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二人旅編
倉庫
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――同時刻、チェンが探している二人は実は既に建物の中に入り込み、倉庫らしき部屋を発見していた。見張りの兵士達はチェンの指示で北側の方へと向かい、その間にレノ達はあっさりと建物の中に侵入した。
地下に続く階段を発見した二人は下りて調べてみた所、偶然にも盗賊達が倉庫代わりに利用している部屋へと辿り着き、そこには盗賊達が旅人や商人から奪ったと思われる様々な物品が保管されていた。その中にはレノとアルトが奪われた装備も存在し、すぐに彼等は回収を行う。
「あった、俺の退魔のローブ!!」
「こっちにも僕の荷物があったよ!!」
レノは奪われていた退魔のローブを取り返し、アルトの方も収納鞄を取り戻す。彼の鞄は魔道具だと気づかれたわけではなく、こんな場所に放り込まれたらしい。
「レノ君、この剣を使ってくれ。護身用として買っていたんだが、ないよりはマシだろう?」
「ありがとう……くそ、やっぱりこの中には俺の武器はないか」
倉庫の中を探すが、レノが所持していた魔法腕輪、指輪、剣、そして魔弓と勘違いされたダリルが作ってくれた弓は置いていなかった。それでも退魔のローブを取り返したレノはすぐに着込むと、剣を握りしめてこれで盗賊に見つかっても戦えると確信を抱く。
「よし、今のうちに他の二人を探そうここから見つかったら戦闘になるからアルトも気を付けて!!」
「わ、分かった……よし、僕が使えそうな武器もある」
アルトはレノの言葉に緊張気味に頷き、今更ながらにレノはアルトが戦っている姿を見た事はない。前の時は剣を携帯していたが、実際にアルトが戦ったわけではなく、常にレノの補助に徹していた。
震える腕でアルトは倉庫内に置かれていた槍を掴むが、このような室内では長物よりも剣や短剣の方が使いやすいため、レノは槍を止めて彼に他の武器を選ぶように促す。
「槍は止めた方がいいよ。狭い廊下や室内だと下手に振り回すと味方も危険に晒されるし、それに壁や天井に当たる可能性もある」
「そ、そうだね……なら、この短剣でいいか」
レノの言葉にアルトは従い、彼は短剣を拾い上げようとした時、突如として倉庫の扉が開いて外側から盗賊が姿を現す。入ってきた盗賊の男はレノとアルトの姿を見て驚く。
「お、お前等っ!?」
「静かにしろっ!!」
「はぐぅっ!?」
「うわぁっ……レノ君、容赦ないな」
入ってきた男が騒ぎ出す前にレノは男の股間を蹴り上げ、衝撃の表情を浮かべた状態で男は股間を抑えてへたり込む。そんな男に対してレノは容赦なく、アルトから借りた剣の柄を頭部に叩き込んで気絶させる。
山に暮らしていた時は武器を失った事を想定し、ロイやダリルからは喧嘩の仕方をレノは教わっていた。なので素手の格闘能力の方も意外と高く、そこいらの盗賊程度に後れは取らない。
「よし、早く行こう!!敵に見つかったら今の様に気絶させるか、最悪の場合は魔法剣を使うから巻き込まれないように気を付けて!!」
「あ、ああ……レノ君は本当に頼りになるよ」
気絶した男を置いてレノとアルトは階段を駆け上がり、ここで廊下の様子を伺う。この時にチェンは建物内の盗賊達をレノとアルトの捜索のために外へ出していた事が幸いし、建物の中の警備は薄くなっていた。
「おかしいな……盗賊の姿が見えない。北側の騒動を知って人を派遣にしたとしても、こうも手薄だと逆に不安になるね」
「人がいないなら遠慮なく探せるよ、すぐにドリスとネココを探さないと……」
レノは盗賊の姿が見えない間に次々と部屋を確認し、二人が捕まっていないのかを確かめる。その途中でアルトはとある部屋の前に立ち止まり、レノを促す。
「レノ君、この部屋を見てくれ。立ち入り禁止と書かれているし、それにこの部屋だけ鍵が掛かっている」
「え?本当に?よし……魔法剣で破壊しよう」
鍵が施された部屋の前でレノは剣を構えると、剣の先端に風の魔力を集中させ、一気に噴出させて刃を勢いよく振り下ろす。その動作は斧で薪割りを行う時と同じく、今回は扉の取っ手を狙う。
「兜割り!!」
「おおっ……斬ったのは取っ手だけどね」
見事に取っ手の部分を切断し、上手く鍵ごと破壊すると扉がゆっくりと開く。中に入り込むと、どうやら盗賊達が奪い取った金品が保管されているらしく、その中にはドリスが着込んでいた「黄金の鎧」も存在した。
黄金の鎧を確認してレノはやはりこの建物内にドリスが捕まっていることを知り、すぐに助けに向かわなければならないと考えた時、ここで外の方から騒ぎ声を耳にする。何事かとレノとアルトは外に繋がる窓を確認すると、盗賊達が大声で何かを叫んでいた。
「何だ?なんて言ってるんだ?」
「しっ……隠れて」
見つからないようにレノ達は窓から身を隠しながら様子を伺うと、街道を巡回する盗賊達は隠れているはずのレノとアルトに対して呼びかけを行う。その内容を聞いてレノは腸が煮えくり返るほどの怒りを抱く。
地下に続く階段を発見した二人は下りて調べてみた所、偶然にも盗賊達が倉庫代わりに利用している部屋へと辿り着き、そこには盗賊達が旅人や商人から奪ったと思われる様々な物品が保管されていた。その中にはレノとアルトが奪われた装備も存在し、すぐに彼等は回収を行う。
「あった、俺の退魔のローブ!!」
「こっちにも僕の荷物があったよ!!」
レノは奪われていた退魔のローブを取り返し、アルトの方も収納鞄を取り戻す。彼の鞄は魔道具だと気づかれたわけではなく、こんな場所に放り込まれたらしい。
「レノ君、この剣を使ってくれ。護身用として買っていたんだが、ないよりはマシだろう?」
「ありがとう……くそ、やっぱりこの中には俺の武器はないか」
倉庫の中を探すが、レノが所持していた魔法腕輪、指輪、剣、そして魔弓と勘違いされたダリルが作ってくれた弓は置いていなかった。それでも退魔のローブを取り返したレノはすぐに着込むと、剣を握りしめてこれで盗賊に見つかっても戦えると確信を抱く。
「よし、今のうちに他の二人を探そうここから見つかったら戦闘になるからアルトも気を付けて!!」
「わ、分かった……よし、僕が使えそうな武器もある」
アルトはレノの言葉に緊張気味に頷き、今更ながらにレノはアルトが戦っている姿を見た事はない。前の時は剣を携帯していたが、実際にアルトが戦ったわけではなく、常にレノの補助に徹していた。
震える腕でアルトは倉庫内に置かれていた槍を掴むが、このような室内では長物よりも剣や短剣の方が使いやすいため、レノは槍を止めて彼に他の武器を選ぶように促す。
「槍は止めた方がいいよ。狭い廊下や室内だと下手に振り回すと味方も危険に晒されるし、それに壁や天井に当たる可能性もある」
「そ、そうだね……なら、この短剣でいいか」
レノの言葉にアルトは従い、彼は短剣を拾い上げようとした時、突如として倉庫の扉が開いて外側から盗賊が姿を現す。入ってきた盗賊の男はレノとアルトの姿を見て驚く。
「お、お前等っ!?」
「静かにしろっ!!」
「はぐぅっ!?」
「うわぁっ……レノ君、容赦ないな」
入ってきた男が騒ぎ出す前にレノは男の股間を蹴り上げ、衝撃の表情を浮かべた状態で男は股間を抑えてへたり込む。そんな男に対してレノは容赦なく、アルトから借りた剣の柄を頭部に叩き込んで気絶させる。
山に暮らしていた時は武器を失った事を想定し、ロイやダリルからは喧嘩の仕方をレノは教わっていた。なので素手の格闘能力の方も意外と高く、そこいらの盗賊程度に後れは取らない。
「よし、早く行こう!!敵に見つかったら今の様に気絶させるか、最悪の場合は魔法剣を使うから巻き込まれないように気を付けて!!」
「あ、ああ……レノ君は本当に頼りになるよ」
気絶した男を置いてレノとアルトは階段を駆け上がり、ここで廊下の様子を伺う。この時にチェンは建物内の盗賊達をレノとアルトの捜索のために外へ出していた事が幸いし、建物の中の警備は薄くなっていた。
「おかしいな……盗賊の姿が見えない。北側の騒動を知って人を派遣にしたとしても、こうも手薄だと逆に不安になるね」
「人がいないなら遠慮なく探せるよ、すぐにドリスとネココを探さないと……」
レノは盗賊の姿が見えない間に次々と部屋を確認し、二人が捕まっていないのかを確かめる。その途中でアルトはとある部屋の前に立ち止まり、レノを促す。
「レノ君、この部屋を見てくれ。立ち入り禁止と書かれているし、それにこの部屋だけ鍵が掛かっている」
「え?本当に?よし……魔法剣で破壊しよう」
鍵が施された部屋の前でレノは剣を構えると、剣の先端に風の魔力を集中させ、一気に噴出させて刃を勢いよく振り下ろす。その動作は斧で薪割りを行う時と同じく、今回は扉の取っ手を狙う。
「兜割り!!」
「おおっ……斬ったのは取っ手だけどね」
見事に取っ手の部分を切断し、上手く鍵ごと破壊すると扉がゆっくりと開く。中に入り込むと、どうやら盗賊達が奪い取った金品が保管されているらしく、その中にはドリスが着込んでいた「黄金の鎧」も存在した。
黄金の鎧を確認してレノはやはりこの建物内にドリスが捕まっていることを知り、すぐに助けに向かわなければならないと考えた時、ここで外の方から騒ぎ声を耳にする。何事かとレノとアルトは外に繋がる窓を確認すると、盗賊達が大声で何かを叫んでいた。
「何だ?なんて言ってるんだ?」
「しっ……隠れて」
見つからないようにレノ達は窓から身を隠しながら様子を伺うと、街道を巡回する盗賊達は隠れているはずのレノとアルトに対して呼びかけを行う。その内容を聞いてレノは腸が煮えくり返るほどの怒りを抱く。
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