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三国会談編
和国とホムラとハヤテ
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「落ち着いて下せえミコトさん、この方はホムラさんではないですよ」
「えっ……?た、確かにこの方の方が可愛げがあって、優し気な目つきで、女性らしい雰囲気を纏っていますが……」
「散々な言われようだな……」
「というか、ホムラ?」
どうやらレノはホムラと間違われて斬りかかれたようであり、すぐにミコトは納刀して冷静さを取り戻したように謝る。
「申し訳ありません。どうやら私の勘違いだったようで……」
「相変わらずミコトさんはホムラさんに関わる事だと暴走しやすね」
「ど、どういう事ですか?ミコト様とホムラさんの間にどんな関係があるのですか?」
「それを説明すると少し長くなりやすが……」
――ハヤテの話によると、彼はまだ両目がレイアに斬られる前の時から和国とは親交があり、彼の居合術も元々は和国の戦士の戦闘技術であり、彼は和国で過ごす事で習得したという。その後、ハヤテは長い時を掛けて居合術を極め、今現在の彼が存在する。
どうしてハヤテが和国と関わり合いを持つようになったのか、それは護衛長という立場でありながら彼は長い時をコウシュンと同様に外界で旅をしており、和国に訪れた際に当時の和国の王に気に入られて友人となり、彼から居合術を学んだらしい。
それ以来、ハヤテは和国に度々訪れては客将という立場で和国のために尽くしており、今回の三国会談もミコトの護衛役として引き受けて同行したらしい。
だが、新しく和国の代表を受け継いだミコトは過去にホムラと因縁があり、彼女はある理由で深くホムラを恨んでいた。ハヤテによると昔、彼女が例の組織を抜け出した時に和国に訪れた事があり、ホムラは和国の戦士と腕試しと称して道場破りのように勝負を挑み、幾多の和国の猛者たちを打ち倒した。
その中には当時王を勤めていたミコトの父親も存在し、若い頃ならばハヤテにも匹敵する実力者だったのだが、年老いた彼はホムラには及ばず、大怪我を負ってしまう。結局彼女は和国を一方的に荒らすと、偶然にも居合わせたハヤテと死闘を繰り返し、この件を切っ掛けに2人の間に因縁が生まれたという。
「――という事でして、和国の方々はホムラさんを非常に憎んでいるんです」
「なるほど……確かにホムラならやりかねない」
「色んな所で恨みを買っていそうだな」
「ハヤテ様、この方はどなたですか?どうしてあの女と容姿が似ているのでしょうか……?」
ミコトがレノに視線を向けてハヤテに尋ねると、彼はすぐに紹介を行う。
「この方はレノさんと言って、あの有名な雷光の英雄さんですよ」
「雷光の英雄!?あの魔王を打ち倒し、伝説獣を撃破したあげく、女性の胸を蹂躙する事を生きがいとする英雄ですか!?」
「最後のだけは認めがたい」
「……否定はできない」
自分がどんな噂を立てられているのかが気にかかるが、だいたい合っているので強くは否定できず、レノはミコトに頭を下げる。
「これは失礼しました…魔王を打ち倒してくれた方にご無礼を……しかし、だとしたら貴方はホムラの弟ですか?」
「弟と言えば弟みたいなもんですけど……」
「御覚悟を!!」
「なんでやねん」
抜刀しようとしたミコトにレノは咄嗟に彼女が日本刀を抜き取る前に柄に右手を差し出し、片手で日本刀を抑え込む。その反射神経の速度にミコトは驚愕するが、彼女は構わずに抜刀しようとする。
「申し訳ありませんが、貴方を人質にしてホムラを呼び寄せます!!いくら鬼が人の皮を被ったような人だとしても、実の弟を人質にすればきっと現れるはずです!!その時に長年の恨みを晴らして見せます!!」
「落ち着いて下せえミコトさん。ここでレノさんと一戦やりあうのはわっしとしても不本意ですから……それにバルトロス王国と戦争を引き起こしかねないでやんすよ?」
「お、落ち着いて下さいミコト殿!!」
「下がれレノ!!お前を見ているとどうやら興奮してしまうようだ!!」
「はいはい」
流石に見ていられないとばかりにアルト達が動き出し、レノはゴンゾウの後ろに隠れるように移動する。ミコトは彼女の配下達に取り押さえられ、無理やり引きずられる。
「落ち着いて下さい姫!!ここで三国の方々に悪印象を与える訳には……」
「離しなさい!!貴方達だって、あのホムラに復讐を決意した中ではないですか!!」
「確かにそうですが、だからといって何の罪もない弟殿を巻き込むわけにはいきませぬ!!それこそブシドーに反しますぞ!!」
「ブシドー?」
「和国に伝わる言葉です。詳細は分かりませんが、和国の方々はそれぞれのブシドーを抱いて生きていると聞いたことがあります」
恐らくは「武士道」と思われる単語が出てきた事に対し、レノはやはり和国が昔の日本を想像させる国家だと悟り、この国も旧世界の人間達の思惑で造り出されたのかは不明だが、これで三国会談の三人の代表が集結した事になる。
「そ、それでは早速だが再会を祝って宴を始めましょうか。塔外に皆様を持て成すために準備を行っています。まずはそちらに移動しましょうか」
「そ、そうですね。では行きましょうか」
「待ってください!!まだ話は終わっては……」
「くぅ~んっ……ミコトさん怖いです」
「ほら、ミコト様!!あのような可愛らしい獣人族の子供にまで恐れられていますよ!?子供の前で取り乱すとは何事ですか!!それでも誇り高き和国の代表なのですか!!」
「はっ……た、確かに冷静さを欠いていましたね」
ポチ子が怖がるようにゴンゾウの後ろに隠れると、その姿を見て正気を取り戻したのかミコトも落ち着き、レノはポチ子の頭を撫で回す。
「よくやったぞポチ子」
「わふぅっ♪なんだかよく分かりませんけど、役に立てて光栄です!!」
「噂以上に変わった御方でござるな」
「カゲマル……お前居たのか」
「面倒事に巻き込まれそうだったから、天井で隠れていたでござる」
「……薄情者」
色々と問題が起きたが、三国の代表がようやく集結し、三国会談が行われようとしていた。
「えっ……?た、確かにこの方の方が可愛げがあって、優し気な目つきで、女性らしい雰囲気を纏っていますが……」
「散々な言われようだな……」
「というか、ホムラ?」
どうやらレノはホムラと間違われて斬りかかれたようであり、すぐにミコトは納刀して冷静さを取り戻したように謝る。
「申し訳ありません。どうやら私の勘違いだったようで……」
「相変わらずミコトさんはホムラさんに関わる事だと暴走しやすね」
「ど、どういう事ですか?ミコト様とホムラさんの間にどんな関係があるのですか?」
「それを説明すると少し長くなりやすが……」
――ハヤテの話によると、彼はまだ両目がレイアに斬られる前の時から和国とは親交があり、彼の居合術も元々は和国の戦士の戦闘技術であり、彼は和国で過ごす事で習得したという。その後、ハヤテは長い時を掛けて居合術を極め、今現在の彼が存在する。
どうしてハヤテが和国と関わり合いを持つようになったのか、それは護衛長という立場でありながら彼は長い時をコウシュンと同様に外界で旅をしており、和国に訪れた際に当時の和国の王に気に入られて友人となり、彼から居合術を学んだらしい。
それ以来、ハヤテは和国に度々訪れては客将という立場で和国のために尽くしており、今回の三国会談もミコトの護衛役として引き受けて同行したらしい。
だが、新しく和国の代表を受け継いだミコトは過去にホムラと因縁があり、彼女はある理由で深くホムラを恨んでいた。ハヤテによると昔、彼女が例の組織を抜け出した時に和国に訪れた事があり、ホムラは和国の戦士と腕試しと称して道場破りのように勝負を挑み、幾多の和国の猛者たちを打ち倒した。
その中には当時王を勤めていたミコトの父親も存在し、若い頃ならばハヤテにも匹敵する実力者だったのだが、年老いた彼はホムラには及ばず、大怪我を負ってしまう。結局彼女は和国を一方的に荒らすと、偶然にも居合わせたハヤテと死闘を繰り返し、この件を切っ掛けに2人の間に因縁が生まれたという。
「――という事でして、和国の方々はホムラさんを非常に憎んでいるんです」
「なるほど……確かにホムラならやりかねない」
「色んな所で恨みを買っていそうだな」
「ハヤテ様、この方はどなたですか?どうしてあの女と容姿が似ているのでしょうか……?」
ミコトがレノに視線を向けてハヤテに尋ねると、彼はすぐに紹介を行う。
「この方はレノさんと言って、あの有名な雷光の英雄さんですよ」
「雷光の英雄!?あの魔王を打ち倒し、伝説獣を撃破したあげく、女性の胸を蹂躙する事を生きがいとする英雄ですか!?」
「最後のだけは認めがたい」
「……否定はできない」
自分がどんな噂を立てられているのかが気にかかるが、だいたい合っているので強くは否定できず、レノはミコトに頭を下げる。
「これは失礼しました…魔王を打ち倒してくれた方にご無礼を……しかし、だとしたら貴方はホムラの弟ですか?」
「弟と言えば弟みたいなもんですけど……」
「御覚悟を!!」
「なんでやねん」
抜刀しようとしたミコトにレノは咄嗟に彼女が日本刀を抜き取る前に柄に右手を差し出し、片手で日本刀を抑え込む。その反射神経の速度にミコトは驚愕するが、彼女は構わずに抜刀しようとする。
「申し訳ありませんが、貴方を人質にしてホムラを呼び寄せます!!いくら鬼が人の皮を被ったような人だとしても、実の弟を人質にすればきっと現れるはずです!!その時に長年の恨みを晴らして見せます!!」
「落ち着いて下せえミコトさん。ここでレノさんと一戦やりあうのはわっしとしても不本意ですから……それにバルトロス王国と戦争を引き起こしかねないでやんすよ?」
「お、落ち着いて下さいミコト殿!!」
「下がれレノ!!お前を見ているとどうやら興奮してしまうようだ!!」
「はいはい」
流石に見ていられないとばかりにアルト達が動き出し、レノはゴンゾウの後ろに隠れるように移動する。ミコトは彼女の配下達に取り押さえられ、無理やり引きずられる。
「落ち着いて下さい姫!!ここで三国の方々に悪印象を与える訳には……」
「離しなさい!!貴方達だって、あのホムラに復讐を決意した中ではないですか!!」
「確かにそうですが、だからといって何の罪もない弟殿を巻き込むわけにはいきませぬ!!それこそブシドーに反しますぞ!!」
「ブシドー?」
「和国に伝わる言葉です。詳細は分かりませんが、和国の方々はそれぞれのブシドーを抱いて生きていると聞いたことがあります」
恐らくは「武士道」と思われる単語が出てきた事に対し、レノはやはり和国が昔の日本を想像させる国家だと悟り、この国も旧世界の人間達の思惑で造り出されたのかは不明だが、これで三国会談の三人の代表が集結した事になる。
「そ、それでは早速だが再会を祝って宴を始めましょうか。塔外に皆様を持て成すために準備を行っています。まずはそちらに移動しましょうか」
「そ、そうですね。では行きましょうか」
「待ってください!!まだ話は終わっては……」
「くぅ~んっ……ミコトさん怖いです」
「ほら、ミコト様!!あのような可愛らしい獣人族の子供にまで恐れられていますよ!?子供の前で取り乱すとは何事ですか!!それでも誇り高き和国の代表なのですか!!」
「はっ……た、確かに冷静さを欠いていましたね」
ポチ子が怖がるようにゴンゾウの後ろに隠れると、その姿を見て正気を取り戻したのかミコトも落ち着き、レノはポチ子の頭を撫で回す。
「よくやったぞポチ子」
「わふぅっ♪なんだかよく分かりませんけど、役に立てて光栄です!!」
「噂以上に変わった御方でござるな」
「カゲマル……お前居たのか」
「面倒事に巻き込まれそうだったから、天井で隠れていたでござる」
「……薄情者」
色々と問題が起きたが、三国の代表がようやく集結し、三国会談が行われようとしていた。
応援ありがとうございます!
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