種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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三国会談編

聖天魔導士タッグ

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――ズゥウウウンッ!!


「な、なんですか?」
「地震でしょうか?」


ゴンゾウが魔導機兵と奮闘する間、別の階層には迷子になった2人を探すため、センリとレミアが捜索中であり、他の面子も別の階層に赴いて2人の姿を探していた。しかし、知識の塔の全体に振動が走り、2人は顔を見合わせる。


「今の揺れ……地震にしてはなにか妙ですね」
「実験場で何かが起きたのでしょうか?」
「分かりませんが……ん?あれは……魔導機兵(ガンナーズ)?」


ガシャンッ……ガシャンッ……


二人の前に前方から魔導機兵が登場し、どうしてこのような場所に魔導機兵が存在するのか不審に思う。あれほどの巨体と重量で塔の見回りを行っているのかと思ったが、魔導機兵が歩くたびに床に罅が生じており、どう考えても様子がおかしい。


「……どうしたのでしょうか」
「分かりませんが……私の魔力感知では嫌な気配がします」


センリもレノ同様に魔力感知を行えるが、魔導機兵から感じ取れる嫌な気配に覚えがあり、闘人都市で何度も味わった感覚である。あの時に人工的に生み出されたゴーレムと同じ気配を纏っており、杖を構える。


「センリ様?」
「レミアさんも構えてください……あれは敵です!!」
『ゴァアアアアアアッ!!』


ズドドドドドッ!!


魔導機兵が左腕を構え、ガトリング砲を発射する。センリはそれを見て一瞬で光球を形成し、千の形態魔法で無数の「盾」を形成し、火属性の弾丸を受け止める。


「無駄です。私の水属性の盾に弾丸など通じません」
「ちょっと待ってください……あの機体の右腕に装着されている物……!?」


左腕のガトリング砲では通じないと判断したのか、魔導機兵は右腕に装着くした大砲を構え、流石のセンリも顔色を変え、相手はホノカの飛行船にも搭載されている魔導大砲を発射する。


ズドォオオオンッ!!


右腕から砲弾が発射され、センリは全ての盾を集結させて受け止めようとするが、直後に大爆発が生じる。


『ゴォオオオッ……』


黒煙に2人が飲み込まれた姿を確認すると、魔導機兵は踵を返し、立ち去ろうとしたが、


「全く……貴女はいつも油断し過ぎです!!」
「その点に関しては貴女にだけは言われたくありませんが……!!」


煙の中から声が響き渡り、魔導機兵が振り返ると、そこには美しい片翼を生やした女性が防御魔法陣を展開しており、レミアが寸前でミキを憑依させ、砲弾の防御に成功したらしい。彼女は魔方陣を解除すると、魔導機兵に視線を向け、


「あれが魔導機兵ですか……主の記憶を読み取りましたが、中々に厄介な代物を造りますね」
「貴女なら倒せますか?」
「難しいですね……ですが、ここは久しぶりに共闘と行きませんか?」
「若作りが美味い貴女と違い、私は老体ですよ……あまり無理をさせないで欲しいのですが」
「だ、誰が若作りですか!!今の私は実際に若いのです!!」


ミキとセンリは横に並び、聖天魔導士の2人が杖を構えると、魔導機兵は圧倒されたように後ずさり、


「セイント・フォース!!」


ズドォオオオッ!!


二人の杖の先端から聖属性の砲撃魔法が放たれ、魔導機兵の身体に衝突するが、


ガキィイイインッ!!


鎧の部分に触れた瞬間にレーザーが鏡で跳ね返されるように弾かれ、やはり正攻法では魔法は通じず、別の手段を考える必要がある。


「フィフス・マジック」


ミキの周囲に五つの属性の光球が出現し、大会でも見せた魔法であり、彼女が最強の聖天魔導士と言われる由縁でもある。五つの属性を極めた事でミキは異例の速さで聖天魔導士に就任し、幾度も教会の危機を救い続けた。


「サウザント・マジック」


その一方、センリは自分の周囲に光球を出現させ、その数は100を数え、更には全ての光球を高速回転させ、弾丸の形に変化させる。ミキに対抗するために彼女が独自で生み出した水属性の魔法と精霊魔法を掛け合わせたオリジナルの魔法であり、世界で彼女と同じ魔法を扱える人間は存在しない。


『ゴォオオオオッ!!』


魔導機兵は両腕を構え、ガトリング砲を連射する。それを見たセンリは瞬時に杖を構え、同時に光球の弾丸を射出し、水と火の弾丸が衝突する。


ジュワァアアアッ……!!


弾丸同士が激突した瞬間に蒸発し、センリは弾幕を張って防御する一方、再装填に時間が掛かるのか、魔導機兵の右腕の発射口が光り輝くのをミキは見逃さず、先に杖を振り下ろして五つの属性の魔弾を放つ。


「これで終わりです」


ビュンッ!!


弾幕を回避しながら五つの魔弾が魔導機兵に接近すると、右腕の魔導大砲が発射する直前で着弾し、五大属性同士の激しい反発作用が生じて大爆発を起こす。



ズガァアアアンッ!!



『ゴァアアアアッ……!?』



右腕の魔導大砲が誘爆する形で魔導機兵の半身が吹き飛び、人間が搭乗していた場合は戦闘不能に陥るのだろうが、半ばゴーレムと化した魔導機兵は止まらず、もう片方の左腕を2人に向けようとするが、


「まだ動くのですか……ですが」
「これで終わりです」


二人は杖を構え、先端に魔力を集中させ、止めを刺そうとした時、


「とりゃあぁああああっ!!」
『フゲェッ!?』
「「あっ」」



――ドゴォオオオンッ!!



激しい衝撃音が響き渡り、魔導機兵の身体が壁際に吹き飛ばされ、そのままめり込む。2人はその光景に唖然とすると、唐突に現れて杖で力ずくで殴り飛ばしたヨウカは額の汗を拭い、


「ふうっ……何だかよく分からないけど、大丈夫だった二人とも」
「み、巫女姫様!?」
「それは私の杖……!?」


生前のミキの杖で魔導機兵を吹き飛ばしたヨウカに対し、2人は慌てて駆け付け、どうしてこのような場所に居るのか問い質すと、


「た、大変だよ!!塔のあちこちで、えっと、がんなーず?……が、暴れてるんだって!!」
「そ、それは分かりましたが……どうしてこのような無茶な真似をしたんですか?」
「え?センリが隙を見せた相手には全力でぶつかれって言ってたよね?」
「それはレノさんとの恋愛の話であって、こんな得体の知れない相手をぶっ飛ばせとは言ってませんよ!?」
「お、落ち着いて下さいセンリ……言葉が少し荒っぽいですよ」


ミキは自分の杖がこのような形で使用されたことに動揺しながらも、現在の状況をヨウカに尋ね、どうやら各階層に散らばった皆の前に魔導機兵が出現し、既に戦闘が勃発しているという。
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