143 / 215
ゴノ闘技場編
連戦試合開始!!
しおりを挟む
「うわぁっ……あの人、大丈夫かな。でも、生きているならちゃんと治療されるのか」
「おや、どうかされましたか?試合の準備は整いましたが……」
兵士達に運び込まれる負傷者を見送ると、すぐに迎えの兵士が訪れた。兵士は自分が入る前に待機室から出てきたレノに疑問を抱くが、次の試合のためにレノを迎えに来たことを伝える。
まさかこんなにも早くに迎えが来るとは思わなかったが、レノは気合を込めるように頬を叩くと、兵士の案内の元で試合場へと向かう。
(確か、ゴブリンが銅貨1枚、コボルトなら銅貨8枚、オークなら銀貨3枚、ボアなら金貨1枚、赤毛熊が金貨3枚、最後にトロールが金貨5枚か……でも、観客の話によると最終試合の相手は赤毛熊の亜種らしいから、運が良ければトロールとは戦わずに済むかも)
試合場の掲示板に張り出されていた魔物の金額を思い返し、目標金額の「金貨5枚」を手に入れるには相当な数の魔物を倒さなければならない。ボアを相手にしたとしても最低で5匹は倒さなければならず、昼間に遭遇した「山の主」と言われたボアと戦う可能性もある。
(まあ、やれるだけやってみるか……)
荒正を手にしたレノは兵士に連れられるまま遂に試合場へと辿り着く。観客席にはアルトの姿が存在し、彼はレノに気付くと軽く腕を振る。そんなアルトにレノは頷き、試合場へと移動した。
「試合の間は金網は鍵を施しますのでご注意ください。試合の途中で棄権を申し込みたい場合、試合場の傍で待機している我々に伝えてください。但し、我々が試合場に入るまでに時間はかかりますので危険を知らせたからと言って安心してはいけません。我々が魔物を抑えつけるまでは気を抜いてはいけませんよ」
「肝に銘じておきます……」
「ではご武運を……準備が完了したぞ!!」
「よし、魔物を運び出せ!!」
案内した兵士が合図を出すと、すぐに兵士の集団が檻を運び出し、金網へと移動させる。檻の中には「ゴブリン」が閉じ込められ、合計で4匹ほど存在した。
『ギィイイッ……!!』
「では試合を開始致します!!準備はいいですね!?檻を解放しますよ!!」
「よし、開けっ!!」
兵士達は檻を開いた瞬間、中からゴブリンの群れが出現する。それを確認したレノは荒正を引き抜くと、ここでゴブリン達の姿を見てある事に気付く。
野生のゴブリンと違って闘技場で解放されたゴブリン達は人間のように武器と防具を身に付けており、随分と小汚くて刃毀れしているが短剣を握りしめていた。他にも円形型の盾を装備しており、中には革製の胸当てを身に付けている個体も存在した。
(なるほど、捕獲したゴブリンに武器と防具を装備させて戦うのか……最弱の魔物でも武装させる事で強化させているのか)
闘技場側も簡単には選手側が勝たないように工夫しているらしく、魔物に武装させた状態で戦わせるという魂胆にレノはため息を吐き出す。ゴブリン達は姿を現すとレノを即座に取り囲み、笑みを浮かべる。
(さてと、どうしようかな……ゴブリンぐらいまでなら魔法剣を使わなくても十分だと思うけど、武装していると厄介だな、ここは一気に終わらせるか)
自分を包囲したゴブリン達に視線を向け、荒正を握りしめたレノは敢えて隙を見せるように剣を下す。その姿を見た瞬間、ゴブリン達は一斉に襲い掛かった。
『ギィイイイッ!!』
「……円斧!!」
四方から同時に飛び掛かってきたゴブリンに対してレノは剣を振りかざすと、先端に風の魔力を集中させて一気に噴出し、加速した刃を振り抜いて円を描くように振り抜く。
レノに飛び掛かろうとしたゴブリン達の胴体に加速した荒正の刃が通過し、身に付けていた革製の胸当てごと胴体を切り裂かれ、地面に倒れ込む。その光景を見た観衆と兵士達は呆気に取られ、アルトは拍手を行う。
「ふうっ……終わりましたけど?」
「えっ……あっ、勝者レノ選手!!」
「う、嘘だろおい……あんなガキが一瞬でゴブリンどもを!?」
「しかも一太刀で終わらせたぞ!!」
「何だ、今の剣技は!?まさか、戦技か!?」
兵士にレノが声をかけると彼は慌てた様子で勝利宣言を行い、遅れて観客たちも騒ぎ出す。その様子をアルトは嬉しそうな表情で見つめ、友人の活躍を他の人間が驚く様は見ていて気分が良かった。
すぐに試合場に運び込まれたゴブリンの檻は外へと出されると、急いで兵士達はたらしい魔物が閉じ込められた檻を運び込む。今度は予想通りというべきか「コボルト」が閉じ込められた檻が運び出され、今度の檻には3体のコボルトが捕まっていた。
「ガアアッ!!」
「ウガァッ!!」
「うわっ!?くそ、暴れるな!!」
「下手に鉄格子に近付くな!!腕を噛み疲れるぞ!!」
「檻の鍵を開けたらすぐに離れるんだ!!」
コボルトの入った檻を兵士が運び込むと、その様子を見てレノは荒正を握りしめ、今度の敵は最初から魔法剣で仕留めなければまずい相手だと判断し、準備を整える。
「おや、どうかされましたか?試合の準備は整いましたが……」
兵士達に運び込まれる負傷者を見送ると、すぐに迎えの兵士が訪れた。兵士は自分が入る前に待機室から出てきたレノに疑問を抱くが、次の試合のためにレノを迎えに来たことを伝える。
まさかこんなにも早くに迎えが来るとは思わなかったが、レノは気合を込めるように頬を叩くと、兵士の案内の元で試合場へと向かう。
(確か、ゴブリンが銅貨1枚、コボルトなら銅貨8枚、オークなら銀貨3枚、ボアなら金貨1枚、赤毛熊が金貨3枚、最後にトロールが金貨5枚か……でも、観客の話によると最終試合の相手は赤毛熊の亜種らしいから、運が良ければトロールとは戦わずに済むかも)
試合場の掲示板に張り出されていた魔物の金額を思い返し、目標金額の「金貨5枚」を手に入れるには相当な数の魔物を倒さなければならない。ボアを相手にしたとしても最低で5匹は倒さなければならず、昼間に遭遇した「山の主」と言われたボアと戦う可能性もある。
(まあ、やれるだけやってみるか……)
荒正を手にしたレノは兵士に連れられるまま遂に試合場へと辿り着く。観客席にはアルトの姿が存在し、彼はレノに気付くと軽く腕を振る。そんなアルトにレノは頷き、試合場へと移動した。
「試合の間は金網は鍵を施しますのでご注意ください。試合の途中で棄権を申し込みたい場合、試合場の傍で待機している我々に伝えてください。但し、我々が試合場に入るまでに時間はかかりますので危険を知らせたからと言って安心してはいけません。我々が魔物を抑えつけるまでは気を抜いてはいけませんよ」
「肝に銘じておきます……」
「ではご武運を……準備が完了したぞ!!」
「よし、魔物を運び出せ!!」
案内した兵士が合図を出すと、すぐに兵士の集団が檻を運び出し、金網へと移動させる。檻の中には「ゴブリン」が閉じ込められ、合計で4匹ほど存在した。
『ギィイイッ……!!』
「では試合を開始致します!!準備はいいですね!?檻を解放しますよ!!」
「よし、開けっ!!」
兵士達は檻を開いた瞬間、中からゴブリンの群れが出現する。それを確認したレノは荒正を引き抜くと、ここでゴブリン達の姿を見てある事に気付く。
野生のゴブリンと違って闘技場で解放されたゴブリン達は人間のように武器と防具を身に付けており、随分と小汚くて刃毀れしているが短剣を握りしめていた。他にも円形型の盾を装備しており、中には革製の胸当てを身に付けている個体も存在した。
(なるほど、捕獲したゴブリンに武器と防具を装備させて戦うのか……最弱の魔物でも武装させる事で強化させているのか)
闘技場側も簡単には選手側が勝たないように工夫しているらしく、魔物に武装させた状態で戦わせるという魂胆にレノはため息を吐き出す。ゴブリン達は姿を現すとレノを即座に取り囲み、笑みを浮かべる。
(さてと、どうしようかな……ゴブリンぐらいまでなら魔法剣を使わなくても十分だと思うけど、武装していると厄介だな、ここは一気に終わらせるか)
自分を包囲したゴブリン達に視線を向け、荒正を握りしめたレノは敢えて隙を見せるように剣を下す。その姿を見た瞬間、ゴブリン達は一斉に襲い掛かった。
『ギィイイイッ!!』
「……円斧!!」
四方から同時に飛び掛かってきたゴブリンに対してレノは剣を振りかざすと、先端に風の魔力を集中させて一気に噴出し、加速した刃を振り抜いて円を描くように振り抜く。
レノに飛び掛かろうとしたゴブリン達の胴体に加速した荒正の刃が通過し、身に付けていた革製の胸当てごと胴体を切り裂かれ、地面に倒れ込む。その光景を見た観衆と兵士達は呆気に取られ、アルトは拍手を行う。
「ふうっ……終わりましたけど?」
「えっ……あっ、勝者レノ選手!!」
「う、嘘だろおい……あんなガキが一瞬でゴブリンどもを!?」
「しかも一太刀で終わらせたぞ!!」
「何だ、今の剣技は!?まさか、戦技か!?」
兵士にレノが声をかけると彼は慌てた様子で勝利宣言を行い、遅れて観客たちも騒ぎ出す。その様子をアルトは嬉しそうな表情で見つめ、友人の活躍を他の人間が驚く様は見ていて気分が良かった。
すぐに試合場に運び込まれたゴブリンの檻は外へと出されると、急いで兵士達はたらしい魔物が閉じ込められた檻を運び込む。今度は予想通りというべきか「コボルト」が閉じ込められた檻が運び出され、今度の檻には3体のコボルトが捕まっていた。
「ガアアッ!!」
「ウガァッ!!」
「うわっ!?くそ、暴れるな!!」
「下手に鉄格子に近付くな!!腕を噛み疲れるぞ!!」
「檻の鍵を開けたらすぐに離れるんだ!!」
コボルトの入った檻を兵士が運び込むと、その様子を見てレノは荒正を握りしめ、今度の敵は最初から魔法剣で仕留めなければまずい相手だと判断し、準備を整える。
0
お気に入りに追加
660
あなたにおすすめの小説
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
無能なので辞めさせていただきます!
サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。
マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。
えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって?
残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、
無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって?
はいはいわかりました。
辞めますよ。
退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。
自分無能なんで、なんにもわかりませんから。
カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
お願いだから俺に構わないで下さい
大味貞世氏
ファンタジー
高校2年の9月。
17歳の誕生日に甲殻類アレルギーショックで死去してしまった燻木智哉。
高校1年から始まったハブりイジメが原因で自室に引き籠もるようになっていた彼は。
本来の明るい楽観的な性格を失い、自棄から自滅願望が芽生え。
折角貰った転生のチャンスを不意に捨て去り、転生ではなく自滅を望んだ。
それは出来ないと天使は言い、人間以外の道を示した。
これは転生後の彼の魂が辿る再生の物語。
有り触れた異世界で迎えた新たな第一歩。その姿は一匹の…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】あなたに知られたくなかった
ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。
5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。
そんなセレナに起きた奇跡とは?
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
【完結】そして、誰もいなくなった
杜野秋人
ファンタジー
「そなたは私の妻として、侯爵夫人として相応しくない!よって婚約を破棄する!」
愛する令嬢を傍らに声高にそう叫ぶ婚約者イグナシオに伯爵家令嬢セリアは誤解だと訴えるが、イグナシオは聞く耳を持たない。それどころか明らかに犯してもいない罪を挙げられ糾弾され、彼女は思わず彼に手を伸ばして取り縋ろうとした。
「触るな!」
だがその手をイグナシオは大きく振り払った。振り払われよろめいたセリアは、受け身も取れないまま仰向けに倒れ、頭を打って昏倒した。
「突き飛ばしたぞ」
「彼が手を上げた」
「誰か衛兵を呼べ!」
騒然となるパーティー会場。すぐさま会場警護の騎士たちに取り囲まれ、彼は「違うんだ、話を聞いてくれ!」と叫びながら愛人の令嬢とともに連行されていった。
そして倒れたセリアもすぐさま人が集められ運び出されていった。
そして誰もいなくなった。
彼女と彼と愛人と、果たして誰が悪かったのか。
これはとある悲しい、婚約破棄の物語である。
◆小説家になろう様でも公開しています。話数の関係上あちらの方が進みが早いです。
3/27、なろう版完結。あちらは全8話です。
3/30、小説家になろうヒューマンドラマランキング日間1位になりました!
4/1、完結しました。全14話。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します
白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。
あなたは【真実の愛】を信じますか?
そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。
だって・・・そうでしょ?
ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!?
それだけではない。
何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!!
私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。
それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。
しかも!
ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!!
マジかーーーっ!!!
前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!!
思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。
世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/fantasy.png?id=6ceb1e9b892a4a252212)
三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る
マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息
三歳で婚約破棄され
そのショックで前世の記憶が蘇る
前世でも貧乏だったのなんの問題なし
なによりも魔法の世界
ワクワクが止まらない三歳児の
波瀾万丈
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
【完結】真実の愛に目覚めたと婚約解消になったので私は永遠の愛に生きることにします!
ユウ
恋愛
侯爵令嬢のアリスティアは婚約者に真実の愛を見つけたと告白され婚約を解消を求められる。
恋する相手は平民であり、正反対の可憐な美少女だった。
アリスティアには拒否権など無く、了承するのだが。
側近を婚約者に命じ、あげくの果てにはその少女を侯爵家の養女にするとまで言われてしまい、大切な家族まで侮辱され耐え切れずに修道院に入る事を決意したのだが…。
「ならば俺と永遠の愛を誓ってくれ」
意外な人物に結婚を申し込まれてしまう。
一方真実の愛を見つけた婚約者のティエゴだったが、思い込みの激しさからとんでもない誤解をしてしまうのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる