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二人旅編
閑話 〈火炎剣の習得〉
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※この話は本当は章の最初に加えたかったのですが、色々と考えて閑話として投稿します。時系列はレノ達がサンノから離れたばかりの頃です。
「う~んっ……どうも、上手く行かないな」
「……どうしたの?」
「いや、この間の魔法剣の練習をしてるんだけど、中々上手くいかなくて……」
「この間の……ああ、あの燃える剣?」
「ウォンッ?」
「ぷるぷるっ?」
街を出発した日の翌日、早朝に目を覚ましたレノは魔法剣の特訓を行おうとした。前回にトレントとの戦闘前にアルトの火属性の魔石を取りつけた指輪を利用し、今回はアルトの力を借りずにレノは「火炎剣」を発動しようとする。
しかし、前回の時はアルトが「火球」の魔法を作り出し、それをレノが事前に発動した風の魔法剣に組み合わせる事で火炎を刃に纏わせる事が出来た。だが、今回はアルトの力を借りずにレノは右手に剣を持ち、風の魔力を纏わせた状態で左手に取り付けた指輪を構え、魔法を発動しようとした。
「火球《ファイアボール》!!」
「……炎が出てない」
「クァアッ……」
指輪を構えたレノは魔法を唱えるが、指輪に取り付けた魔石は一瞬だけ輝いただけで肝心の魔法は出てこない。その様子を見ていたウルは欠伸を行い、ネココも暇そうに見つめる。それからレノは何度か繰り返すと、やっと発動に成功した。
「火球、火球、火球……ああ、もう!!火球!!」
「あ、出た……でも、消えた」
「グウグウッ……(←昼寝)」
「ぷるぷるっ……(←ウルの枕にされた)」
何度か呪文を唱えると指先から一瞬だけ種火程度の小さな火球は出現したが、すぐに消えてしまう。その様子を見てレノは汗を流し、その場にへたり込む。
「駄目だ……やっぱり、魔法は上手く使えないや」
「……それだけ魔力を操れるのに魔法を作り出せないのはある意味凄いと思う」
子供の頃からレノは魔力を形にした「魔法」を作り出す事を大の苦手としていた。そのせいで子供の頃は上手く魔法が扱えない事からエルフの子供達に虐められていた事もある。今でもレノは風属性の魔力を巧みに操れるようになったが、エルフの様に道具を使わずに魔法を作り出す事は出来なかった。
火属性の魔法に関しても魔石の力を借りれば種火程度は生み出せるが、すぐに消えてしまう。風の魔法と同様で火の魔法も上手く扱えず、これでは単独ではレノは「火炎剣」を作り出せない。
「ネココは火属性に適性ないの?」
「無理、私は火属性の魔法は使えない。水属性なら適性があるけど……」
ネココが指輪を装着してアルトのように初級魔法を使ってもらえば火炎剣は作り出せるが、生憎と彼女は火属性の適性はなかった。一応はレノも魔石を使用すれば魔法は使えるので風属性以外にも火属性の適性はあるのは確かだが、この二つを組み合わせる事に難航していた。
(う~ん、指輪の魔石から魔力を引き出す事は出来るんだけどな……魔法となるとどうも上手く行かない。いっその事、やり方を変えるか?)
アルトが居た時は彼に火球を作ってもらい、それをレノが風の魔法剣に取り込み、火炎の魔法剣を作り出していた。しかし、彼に頼れない以上は他の方法で「火炎剣」を生み出す術を考えないといけない。
今後の戦闘では今まで通りの戦い方ではどうしようもない敵と遭遇するかもしれず、実際にトレントの時はレノの力ではどうしようもなかった。ここでレノは身体を起き上げると、剣を握りしめた状態で魔石に視線を向ける。
(そうだ、火属性の魔力を引き出して直接に剣に送り込むのはどうだ?いっその事、二つの魔力を同時に引き出して刀身に纏める事は出来るかな?)
試しにレノは指輪を嵌めている手で剣を握りしめ、体内から風の魔力を生成し、指輪からは火属性の魔石から魔力を引き出し、同時に二つの魔力を剣に送り込む。その結果、刀身に風と火の魔力が交じり合う。
「えっ……うわっ!?」
「にゃっ!?」
「ウォンッ!?(←スラミンに嚙り付く)」
「ぷるるんっ!?(←噛まれて驚く)」
二つの魔力が刀身で交じり合った瞬間、刃は炎に包まれる。その光景を見たネココ達は驚き、一方でレノの方もまさかここまで上手く行くとは思わずに戸惑う。
「やった、成功した……そうか、火球を発動しなくても火属性の魔力を取り込むだけで炎になるのか」
「……凄い炎、丁度良かった。魚を釣ったからそれで焼いて」
「丸焦げになっちゃうよ!?」
初めて単独で火炎剣の発動に成功した事にレノは感動し、こうして新たなにレノは新しい魔法剣の習得に成功した――
スラミン「ぷるぷるっ!!(痛いやんけっ!!)」
ウル「クゥンッ……(ごめんって……)」
(´・ω・`)パ-ン ← スラミン
⊂彡☆))Д`)) ←ウル
「う~んっ……どうも、上手く行かないな」
「……どうしたの?」
「いや、この間の魔法剣の練習をしてるんだけど、中々上手くいかなくて……」
「この間の……ああ、あの燃える剣?」
「ウォンッ?」
「ぷるぷるっ?」
街を出発した日の翌日、早朝に目を覚ましたレノは魔法剣の特訓を行おうとした。前回にトレントとの戦闘前にアルトの火属性の魔石を取りつけた指輪を利用し、今回はアルトの力を借りずにレノは「火炎剣」を発動しようとする。
しかし、前回の時はアルトが「火球」の魔法を作り出し、それをレノが事前に発動した風の魔法剣に組み合わせる事で火炎を刃に纏わせる事が出来た。だが、今回はアルトの力を借りずにレノは右手に剣を持ち、風の魔力を纏わせた状態で左手に取り付けた指輪を構え、魔法を発動しようとした。
「火球《ファイアボール》!!」
「……炎が出てない」
「クァアッ……」
指輪を構えたレノは魔法を唱えるが、指輪に取り付けた魔石は一瞬だけ輝いただけで肝心の魔法は出てこない。その様子を見ていたウルは欠伸を行い、ネココも暇そうに見つめる。それからレノは何度か繰り返すと、やっと発動に成功した。
「火球、火球、火球……ああ、もう!!火球!!」
「あ、出た……でも、消えた」
「グウグウッ……(←昼寝)」
「ぷるぷるっ……(←ウルの枕にされた)」
何度か呪文を唱えると指先から一瞬だけ種火程度の小さな火球は出現したが、すぐに消えてしまう。その様子を見てレノは汗を流し、その場にへたり込む。
「駄目だ……やっぱり、魔法は上手く使えないや」
「……それだけ魔力を操れるのに魔法を作り出せないのはある意味凄いと思う」
子供の頃からレノは魔力を形にした「魔法」を作り出す事を大の苦手としていた。そのせいで子供の頃は上手く魔法が扱えない事からエルフの子供達に虐められていた事もある。今でもレノは風属性の魔力を巧みに操れるようになったが、エルフの様に道具を使わずに魔法を作り出す事は出来なかった。
火属性の魔法に関しても魔石の力を借りれば種火程度は生み出せるが、すぐに消えてしまう。風の魔法と同様で火の魔法も上手く扱えず、これでは単独ではレノは「火炎剣」を作り出せない。
「ネココは火属性に適性ないの?」
「無理、私は火属性の魔法は使えない。水属性なら適性があるけど……」
ネココが指輪を装着してアルトのように初級魔法を使ってもらえば火炎剣は作り出せるが、生憎と彼女は火属性の適性はなかった。一応はレノも魔石を使用すれば魔法は使えるので風属性以外にも火属性の適性はあるのは確かだが、この二つを組み合わせる事に難航していた。
(う~ん、指輪の魔石から魔力を引き出す事は出来るんだけどな……魔法となるとどうも上手く行かない。いっその事、やり方を変えるか?)
アルトが居た時は彼に火球を作ってもらい、それをレノが風の魔法剣に取り込み、火炎の魔法剣を作り出していた。しかし、彼に頼れない以上は他の方法で「火炎剣」を生み出す術を考えないといけない。
今後の戦闘では今まで通りの戦い方ではどうしようもない敵と遭遇するかもしれず、実際にトレントの時はレノの力ではどうしようもなかった。ここでレノは身体を起き上げると、剣を握りしめた状態で魔石に視線を向ける。
(そうだ、火属性の魔力を引き出して直接に剣に送り込むのはどうだ?いっその事、二つの魔力を同時に引き出して刀身に纏める事は出来るかな?)
試しにレノは指輪を嵌めている手で剣を握りしめ、体内から風の魔力を生成し、指輪からは火属性の魔石から魔力を引き出し、同時に二つの魔力を剣に送り込む。その結果、刀身に風と火の魔力が交じり合う。
「えっ……うわっ!?」
「にゃっ!?」
「ウォンッ!?(←スラミンに嚙り付く)」
「ぷるるんっ!?(←噛まれて驚く)」
二つの魔力が刀身で交じり合った瞬間、刃は炎に包まれる。その光景を見たネココ達は驚き、一方でレノの方もまさかここまで上手く行くとは思わずに戸惑う。
「やった、成功した……そうか、火球を発動しなくても火属性の魔力を取り込むだけで炎になるのか」
「……凄い炎、丁度良かった。魚を釣ったからそれで焼いて」
「丸焦げになっちゃうよ!?」
初めて単独で火炎剣の発動に成功した事にレノは感動し、こうして新たなにレノは新しい魔法剣の習得に成功した――
スラミン「ぷるぷるっ!!(痛いやんけっ!!)」
ウル「クゥンッ……(ごめんって……)」
(´・ω・`)パ-ン ← スラミン
⊂彡☆))Д`)) ←ウル
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