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二人旅編
閑話 〈光の騎士〉
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シノの街の騒動から数週間後、白狼騎士団のセツナは王都へと帰還を果たす。色々とあって王都へ引き返すのに時間はかかってしまったが、騎士団の宿舎に戻った彼女はようやく一息を付けた。
「ふうっ……全く、あの女のためにどうしてわざわざ私が出向かなければならないんだ」
「お疲れ様です、セツナ様」
「ああ、お前も疲れただろう。今日はもう帰ってもいいんだぞ?」
「いいえ、王都不在時の書類仕事がありますので……セツナ様も確認してください」
「……やっと戻ってきたのにまた仕事か」
リンの言葉にセツナはため息を吐き出し、この頭の固い副団長をどのように説得して仕事を回避するのか考えていると、部屋の扉がノックされる。入室を許可すると、中に入ってきたのは慌てた様子の騎士が入ってきた。
「騎士団長!!副団長もここにおられましたか!!」
「どうした?何かあったのか?」
「そ、それが……大変な事になりました!!」
「まずは落ち着きなさい、ちゃんと用件を伝えなさい」
騎士の言葉にセツナとリンは何事があったのかを問うと、彼は焦った様子で先ほど入った連絡を伝える。その内容を聞いてセツナとリンは目を見開く程に驚く。
「先ほど、国王陛下が五人目の王国騎士を選抜しました!!」
「何だと!?」
「五人目……それはどういう意味ですか!?」
この国には今まで4人の王国騎士しか存在せず、その内の2名は「セツナ」と「ドリス」である。他には彼女達と同世代の少年が1名、最後に最も古株の騎士を含めて4人の王国騎士が存在し、その内の3人は騎士団を率いていた。
王国騎士は簡単になれる存在ではなく、家柄や実力、更には実績を考慮されて王国騎士へと選ばれる。そんな厳しい条件を揃えた人材が国内にまだ残っているなど信じられず、セツナは何者が王国騎士に就任したのかを問う。
「いったい誰だ?その5人目の騎士とやらは……」
「そ、それが……最近になって王女様の騎士として働いていた者です」
「王女様?どの王女様だ?」
「第三王女のオリビア様です。オリビア様の新しい専属騎士が王国騎士へ選ばれました」
「オリビア様の……!?」
オリビアの名前を聞いてセツナとリンは驚き、第三王女の新しい専属騎士という言葉も引っかかる。最近にオリビアの専属騎士が変わったという噂はセツナも聞いていたが、就任してから間もなくで王国騎士に昇格したという話にセツナは不審を抱く。
「オリビア様が動いてその専属騎士を王国騎士にするように陛下に促したのか?」
「それは分かりません。しかし、その物はどうやら平民のようで……」
「平民!?平民が王国騎士になったというのですか?」
「いえ、それがただの平民ではなく……エルフのようです」
「エルフだと……」
第三王女の専属騎士が王国騎士に選ばれただけでも驚きだが、人間ではなくエルフが騎士に選ばれたなど前代未聞だった。基本的にエルフという存在は人間とは相性が悪く、滅多に人前に姿を現すことはない。
そんなエルフが人間の国の騎士になったというだけでも驚きだが、それに加えて兵士は衝撃の事実を伝えた。
「そのエルフは何でも光の勇者が扱っていたという「光の剣」を所有し、それを扱う事が出来ると言われています。巷では勇者の再臨と噂されております」
「何だと……光の剣だと!?」
「……これは書類仕事をしている場合ではありませんね」
セツナは部下からの報告を聞いて動揺を隠せず、常に冷静沈着な副団長のリンでさえも勇者の武器を手にした王国騎士が誕生したという話に冷や汗を流す――
――この後、正式に五人目王国騎士の就任が世間にも発表され、国王はその人物に「光の騎士」の称号を与えたという。
「ふうっ……全く、あの女のためにどうしてわざわざ私が出向かなければならないんだ」
「お疲れ様です、セツナ様」
「ああ、お前も疲れただろう。今日はもう帰ってもいいんだぞ?」
「いいえ、王都不在時の書類仕事がありますので……セツナ様も確認してください」
「……やっと戻ってきたのにまた仕事か」
リンの言葉にセツナはため息を吐き出し、この頭の固い副団長をどのように説得して仕事を回避するのか考えていると、部屋の扉がノックされる。入室を許可すると、中に入ってきたのは慌てた様子の騎士が入ってきた。
「騎士団長!!副団長もここにおられましたか!!」
「どうした?何かあったのか?」
「そ、それが……大変な事になりました!!」
「まずは落ち着きなさい、ちゃんと用件を伝えなさい」
騎士の言葉にセツナとリンは何事があったのかを問うと、彼は焦った様子で先ほど入った連絡を伝える。その内容を聞いてセツナとリンは目を見開く程に驚く。
「先ほど、国王陛下が五人目の王国騎士を選抜しました!!」
「何だと!?」
「五人目……それはどういう意味ですか!?」
この国には今まで4人の王国騎士しか存在せず、その内の2名は「セツナ」と「ドリス」である。他には彼女達と同世代の少年が1名、最後に最も古株の騎士を含めて4人の王国騎士が存在し、その内の3人は騎士団を率いていた。
王国騎士は簡単になれる存在ではなく、家柄や実力、更には実績を考慮されて王国騎士へと選ばれる。そんな厳しい条件を揃えた人材が国内にまだ残っているなど信じられず、セツナは何者が王国騎士に就任したのかを問う。
「いったい誰だ?その5人目の騎士とやらは……」
「そ、それが……最近になって王女様の騎士として働いていた者です」
「王女様?どの王女様だ?」
「第三王女のオリビア様です。オリビア様の新しい専属騎士が王国騎士へ選ばれました」
「オリビア様の……!?」
オリビアの名前を聞いてセツナとリンは驚き、第三王女の新しい専属騎士という言葉も引っかかる。最近にオリビアの専属騎士が変わったという噂はセツナも聞いていたが、就任してから間もなくで王国騎士に昇格したという話にセツナは不審を抱く。
「オリビア様が動いてその専属騎士を王国騎士にするように陛下に促したのか?」
「それは分かりません。しかし、その物はどうやら平民のようで……」
「平民!?平民が王国騎士になったというのですか?」
「いえ、それがただの平民ではなく……エルフのようです」
「エルフだと……」
第三王女の専属騎士が王国騎士に選ばれただけでも驚きだが、人間ではなくエルフが騎士に選ばれたなど前代未聞だった。基本的にエルフという存在は人間とは相性が悪く、滅多に人前に姿を現すことはない。
そんなエルフが人間の国の騎士になったというだけでも驚きだが、それに加えて兵士は衝撃の事実を伝えた。
「そのエルフは何でも光の勇者が扱っていたという「光の剣」を所有し、それを扱う事が出来ると言われています。巷では勇者の再臨と噂されております」
「何だと……光の剣だと!?」
「……これは書類仕事をしている場合ではありませんね」
セツナは部下からの報告を聞いて動揺を隠せず、常に冷静沈着な副団長のリンでさえも勇者の武器を手にした王国騎士が誕生したという話に冷や汗を流す――
――この後、正式に五人目王国騎士の就任が世間にも発表され、国王はその人物に「光の騎士」の称号を与えたという。
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