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ゴノ闘技場編
第122話 ペンダント
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アルトとネズミ婆さんと別れを告げ、シノの街を出たレノ達は次の「ゴノ」と呼ばれる街へと向かう。シノからゴノへは他の街と比べればそれほど離れてはおらず、馬で行けば1日程度で辿り着ける。
但し、最近では魔物が大量発生するようになっているため、ゴノへ向かう途中でもレノ達はコボルトの群れに追い掛け回される事態に陥っていた。
『ガアアアッ!!』
「たくっ、しつこいな!!」
「ウォンッ!!」
「……スラミン、もっと急いで」
「ぷるるんっ!!」
「このままだと追いつかれますわ!?」
ウルに乗り込んだレノ、スラミンの頭に乗るネココ、そして最後尾には馬に乗ったドリスが後に続く。3人の後方には十数匹のコボルトが追跡し、徐々に最後尾のドリスは距離が追いつめられていく。
「ガアッ!!」
「ヒヒンッ!?」
「きゃあっ!?」
コボルトが遂に馬へと追いつくと、馬の尻が爪で引っかかれ、痛みを覚えた馬はドリスと荷物を落としてしまう。その様子を見ていたネココはすぐに戦闘のレノに声をかけた。
「レノ、ドリスが……」
「分かってる、こうなったら戦うぞ!!」
「ウォオンッ!!」
ドリスが落馬したのを確認してレノ達は立ち止まると、武器を抜いてコボルト達の元へ向かう。レノはウルから飛び降りると身体を転がせながらも体勢を整え、弓を引き抜く。その一方でネココは蛇剣を取り出す。
落馬したドリスもどうにか起き上がると、彼女は腰の剣に手を伸ばす。彼女が所有する魔剣「烈火」はフレア家に伝わる代々の家宝であり、火属性の魔力を取り込む性質を持つ。そして鞘には3つの火属性の魔石が取り付けられ、その魔力を利用して彼女は剣に通常以上の魔力を込める事が出来る。
「このっ!!喰らいなさい、爆炎剣!!」
「ギャインッ!?」
「ガアッ!?」
近付いてきたコボルトに対してドリスは怒った風に剣を引き抜くと、刀身から爆炎が発生して接近してきたコボルト3体を同時に蹴散らす。彼女の扱う爆炎剣は絶大の威力を誇り、単純な火力はレノの「火炎剣」を上回る。
「流石は王国騎士……私も負けていられない」
ネココはドリスが3匹のコボルトを一瞬で倒したことを確認すると、彼女は蛇剣を引き抜き、まるで鞭のように刀身を伸ばしてコボルト達を切り裂く。コボルト達の元に蛇の紋様が刻まれた刀身が伸びると、次々と斬り付けた。
「ギャンッ!?」
「ガアアッ!?」
「ガウッ!!」
「むうっ……制御は難しい」
まだ使い慣れていない武器のせいか、何体かのコボルトには刃を避けられてしまい、ネココは悔し気な表情を浮かべる。元の持ち主のヤンの様に完璧に使いこなせるまでには相当な練習が必要らしく、彼女は刀身を元に戻す。
その一方でレノは弓を構えると矢を番え、この時に弓に取り付けた風属性の魔石から魔力を引き出し、通常以上に魔力を込めた矢を放つ。
「吹き飛べ!!」
『ギャウンッ!?』
矢が地面に衝突すると衝撃波が発生し、数体のコボルトを同時に吹き飛ばす。その結果、コボルトの大半が倒れ込み、残されたコボルトも怖気づいた様に逃げ出してしまう。
「ガアアッ!?」
「キャインッ!?」
「……ふうっ、いったか」
コボルト達が逃げ出す光景を確認してレノは弓を背中に収めると、他の二人の様子を伺う。ネココは特に問題なさそうだが、ドリスは安堵した表情で剣を鞘に納め、二人に振り返って謝罪する。
「申し訳ございません、ご迷惑をおかけして……」
「……気にしなくていい、それよりも怪我はない?」
「ええ、私の鎧は衝撃にも強いので……ですが、馬が逃げ出してしまいましたわ」
「仕方ないよ、荷物はウルに運ばせるからここから歩いていこう」
「本当に申し訳ございません、王国騎士でありながらこんな不甲斐ない姿を見せて……きゃっ!?」
「クゥ~ンッ(気にするなよ)」
落ち込むドリスにウルが慰めるように彼女の頬を舐めると、レノとネココは落ちていた荷物を拾い上げるのを手伝い、とりあえずはウルの背中に乗せる。
荷物を回収して再び出発しようしたとき、レノはペンダントが落ちている事に気付き、ドリスが大切にしている王国騎士の証であるペンダントだと気づいて返す。
「ドリスさん、これ落ちてたよ」
「え?あ、私のペンダント……ありがとうございます」
「……大事な物なんだから失くしていたら大変だった」
ドリスの所有するペンダントは王国騎士の証であるため、もしも失くしてしまった場合は王国騎士の称号を剥奪されかねない大変な代物である。レノに手渡されたペンダントをドリスは受け取ろうとしたが、ここで彼女は手を止める。
「……今の私にこれを身に付ける資格があるのでしょうか?」
「え?」
「御二人に聞きます、正直に言って私は王国騎士に相応しいと思いますか?」
レノとネココはドリスの思いがけぬ言葉に顔を見合わせ、彼女が真剣に悩んでいる表情のため、とりあえずは真面目に考えて返答した。
但し、最近では魔物が大量発生するようになっているため、ゴノへ向かう途中でもレノ達はコボルトの群れに追い掛け回される事態に陥っていた。
『ガアアアッ!!』
「たくっ、しつこいな!!」
「ウォンッ!!」
「……スラミン、もっと急いで」
「ぷるるんっ!!」
「このままだと追いつかれますわ!?」
ウルに乗り込んだレノ、スラミンの頭に乗るネココ、そして最後尾には馬に乗ったドリスが後に続く。3人の後方には十数匹のコボルトが追跡し、徐々に最後尾のドリスは距離が追いつめられていく。
「ガアッ!!」
「ヒヒンッ!?」
「きゃあっ!?」
コボルトが遂に馬へと追いつくと、馬の尻が爪で引っかかれ、痛みを覚えた馬はドリスと荷物を落としてしまう。その様子を見ていたネココはすぐに戦闘のレノに声をかけた。
「レノ、ドリスが……」
「分かってる、こうなったら戦うぞ!!」
「ウォオンッ!!」
ドリスが落馬したのを確認してレノ達は立ち止まると、武器を抜いてコボルト達の元へ向かう。レノはウルから飛び降りると身体を転がせながらも体勢を整え、弓を引き抜く。その一方でネココは蛇剣を取り出す。
落馬したドリスもどうにか起き上がると、彼女は腰の剣に手を伸ばす。彼女が所有する魔剣「烈火」はフレア家に伝わる代々の家宝であり、火属性の魔力を取り込む性質を持つ。そして鞘には3つの火属性の魔石が取り付けられ、その魔力を利用して彼女は剣に通常以上の魔力を込める事が出来る。
「このっ!!喰らいなさい、爆炎剣!!」
「ギャインッ!?」
「ガアッ!?」
近付いてきたコボルトに対してドリスは怒った風に剣を引き抜くと、刀身から爆炎が発生して接近してきたコボルト3体を同時に蹴散らす。彼女の扱う爆炎剣は絶大の威力を誇り、単純な火力はレノの「火炎剣」を上回る。
「流石は王国騎士……私も負けていられない」
ネココはドリスが3匹のコボルトを一瞬で倒したことを確認すると、彼女は蛇剣を引き抜き、まるで鞭のように刀身を伸ばしてコボルト達を切り裂く。コボルト達の元に蛇の紋様が刻まれた刀身が伸びると、次々と斬り付けた。
「ギャンッ!?」
「ガアアッ!?」
「ガウッ!!」
「むうっ……制御は難しい」
まだ使い慣れていない武器のせいか、何体かのコボルトには刃を避けられてしまい、ネココは悔し気な表情を浮かべる。元の持ち主のヤンの様に完璧に使いこなせるまでには相当な練習が必要らしく、彼女は刀身を元に戻す。
その一方でレノは弓を構えると矢を番え、この時に弓に取り付けた風属性の魔石から魔力を引き出し、通常以上に魔力を込めた矢を放つ。
「吹き飛べ!!」
『ギャウンッ!?』
矢が地面に衝突すると衝撃波が発生し、数体のコボルトを同時に吹き飛ばす。その結果、コボルトの大半が倒れ込み、残されたコボルトも怖気づいた様に逃げ出してしまう。
「ガアアッ!?」
「キャインッ!?」
「……ふうっ、いったか」
コボルト達が逃げ出す光景を確認してレノは弓を背中に収めると、他の二人の様子を伺う。ネココは特に問題なさそうだが、ドリスは安堵した表情で剣を鞘に納め、二人に振り返って謝罪する。
「申し訳ございません、ご迷惑をおかけして……」
「……気にしなくていい、それよりも怪我はない?」
「ええ、私の鎧は衝撃にも強いので……ですが、馬が逃げ出してしまいましたわ」
「仕方ないよ、荷物はウルに運ばせるからここから歩いていこう」
「本当に申し訳ございません、王国騎士でありながらこんな不甲斐ない姿を見せて……きゃっ!?」
「クゥ~ンッ(気にするなよ)」
落ち込むドリスにウルが慰めるように彼女の頬を舐めると、レノとネココは落ちていた荷物を拾い上げるのを手伝い、とりあえずはウルの背中に乗せる。
荷物を回収して再び出発しようしたとき、レノはペンダントが落ちている事に気付き、ドリスが大切にしている王国騎士の証であるペンダントだと気づいて返す。
「ドリスさん、これ落ちてたよ」
「え?あ、私のペンダント……ありがとうございます」
「……大事な物なんだから失くしていたら大変だった」
ドリスの所有するペンダントは王国騎士の証であるため、もしも失くしてしまった場合は王国騎士の称号を剥奪されかねない大変な代物である。レノに手渡されたペンダントをドリスは受け取ろうとしたが、ここで彼女は手を止める。
「……今の私にこれを身に付ける資格があるのでしょうか?」
「え?」
「御二人に聞きます、正直に言って私は王国騎士に相応しいと思いますか?」
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