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三国会談編
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「ほうっ……巨人族用の魔導機兵も存在するのか」
「ええ……ですがこちらの方は操作が難しく……」
「変わった武器ですね……魔導大砲を装備する事も出来るのですか?」
「はい。元々、魔導大砲は我々が生み出した技術ですから」
魔導王の思惑とは別に王国組は魔導機兵の操縦者達と雑談を行い、魔導機兵の性能を事細かに教わる。どうやら彼等としても魔導機兵の素晴らしさを伝えたいらしく、10体の魔導機兵の性能を伝えてくる。
基本的に魔導機兵の性能は同じではあるが、収納している武器の種類は多々あり、左腕のガトリング砲は対魔物用と対人用に別れており、前者は攻撃力が特化され、もう片方は相手を殺さない程度に調整した威力の弾丸を射出し、他にも右手の盾の内側には小型の魔導大砲が仕込まれており、緊急時には砲弾を発射する事が可能。
デルタは魔導機兵を調べ上げ、やはり機人族とは違う製造技術で開発されており、どう考えてもこの時代で本来ならば生み出せる代物ではない。この魔導大国が彼女の想像以上に科学が発展している可能性も考えられるが、それにしては魔導機兵以外に科学の産物は見受けられず、何者かの意図を受けて開発された可能性が高い。
「この魔導機兵を一つくれないかい?」
「流石にそれは……ですが、交易都市も魔導王様の考えに賛同して下さるのならば魔導王様もお考えになるのではないかと……」
「わふ~……私だと少し身長が足りないみたいです」
「い、意外と重量があるのですね」
ポチ子とジャンヌは既に魔導機兵に乗り込んでおり、流石に操縦は出来ないようだが装着するだけならば誰でも可能らしく、他に見せた実験物と同じように普通の人間にも扱えるらしい。但し、乗りこなすには長い訓練期間を必要とするらしく、魔導機兵の操縦者達も完全に扱うには三カ月の時を必要としたらしい。
「この魔導機兵は確かに素晴らしい物だが……戦争に利用されるのかもしれないと考えると怖いな」
「一般人でも扱えるという点が気になりますね……もしも悪用された場合、普通の魔術師や兵士では対処に困ります」
「でも、これに乗れば魔物に怯えなくて済むんだよね?」
「そうですね。確かにその点を考えると活性化を迎えている現代で有効活用できるかもしれませんが……」
アルトとセンリは魔導機兵の導入に難色を示すが、ヨウカとカノンは魔導機兵に興味を示し、使い方さえ謝らなければ一般人であろうと魔物の脅威に立ち向かえるのも事実である。問題があるとすればこの兵器が戦争に利用された場合、今まで以上の被害が生まれてしまう事だろう。
「う~ん……」
「レノ様も魔導機兵の開発には反対ですか?」
「ああ、いや……こいつらって動力源が何なのかなって……魔石?」
「いえ、がそりんと呼ばれる液体を使用しているらしいです」
「ガソリン?」
この世界にもガソリンが存在したのかと驚くが、随分前に学園都市には自動車の類が存在する事を思い出し、ガソリンの類が実在しても可笑しくはないが、基本的のこの世界は魔石を利用して生活が支えられており、旧世界の文明の利器はあまり残っていない。
魔導機兵はガソリンを使用して動くことが可能らしく、この魔導大国ではガソリンを生み出す技術も存在するらしく、他にも魔導機兵の動力源として雷属性と火属性の魔石が利用され、一体製作するのにホノカの飛行船の開発資金の4分の1近くを消費しているという。
今後は大量生産を考えられて魔導機兵の開発に見直しが施されているが、これほどの戦闘力を誇る兵器は現時点では聖遺物しか存在せず、将来的には聖遺物に匹敵する強力な機体を生み出す事を考えられている。
「魔導機兵か……これがあれば魔王討伐大戦も楽だったかな?」
「かもしれないな……こういっては何だが、僕はこれがゼロの鎧に武器を装着させたようにも思える」
ロスト・ナンバーズの一員であるゼロはデュラハンのように漆黒の鎧に憑依した存在であり、その鎧は希少な金属を使用されて生み出した最強の甲冑であり、現にアルトのデュランダルでなければ勝つことは出来なかった。
魔導機兵の装甲は尋常ではなく、ゼロの甲冑のように希少な素材で造り上げられ、流石に彼ほどの耐久性は存在しないだろうが、この素材を変更する事で戦闘力は大幅に落ちるが、それでも魔導機兵の製作自体は可能である。
「でも、この鎧ってやらたと魔法耐性が強い気がするんだけど……魔物と戦うだけに造られた物なら別に魔法耐性を高める必要はないよね」
「確かに……その点は気になるな」
魔法耐性が低くとも頑丈な素材は存在するが、どういう事か魔導機兵には魔法耐性が高い希少な素材が多用されており、明らかに対魔術師用に造り出されているのが気がかりである。先ほど連絡があったデルタの話から考えても、魔導王は何か企んでいるように思える。
「魔法耐性か……」
レノは魔導機兵を確認すると、この鎧は言ってみればソフィアの攻撃型の魔鎧で形成されたような兵器であり、普通の魔法攻撃は通用しない。恐らくは天属性や嵐属性のような上位の段階の魔法で無ければ通用せず、さらにカゲマルの報告によれば「雷帝」と呼ばれる11体目の魔導機兵が存在する事を考え、今回の三国会談はどうにもきな臭い。
魔法耐性が強い生物と言えば先の獣人迷宮で遭遇した「鎧狼」が思い出され、この魔導機兵と特徴が良く似ている。あの時はリノンと共に魔法同士の反発作用で上手く倒す事が出来たが、如何なる場合も仲間が傍に控えているとは限らない。
「やっぱり、あれしかないのかな……」
レノは両腕を確認しながら、最近に開発した「合成魔術」を思い返す。先のアトラス大森林の騒動以来、彼はハヤテのような実力者と相対した場合、自分の魔法が通じない、もしくは効果が薄い存在がいる事を再認識し、一応は王国最強の座に座っている以上、自分の欠点は克服しなければならない。
だが、最近になって開発した魔法は威力が凄まじく、訓練のために使用したアグネス廃坑を完全に崩壊させてしまい、危うく死にかけてしまう。何とか同行していたデルタに救助されたが、一度使用しただけで根こそぎの魔力を奪われてしまい、あまりの危険性から治療を行ってくれたセンリには厳重に注意されてしまう。
それでも新しく生み出した魔法の威力は絶大であり、天属性の「雷天撃」の応用版であり、その破壊力はカラドボルグを瞬間的にだが上回り、恐らくは化物と化したリーリスでさえも一撃で吹き飛ばす威力を誇る。
解放術式を利用すれば一日に二度は発動できるが、それでも威力が高すぎるので使用する機会がなかったのだが、もしも雷帝と呼ばれる魔導機兵と戦闘に陥った場合は使わざるを得ないかも知れない。
「ええ……ですがこちらの方は操作が難しく……」
「変わった武器ですね……魔導大砲を装備する事も出来るのですか?」
「はい。元々、魔導大砲は我々が生み出した技術ですから」
魔導王の思惑とは別に王国組は魔導機兵の操縦者達と雑談を行い、魔導機兵の性能を事細かに教わる。どうやら彼等としても魔導機兵の素晴らしさを伝えたいらしく、10体の魔導機兵の性能を伝えてくる。
基本的に魔導機兵の性能は同じではあるが、収納している武器の種類は多々あり、左腕のガトリング砲は対魔物用と対人用に別れており、前者は攻撃力が特化され、もう片方は相手を殺さない程度に調整した威力の弾丸を射出し、他にも右手の盾の内側には小型の魔導大砲が仕込まれており、緊急時には砲弾を発射する事が可能。
デルタは魔導機兵を調べ上げ、やはり機人族とは違う製造技術で開発されており、どう考えてもこの時代で本来ならば生み出せる代物ではない。この魔導大国が彼女の想像以上に科学が発展している可能性も考えられるが、それにしては魔導機兵以外に科学の産物は見受けられず、何者かの意図を受けて開発された可能性が高い。
「この魔導機兵を一つくれないかい?」
「流石にそれは……ですが、交易都市も魔導王様の考えに賛同して下さるのならば魔導王様もお考えになるのではないかと……」
「わふ~……私だと少し身長が足りないみたいです」
「い、意外と重量があるのですね」
ポチ子とジャンヌは既に魔導機兵に乗り込んでおり、流石に操縦は出来ないようだが装着するだけならば誰でも可能らしく、他に見せた実験物と同じように普通の人間にも扱えるらしい。但し、乗りこなすには長い訓練期間を必要とするらしく、魔導機兵の操縦者達も完全に扱うには三カ月の時を必要としたらしい。
「この魔導機兵は確かに素晴らしい物だが……戦争に利用されるのかもしれないと考えると怖いな」
「一般人でも扱えるという点が気になりますね……もしも悪用された場合、普通の魔術師や兵士では対処に困ります」
「でも、これに乗れば魔物に怯えなくて済むんだよね?」
「そうですね。確かにその点を考えると活性化を迎えている現代で有効活用できるかもしれませんが……」
アルトとセンリは魔導機兵の導入に難色を示すが、ヨウカとカノンは魔導機兵に興味を示し、使い方さえ謝らなければ一般人であろうと魔物の脅威に立ち向かえるのも事実である。問題があるとすればこの兵器が戦争に利用された場合、今まで以上の被害が生まれてしまう事だろう。
「う~ん……」
「レノ様も魔導機兵の開発には反対ですか?」
「ああ、いや……こいつらって動力源が何なのかなって……魔石?」
「いえ、がそりんと呼ばれる液体を使用しているらしいです」
「ガソリン?」
この世界にもガソリンが存在したのかと驚くが、随分前に学園都市には自動車の類が存在する事を思い出し、ガソリンの類が実在しても可笑しくはないが、基本的のこの世界は魔石を利用して生活が支えられており、旧世界の文明の利器はあまり残っていない。
魔導機兵はガソリンを使用して動くことが可能らしく、この魔導大国ではガソリンを生み出す技術も存在するらしく、他にも魔導機兵の動力源として雷属性と火属性の魔石が利用され、一体製作するのにホノカの飛行船の開発資金の4分の1近くを消費しているという。
今後は大量生産を考えられて魔導機兵の開発に見直しが施されているが、これほどの戦闘力を誇る兵器は現時点では聖遺物しか存在せず、将来的には聖遺物に匹敵する強力な機体を生み出す事を考えられている。
「魔導機兵か……これがあれば魔王討伐大戦も楽だったかな?」
「かもしれないな……こういっては何だが、僕はこれがゼロの鎧に武器を装着させたようにも思える」
ロスト・ナンバーズの一員であるゼロはデュラハンのように漆黒の鎧に憑依した存在であり、その鎧は希少な金属を使用されて生み出した最強の甲冑であり、現にアルトのデュランダルでなければ勝つことは出来なかった。
魔導機兵の装甲は尋常ではなく、ゼロの甲冑のように希少な素材で造り上げられ、流石に彼ほどの耐久性は存在しないだろうが、この素材を変更する事で戦闘力は大幅に落ちるが、それでも魔導機兵の製作自体は可能である。
「でも、この鎧ってやらたと魔法耐性が強い気がするんだけど……魔物と戦うだけに造られた物なら別に魔法耐性を高める必要はないよね」
「確かに……その点は気になるな」
魔法耐性が低くとも頑丈な素材は存在するが、どういう事か魔導機兵には魔法耐性が高い希少な素材が多用されており、明らかに対魔術師用に造り出されているのが気がかりである。先ほど連絡があったデルタの話から考えても、魔導王は何か企んでいるように思える。
「魔法耐性か……」
レノは魔導機兵を確認すると、この鎧は言ってみればソフィアの攻撃型の魔鎧で形成されたような兵器であり、普通の魔法攻撃は通用しない。恐らくは天属性や嵐属性のような上位の段階の魔法で無ければ通用せず、さらにカゲマルの報告によれば「雷帝」と呼ばれる11体目の魔導機兵が存在する事を考え、今回の三国会談はどうにもきな臭い。
魔法耐性が強い生物と言えば先の獣人迷宮で遭遇した「鎧狼」が思い出され、この魔導機兵と特徴が良く似ている。あの時はリノンと共に魔法同士の反発作用で上手く倒す事が出来たが、如何なる場合も仲間が傍に控えているとは限らない。
「やっぱり、あれしかないのかな……」
レノは両腕を確認しながら、最近に開発した「合成魔術」を思い返す。先のアトラス大森林の騒動以来、彼はハヤテのような実力者と相対した場合、自分の魔法が通じない、もしくは効果が薄い存在がいる事を再認識し、一応は王国最強の座に座っている以上、自分の欠点は克服しなければならない。
だが、最近になって開発した魔法は威力が凄まじく、訓練のために使用したアグネス廃坑を完全に崩壊させてしまい、危うく死にかけてしまう。何とか同行していたデルタに救助されたが、一度使用しただけで根こそぎの魔力を奪われてしまい、あまりの危険性から治療を行ってくれたセンリには厳重に注意されてしまう。
それでも新しく生み出した魔法の威力は絶大であり、天属性の「雷天撃」の応用版であり、その破壊力はカラドボルグを瞬間的にだが上回り、恐らくは化物と化したリーリスでさえも一撃で吹き飛ばす威力を誇る。
解放術式を利用すれば一日に二度は発動できるが、それでも威力が高すぎるので使用する機会がなかったのだが、もしも雷帝と呼ばれる魔導機兵と戦闘に陥った場合は使わざるを得ないかも知れない。
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