む。
試合場の時にカトレアに気付かなかったのは雰囲気が異なり、観察能力に長けているレノでさえも気づけなかった。だが、カトレアは自らが動くつもりはないのか椅子に座り込み、様子を伺う。
「くっ……あんた達もとんでもない人に目を付けられたね。だけど、こっちも失敗は許されないんだ……行くよ!!」
アリスラは薬瓶を取り出すと、その中身を一気に飲み込む。それを見たレノとドリスは身構えると、薬瓶が床に落ちてアリスラの身体に異変が生じる。
「ううっ……がぁあああっ!!」
「な、何ですの!?」
「まさか……!?」
薬を飲んだ瞬間にアリスラは獣のような咆哮を放ち、髪の毛を逆立たせて瞳に怪しい光が灯る。その様子を見てただ事ではないと悟ったレノはドリスを庇うように前に出ると、躊躇せずにアリスラに魔法剣を発動させた。
「嵐刃!!」
「ぐううっ……があっ!!」
レノがカトレアに向けて刃を振り抜くと、三日月状の風の刃が接近してアリスラに襲い掛かろうとした。だが、それに対してアリスラは両手に握りしめた双剣を振り払うと、驚くべきごとに力ずくで風の刃を斬り裂く。
単純な力技でレノの嵐刃を打ち破った者は存在せず、双剣で斬り裂かれた風の魔力が周囲にかまいたちのように広がり、兵士達は傷を負う。
「ぎゃあっ!?」
「いでぇっ!?」
「な、何だっ!?」
「そんな、魔法剣を破るなんてあり得ませんわ!?」
「嘘だろ……」
「ふううっ……うがぁっ!!」
嵐刃を力ずくで打ち破ったアリスラは両手の剣を逆手に持ち帰ると、レノとドリスの元に目掛けて突っ込む。それに対してレノとドリスは咄嗟に避けようとしたが、アリスラの動きが早過ぎて回避が間に合わずに剣で受けるしかなかった。
「うわっ!?」
「きゃあっ!?」
金属音が鳴り響き、突っ込んできたアリスラの双剣を防ぐ事が精いっぱいだったレノとドリスは左右に吹き飛ばされ、ドリスは後方に存在した机に突っ込んで倒れ込む。一方でレノはどうにか踏み止まるが、既にアリスラは次の攻撃に移ろうとしていた。
「がああっ!!」
「くぅっ!?」
双剣を抱えたアリスラが飛び掛かり、レノへ向けて刃を振り下ろす。その攻撃に対してレノは荒正で防ぐ事には成功したが、力が強すぎて膝を崩してしまい、上から押し付けられる。
このままではアリスラに斬られると判断したレノは完全に押し切られる前に両足に魔力を送り込み、瞬脚を発動させて後ろへ飛び込む。
「このっ!!」
「がうっ!?」
足の裏から風の魔力を噴き出して後方へ跳躍したレノは体勢を立て直そうとすると、アリスラの方は剣を持ち直して今度は両手を突き出して突進してきた。
「っ……この声は、カトレアさん!?」
「えっ!?カトレア?」
「カトレア!?」
レノ達は天井を見上げると、そこにはシャンデリアの腕に座り込む女性が存在した。その人物は先ほどバニーガールの格好で試合の選手に指示を出していた人物で間違いなく、試合の時とは雰囲気が変化していた。
女性の姿を確認した者達は焦った表情を浮かべ、アリスラでさえも冷や汗を流す。一方でレノはカトレアという名前を聞いて黒狼の幹部であり、一人だけ逃げ遂せた「カトレア」という名前の吸血鬼の事を思い出す。
「カトレア……まさか、黒狼の幹部の!?」
「久しぶりね~坊や、それにそっちのお嬢ちゃんも元気そうで何よりだわ~」
「カトレアさん、この二人はお知り合いなんですか?」
カトレアはレノとドリスに気付くと朗らかに笑みを浮かべ、その様子を見てアリスラは驚いた表情を浮かべる。一方でレノ達も状況を理解できず、どうしてこの場にカトレアがいるのかと戸惑う。
「ん~……知り合いといえば知り合いだけど、別に仲が良かったわけじゃないから気にしなくていいわよ~」
「そ、そうなんですか?」
「但し、二人とも可愛いからどっちも殺したら駄目よぉっ?どっちも生け捕りにして私の新しい玩具として可愛がってあげるわ~」
「何を勝手な……きゃっ!?」
ドリスはカトレアの言い分に怒りを抱くが、シャンデリアからカトレアは飛び降りると、アリスラの背後へと降りたつ。アリスラは驚いて振り返ると、彼女に対してカトレアは耳元で囁き、次の瞬間にアリスラは顔色を青ざめる。
