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ゴノ闘技場編
鋼腕のゲイツ
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「ぶっ飛べっ!!」
「くぅっ!?」
ゲイツは机に隠れてレノに接近すると、拳を振りかざす。その攻撃に対してレノは剣を構えて受け止めようとしたが、予想以上に攻撃が重くて後退する。刃と義手が重なり合い、お互いが押し合う。
「ほう、中々良い剣を使っているな……思い出した、こいつはあの男の剣だな!?」
「そう、だよ!!」
刃で自分の拳を受け止めた事にゲイツは感心するが、すぐにレノが身に付けている剣の正体がロイが使用していた物だと知って驚いた表情を浮かべる。そんな彼にレノは片手に風の魔力を込めると、掌底を放つ。
「吹き飛べっ!!」
「ぐうっ!?」
「な、何だ!?何をしたんだ!?」
「今のは……戦技、なのか!?」
レノが左手を突き出すとゲイツの身体に強烈な風圧が襲い掛かり、堪え切れずにゲイツは後退る。その様子を見ていた他の人間達はレノが掌底を繰り出しただけでゲイツの身体を吹き飛ばしたようにしか見えなかった。
巨人殺しの剣聖の弟子という事で兵士達はレノの正体が剣士だと思い込んでいたが、実際の所はレノは只の剣士ではなくて魔法剣士である。ゲイツは自分が後ろへ押し返された事に戸惑うが、すぐに気を取り直して拳を構えた。
「ちっ……そう言えば情報によると魔法剣の使い手と言っていたな。だが、今の衝撃は風属性の魔法だな?なら、俺には絶対に勝てん!!」
「うわっ!?」
ゲイツは更に義手に纏わせた炎を強めると、レノに対して拳を突き出す。その攻撃に対してレノは最初は避けようとしたが、回避する際に義手から火の粉が放たれて身体を焼こうとする。
「あちちっ!?」
「どうだ、俺の義手の力は!!こいつがあれば巨人殺しにも負ける事はなかったんだ!!」
炎を纏った義手に近寄るだけで火の粉と熱気が襲い掛かり、気を付けなければ身体に炎が燃え広がる。それを理解したレノは荒正を構えると、まずは厄介な義手をどうにかするために攻撃を仕掛けた。
「兜斬り!!」
「ぬうっ!?」
風の魔力を剣先に集中させ、一気に後方へ放出させる事で加速した一撃を繰り出す。上段から勢いよく振り落とされた刃に対してゲイツは義手で受け止めるが、予想以上の威力に膝を崩す。
「うおおっ!?」
「はぁあああっ!!」
「げ、ゲイツさん!?」
「まずい、斬られるぞ!!助けるんだ!!」
義手を切断する勢いでレノは風の魔力を剣先から放出させ、力を込める。相手が子供だと思って油断していたゲイツは想像以上の力に徐々に追い込まれ、義手を左手で支えた状態で身体を押し込まれる。
このままではゲイツが危険だと判断した兵士達は動き出そうとした時、ここで何者かが近付く足音が鳴り響き、真紅の刃が兵士達へと襲い掛かった。
「邪魔はさせませんわ!!」
「うぎゃあっ!?」
「な、何だぁっ!?」
「お、女っ!?」
「ドリス!?」
レノは先に扉の奥へ向かったと思われるドリスが現れた事に驚き、彼女は兵士達を蹴散らしてゲイツを追い詰めるレノの邪魔をさせないようにした。
「レノさん、話は後ですわ!!今はその男を倒す事に集中して下さい!!」
「……分かった!!」
「ぐうっ!!調子に乗るなよ、ガキがぁっ!!」
両腕を使用して刃を防いだ状態でありながらもゲイツは諦めず、怒りの咆哮を上げて義手に取り付けた火属性の魔石を光り輝かせ、義手に纏う炎を強化させる。
「喰らえっ!!」
「うわっ!?」
「レノさん!?」
一気に義手の炎が燃え広がった事でレノは炎に襲われる前に離れようとしたが、即座にゲイツは義手を伸ばしてレノの剣を握りしめる。彼は汗を流しながらも笑みを浮かべ、刃を掴まれたレノに左拳を握りしめた。
「これで終わりだ、ガキがぁっ!!」
「ああ、終わりだっ!!」
しかし、刃を掴まれた状態でレノは一気に風の魔力を送り込み、ゲイツの義手に纏う炎を逆に吸収して刃に纏う。その様子を見てゲイツは目を見開き、一方でドリスは過去にレノが自分の爆炎剣の炎を吸収した事を思い出す。
火属性の魔力は風属性の魔力を吸収する性質を持つが、レノの場合は逆に火属性の魔力を取り込み、自分の攻撃に利用する術を身に付けていた。非常に高度な魔力操作の技術がなければ出来ない芸当であり、ゲイツの義手が纏っていた火属性の魔力を取り込んだ事で荒正の刃は炎が纏う。
「はぁあああっ!?」
「なっ!?ば、馬鹿な……あちぃっ!?」
「ゲイツさん!?」
刃に纏った炎が風属性の魔力で更に強まると、今度はゲイツの方が熱気に襲われて悲鳴を上げ、そんな彼に対してレノは刃を振りかざす。
「火炎剣!!」
「うぎゃあああっ!?」
義手に再び強烈な一撃が叩き込まれ、刃に纏った炎が襲い掛かる。ゲイツは悲鳴を上げて義手を取りつけている金具を取り外すと、地面へと落とす。この際に義手の内部から彼の「右腕」が出現すると、レノは義手だと思われていたのが実は只の腕鉄甲だと知る。
