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二人旅編
復讐の誓い
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黒狼が国が派遣した騎士団に壊滅され、国王が騎士団に「白狼騎士団」の名前を与えてから3年の月日が流れた。ロンは賞金首に指名手配されてからはひっそりと暮らし、変装して名前を変えて田舎の村で薬剤師として暮らしていた。
常に正体が気づかれないように気を付けながらの生活はロンの精神をすり減らし、しかも田舎で人が少なく、怪我をして治療する人間も滅多に訪れないためにロンの生活はどんどんと厳しくなっていた。黒狼の専属薬剤師として働いていた頃に貯蓄していた金も底を着いた頃、ある男がロンの前に現れた。
『ロン……やっと見つけたぞ、こんな所でひっそりと生き延びているとはな』
『ヤン!?お前、生きていたのか……』
ロンの元に訪れたのは彼とは子供の頃の付き合いのヤンであり、ロンは彼が生きていた事に驚く。この時のロンは田舎で暮らしていたために外の情報は殆ど手に入らず、自分以外にも黒狼に所属していた人間が生きているとは知らなかった。ロンは突然に訪れたヤンに驚くが、そんな彼にヤンは自分達以外に生き残りがいる事を伝える。
『お前を迎えに来た。但し、傷を癒す薬剤師としてではなく、人に害を為す毒薬師として力を貸してくれ』
『な、何だと……』
『お前もこんな田舎で生涯を過ごすつもりはないだろう?』
『……何が望みだ?』
『知れた事よ……俺達をここまで追い詰めた奴等に復讐する』
ヤンの目的を聞いてロンは戸惑い、復讐という言葉に彼は嫌な予感を抱いた。しかし、もう金も尽きて明日を生き延びるのも難しい状況だったロンに従う以外に選択肢はなく、ロンはヤンについていく事にした――
――それから1年の月日が経過すると、ロンは自分の他に生き残っていた黒狼の残党と共に裏社会で生き延びていた。黒狼が壊滅された後、生き延びて逃げた者達は全員が指名手配され、現在は二つ名持ちの賞金首にまでなっていた。その中にはロンも含まれ、彼もこの1年の間に相当な数の人間を始末している。
黒狼の目的は自分達をここまで追い詰めた国への復讐、そのためにはまず彼等の狙いは黒狼を壊滅に追いやり、さらには自分達の当てつけの様に「白狼」という名前を与えられた白狼騎士団の壊滅だった。
白狼騎士団は現在は王都の守護を任され、その勢力は全盛期の黒狼をも凌ぐ。現時点では国の要ともいえる存在でもあった。しかし、この4年の間に騎士団長が入れ替わり、なんとかつて黒狼が暗殺に失敗した公爵家の令嬢が騎士団長の座に就いていた。
しかも彼女は黒狼が送り込んだ暗殺者を返り討ちにした件が切っ掛けで「王国騎士」の位まで与えられていた。その事実を知った黒狼の面子は怒り狂い、この少女さえいなければ黒狼が壊滅する事も自分達がこんな目に遭う事もなかったと思い込む。
『復讐だ!!まずはこの忌々しい女を殺す!!』
『異論はない!!』
『こいつさえいなければ……!!』
『ま、待て!!落ち着け、そもそもどうやって殺すんだ?この女は子供の時ですら暗殺者を返り討ちにする実力を持っているんだぞ?しかも今は騎士団の団長の座に就いている。そんな簡単に殺せる相手では……』
『ふん、その点に関しては俺に策がある』
白狼騎士団の現団長を殺す事に関してはロンも反対はしたが、再集結した黒狼の面子の中で最も影響力を持ち、裏社会の人間からも恐れられる存在になった「チェン」が策を提案する。その内容を聞いたロンは彼の頭がおかしくなったのではないかと思った。
『俺達の存在を奴等に漏らす、そして王国騎士をこの街に招き寄せる』
『な、何だと!?』
『本気で言っているのか?』
『そんな事、出来るはずが……』
『出来る、俺が何のためにお前達を集めて組織を復活させたと思う?』
チェンの作戦を聞いたときはロウ、ヤン、ロンの3人は彼の頭を疑った。だが、彼には自分の言葉を実現できる力と人脈がある事を告げる。
『俺はかつて誰よりも暗殺の仕事を引き受け、依頼対象を抹殺してきた。その依頼人の中には俺達を裏切った貴族もいる……奴等を利用してこの女を呼び寄せるんだ』
『まさか、王都の貴族を脅すつもりか!?だが、もしもまた奴等が裏切れば……』
『奴等は裏切る事は出来ん、もしも裏切るようなら俺達に依頼を申し込んだ貴族共が黒狼に依頼を申し込んだという証拠を晒す……と、脅している』
『何だと!?そんな証拠があったのか?』
『あるはずがないだろう、5年前に証拠は全て失われた……だが、奴等はありもしない証拠を恐れて必ず俺達に協力するだろう』
『そ、そんなに上手く行くのか?』
『安心しろ、既に貴族共には話を通してある。それに奴等の中には俺達にまた目障りな存在を消して貰いたいと考える人間もいる……自分達も俺達の復讐の対象である事も気づかずにな』
ロンはこの時のチェンの顔と声を思い出すだけで身体は震え上がり、傭兵時代の彼はここまでの圧倒的な存在感はなかった。だが、この数年の間に彼に何があったのか不明だが、まるで人が変わったように恐ろしい存在へと変貌を果たしていたという――
――そして作戦は実行され、貴族を通して王都ではある噂が流れた。それは白狼騎士団が殲滅したはずの黒狼の残党が生き残っているという話が民衆の間に広がり、その噂は白狼騎士団の団長の耳にも届く。
白狼騎士団は噂の出所を調べたが、その噂の内容がどうにも具体的な内容だった。黒狼の残党は現在は賞金首として指名手配され、今尚も生き延びている。国はこの噂に対して否定したが、噂の内容の中には「チェン」という賞金首が黒狼を再結成しているという話も広がっていた。
実際にチェンという賞金首は存在し、更に調べたところによると黒狼の暗殺稼業にて最も人を殺していた暗殺者がこの男だと判明し、即座に国王はチェンの捕縛のために王国騎士を派遣させる事にした。ここまでは計画通りだったのだが、派遣される国王騎士は白狼騎士団の現団長ではなく、最近になって国王騎士に選ばれた「ドリス」を派遣するのは黒狼にとっても予想外だった。
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ロンの元に訪れたのは彼とは子供の頃の付き合いのヤンであり、ロンは彼が生きていた事に驚く。この時のロンは田舎で暮らしていたために外の情報は殆ど手に入らず、自分以外にも黒狼に所属していた人間が生きているとは知らなかった。ロンは突然に訪れたヤンに驚くが、そんな彼にヤンは自分達以外に生き残りがいる事を伝える。
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『お前もこんな田舎で生涯を過ごすつもりはないだろう?』
『……何が望みだ?』
『知れた事よ……俺達をここまで追い詰めた奴等に復讐する』
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黒狼の目的は自分達をここまで追い詰めた国への復讐、そのためにはまず彼等の狙いは黒狼を壊滅に追いやり、さらには自分達の当てつけの様に「白狼」という名前を与えられた白狼騎士団の壊滅だった。
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『復讐だ!!まずはこの忌々しい女を殺す!!』
『異論はない!!』
『こいつさえいなければ……!!』
『ま、待て!!落ち着け、そもそもどうやって殺すんだ?この女は子供の時ですら暗殺者を返り討ちにする実力を持っているんだぞ?しかも今は騎士団の団長の座に就いている。そんな簡単に殺せる相手では……』
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