167 / 215
ゴノ闘技場編
ドリスとネココに迫る危険
しおりを挟む
「恐らく、その殺された牙狼団の元副団長を殺した相手というのが蝙蝠の団員だったんだろうね。奴等は牙狼団の団員を脅して共犯者に仕立て上げたあと、そいつから牙狼団の情報を聞き出そうとしてたんだろ?」
「えっ!?どうしてそんな事まで知ってるの!?」
「はっ、情報屋を舐めるんじゃないよ。既にこの街には私の放ったネズミがあちこちに散らばっているからね」
「じゃあ、僕達が突き止めた犯人の正体も?」
「流石にそこまでは分からないね、だいたい私が来たのは今日なんだよ?私が訪れる前の情報を集めるには時間が掛かるんだよ」
ネズミ婆さんの見立てではレノ達が命を狙われた理由は牙狼団の殺人事件に関り、真犯人に繋がっている人間を暴いたせいだと考えていた。彼女の予想ではキバを殺した犯人は蝙蝠団に所属する団員であり、蝙蝠団からすれば二人は自分達の仕事の邪魔をした存在となる。
仕事の邪魔者を消すために蝙蝠団は動き出してレノとアルトの命を狙った。そしてこれまでの話から蝙蝠団はゴノ伯爵とも繋がっており、ゴノ伯爵を狙う存在がいれば彼等が隠密に始末する。その話を理解したレノはドリスとネココの身が危ない事を悟った。
「しまった!!ネココとドリスにすぐに探さないと!!」
「ちょっ、急にどうしたんだい!?」
「そうだった、あの二人はゴノ伯爵の不正の証拠を探しているんだ!!もしもそれを知られれば二人は蝙蝠団に命を狙われるかもしれない!!」
「何だって!?」
レノは危険を顧みずに二人の元に向かうため、宿屋へと引き返そうとする。だが、アルトはそれに付いていこうとしたが、自分が同行しても役に立てるのか分からず、その代わりにネズミ婆さんに頼みごとを行う。
「ネズミ婆さん、この街に僕達が身を潜める場所はあるかい?」
「そういう事なら、あたしがこの街に来るときに利用している隠れ家があるよ。そこなら簡単には見つからないはずさ、ほらこいつを連れて行きな。用事が終わればその子に案内してもらいな」
「チュチュウッ!!」
「ありがとう、ネズミ婆さん!!」
「隠れ家へ向かう時はちゃんと尾行を巻くんだよ!!」
リボンを連れていくように指示を出したネズミ婆さんにレノはお礼を告げ、自分達が宿泊している宿屋へと向かう。一刻も早く、ドリスとネココと合流する必要があり、二人の無事を祈ってレノは駆け出す――
――同時刻、人気の無い路地裏にてドリスとネココは背中を合わせて自分達と向かい合う者達に剣を構えていた。二人の前に立っているのは獣人族の男達であり、片方は短刀を構えてネココと向かいあい、もう片方は大剣を構えていた。
「貴方達、いったい何のつもりですの!?」
「へへへっ……ちょいとガキだが、どっちも上物だな。今夜は楽しめそうだ」
「……通り魔?」
「おいおい、俺達を通り魔なんかと一緒にするなよ……お前等を攫えと命令を受けてな、抵抗するなら殺しても構わないという許可は得ている」
「な、何ですって!?」
男達の言葉にドリスは驚愕し、一方で命令を受けたという言葉にネココは疑問を抱く。自分達の身体が目当ての只の通り魔ではない事を知ると、彼女は質問する。
「貴方達に命令を与えたのは……ゴノ伯爵?」
「くくく、どうだろうな?」
「おい、相棒……もういいだろ、やっちまおうぜ!!」
「くっ……!!」
ドリスは自分と向かい合う獣人族の男に視線を向け、自分よりも慎重が高く、更に大剣を身に付けているせいでドリスは圧倒される。先日に盗賊に襲われた事を思い出し、無意識に身体が震える。
「おいおい、嬢ちゃん。身体が震えてるじゃないか?無理をしない方がいいぜ、下手に抵抗しなければ俺達も優しくしてやるよ」
「勘違いしないでください、これは怖くて震えているのではありませんわ……私が震えているのは怖いからではありません!!自分に対する怒りからですわ!!」
「うおっ!?」
先日の件で盗賊に掴まっていた時事を思い出したドリスは自分の不甲斐なさに怒り、しかもこんな低俗な男達にさえ侮られる自分の威厳の無さに更に怒り狂う。そんな彼女の感情に反応したように唐突に魔剣「烈火」の刃が炎を宿す。
鞘を抜く際にしか発動出来なかった「爆炎剣」をドリスは抜き身の状態で発動させる事に成功すると、彼女は大剣を構える男に対して剣を振るう。レノの「火炎剣」は火属性と風属性を組み合わせた炎に対し、彼女の爆炎剣は純粋な炎の魔力だけで構成されており、真紅の炎が刃に纏う。
「はぁあああっ!!」
「うぎゃああっっ!?」
「あ、相棒!?」
ドリスが切りかかった瞬間、男は咄嗟に大剣で防ごうとしたが、刃が触れた瞬間にドリスの刀身に纏っていた魔力が解放されて爆発を引き起こし、大剣を破壊して更に男を吹き飛ばす。その様子を見たもう片方の男は驚くが、その隙を逃さずにネココは仕掛けた。
「えっ!?どうしてそんな事まで知ってるの!?」
「はっ、情報屋を舐めるんじゃないよ。既にこの街には私の放ったネズミがあちこちに散らばっているからね」
「じゃあ、僕達が突き止めた犯人の正体も?」
「流石にそこまでは分からないね、だいたい私が来たのは今日なんだよ?私が訪れる前の情報を集めるには時間が掛かるんだよ」
ネズミ婆さんの見立てではレノ達が命を狙われた理由は牙狼団の殺人事件に関り、真犯人に繋がっている人間を暴いたせいだと考えていた。彼女の予想ではキバを殺した犯人は蝙蝠団に所属する団員であり、蝙蝠団からすれば二人は自分達の仕事の邪魔をした存在となる。
仕事の邪魔者を消すために蝙蝠団は動き出してレノとアルトの命を狙った。そしてこれまでの話から蝙蝠団はゴノ伯爵とも繋がっており、ゴノ伯爵を狙う存在がいれば彼等が隠密に始末する。その話を理解したレノはドリスとネココの身が危ない事を悟った。
「しまった!!ネココとドリスにすぐに探さないと!!」
「ちょっ、急にどうしたんだい!?」
「そうだった、あの二人はゴノ伯爵の不正の証拠を探しているんだ!!もしもそれを知られれば二人は蝙蝠団に命を狙われるかもしれない!!」
「何だって!?」
レノは危険を顧みずに二人の元に向かうため、宿屋へと引き返そうとする。だが、アルトはそれに付いていこうとしたが、自分が同行しても役に立てるのか分からず、その代わりにネズミ婆さんに頼みごとを行う。
「ネズミ婆さん、この街に僕達が身を潜める場所はあるかい?」
「そういう事なら、あたしがこの街に来るときに利用している隠れ家があるよ。そこなら簡単には見つからないはずさ、ほらこいつを連れて行きな。用事が終わればその子に案内してもらいな」
「チュチュウッ!!」
「ありがとう、ネズミ婆さん!!」
「隠れ家へ向かう時はちゃんと尾行を巻くんだよ!!」
リボンを連れていくように指示を出したネズミ婆さんにレノはお礼を告げ、自分達が宿泊している宿屋へと向かう。一刻も早く、ドリスとネココと合流する必要があり、二人の無事を祈ってレノは駆け出す――
――同時刻、人気の無い路地裏にてドリスとネココは背中を合わせて自分達と向かい合う者達に剣を構えていた。二人の前に立っているのは獣人族の男達であり、片方は短刀を構えてネココと向かいあい、もう片方は大剣を構えていた。
「貴方達、いったい何のつもりですの!?」
「へへへっ……ちょいとガキだが、どっちも上物だな。今夜は楽しめそうだ」
「……通り魔?」
「おいおい、俺達を通り魔なんかと一緒にするなよ……お前等を攫えと命令を受けてな、抵抗するなら殺しても構わないという許可は得ている」
「な、何ですって!?」
男達の言葉にドリスは驚愕し、一方で命令を受けたという言葉にネココは疑問を抱く。自分達の身体が目当ての只の通り魔ではない事を知ると、彼女は質問する。
「貴方達に命令を与えたのは……ゴノ伯爵?」
「くくく、どうだろうな?」
「おい、相棒……もういいだろ、やっちまおうぜ!!」
「くっ……!!」
ドリスは自分と向かい合う獣人族の男に視線を向け、自分よりも慎重が高く、更に大剣を身に付けているせいでドリスは圧倒される。先日に盗賊に襲われた事を思い出し、無意識に身体が震える。
「おいおい、嬢ちゃん。身体が震えてるじゃないか?無理をしない方がいいぜ、下手に抵抗しなければ俺達も優しくしてやるよ」
「勘違いしないでください、これは怖くて震えているのではありませんわ……私が震えているのは怖いからではありません!!自分に対する怒りからですわ!!」
「うおっ!?」
先日の件で盗賊に掴まっていた時事を思い出したドリスは自分の不甲斐なさに怒り、しかもこんな低俗な男達にさえ侮られる自分の威厳の無さに更に怒り狂う。そんな彼女の感情に反応したように唐突に魔剣「烈火」の刃が炎を宿す。
鞘を抜く際にしか発動出来なかった「爆炎剣」をドリスは抜き身の状態で発動させる事に成功すると、彼女は大剣を構える男に対して剣を振るう。レノの「火炎剣」は火属性と風属性を組み合わせた炎に対し、彼女の爆炎剣は純粋な炎の魔力だけで構成されており、真紅の炎が刃に纏う。
「はぁあああっ!!」
「うぎゃああっっ!?」
「あ、相棒!?」
ドリスが切りかかった瞬間、男は咄嗟に大剣で防ごうとしたが、刃が触れた瞬間にドリスの刀身に纏っていた魔力が解放されて爆発を引き起こし、大剣を破壊して更に男を吹き飛ばす。その様子を見たもう片方の男は驚くが、その隙を逃さずにネココは仕掛けた。
0
お気に入りに追加
659
あなたにおすすめの小説

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります
真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」
婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。
そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。
脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。
王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」
音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。
本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。
しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。
*6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
悠久のクシナダヒメ 「日本最古の異世界物語」 第一部
Hiroko
ファンタジー
異世界に行けると噂の踏切。
僕と友人の美津子が行きついた世界は、八岐大蛇(やまたのおろち)が退治されずに生き残る、奈良時代の日本だった。
現在と過去、現実と神話の世界が入り混じる和の異世界へ。
流行りの異世界物を私も書いてみよう!
と言うことで書き始めましたが、どうしようかなあ。
まだ書き始めたばかりで、この先どうなるかわかりません。
私が書くと、どうしてもホラーっぽくなっちゃうんですよね。
なんとかなりませんか?
題名とかいろいろ模索中です。
なかなかしっくりした題名を思いつきません。
気分次第でやめちゃうかもです。
その時はごめんなさい。
更新、不定期です。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈

せっかくのクラス転移だけども、俺はポテトチップスでも食べながらクラスメイトの冒険を見守りたいと思います
霖空
ファンタジー
クラス転移に巻き込まれてしまった主人公。
得た能力は悪くない……いや、むしろ、チートじみたものだった。
しかしながら、それ以上のデメリットもあり……。
傍観者にならざるをえない彼が傍観者するお話です。
基本的に、勇者や、影井くんを見守りつつ、ほのぼの?生活していきます。
が、そのうち、彼自身の物語も始まる予定です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる