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ゴノ闘技場編
国内未確認の亜種
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「赤毛熊の亜種がこの闘技場にいるという話は本当なのかい!?」
「あ、ああ……嘘じゃねえよ、昨日俺も含めてここにいる殆どの奴等が見たんだ。昨日は最終戦まで勝ち抜いた奴がいるんだが、そいつの対戦相手が赤毛熊の亜種だったんだ」
「最終戦?」
「何だ、知らないのか?魔物との対戦試合では5連戦まで戦う事が出来るんだ。つまり、最終戦は5戦目なんだよ。それで最終戦の場合は一番強い魔物が用意されている……昨日の試合、結局は最終試合を勝ち残った奴も赤毛熊の亜種にやられたからな。多分、今日も誰かが最終試合まで勝ち残れば見れるんじゃないか?」
「それは言い事を聞いた……レノ君、ちょっとこっちに来てくれ!!」
「ええっ!?」
アルトはレノを引きずって誰のいない通路まで移動すると、レノの肩を掴んで頼み込む。魔物の研究家として自分が見た事もない魔物の亜種が存在すると聞いてはアルトも黙ってはいられなかった。
「頼む、レノ君!!試合に出場して最終試合まで勝ち残ってくれ!!」
「そ、そんな事を言われても……」
「お願いだ、最終戦まで勝ち残ればいいんだ!!試合が始まればすぐに棄権しても構わない!!赤毛熊の亜種なんて僕もまだ見た事がないんだ!!」
「そ、そんなに珍しいの?」
「当然じゃないか!!この国で赤毛熊の亜種が確認されたなんて記録は残っていない、つまりは新種だよ!!魔物の研究家としてどうしても確かめておきたい!!頼む、レノ君この通りだ!!」
「ちょ、頭を上げてよ!!こんな場所を見られたら誤解されるよ!!」
見えも外聞もなくアルトは土下座を行い、どうしてもレノに試合に出場してもらい、最後まで勝ち残って欲しい事を伝える。そんなアルトの頼みにレノは困り果て、仕方なく引き受ける事にした。
「はあっ……分かったよ。なら、今から試合の受付をしてくるよ。でも、俺が無理だと判断したらすぐに試合を棄権するからね」
「ああ、出来るところまで頑張ってくれ!!僕も応援してるよ!!」
「全く、アルトは相変わらずだな……」
レノは頭を掻きながら試合の申し込みのために受付へと向かう事にした――
――受付口へと辿り着くと、レノは魔物との対戦試合の申し込みを行う。受付嬢は眼鏡を掛けた女性で美人ではあったが、レノの外見を見て胡散臭そうな表情を浮かべる。
「……本当に出場するつもりですか?こちらの試合の対戦相手は魔物ですよ?」
「はい、お願いします」
「はあっ……まあ、規則ですので希望されるのであれば私達としては文句はありません。しかし、肝に銘じておいてください。相手が人間ならばともかく、魔物の場合は全力で殺しに来ます。もう無理だと判断したらすぐに棄権を申し付けて下さい、そうすれば兵士がすぐに助けに動きます」
「分かりました」
「途中棄権の場合でも倒した魔物の賞金は受け取る事が出来ます。但し、最終試合に関しては途中での棄権が認められません。その場合は試合放棄と見做し、賞金は支払われませんのでご注意ください」
「えっ……」
「では、健闘を祈ります。係員に従って待機室に向かってください」
受付嬢の予想外の言葉にレノは驚き、その間にも受付嬢は試合の受理を行う。すぐに係員の兵士が訪れ、レノを待機室まで案内する。
「こちらへどうぞ」
「あ、はい……」
最後の最後で予想外の事態に陥り、まさか最終試合では棄権した場合は賞金が受け取れないなど知らなかった。これではアルトの望み通りに最終試合に出場したとしてもレノは敵を倒さなければ一銭も手に入らない。
思いもよらぬ事態にレノは今からでも試合を辞めるべきかと思ったが、既に試合は受理されてしまい、考えている間にも待機室まで案内されてしまう。しかも待機室にはレノしか試合待ちの選手はおらず、係員が説明する。
「現在行われている試合が終了次第、迎えに参ります。それまでの間に準備を整えてください。余分な荷物があるのならばこちら預かりますので気軽にお申し付けください」
「あ、はい……分かりました」
どうやら次の試合がレノの出番らしく、ここまで来たら今更試合を辞めたいとは言い出せない雰囲気だった。レノは困り果てながらも試合が始まるまでに一応は準備を行い、とりあえずは今回は弓矢は使わない事にした。
(試合場はそんなに広くはないし、余計な荷物になるだから弓矢は置いていこう。となると、頼りになるのはこいつだけか……)
荒正を握りしめたレノは柄を握りしめ、気合を込めるように頬を叩く。もう試合の出場が避けられないのならば覚悟を決めるしかなく、迎えの兵士が来るまでに荷物の確認を行う。
しばらく時間が経過すると、外の方が騒がしくなり、気になったレノは聞き耳を立てると複数の足音が聞こえてきた。そして兵士の話声が聞こえてきた。
「おい、しっかりと運べ!!まだ生きてるんだぞ!!」
「早く医療室へ運び出すんだ!!」
「たくっ、奴隷だったらこんな苦労しないで済むのによ……」
「あ、がっ……」
会話の内容が気になったレノは扉の隙間を開いて確認すると、そこには兵士が担架で血塗れの男性を運んでおり、どうやらレノの前の試合の選手が負傷して戻ってきたらしい。相当に激しい試合だったらしく、腕はもがれてあちこちに噛み傷が存在した。
