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二人旅編
傭兵団
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「く、くそっ……役立たずめ、お前等逃げるぞ!!」
「へ、へいっ!!」
「……させない、というよりも貴方達はもうおしまい」
「な、何だと!?」
用心棒のロウが倒された事で残りの盗賊達は逃げようとしたが、その前にネココは懐から枯れ枝のような物を取り出すと、火を灯して放り捨てる。その行為に盗賊達は訝しむが、すぐに彼女の投げ捨てた植物は燃え盛ると赤色の煙を放つ。
ネココが燃やしたのは特殊な植物で炎で燃やした場合、独特の煙を噴き出す。その煙は狼煙として利用される事が多く、直後に馬の足音が鳴り響く。
「ここか!!」
「盗賊共、もう逃がさんぞ!!」
「遂に見つけたぞ!!」
盗賊の隠れ家に馬に乗り込んだ男たちが殺到し、その人数は30名は存在した。彼等は身に付けている鎧に「隼」の紋様を刻んでおり、それを見た盗賊達は焦った声を上げる。
「こ、こいつら……傭兵団だ!!」
「隼の紋章だと!?という事は隼の団か!!」
「お、お前等……隼の団の傭兵だったのか?」
「……違う、でも手は組んでいる」
「俺達だけでここに乗り込むわけないでしょ」
「ウォンッ!!」
「ぷるぷるっ」
――時刻は少し前に遡り、レノ達は森の中を歩いていると盗賊団を捜索している「隼の団」という傭兵団と遭遇した。彼等は依頼を受けて盗賊の討伐に赴いたらしく、もしもレノ達が盗賊と遭遇した場合はその居場所を教えてくれるように頼まれていた。
彼等が狼煙に利用する「赤煙草」という香草を受け取った後、レノ達は森を歩いていると偶然にも盗賊と遭遇し、その盗賊を返り討ちにした後に盗賊の隠れ家へと乗り込む。流石にレノとネココの二人だけでは盗賊の本拠地には挑まず、そもそも二人きりでは盗賊を倒しても数十名の人間を街に送り込むのも難しい。
「君達、無事だったか!!」
「うおっ!?なんだ、結構倒れてるぞ!?」
「まさか、お前等が倒したのか?本当に腕が立つんだな」
「……えっへん」
隼の団は盗賊の隠れ家へと到着すると、既に盗賊の半数以上が倒れている事を知って驚き、レノ達の実力を思い知る。一方で隼の団が到着した事で逃げ場を失った盗賊達は顔色を青く変え、もう逃げ出す事は出来なかった。
「お前らが最近にこの森に暮らし始めた盗賊団か!!散々苦労をかけさせやがって、全員捕まえろ!!」
『おうっ!!』
『ひいいっ!?』
隼の団は盗賊達へと襲い掛かり、一人残らず捕まえると縄で縛り上げる。その間にレノ達は賞金首の男の元へ移動し、黒焦げと化しているがまだ生きている事を確認して安堵する。
「良かった……重傷だけど、生きてる」
「……こいつを街まで連れて行けば大金が貰える。取り分は四等分でいい?」
「四等分!?ウルとスラミンの分も入ってるの!?」
「て、てめえらっ……」
「あ、まだ意識があった……大丈夫ですか?一応は手加減はしたんですけど」
レノはロウがまだ意識がある事を知り、心配した風に尋ねると、ロウは悔し気な表情を浮かべながらもレノに顔を向けて呟く。
「覚悟しとけよ……俺は、黒狼の……」
「黒狼?」
「っ……!?」
ロウは言い終える前に意識を失い、いったい何の話かとレノは疑問を抱いたが、彼の言葉を聞いた瞬間にネココは目を見開く。その間にも他の盗賊達は隼の団に捕まり、これにて森の中に隠れ住んでいた盗賊は全員捕縛に成功した――
――その後はレノ達は隼の団と共に森を抜け、遂に「シノ」へと辿り着く。シノの街は規模に関してはサンノと変わりはないが、この街では冒険者だけではなく傭兵の姿も多く見かけ、隼の団と共にレノ達は警備兵に盗賊達と賞金首のロウを突き出す。
「いやいや、流石は隼の団!!まさか依頼をしてから三日も経過しないうちに盗賊達を捕まえるとは……おみそれしました」
「礼を言うなら俺達だけじゃなくて、この子達にも言ってくれよ。この子達が隠れ家を見つけて俺達に教えてくれたんだ」
「おおっ、そうでしたか……君達、お手柄だったな。これはロウの賞金だ。受け取りなさい」
「あ、どうも……」
警備兵たちは盗賊を捕えて帰還した隼の団を褒め称え、彼等に協力したレノ達にも例を告げる。レノはロウの賞金を受け取ると、隼の団の団員達に頭を下げる。
「じゃあ、俺達はこれで失礼しますね」
「ああ、本当に助かったよ。どうだい、良かったら俺達の所に来ないか?君達の腕なら傭兵としても生きていけるだろうし、歓迎するよ」
「……遠慮しておく、私は一匹狼の傭兵」
「一匹猫じゃないの?」
「……訂正する、私は一匹猫の傭兵」
「そ、そうか……それは残念だよ」
隼の団の団長はレノ達の腕を買って勧誘するが、それを断ってレノとネココは屯所を後にした。これでもう森を進む旅人が襲われる心配はなくなるが、ネココは盗賊団を倒してから考え事を行い、あまり口を開かなくなった。
ネココの様子にレノは疑問を抱きながらもシノの街へと到着し、まずは最初に宿屋から探す事にした。ロウの賞金を手に入れたので普段ならば安い宿屋を探して泊まるのだが、今回は少し豪華な宿屋を探す。
「ネココはこの街に着た事はある?それならお勧めの宿屋とかは知ってる?」
「……え?」
レノに話しかけられたネココは驚いた表情を浮かべ、そんな彼女にレノは宿屋を知っているかどうかを尋ねる。
「いや……だから、この街に来たことがあるなら宿屋とか知ってる?」
「……ああ、それならこっちの方に魔獣も宿泊できる宿屋を知ってる。私もスラミンを連れている時はよく利用していた」
「ぷるぷるっ」
ネココはシノに何度か訪れた事があるらしく、彼女が知っているという宿屋へと向かう。その様子を見てレノは不思議に思い、ロウを捕まえた辺りから彼女の様子が少しおかしかった――
「へ、へいっ!!」
「……させない、というよりも貴方達はもうおしまい」
「な、何だと!?」
用心棒のロウが倒された事で残りの盗賊達は逃げようとしたが、その前にネココは懐から枯れ枝のような物を取り出すと、火を灯して放り捨てる。その行為に盗賊達は訝しむが、すぐに彼女の投げ捨てた植物は燃え盛ると赤色の煙を放つ。
ネココが燃やしたのは特殊な植物で炎で燃やした場合、独特の煙を噴き出す。その煙は狼煙として利用される事が多く、直後に馬の足音が鳴り響く。
「ここか!!」
「盗賊共、もう逃がさんぞ!!」
「遂に見つけたぞ!!」
盗賊の隠れ家に馬に乗り込んだ男たちが殺到し、その人数は30名は存在した。彼等は身に付けている鎧に「隼」の紋様を刻んでおり、それを見た盗賊達は焦った声を上げる。
「こ、こいつら……傭兵団だ!!」
「隼の紋章だと!?という事は隼の団か!!」
「お、お前等……隼の団の傭兵だったのか?」
「……違う、でも手は組んでいる」
「俺達だけでここに乗り込むわけないでしょ」
「ウォンッ!!」
「ぷるぷるっ」
――時刻は少し前に遡り、レノ達は森の中を歩いていると盗賊団を捜索している「隼の団」という傭兵団と遭遇した。彼等は依頼を受けて盗賊の討伐に赴いたらしく、もしもレノ達が盗賊と遭遇した場合はその居場所を教えてくれるように頼まれていた。
彼等が狼煙に利用する「赤煙草」という香草を受け取った後、レノ達は森を歩いていると偶然にも盗賊と遭遇し、その盗賊を返り討ちにした後に盗賊の隠れ家へと乗り込む。流石にレノとネココの二人だけでは盗賊の本拠地には挑まず、そもそも二人きりでは盗賊を倒しても数十名の人間を街に送り込むのも難しい。
「君達、無事だったか!!」
「うおっ!?なんだ、結構倒れてるぞ!?」
「まさか、お前等が倒したのか?本当に腕が立つんだな」
「……えっへん」
隼の団は盗賊の隠れ家へと到着すると、既に盗賊の半数以上が倒れている事を知って驚き、レノ達の実力を思い知る。一方で隼の団が到着した事で逃げ場を失った盗賊達は顔色を青く変え、もう逃げ出す事は出来なかった。
「お前らが最近にこの森に暮らし始めた盗賊団か!!散々苦労をかけさせやがって、全員捕まえろ!!」
『おうっ!!』
『ひいいっ!?』
隼の団は盗賊達へと襲い掛かり、一人残らず捕まえると縄で縛り上げる。その間にレノ達は賞金首の男の元へ移動し、黒焦げと化しているがまだ生きている事を確認して安堵する。
「良かった……重傷だけど、生きてる」
「……こいつを街まで連れて行けば大金が貰える。取り分は四等分でいい?」
「四等分!?ウルとスラミンの分も入ってるの!?」
「て、てめえらっ……」
「あ、まだ意識があった……大丈夫ですか?一応は手加減はしたんですけど」
レノはロウがまだ意識がある事を知り、心配した風に尋ねると、ロウは悔し気な表情を浮かべながらもレノに顔を向けて呟く。
「覚悟しとけよ……俺は、黒狼の……」
「黒狼?」
「っ……!?」
ロウは言い終える前に意識を失い、いったい何の話かとレノは疑問を抱いたが、彼の言葉を聞いた瞬間にネココは目を見開く。その間にも他の盗賊達は隼の団に捕まり、これにて森の中に隠れ住んでいた盗賊は全員捕縛に成功した――
――その後はレノ達は隼の団と共に森を抜け、遂に「シノ」へと辿り着く。シノの街は規模に関してはサンノと変わりはないが、この街では冒険者だけではなく傭兵の姿も多く見かけ、隼の団と共にレノ達は警備兵に盗賊達と賞金首のロウを突き出す。
「いやいや、流石は隼の団!!まさか依頼をしてから三日も経過しないうちに盗賊達を捕まえるとは……おみそれしました」
「礼を言うなら俺達だけじゃなくて、この子達にも言ってくれよ。この子達が隠れ家を見つけて俺達に教えてくれたんだ」
「おおっ、そうでしたか……君達、お手柄だったな。これはロウの賞金だ。受け取りなさい」
「あ、どうも……」
警備兵たちは盗賊を捕えて帰還した隼の団を褒め称え、彼等に協力したレノ達にも例を告げる。レノはロウの賞金を受け取ると、隼の団の団員達に頭を下げる。
「じゃあ、俺達はこれで失礼しますね」
「ああ、本当に助かったよ。どうだい、良かったら俺達の所に来ないか?君達の腕なら傭兵としても生きていけるだろうし、歓迎するよ」
「……遠慮しておく、私は一匹狼の傭兵」
「一匹猫じゃないの?」
「……訂正する、私は一匹猫の傭兵」
「そ、そうか……それは残念だよ」
隼の団の団長はレノ達の腕を買って勧誘するが、それを断ってレノとネココは屯所を後にした。これでもう森を進む旅人が襲われる心配はなくなるが、ネココは盗賊団を倒してから考え事を行い、あまり口を開かなくなった。
ネココの様子にレノは疑問を抱きながらもシノの街へと到着し、まずは最初に宿屋から探す事にした。ロウの賞金を手に入れたので普段ならば安い宿屋を探して泊まるのだが、今回は少し豪華な宿屋を探す。
「ネココはこの街に着た事はある?それならお勧めの宿屋とかは知ってる?」
「……え?」
レノに話しかけられたネココは驚いた表情を浮かべ、そんな彼女にレノは宿屋を知っているかどうかを尋ねる。
「いや……だから、この街に来たことがあるなら宿屋とか知ってる?」
「……ああ、それならこっちの方に魔獣も宿泊できる宿屋を知ってる。私もスラミンを連れている時はよく利用していた」
「ぷるぷるっ」
ネココはシノに何度か訪れた事があるらしく、彼女が知っているという宿屋へと向かう。その様子を見てレノは不思議に思い、ロウを捕まえた辺りから彼女の様子が少しおかしかった――
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