力も魔法も半人前、なら二つ合わせれば一人前ですよね?

カタナヅキ

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ゴノ闘技場編

ドリスとネココに迫る危険

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「恐らく、その殺された牙狼団の元副団長を殺した相手というのが蝙蝠の団員だったんだろうね。奴等は牙狼団の団員を脅して共犯者に仕立て上げたあと、そいつから牙狼団の情報を聞き出そうとしてたんだろ?」
「えっ!?どうしてそんな事まで知ってるの!?」
「はっ、情報屋を舐めるんじゃないよ。既にこの街には私の放ったネズミがあちこちに散らばっているからね」
「じゃあ、僕達が突き止めた犯人の正体も?」
「流石にそこまでは分からないね、だいたい私が来たのは今日なんだよ?私が訪れる前の情報を集めるには時間が掛かるんだよ」


ネズミ婆さんの見立てではレノ達が命を狙われた理由は牙狼団の殺人事件に関り、真犯人に繋がっている人間を暴いたせいだと考えていた。彼女の予想ではキバを殺した犯人は蝙蝠団に所属する団員であり、蝙蝠団からすれば二人は自分達の仕事の邪魔をした存在となる。

仕事の邪魔者を消すために蝙蝠団は動き出してレノとアルトの命を狙った。そしてこれまでの話から蝙蝠団はゴノ伯爵とも繋がっており、ゴノ伯爵を狙う存在がいれば彼等が隠密に始末する。その話を理解したレノはドリスとネココの身が危ない事を悟った。


「しまった!!ネココとドリスにすぐに探さないと!!」
「ちょっ、急にどうしたんだい!?」
「そうだった、あの二人はゴノ伯爵の不正の証拠を探しているんだ!!もしもそれを知られれば二人は蝙蝠団に命を狙われるかもしれない!!」
「何だって!?」


レノは危険を顧みずに二人の元に向かうため、宿屋へと引き返そうとする。だが、アルトはそれに付いていこうとしたが、自分が同行しても役に立てるのか分からず、その代わりにネズミ婆さんに頼みごとを行う。


「ネズミ婆さん、この街に僕達が身を潜める場所はあるかい?」
「そういう事なら、あたしがこの街に来るときに利用している隠れ家があるよ。そこなら簡単には見つからないはずさ、ほらこいつを連れて行きな。用事が終わればその子に案内してもらいな」
「チュチュウッ!!」
「ありがとう、ネズミ婆さん!!」
「隠れ家へ向かう時はちゃんと尾行を巻くんだよ!!」


リボンを連れていくように指示を出したネズミ婆さんにレノはお礼を告げ、自分達が宿泊している宿屋へと向かう。一刻も早く、ドリスとネココと合流する必要があり、二人の無事を祈ってレノは駆け出す――





――同時刻、人気の無い路地裏にてドリスとネココは背中を合わせて自分達と向かい合う者達に剣を構えていた。二人の前に立っているのは獣人族の男達であり、片方は短刀を構えてネココと向かいあい、もう片方は大剣を構えていた。


「貴方達、いったい何のつもりですの!?」
「へへへっ……ちょいとガキだが、どっちも上物だな。今夜は楽しめそうだ」
「……通り魔?」
「おいおい、俺達を通り魔なんかと一緒にするなよ……お前等を攫えと命令を受けてな、抵抗するなら殺しても構わないという許可は得ている」
「な、何ですって!?」


男達の言葉にドリスは驚愕し、一方で命令を受けたという言葉にネココは疑問を抱く。自分達の身体が目当ての只の通り魔ではない事を知ると、彼女は質問する。


「貴方達に命令を与えたのは……ゴノ伯爵?」
「くくく、どうだろうな?」
「おい、相棒……もういいだろ、やっちまおうぜ!!」
「くっ……!!」


ドリスは自分と向かい合う獣人族の男に視線を向け、自分よりも慎重が高く、更に大剣を身に付けているせいでドリスは圧倒される。先日に盗賊に襲われた事を思い出し、無意識に身体が震える。


「おいおい、嬢ちゃん。身体が震えてるじゃないか?無理をしない方がいいぜ、下手に抵抗しなければ俺達も優しくしてやるよ」
「勘違いしないでください、これは怖くて震えているのではありませんわ……私が震えているのは怖いからではありません!!自分に対する怒りからですわ!!」
「うおっ!?」


先日の件で盗賊に掴まっていた時事を思い出したドリスは自分の不甲斐なさに怒り、しかもこんな低俗な男達にさえ侮られる自分の威厳の無さに更に怒り狂う。そんな彼女の感情に反応したように唐突に魔剣「烈火」の刃が炎を宿す。

鞘を抜く際にしか発動出来なかった「爆炎剣」をドリスは抜き身の状態で発動させる事に成功すると、彼女は大剣を構える男に対して剣を振るう。レノの「火炎剣」は火属性と風属性を組み合わせた炎に対し、彼女の爆炎剣は純粋な炎の魔力だけで構成されており、真紅の炎が刃に纏う。


「はぁあああっ!!」
「うぎゃああっっ!?」
「あ、相棒!?」


ドリスが切りかかった瞬間、男は咄嗟に大剣で防ごうとしたが、刃が触れた瞬間にドリスの刀身に纏っていた魔力が解放されて爆発を引き起こし、大剣を破壊して更に男を吹き飛ばす。その様子を見たもう片方の男は驚くが、その隙を逃さずにネココは仕掛けた。
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