「あ、ああ……嘘じゃねえよ、昨日俺も含めてここにいる殆どの奴等が見たんだ。昨日は最終戦まで勝ち抜いた奴がいるんだが、そいつの対戦相手が赤毛熊の亜種だったんだ」
「最終戦?」
「何だ、知らないのか?魔物との対戦試合では5連戦まで戦う事が出来るんだ。つまり、最終戦は5戦目なんだよ。それで最終戦の場合は一番強い魔物が用意されている……昨日の試合、結局は最終試合を勝ち残った奴も赤毛熊の亜種にやられたからな。多分、今日も誰かが最終試合まで勝ち残れば見れるんじゃないか?」
「それは言い事を聞いた……レノ君、ちょっとこっちに来てくれ!!」
「ええっ!?」
アルトはレノを引きずって誰のいない通路まで移動すると、レノの肩を掴んで頼み込む。魔物の研究家として自分が見た事もない魔物の亜種が存在すると聞いてはアルトも黙ってはいられなかった。
「頼む、レノ君!!試合に出場して最終試合まで勝ち残ってくれ!!」
「そ、そんな事を言われても……」
「お願いだ、最終戦まで勝ち残ればいいんだ!!試合が始まればすぐに棄権しても構わない!!赤毛熊の亜種なんて僕もまだ見た事がないんだ!!」
「そ、そんなに珍しいの?」
「当然じゃないか!!この国で赤毛熊の亜種が確認されたなんて記録は残っていない、つまりは新種だよ!!魔物の研究家としてどうしても確かめておきたい!!頼む、レノ君この通りだ!!」
「ちょ、頭を上げてよ!!こんな場所を見られたら誤解されるよ!!」
見えも外聞もなくアルトは土下座を行い、どうしてもレノに試合に出場してもらい、最後まで勝ち残って欲しい事を伝える。そんなアルトの頼みにレノは困り果て、仕方なく引き受ける事にした。
「はあっ……分かったよ。なら、今から試合の受付をしてくるよ。でも、俺が無理だと判断したらすぐに試合を棄権するからね」
「ああ、出来るところまで頑張ってくれ!!僕も応援してるよ!!」
「全く、アルトは相変わらずだな……」
レノは頭を掻きながら試合の申し込みのために受付へと向かう事にした――
――受付口へと辿り着くと、レノは魔物との対戦試合の申し込みを行う。受付嬢は眼鏡を掛けた女性で美人ではあったが、レノの外見を見て胡散臭そうな表情を浮かべる。
「……本当に出場するつもりですか?こちらの試合の対戦相手は魔物ですよ?」
「はい、お願いします」
「はあっ……まあ、規則ですので希望されるのであれば私達としては文句はありません。しかし、肝に銘じておいてください。相手が人間ならばともかく、魔物の場合は全力で殺しに来ます。もう無理だと判断したらすぐに棄権を申し付けて下さい、そうすれば兵士がすぐに助けに動きます」
「分かりました」
「途中棄権の場合でも倒した魔物の賞金は受け取る事が出来ます。但し、最終試合に関しては途中での棄権が認められません。その場合は試合放棄と見做し、賞金は支払われませんのでご注意ください」
「えっ……」
「では、健闘を祈ります。係員に従って待機室に向かってください」
受付嬢の予想外の言葉にレノは驚き、その間にも受付嬢は試合の受理を行う。すぐに係員の兵士が訪れ、レノを待機室まで案内する。
「こちらへどうぞ」
「あ、はい……」
最後の最後で予想外の事態に陥り、まさか最終試合では棄権した場合は賞金が受け取れないなど知らなかった。これではアルトの望み通りに最終試合に出場したとしてもレノは敵を倒さなければ一銭も手に入らない。
思いもよらぬ事態にレノは今からでも試合を辞めるべきかと思ったが、既に試合は受理されてしまい、考えている間にも待機室まで案内されてしまう。しかも待機室にはレノしか試合待ちの選手はおらず、係員が説明する。
「現在行われている試合が終了次第、迎えに参ります。それまでの間に準備を整えてください。余分な荷物があるのならばこちら預かりますので気軽にお申し付けください」
「あ、はい……分かりました」
どうやら次の試合がレノの出番らしく、ここまで来たら今更試合を辞めたいとは言い出せない雰囲気だった。レノは困り果てながらも試合が始まるまでに一応は準備を行い、とりあえずは今回は弓矢は使わない事にした。
(試合場はそんなに広くはないし、余計な荷物になるだから弓矢は置いていこう。となると、頼りになるのはこいつだけか……)
荒正を握りしめたレノは柄を握りしめ、気合を込めるように頬を叩く。もう試合の出場が避けられないのならば覚悟を決めるしかなく、迎えの兵士が来るまでに荷物の確認を行う。
しばらく時間が経過すると、外の方が騒がしくなり、気になったレノは聞き耳を立てると複数の足音が聞こえてきた。そして兵士の話声が聞こえてきた。
「おい、しっかりと運べ!!まだ生きてるんだぞ!!」
「早く医療室へ運び出すんだ!!」
「たくっ、奴隷だったらこんな苦労しないで済むのによ……」
「あ、がっ……」
会話の内容が気になったレノは扉の隙間を開いて確認すると、そこには兵士が担架で血塗れの男性を運んでおり、どうやらレノの前の試合の選手が負傷して戻ってきたらしい。相当に激しい試合だったらしく、腕はもがれてあちこちに噛み傷が存在した。
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