63 / 215
魔法剣士編
屋敷からの脱出
しおりを挟む
――食事を終えた後、レナはアルトの部屋に免れる。この時も爺は二人の後に続き、昼間の時のように扉の前にて立ち止まる。
「アルト様、儂は部屋の前に立っていますので何か用事がありましたらお申し付けください!!」
「よく言うよ、僕の護衛ではなくて見張りのためだろう?」
「そ、そんな事はありませぬ!!」
「全く……それじゃあ、僕達は夜通し話し合う事にするよ。言っておくが、くれぐれも中を覗くような真似はするんじゃないよ。客人に対しても失礼だからね」
「分かっておりまする!!」
アルトはレノを連れて部屋の中に入ると、扉を閉める。彼は疲れた表情を浮かべながらため息を吐き出し、その様子を見てレノは尋ねた。
「あの……今日の夜に抜け出して森に向かう予定でしたよね。でも、こんな状態で抜け出せるんですか?」
「ああ、ちゃんと脱出手段は考えてある。安心してくれ」
レノは昼間の話し合いでは今夜のうちにアルトは森を抜け出す予定だった。しかし、屋敷の中には常に兵士が見回りを行い、抜け出すのは非常に難しい状況だった。
部屋の窓の方にアルトは近寄ると外の様子を眺め、案の定というべきか裏庭の方にも数名の兵士が配置されていた。これでは窓を抜け出しての脱出も難しく、彼はカーテンを閉めると外部から部屋の様子を覗かれない状況を作り出す。
「さて、まずはここから脱出しないといけないな」
「でも、どうやって脱出するんですか?」
「脱出自体は簡単さ、このクローゼットの中に脱出路を用意してある」
「クローゼットに?」
アルトはクローゼットを開くと、中に入っている服を左右に分けてクローゼットの奥の壁に手を押し当てる。すると壁は左右に分かれ、隣の部屋に繋がっている事が判明した。
「僕の部屋のクローゼットは隣の空き部屋に繋がっているんだ」
「うわ、凄い……でも、どうしてこんな仕掛けがあるんですか?」
「ふふふ、万が一の場合を想定してこの屋敷のあちこちには僕しか知らない仕掛けを施しているんだ。さあ、付いて来てくれ……おっと、その前に偽装工作はしておかないとね」
仮に部屋の中を爺や兵士が覗き込んだ場合を想定し、アルトは自分の部屋のベッドに詰め物をおいて毛布を掛ける。これならばレナとアルトが共に寝ているように見えなくもない。いくら客人とはいえ、今日出会ったばかりの相手と共に寝るなど少々不自然のように思えるが、それを考慮してアルトは昼間の間はレノと表面上は仲睦まじく接していた。
「これでよし、これなら爺も騙せるだろう」
「あの……もしも脱出した事を知られればアルトさんもまずいんじゃないですか?」
「まずいだろうね、最悪の場合は勘当されるかもしれない。けど、それならそれで僕は構わない。学者として十分に一人で生きていけるし、そもそも僕は領主になるつもりはないからね」
「え?領主?」
「言っていなかったかい?父上は兄上よりも僕を領主にさせようと思っているんだ。学者として名が通っているし、自分でいうのものなんだが僕は兄上よりも人脈が広いからね。だが、僕は領主なんかに興味はない。勘当できるものなら勘当すればいいさ、まあ安心してくれ。君には迷惑を被らないように配慮するよ」
「本当にお願いしますよ……」
レノの行動は下手をしたら領主の息子を誘拐されたと勘違いされてもおかしくはなく、最悪の場合は犯罪者として指名手配される可能性もある。しかし、既にレノは依頼を引き受けてしまい、断れる立場ではなかった。
二人は隣の部屋に移動すると、今度は事前に用意していた兵士の格好へと着替える。兵士に変装して抜け出すのがアルトの計画らしく、二人は着替えるとすぐに扉の外の様子を観察する。
「ぐうっ……ぐうっ……はっ!?い、いかん……眠っては……」
扉を少し開いて通路を観察すると、何故かアルトの部屋の前に立っている爺は寝ぼけ眼で身体がふらついており、その様子を見てアルトは笑みを浮かべる。
「ふふふっ……眠り薬が効いてきたな」
「眠り薬って……まさか、食事に盛っていたんですか!?」
「ああ、屋敷の女性の使用人は全員僕の味方だからね。彼女達に頼んで爺の食事に眠り薬も仕込んだのさ。ベッドの技巧工作だけでは不安だったからね」
「うわぁっ……」
女性の使用人を利用してアルトは爺の食事に睡眠薬を持った事にレノはドン引きするが、やがて爺は眠気に耐え切れずにその場に座り込み、いびきをかきながら眠り始めた。
その間にレノとアルトは部屋から抜け出すと、そこから先は兵士として振舞いながら屋敷内に存在する馬小屋へと向かう。兵士の格好をしていると他の者達には特に怪しまれず、無事に馬小屋へと辿り着いた。
「ウル……ウル、起きてる?」
「ワフッ……?」
「大きな声を上げないように気を付けてくれ……裏口からこっそり抜け出すぞ」
屋敷を抜け出して森まで徒歩で向かうわけにもいかず、レノとアルトは馬小屋にて自分の乗り物を用意する必要があった。レノはウルに声をかけるとすぐにウルは目を覚まし、一方でアルトの方は自分の愛馬を引き寄せる。
「よし、来るんだシルバー……」
「ヒヒンッ!!」
「うわっ!?ど、どうしたんだ?いつもは大人しいのに……」
「あ、もしかして……うちのウルに怯えてるのかも」
だが、ここで予想外にもアルトの愛馬はウルの姿を見て恐れを抱いたのか言う事を聞かず、アルトは困った表情を浮かべる。何とか連れていこうとするが、白狼種のウルを抑えて白馬は言う事を従わない。
「むうっ……仕方ない、レノ君。悪いが君の狼君は僕を乗せる事も出来るか?」
「ウル、二人でも大丈夫?」
「ウォンッ」
ウルはレノの言葉に問題ないとばかりに頷き、ここから先はウルだけを連れて抜け出す事を決めた。その後は馬小屋を抜け出したレナとアルトは裏口へと急ぎ、そこにいた兵士達も爺と同じように眠り込んでいた。
どうやら裏口の見張り役の兵士達の食事にも睡眠薬が仕込まれていたらしく、彼等の手には夜食用と思われるサンドイッチが握りしめられていた。恐らくは女性の使用人が持って来たものだと思われるが、何も疑わずに食べて眠ってしまったらしい。
「ぐうっ……ぐうっ……」
「ううんっ……」
「ふふふ、眠ってる眠ってる。悪いが、ここは通させてもらうよ」
「うわぁっ……」
「ウォンッ……」
眠りこけている裏口の兵士達を見てアルトは笑みを浮かべ、レナとウルはその光景を見て呆れてしまう。こうして大きな騒ぎを起こさずにレナ達は無事に屋敷を抜け出す事に成功した。
「アルト様、儂は部屋の前に立っていますので何か用事がありましたらお申し付けください!!」
「よく言うよ、僕の護衛ではなくて見張りのためだろう?」
「そ、そんな事はありませぬ!!」
「全く……それじゃあ、僕達は夜通し話し合う事にするよ。言っておくが、くれぐれも中を覗くような真似はするんじゃないよ。客人に対しても失礼だからね」
「分かっておりまする!!」
アルトはレノを連れて部屋の中に入ると、扉を閉める。彼は疲れた表情を浮かべながらため息を吐き出し、その様子を見てレノは尋ねた。
「あの……今日の夜に抜け出して森に向かう予定でしたよね。でも、こんな状態で抜け出せるんですか?」
「ああ、ちゃんと脱出手段は考えてある。安心してくれ」
レノは昼間の話し合いでは今夜のうちにアルトは森を抜け出す予定だった。しかし、屋敷の中には常に兵士が見回りを行い、抜け出すのは非常に難しい状況だった。
部屋の窓の方にアルトは近寄ると外の様子を眺め、案の定というべきか裏庭の方にも数名の兵士が配置されていた。これでは窓を抜け出しての脱出も難しく、彼はカーテンを閉めると外部から部屋の様子を覗かれない状況を作り出す。
「さて、まずはここから脱出しないといけないな」
「でも、どうやって脱出するんですか?」
「脱出自体は簡単さ、このクローゼットの中に脱出路を用意してある」
「クローゼットに?」
アルトはクローゼットを開くと、中に入っている服を左右に分けてクローゼットの奥の壁に手を押し当てる。すると壁は左右に分かれ、隣の部屋に繋がっている事が判明した。
「僕の部屋のクローゼットは隣の空き部屋に繋がっているんだ」
「うわ、凄い……でも、どうしてこんな仕掛けがあるんですか?」
「ふふふ、万が一の場合を想定してこの屋敷のあちこちには僕しか知らない仕掛けを施しているんだ。さあ、付いて来てくれ……おっと、その前に偽装工作はしておかないとね」
仮に部屋の中を爺や兵士が覗き込んだ場合を想定し、アルトは自分の部屋のベッドに詰め物をおいて毛布を掛ける。これならばレナとアルトが共に寝ているように見えなくもない。いくら客人とはいえ、今日出会ったばかりの相手と共に寝るなど少々不自然のように思えるが、それを考慮してアルトは昼間の間はレノと表面上は仲睦まじく接していた。
「これでよし、これなら爺も騙せるだろう」
「あの……もしも脱出した事を知られればアルトさんもまずいんじゃないですか?」
「まずいだろうね、最悪の場合は勘当されるかもしれない。けど、それならそれで僕は構わない。学者として十分に一人で生きていけるし、そもそも僕は領主になるつもりはないからね」
「え?領主?」
「言っていなかったかい?父上は兄上よりも僕を領主にさせようと思っているんだ。学者として名が通っているし、自分でいうのものなんだが僕は兄上よりも人脈が広いからね。だが、僕は領主なんかに興味はない。勘当できるものなら勘当すればいいさ、まあ安心してくれ。君には迷惑を被らないように配慮するよ」
「本当にお願いしますよ……」
レノの行動は下手をしたら領主の息子を誘拐されたと勘違いされてもおかしくはなく、最悪の場合は犯罪者として指名手配される可能性もある。しかし、既にレノは依頼を引き受けてしまい、断れる立場ではなかった。
二人は隣の部屋に移動すると、今度は事前に用意していた兵士の格好へと着替える。兵士に変装して抜け出すのがアルトの計画らしく、二人は着替えるとすぐに扉の外の様子を観察する。
「ぐうっ……ぐうっ……はっ!?い、いかん……眠っては……」
扉を少し開いて通路を観察すると、何故かアルトの部屋の前に立っている爺は寝ぼけ眼で身体がふらついており、その様子を見てアルトは笑みを浮かべる。
「ふふふっ……眠り薬が効いてきたな」
「眠り薬って……まさか、食事に盛っていたんですか!?」
「ああ、屋敷の女性の使用人は全員僕の味方だからね。彼女達に頼んで爺の食事に眠り薬も仕込んだのさ。ベッドの技巧工作だけでは不安だったからね」
「うわぁっ……」
女性の使用人を利用してアルトは爺の食事に睡眠薬を持った事にレノはドン引きするが、やがて爺は眠気に耐え切れずにその場に座り込み、いびきをかきながら眠り始めた。
その間にレノとアルトは部屋から抜け出すと、そこから先は兵士として振舞いながら屋敷内に存在する馬小屋へと向かう。兵士の格好をしていると他の者達には特に怪しまれず、無事に馬小屋へと辿り着いた。
「ウル……ウル、起きてる?」
「ワフッ……?」
「大きな声を上げないように気を付けてくれ……裏口からこっそり抜け出すぞ」
屋敷を抜け出して森まで徒歩で向かうわけにもいかず、レノとアルトは馬小屋にて自分の乗り物を用意する必要があった。レノはウルに声をかけるとすぐにウルは目を覚まし、一方でアルトの方は自分の愛馬を引き寄せる。
「よし、来るんだシルバー……」
「ヒヒンッ!!」
「うわっ!?ど、どうしたんだ?いつもは大人しいのに……」
「あ、もしかして……うちのウルに怯えてるのかも」
だが、ここで予想外にもアルトの愛馬はウルの姿を見て恐れを抱いたのか言う事を聞かず、アルトは困った表情を浮かべる。何とか連れていこうとするが、白狼種のウルを抑えて白馬は言う事を従わない。
「むうっ……仕方ない、レノ君。悪いが君の狼君は僕を乗せる事も出来るか?」
「ウル、二人でも大丈夫?」
「ウォンッ」
ウルはレノの言葉に問題ないとばかりに頷き、ここから先はウルだけを連れて抜け出す事を決めた。その後は馬小屋を抜け出したレナとアルトは裏口へと急ぎ、そこにいた兵士達も爺と同じように眠り込んでいた。
どうやら裏口の見張り役の兵士達の食事にも睡眠薬が仕込まれていたらしく、彼等の手には夜食用と思われるサンドイッチが握りしめられていた。恐らくは女性の使用人が持って来たものだと思われるが、何も疑わずに食べて眠ってしまったらしい。
「ぐうっ……ぐうっ……」
「ううんっ……」
「ふふふ、眠ってる眠ってる。悪いが、ここは通させてもらうよ」
「うわぁっ……」
「ウォンッ……」
眠りこけている裏口の兵士達を見てアルトは笑みを浮かべ、レナとウルはその光景を見て呆れてしまう。こうして大きな騒ぎを起こさずにレナ達は無事に屋敷を抜け出す事に成功した。
0
お気に入りに追加
657
あなたにおすすめの小説
俺が死んでから始まる物語
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
だが、それでもセレスはパーティに残りたかったので土下座までしてリヒトに情けなくもしがみついた。
余りにしつこいセレスに頭に来たリヒトはつい剣の柄でセレスを殴った…そして、セレスは亡くなった。
そこからこの話は始まる。
セレスには誰にも言った事が無い『秘密』があり、その秘密のせいで、死ぬことは怖く無かった…死から始まるファンタジー此処に開幕
勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
よっしぃ
ファンタジー
9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
僕はもうすぐ25歳になる常山 順平 24歳。
つねやま じゅんぺいと読む。
何処にでもいる普通のサラリーマン。
仕事帰りの電車で、吊革に捕まりうつらうつらしていると・・・・
突然気分が悪くなり、倒れそうになる。
周りを見ると、周りの人々もどんどん倒れている。明らかな異常事態。
何が起こったか分からないまま、気を失う。
気が付けば電車ではなく、どこかの建物。
周りにも人が倒れている。
僕と同じようなリーマンから、数人の女子高生や男子学生、仕事帰りの若い女性や、定年近いおっさんとか。
気が付けば誰かがしゃべってる。
どうやらよくある勇者召喚とやらが行われ、たまたま僕は異世界転移に巻き込まれたようだ。
そして・・・・帰るには、魔王を倒してもらう必要がある・・・・と。
想定外の人数がやって来たらしく、渡すギフト・・・・スキルらしいけど、それも数が限られていて、勇者として召喚した人以外、つまり巻き込まれて転移したその他大勢は、1人1つのギフト?スキルを。あとは支度金と装備一式を渡されるらしい。
どうしても無理な人は、戻ってきたら面倒を見ると。
一方的だが、日本に戻るには、勇者が魔王を倒すしかなく、それを待つのもよし、自ら勇者に協力するもよし・・・・
ですが、ここで問題が。
スキルやギフトにはそれぞれランク、格、強さがバラバラで・・・・
より良いスキルは早い者勝ち。
我も我もと群がる人々。
そんな中突き飛ばされて倒れる1人の女性が。
僕はその女性を助け・・・同じように突き飛ばされ、またもや気を失う。
気が付けば2人だけになっていて・・・・
スキルも2つしか残っていない。
一つは鑑定。
もう一つは家事全般。
両方とも微妙だ・・・・
彼女の名は才村 友郁
さいむら ゆか。 23歳。
今年社会人になりたて。
取り残された2人が、すったもんだで生き残り、最終的には成り上がるお話。
婚約破棄騒動に巻き込まれたモブですが……
こうじ
ファンタジー
『あ、終わった……』王太子の取り巻きの1人であるシューラは人生が詰んだのを感じた。王太子と公爵令嬢の婚約破棄騒動に巻き込まれた結果、全てを失う事になってしまったシューラ、これは元貴族令息のやり直しの物語である。
特殊部隊の俺が転生すると、目の前で絶世の美人母娘が犯されそうで助けたら、とんでもないヤンデレ貴族だった
なるとし
ファンタジー
鷹取晴翔(たかとりはると)は陸上自衛隊のとある特殊部隊に所属している。だが、ある日、訓練の途中、不慮の事故に遭い、異世界に転生することとなる。
特殊部隊で使っていた武器や防具などを召喚できる特殊能力を謎の存在から授かり、目を開けたら、絶世の美女とも呼ばれる母娘が男たちによって犯されそうになっていた。
武装状態の鷹取晴翔は、持ち前の優秀な身体能力と武器を使い、その母娘と敷地にいる使用人たちを救う。
だけど、その母と娘二人は、
とおおおおんでもないヤンデレだった……
第3回次世代ファンタジーカップに出すために一部を修正して投稿したものです。
おっさんの神器はハズレではない
兎屋亀吉
ファンタジー
今日も元気に満員電車で通勤途中のおっさんは、突然異世界から召喚されてしまう。一緒に召喚された大勢の人々と共に、女神様から一人3つの神器をいただけることになったおっさん。はたしておっさんは何を選ぶのか。おっさんの選んだ神器の能力とは。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
転生幼女のチートな悠々自適生活〜伝統魔法を使い続けていたら気づけば賢者になっていた〜
犬社護
ファンタジー
ユミル(4歳)は気がついたら、崖下にある森の中にいた。
馬車が崖下に落下した影響で、前世の記憶を思い出す。周囲には散乱した荷物だけでなく、さっきまで会話していた家族が横たわっており、自分だけ助かっていることにショックを受ける。
大雨の中を泣き叫んでいる時、1体の小さな精霊カーバンクルが現れる。前世もふもふ好きだったユミルは、もふもふ精霊と会話することで悲しみも和らぎ、互いに打ち解けることに成功する。
精霊カーバンクルと仲良くなったことで、彼女は日本古来の伝統に関わる魔法を習得するのだが、チート魔法のせいで色々やらかしていく。まわりの精霊や街に住む平民や貴族達もそれに振り回されるものの、愛くるしく天真爛漫な彼女を見ることで、皆がほっこり心を癒されていく。
人々や精霊に愛されていくユミルは、伝統魔法で仲間たちと悠々自適な生活を目指します。
食うために軍人になりました。
KBT
ファンタジー
ヴァランタイン帝国の片田舎ダウスター領に最下階位の平民の次男として生まれたリクト。
しかし、両親は悩んだ。次男であるリクトには成人しても継ぐ土地がない。
このままではこの子の未来は暗いものになってしまうだろう。
そう思った両親は幼少の頃よりリクトにを鍛え上げる事にした。
父は家の蔵にあったボロボロの指南書を元に剣術を、母は露店に売っていた怪しげな魔導書を元に魔法を教えた。
それから10年の時が経ち、リクトは成人となる15歳を迎えた。
両親の危惧した通り、継ぐ土地のないリクトは食い扶持を稼ぐために、地元の領軍に入隊試験を受けると、両親譲りの剣術と魔法のおかげで最下階級の二等兵として無事に入隊する事ができた。
軍と言っても、のどかな田舎の軍。
リクトは退役するまで地元でのんびり過ごそうと考えていたが、入隊2日目の朝に隣領との戦争が勃発してしまう。
おまけに上官から剣の腕を妬まれて、単独任務を任されてしまった。
その任務の最中、リクトは平民に対する貴族の専横を目の当たりにする。
生まれながらの体制に甘える貴族社会に嫌気が差したリクトは軍人として出世して貴族の専横に対抗する力を得ようと立身出世の道を歩むのだった。
剣と魔法のファンタジー世界で軍人という異色作品をお楽しみください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる