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ゴノ闘技場編
見捨てられない
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(まずい!?このままだとリボンが……)
黒蛇がリボンに接近する姿を見てレノは見捨てることが出来ず、自分の着ていた服に手を伸ばすと、その場で脱ぎ捨てる。メイド服の下には動きやすいように男性服も着込んでおり、収納鞄に手を伸ばすと荒正を引き抜く。
「ごめん、二人とも……俺に構わずに先に行って!!」
「えっ、レノさん!?」
「わっ!?」
レノは収納鞄をネココに投げ渡すと、騒動が起きている場所へと向かい、瞬脚を発動させて一気に飛び上がる。この時にリボンを捕まえようとした兵士達を飛び越え、今正にリボンに噛みつこうとしていた黒蛇達に目掛けて刃を振り下ろす。
「嵐斧!!」
『シャアアッ!?』
「チュイッ!?」
一刀で黒蛇達の頭を切り裂くと、レノはリボンの前に着地する。その光景に兵士と傭兵は呆気に取られるが、その間にレノはリボンを胸元の方へと移動させて隠れているように促す。
「ありがとう、リボン……ここに隠れてて」
「チュチュッ……」
「な、何だお前は!?」
「いったい何のつもりだ!!」
「まさか、そのネズミはお前が放ったのか!?」
唐突に現れたレノに対して兵士達は武器を構え、傭兵も取り囲む。この際に傭兵の一人がレノの顔を見て思い出したように告げる。
「こ、こいつ……標的だぞ!!牙狼団の仕事を邪魔をした奴だ!!」
「何だと!?」
「……俺の事を知っているという事はやっぱりあんたらが蝙蝠か」
レノは傭兵の顔に見覚えがあり、散々街中を追い掛け回した連中の一人だと見抜く。ここに蝙蝠に所属する傭兵がいる以上はこのカジノが蝙蝠の本拠地である事が確定し、ネズミ婆さんの情報が正しかったことが実証される。
改めてレノは荒正を構えると、兵士達は緊張した面持ちで取り囲む。そんな中、鋼の義手を持つ男が前に出てきた。ネココの相棒でもあったアリスラさえも退けた事がある傭兵であり、1年前に引退したが「鋼腕のゲイツ」と恐れられた男がレノの前に立つ。
「お前達は下がっていろ、この小僧……只者じゃない」
「げ、ゲイツさん……!!」
「ここで殺したらまずいですよ!!」
「大丈夫だ、もう客はいない……遠慮する必要はない」
ゲイツの言葉にいつの間にかネズミが現れた騒動で客が全員立ち去った事にレノは気づき、これで敵は他の者の目を気にする必要はなくなった。ゲイツは義手を指を動かし、拳の形へと変化させるとレノに告げる。
「お前の事は色々と調べさせてもらったぞ、巨人殺しの剣聖の弟子。まさかこんな所で伝説の傭兵の弟子と会えるとはな。良い事を教えてやろうか?この俺の腕はな、お前の師匠に切り落とされたんだ」
「えっ!?」
「あ、あの伝説の傭兵に!?」
「知らなかった……」
ゲイツの言葉に周囲の者達は冷や汗を流し、傭兵の間では巨人殺しの剣聖は有名な存在だった。ゲイツは義手を見つめながら過去を思い出すように語りかけた。
「あの時の事を思い出すと、今でも身体が震える。俺とお前の祖父は戦場で殺し合い、俺は右腕を斬られたが奴を殴り飛ばしてやった。あと少しで勝てる所で奴の援軍が到着しなければ俺は奴の息の根を確実に止めていた」
「す、凄い……あの伝説の傭兵を追い詰めたんですか!?」
「ゲイツさん、やっぱり凄い人だったんだな……!!」
兵士や傭兵はゲイツの言葉を聞いて驚愕を隠せず、尊敬と畏怖を含めた視線を向ける。その一方でレノの方は自分の師であるロイを追い詰めたという話を聞かされ、眉をしかめる。
「奴はまだ生きているのか?最近は全く姿を見せなくなったからな、当の昔に殺されたかあるいは隠居したと思っていたがな」
「……そんな事を聞いてどうするんだ?」
「無論、決まっているだろう。この右腕の借りを返す、お前を痛めつけても奴の居場所を吐かせて殺してやる!!」
ゲイツは右腕の義手を構えると、義手に取り付けていた火属性の魔石を見せつけ、拳を握りしめた状態で近くの柱に殴りつけると義手全体に炎が纏う。その様子を見てレノはネココの言う通りにゲイツの右腕が魔道具の一種だと知った。
右腕の義手に炎を纏ったゲイツは笑みを浮かべると、レノは荒正を構えてまずは動きやすい場所を確保するため、移動を行う。その後にゲイツも続き、二人は周囲に障害物が少ない場所に辿り着く。
「お前達はそこで見ていろ!!このガキは俺が相手をしてやる!!」
「は、はい!!」
「そいつは標的対象です!!殺しちゃっても問題ないですよ!!」
「馬鹿野郎、それだと剣聖の居場所を吐かせられないだろうが!!」
兵士達はゲイツの言葉を聞いてレノが逃げられないように周囲を取り囲み、一定の距離を保つ。これで退路を断たれたレノは自分の師であるロイを追い詰めたというゲイツと向かい合う。ゲイツは右腕を振り回すと、彼は近くの机に左手を伸ばす。
「まずは小手調べだ!!」
「くっ!?」
机を掴んだゲイツは馬鹿力でレノへ向けて放り込むと、その机に対してレノは荒正を構えて振り抜く。風属性の魔力を纏った刃が机を切り裂く事には成功したが、その間にゲイツは接近すると、拳をレノへ目掛けて放つ。
黒蛇がリボンに接近する姿を見てレノは見捨てることが出来ず、自分の着ていた服に手を伸ばすと、その場で脱ぎ捨てる。メイド服の下には動きやすいように男性服も着込んでおり、収納鞄に手を伸ばすと荒正を引き抜く。
「ごめん、二人とも……俺に構わずに先に行って!!」
「えっ、レノさん!?」
「わっ!?」
レノは収納鞄をネココに投げ渡すと、騒動が起きている場所へと向かい、瞬脚を発動させて一気に飛び上がる。この時にリボンを捕まえようとした兵士達を飛び越え、今正にリボンに噛みつこうとしていた黒蛇達に目掛けて刃を振り下ろす。
「嵐斧!!」
『シャアアッ!?』
「チュイッ!?」
一刀で黒蛇達の頭を切り裂くと、レノはリボンの前に着地する。その光景に兵士と傭兵は呆気に取られるが、その間にレノはリボンを胸元の方へと移動させて隠れているように促す。
「ありがとう、リボン……ここに隠れてて」
「チュチュッ……」
「な、何だお前は!?」
「いったい何のつもりだ!!」
「まさか、そのネズミはお前が放ったのか!?」
唐突に現れたレノに対して兵士達は武器を構え、傭兵も取り囲む。この際に傭兵の一人がレノの顔を見て思い出したように告げる。
「こ、こいつ……標的だぞ!!牙狼団の仕事を邪魔をした奴だ!!」
「何だと!?」
「……俺の事を知っているという事はやっぱりあんたらが蝙蝠か」
レノは傭兵の顔に見覚えがあり、散々街中を追い掛け回した連中の一人だと見抜く。ここに蝙蝠に所属する傭兵がいる以上はこのカジノが蝙蝠の本拠地である事が確定し、ネズミ婆さんの情報が正しかったことが実証される。
改めてレノは荒正を構えると、兵士達は緊張した面持ちで取り囲む。そんな中、鋼の義手を持つ男が前に出てきた。ネココの相棒でもあったアリスラさえも退けた事がある傭兵であり、1年前に引退したが「鋼腕のゲイツ」と恐れられた男がレノの前に立つ。
「お前達は下がっていろ、この小僧……只者じゃない」
「げ、ゲイツさん……!!」
「ここで殺したらまずいですよ!!」
「大丈夫だ、もう客はいない……遠慮する必要はない」
ゲイツの言葉にいつの間にかネズミが現れた騒動で客が全員立ち去った事にレノは気づき、これで敵は他の者の目を気にする必要はなくなった。ゲイツは義手を指を動かし、拳の形へと変化させるとレノに告げる。
「お前の事は色々と調べさせてもらったぞ、巨人殺しの剣聖の弟子。まさかこんな所で伝説の傭兵の弟子と会えるとはな。良い事を教えてやろうか?この俺の腕はな、お前の師匠に切り落とされたんだ」
「えっ!?」
「あ、あの伝説の傭兵に!?」
「知らなかった……」
ゲイツの言葉に周囲の者達は冷や汗を流し、傭兵の間では巨人殺しの剣聖は有名な存在だった。ゲイツは義手を見つめながら過去を思い出すように語りかけた。
「あの時の事を思い出すと、今でも身体が震える。俺とお前の祖父は戦場で殺し合い、俺は右腕を斬られたが奴を殴り飛ばしてやった。あと少しで勝てる所で奴の援軍が到着しなければ俺は奴の息の根を確実に止めていた」
「す、凄い……あの伝説の傭兵を追い詰めたんですか!?」
「ゲイツさん、やっぱり凄い人だったんだな……!!」
兵士や傭兵はゲイツの言葉を聞いて驚愕を隠せず、尊敬と畏怖を含めた視線を向ける。その一方でレノの方は自分の師であるロイを追い詰めたという話を聞かされ、眉をしかめる。
「奴はまだ生きているのか?最近は全く姿を見せなくなったからな、当の昔に殺されたかあるいは隠居したと思っていたがな」
「……そんな事を聞いてどうするんだ?」
「無論、決まっているだろう。この右腕の借りを返す、お前を痛めつけても奴の居場所を吐かせて殺してやる!!」
ゲイツは右腕の義手を構えると、義手に取り付けていた火属性の魔石を見せつけ、拳を握りしめた状態で近くの柱に殴りつけると義手全体に炎が纏う。その様子を見てレノはネココの言う通りにゲイツの右腕が魔道具の一種だと知った。
右腕の義手に炎を纏ったゲイツは笑みを浮かべると、レノは荒正を構えてまずは動きやすい場所を確保するため、移動を行う。その後にゲイツも続き、二人は周囲に障害物が少ない場所に辿り着く。
「お前達はそこで見ていろ!!このガキは俺が相手をしてやる!!」
「は、はい!!」
「そいつは標的対象です!!殺しちゃっても問題ないですよ!!」
「馬鹿野郎、それだと剣聖の居場所を吐かせられないだろうが!!」
兵士達はゲイツの言葉を聞いてレノが逃げられないように周囲を取り囲み、一定の距離を保つ。これで退路を断たれたレノは自分の師であるロイを追い詰めたというゲイツと向かい合う。ゲイツは右腕を振り回すと、彼は近くの机に左手を伸ばす。
「まずは小手調べだ!!」
「くっ!?」
机を掴んだゲイツは馬鹿力でレノへ向けて放り込むと、その机に対してレノは荒正を構えて振り抜く。風属性の魔力を纏った刃が机を切り裂く事には成功したが、その間にゲイツは接近すると、拳をレノへ目掛けて放つ。
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