「くぅっ!?」
ゲイツは机に隠れてレノに接近すると、拳を振りかざす。その攻撃に対してレノは剣を構えて受け止めようとしたが、予想以上に攻撃が重くて後退する。刃と義手が重なり合い、お互いが押し合う。
「ほう、中々良い剣を使っているな……思い出した、こいつはあの男の剣だな!?」
「そう、だよ!!」
刃で自分の拳を受け止めた事にゲイツは感心するが、すぐにレノが身に付けている剣の正体がロイが使用していた物だと知って驚いた表情を浮かべる。そんな彼にレノは片手に風の魔力を込めると、掌底を放つ。
「吹き飛べっ!!」
「ぐうっ!?」
「な、何だ!?何をしたんだ!?」
「今のは……戦技、なのか!?」
レノが左手を突き出すとゲイツの身体に強烈な風圧が襲い掛かり、堪え切れずにゲイツは後退る。その様子を見ていた他の人間達はレノが掌底を繰り出しただけでゲイツの身体を吹き飛ばしたようにしか見えなかった。
巨人殺しの剣聖の弟子という事で兵士達はレノの正体が剣士だと思い込んでいたが、実際の所はレノは只の剣士ではなくて魔法剣士である。ゲイツは自分が後ろへ押し返された事に戸惑うが、すぐに気を取り直して拳を構えた。
「ちっ……そう言えば情報によると魔法剣の使い手と言っていたな。だが、今の衝撃は風属性の魔法だな?なら、俺には絶対に勝てん!!」
「うわっ!?」
ゲイツは更に義手に纏わせた炎を強めると、レノに対して拳を突き出す。その攻撃に対してレノは最初は避けようとしたが、回避する際に義手から火の粉が放たれて身体を焼こうとする。
「あちちっ!?」
「どうだ、俺の義手の力は!!こいつがあれば巨人殺しにも負ける事はなかったんだ!!」
炎を纏った義手に近寄るだけで火の粉と熱気が襲い掛かり、気を付けなければ身体に炎が燃え広がる。それを理解したレノは荒正を構えると、まずは厄介な義手をどうにかするために攻撃を仕掛けた。
「兜斬り!!」
「ぬうっ!?」
風の魔力を剣先に集中させ、一気に後方へ放出させる事で加速した一撃を繰り出す。上段から勢いよく振り落とされた刃に対してゲイツは義手で受け止めるが、予想以上の威力に膝を崩す。
「うおおっ!?」
「はぁあああっ!!」
「げ、ゲイツさん!?」
「まずい、斬られるぞ!!助けるんだ!!」
義手を切断する勢いでレノは風の魔力を剣先から放出させ、力を込める。相手が子供だと思って油断していたゲイツは想像以上の力に徐々に追い込まれ、義手を左手で支えた状態で身体を押し込まれる。
このままではゲイツが危険だと判断した兵士達は動き出そうとした時、ここで何者かが近付く足音が鳴り響き、真紅の刃が兵士達へと襲い掛かった。
「邪魔はさせませんわ!!」
「うぎゃあっ!?」
「な、何だぁっ!?」
「お、女っ!?」
「ドリス!?」
レノは先に扉の奥へ向かったと思われるドリスが現れた事に驚き、彼女は兵士達を蹴散らしてゲイツを追い詰めるレノの邪魔をさせないようにした。
「レノさん、話は後ですわ!!今はその男を倒す事に集中して下さい!!」
「……分かった!!」
「ぐうっ!!調子に乗るなよ、ガキがぁっ!!」
両腕を使用して刃を防いだ状態でありながらもゲイツは諦めず、怒りの咆哮を上げて義手に取り付けた火属性の魔石を光り輝かせ、義手に纏う炎を強化させる。
「喰らえっ!!」
「うわっ!?」
「レノさん!?」
一気に義手の炎が燃え広がった事でレノは炎に襲われる前に離れようとしたが、即座にゲイツは義手を伸ばしてレノの剣を握りしめる。彼は汗を流しながらも笑みを浮かべ、刃を掴まれたレノに左拳を握りしめた。
「これで終わりだ、ガキがぁっ!!」
「ああ、終わりだっ!!」
しかし、刃を掴まれた状態でレノは一気に風の魔力を送り込み、ゲイツの義手に纏う炎を逆に吸収して刃に纏う。その様子を見てゲイツは目を見開き、一方でドリスは過去にレノが自分の爆炎剣の炎を吸収した事を思い出す。
火属性の魔力は風属性の魔力を吸収する性質を持つが、レノの場合は逆に火属性の魔力を取り込み、自分の攻撃に利用する術を身に付けていた。非常に高度な魔力操作の技術がなければ出来ない芸当であり、ゲイツの義手が纏っていた火属性の魔力を取り込んだ事で荒正の刃は炎が纏う。
「はぁあああっ!?」
「なっ!?ば、馬鹿な……あちぃっ!?」
「ゲイツさん!?」
刃に纏った炎が風属性の魔力で更に強まると、今度はゲイツの方が熱気に襲われて悲鳴を上げ、そんな彼に対してレノは刃を振りかざす。
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義手に再び強烈な一撃が叩き込まれ、刃に纏った炎が襲い掛かる。ゲイツは悲鳴を上げて義手を取りつけている金具を取り外すと、地面へと落とす。この際に義手の内部から彼の「右腕」が出現すると、レノは義手だと思われていたのが実は只の腕鉄甲だと知る。
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