「アリスラちゃん、頼んだわよ……失敗したら、後でちょっときついお仕置きだから」
「……は、はい、任せてください」
「うん、いい子ね。じゃあ、もしもの時はこれを使いなさい。大丈夫、壊れたりしないように上手く調整して作った薬だから」
カトレアはアリスラに薬瓶を渡すと、それを見たアリスラは冷や汗を流し、そんな彼女にカトレアは軽く肩を叩く。最後にカトレアはレノとドリスに掌を振って近くの椅子に座り込む。
試合場の時にカトレアに気付かなかったのは雰囲気が異なり、観察能力に長けているレノでさえも気づけなかった。だが、カトレアは自らが動くつもりはないのか椅子に座り込み、様子を伺う。
「くっ……あんた達もとんでもない人に目を付けられたね。だけど、こっちも失敗は許されないんだ……行くよ!!」
アリスラは薬瓶を取り出すと、その中身を一気に飲み込む。それを見たレノとドリスは身構えると、薬瓶が床に落ちてアリスラの身体に異変が生じる。
「ううっ……がぁあああっ!!」
「な、何ですの!?」
「まさか……!?」
薬を飲んだ瞬間にアリスラは獣のような咆哮を放ち、髪の毛を逆立たせて瞳に怪しい光が灯る。その様子を見てただ事ではないと悟ったレノはドリスを庇うように前に出ると、躊躇せずにアリスラに魔法剣を発動させた。
「嵐刃!!」
「ぐううっ……があっ!!」
レノがカトレアに向けて刃を振り抜くと、三日月状の風の刃が接近してアリスラに襲い掛かろうとした。だが、それに対してアリスラは両手に握りしめた双剣を振り払うと、驚くべきごとに力ずくで風の刃を斬り裂く。
単純な力技でレノの嵐刃を打ち破った者は存在せず、双剣で斬り裂かれた風の魔力が周囲にかまいたちのように広がり、兵士達は傷を負う。
「ぎゃあっ!?」
「いでぇっ!?」
「な、何だっ!?」
「そんな、魔法剣を破るなんてあり得ませんわ!?」
「嘘だろ……」
「ふううっ……うがぁっ!!」
嵐刃を力ずくで打ち破ったアリスラは両手の剣を逆手に持ち帰ると、レノとドリスの元に目掛けて突っ込む。それに対してレノとドリスは咄嗟に避けようとしたが、アリスラの動きが早過ぎて回避が間に合わずに剣で受けるしかなかった。
「うわっ!?」
「きゃあっ!?」
金属音が鳴り響き、突っ込んできたアリスラの双剣を防ぐ事が精いっぱいだったレノとドリスは左右に吹き飛ばされ、ドリスは後方に存在した机に突っ込んで倒れ込む。一方でレノはどうにか踏み止まるが、既にアリスラは次の攻撃に移ろうとしていた。
「がああっ!!」
「くぅっ!?」
双剣を抱えたアリスラが飛び掛かり、レノへ向けて刃を振り下ろす。その攻撃に対してレノは荒正で防ぐ事には成功したが、力が強すぎて膝を崩してしまい、上から押し付けられる。
このままではアリスラに斬られると判断したレノは完全に押し切られる前に両足に魔力を送り込み、瞬脚を発動させて後ろへ飛び込む。
「このっ!!」
「がうっ!?」
足の裏から風の魔力を噴き出して後方へ跳躍したレノは体勢を立て直そうとすると、アリスラの方は剣を持ち直して今度は両手を突き出して突進してきた。
0
お気に入りに追加
659
あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
悠久のクシナダヒメ 「日本最古の異世界物語」 第一部
Hiroko
ファンタジー
異世界に行けると噂の踏切。
僕と友人の美津子が行きついた世界は、八岐大蛇(やまたのおろち)が退治されずに生き残る、奈良時代の日本だった。
現在と過去、現実と神話の世界が入り混じる和の異世界へ。
流行りの異世界物を私も書いてみよう!
と言うことで書き始めましたが、どうしようかなあ。
まだ書き始めたばかりで、この先どうなるかわかりません。
私が書くと、どうしてもホラーっぽくなっちゃうんですよね。
なんとかなりませんか?
題名とかいろいろ模索中です。
なかなかしっくりした題名を思いつきません。
気分次第でやめちゃうかもです。
その時はごめんなさい。
更新、不定期です。

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる