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剣乱武闘 覇者編
銀の英雄VS鮮血のジャンヌ
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『さあ~……随分と予定が早まりましたが、本日の最終試合を開始したいと思います。観客の皆さん、試合が当初の半分程度になってしまって申し訳ありませんが、今回の対戦は王国の選手同士の戦闘となるっす‼憑依大将軍の異名を持つ美しき女剣士レミア選手‼対するは王国最強騎士団の総団長を勤める鮮血の異名を誇るジャンヌ選手です‼』
――ウオォオオオオオオオオッ‼
カリナの実況に観客達が沸き立ち、試合場に戦斧を構えたジャンヌと、レイピアを握りしめるレミアが向かい合う。2人とも集中しているのか瞼を閉じ、試合開始の合図を待つ。
『それでは今回の試合の実況を行うのは元聖天魔導士であり、現在は教皇様として活躍しているセンリ様です‼』
『初めまして。よろしくお願いします』
何故か実況席にセンリが座り、彼女もこの試合が気になるのか真剣な表情で試合場を見つめる。
『センリさんとしては、今回の試合はどちらが有利だと思いますか?』
『ジャンヌさんは聖導教会出身なのでよく知っていますが、レミア将軍はあまり面識はありませんからね……ですが、彼女の憑依術はよく耳にします。まだ幼い頃に3000人の軍勢を相手に単騎で突破したという話は有名ですね』
『そうっすね。私も子供の頃から噂を耳にしてますけど、お若いのに凄い戦果を挙げてるんですよね』
『戦果と言えば今回は出場していないカノン大将軍も相当な物ですね。一時期は姿を眩ませていたようですが、彼女がテラノ将軍やギガノ将軍と共に戦場を駆け巡ったという話は教会でも耳にしてます』
レノ達の前の世代の大将軍はギガノを筆頭にテラノ、カノン、レミアの4人で形成されており「王国最強のギガノ」「知将のテラノ」「魔弾のカノン」「憑依のレミア」として世間に名を知らしめていた。その中でもカノンはギガノに並ぶ功績を上げており、もしも彼女が失踪していなければ現在の大将軍の筆頭はカノンだった事は間違いない。
『それでは試合を開始するっすよ‼』
カリナの言葉に誰もが息を飲み、剣乱武闘史上初の王国の大将軍と騎士団長が戦う光景が見られる事に緊張する一方、試合場の2人も覚悟を決める。
――ゴォオオオオンッ‼
本戦2日目の最終試合が開始され、ジャンヌとレミアは御互いに向かい合い、その場を動かない。騎士同士の戦闘では選手は5メートルの間合いで戦う事が義務付けられており、最初に動いたのはレミアだった。
「はぁああああっ‼」
ドヒュンッ‼
目にも止まらぬ速さでレミアは突きを放ち、ジャンヌに向けて放つ。その速度は正に神速であり、普通の人間では目にもとまらぬ速さなのだろうが、
ガキィンッ‼
「甘いっ‼」
「くっ……‼ はぁあっ‼」
ジャンヌはレイピアの尽きを戦斧の柄で受け止め、そのまま弾き返す。レミアは怯まずに今度は連続で突きを行い、その全てをジャンヌは戦斧で受け流す。
ガガガガッ……‼
まるでマシンガンを想像させるレミアの鋭い突きを全て見切り、ジャンヌは戦斧で弾き続ける。後方に下がったレミアは冷や汗を浮かべ、やはり単純な技量ではジャンヌの方が上だと思い知らされる。
(ここまで凄いなんて……)
予想はしていたが、圧倒的な力の差にレミアは苦笑し、そんな彼女の態度にジャンヌは疑問を浮かべるが、すぐにレミアの雰囲気が変化したことに気が付く。
「……行きます‼」
「っ‼」
レミアの身体が青い光に覆われ、遂に彼女が憑依術を発動させた事にジャンヌは身構えるが、彼女の予想と反して現れた姿に目を見開く。
「……ここからは私が参ります」
「貴女は……⁉」
――眼の前に表れたのは青を基調とした騎士の制服を纏い、右手に赤色に輝く剣、左手には青色に輝く剣を装備した銀髪の人物が現れ、原初の英雄の次に名を知られているであろう「銀の英雄」と謳われる「ナナ」が姿を現した。
「銀の、英雄?」
「申し訳ありませんが、貴女の要望を聞く前に私が腕試しさせてもらいます」
久方ぶりに姿を現したナナは魔剣「飛燕」と「氷華」を握りしめ、ジャンヌに向けて突進する。その速度はレノやホムラにも匹敵し、ジャンヌは咄嗟に戦斧を構える。
ガァアアアンッ‼
「くっ⁉」
「はああっ‼」
2つの魔剣の斬撃を受け止め、ジャンヌは数メートル吹き飛ばされる。予想外の人物の登場に意表を突かれたとはいえ、ナナの一撃は非常に重く、油断していたら倒されてしまう。
「せいっ‼」
「くぅっ⁉」
ガキィイイインッ‼
今度はジャンヌが戦斧を振るい上げ、ナナは双剣で受け止めるが身体ごと吹き飛ばされる。予想外の一撃に彼女は笑みを浮かべ、2人は距離を取って向かい合う。
『す、凄い攻防です‼ レミア選手が突如として光り輝いたと思ったら、別人に変身しました‼ あれが噂に聞く憑依術なんすか⁉』
『あれは銀の英雄ですね。以前にも何度か相対しましたが、今回はいつも以上の気迫を感じます』
2人の攻防に実況席のカリナが驚いた声を上げ、観客達も歓声を忘れるほどに魅入られる。過去の英雄と今の最強騎士団の騎士団長が戦う姿など滅多にみられるものではなく、決勝進出を果たした選手も見入る。
「ナナが真面に戦ってるところ、もしかしたら初めて見るかも」
「銀の英雄……相当に強い」
「ほうっ……」
特等席ではレノ、ゴンゾウ、ホムラが並んで座っており、2人から目を離せない。決勝で戦う相手とあり、3人とも興味深げに観察する。
「はぁあああああっ‼」
「せいやぁあああっ‼」
ガァアアアアンッ‼
二人の武器が衝突し、轟音が闘技場に轟く。どちらも剛剣を旨とする剣士であり、戦斧と双剣という違いもあれど、2人は力比べを行うように打ち合う。
ガキィイインッ‼
「くっ……‼」
「つぅっ……‼」
お互いの両腕が痺れ、ナナは氷華を鞘に納めると、飛燕を握りしめる。
「……魔剣・飛燕……切り口を発火させる剣ですね」
「よく知ってますね」
「一時期、魔剣に興味がありましたから」
ジャンヌが聖導教会を去って放浪の旅に出ていた際、彼女はカトレアを倒すために巨人殺し以外に有効な武器が無いのかを探していた時期があり、魔剣の類も調べていたことがある。その際に銀の英雄が所有する飛燕と氷華も調査済みであり、どちらの特性も理解していた。
「そう言えば貴女、以前に会った時は別の斧を所持していませんでしたか?」
「巨人殺しは聖剣エクスカリバーの製作のために返却しました。この戦斧は王国が代わりに用意してくれた斧です」
「なるほど……私の剣を受け止める限り、相当な技物ですね」
「無銘ですが、頑丈ですよ」
戦斧を構え、ジャンヌはナナと向き合う。彼女は飛燕を握りしめ、笑みを浮かべると、
「ここからは本気で行きます……飛燕・烈火‼」
ナナは飛燕の刃を地面に擦り付ける様に斬り付けると、地面が発火する。そのまま炎はジャンヌの足元へと接近し、彼女は動揺せずに戦斧を振るいあげ、
「ディバインクラッシュ‼」
ドゴォオオオオンッ‼
刃を発光させ、そのまま勢いよく石畳みの地面に叩き付け、衝撃波が周囲に走る。ナナの放った烈火は打ち消され、地面を陥没させる。それを見たナナは笑みを浮かべ、改めて剣を構える。
「聖属性の魔法ですか……攻撃には向いていないのに、見事な一撃です」
「私は妹を救うために技を磨き続けました……この程度の事で驚いてもらっては困ります‼」
「それは楽しみですね‼」
ガキィイイインッ‼
斧と剣の刃が混じり合い、地面に衝撃が走る。
――ウオォオオオオオオオオッ‼
カリナの実況に観客達が沸き立ち、試合場に戦斧を構えたジャンヌと、レイピアを握りしめるレミアが向かい合う。2人とも集中しているのか瞼を閉じ、試合開始の合図を待つ。
『それでは今回の試合の実況を行うのは元聖天魔導士であり、現在は教皇様として活躍しているセンリ様です‼』
『初めまして。よろしくお願いします』
何故か実況席にセンリが座り、彼女もこの試合が気になるのか真剣な表情で試合場を見つめる。
『センリさんとしては、今回の試合はどちらが有利だと思いますか?』
『ジャンヌさんは聖導教会出身なのでよく知っていますが、レミア将軍はあまり面識はありませんからね……ですが、彼女の憑依術はよく耳にします。まだ幼い頃に3000人の軍勢を相手に単騎で突破したという話は有名ですね』
『そうっすね。私も子供の頃から噂を耳にしてますけど、お若いのに凄い戦果を挙げてるんですよね』
『戦果と言えば今回は出場していないカノン大将軍も相当な物ですね。一時期は姿を眩ませていたようですが、彼女がテラノ将軍やギガノ将軍と共に戦場を駆け巡ったという話は教会でも耳にしてます』
レノ達の前の世代の大将軍はギガノを筆頭にテラノ、カノン、レミアの4人で形成されており「王国最強のギガノ」「知将のテラノ」「魔弾のカノン」「憑依のレミア」として世間に名を知らしめていた。その中でもカノンはギガノに並ぶ功績を上げており、もしも彼女が失踪していなければ現在の大将軍の筆頭はカノンだった事は間違いない。
『それでは試合を開始するっすよ‼』
カリナの言葉に誰もが息を飲み、剣乱武闘史上初の王国の大将軍と騎士団長が戦う光景が見られる事に緊張する一方、試合場の2人も覚悟を決める。
――ゴォオオオオンッ‼
本戦2日目の最終試合が開始され、ジャンヌとレミアは御互いに向かい合い、その場を動かない。騎士同士の戦闘では選手は5メートルの間合いで戦う事が義務付けられており、最初に動いたのはレミアだった。
「はぁああああっ‼」
ドヒュンッ‼
目にも止まらぬ速さでレミアは突きを放ち、ジャンヌに向けて放つ。その速度は正に神速であり、普通の人間では目にもとまらぬ速さなのだろうが、
ガキィンッ‼
「甘いっ‼」
「くっ……‼ はぁあっ‼」
ジャンヌはレイピアの尽きを戦斧の柄で受け止め、そのまま弾き返す。レミアは怯まずに今度は連続で突きを行い、その全てをジャンヌは戦斧で受け流す。
ガガガガッ……‼
まるでマシンガンを想像させるレミアの鋭い突きを全て見切り、ジャンヌは戦斧で弾き続ける。後方に下がったレミアは冷や汗を浮かべ、やはり単純な技量ではジャンヌの方が上だと思い知らされる。
(ここまで凄いなんて……)
予想はしていたが、圧倒的な力の差にレミアは苦笑し、そんな彼女の態度にジャンヌは疑問を浮かべるが、すぐにレミアの雰囲気が変化したことに気が付く。
「……行きます‼」
「っ‼」
レミアの身体が青い光に覆われ、遂に彼女が憑依術を発動させた事にジャンヌは身構えるが、彼女の予想と反して現れた姿に目を見開く。
「……ここからは私が参ります」
「貴女は……⁉」
――眼の前に表れたのは青を基調とした騎士の制服を纏い、右手に赤色に輝く剣、左手には青色に輝く剣を装備した銀髪の人物が現れ、原初の英雄の次に名を知られているであろう「銀の英雄」と謳われる「ナナ」が姿を現した。
「銀の、英雄?」
「申し訳ありませんが、貴女の要望を聞く前に私が腕試しさせてもらいます」
久方ぶりに姿を現したナナは魔剣「飛燕」と「氷華」を握りしめ、ジャンヌに向けて突進する。その速度はレノやホムラにも匹敵し、ジャンヌは咄嗟に戦斧を構える。
ガァアアアンッ‼
「くっ⁉」
「はああっ‼」
2つの魔剣の斬撃を受け止め、ジャンヌは数メートル吹き飛ばされる。予想外の人物の登場に意表を突かれたとはいえ、ナナの一撃は非常に重く、油断していたら倒されてしまう。
「せいっ‼」
「くぅっ⁉」
ガキィイイインッ‼
今度はジャンヌが戦斧を振るい上げ、ナナは双剣で受け止めるが身体ごと吹き飛ばされる。予想外の一撃に彼女は笑みを浮かべ、2人は距離を取って向かい合う。
『す、凄い攻防です‼ レミア選手が突如として光り輝いたと思ったら、別人に変身しました‼ あれが噂に聞く憑依術なんすか⁉』
『あれは銀の英雄ですね。以前にも何度か相対しましたが、今回はいつも以上の気迫を感じます』
2人の攻防に実況席のカリナが驚いた声を上げ、観客達も歓声を忘れるほどに魅入られる。過去の英雄と今の最強騎士団の騎士団長が戦う姿など滅多にみられるものではなく、決勝進出を果たした選手も見入る。
「ナナが真面に戦ってるところ、もしかしたら初めて見るかも」
「銀の英雄……相当に強い」
「ほうっ……」
特等席ではレノ、ゴンゾウ、ホムラが並んで座っており、2人から目を離せない。決勝で戦う相手とあり、3人とも興味深げに観察する。
「はぁあああああっ‼」
「せいやぁあああっ‼」
ガァアアアアンッ‼
二人の武器が衝突し、轟音が闘技場に轟く。どちらも剛剣を旨とする剣士であり、戦斧と双剣という違いもあれど、2人は力比べを行うように打ち合う。
ガキィイインッ‼
「くっ……‼」
「つぅっ……‼」
お互いの両腕が痺れ、ナナは氷華を鞘に納めると、飛燕を握りしめる。
「……魔剣・飛燕……切り口を発火させる剣ですね」
「よく知ってますね」
「一時期、魔剣に興味がありましたから」
ジャンヌが聖導教会を去って放浪の旅に出ていた際、彼女はカトレアを倒すために巨人殺し以外に有効な武器が無いのかを探していた時期があり、魔剣の類も調べていたことがある。その際に銀の英雄が所有する飛燕と氷華も調査済みであり、どちらの特性も理解していた。
「そう言えば貴女、以前に会った時は別の斧を所持していませんでしたか?」
「巨人殺しは聖剣エクスカリバーの製作のために返却しました。この戦斧は王国が代わりに用意してくれた斧です」
「なるほど……私の剣を受け止める限り、相当な技物ですね」
「無銘ですが、頑丈ですよ」
戦斧を構え、ジャンヌはナナと向き合う。彼女は飛燕を握りしめ、笑みを浮かべると、
「ここからは本気で行きます……飛燕・烈火‼」
ナナは飛燕の刃を地面に擦り付ける様に斬り付けると、地面が発火する。そのまま炎はジャンヌの足元へと接近し、彼女は動揺せずに戦斧を振るいあげ、
「ディバインクラッシュ‼」
ドゴォオオオオンッ‼
刃を発光させ、そのまま勢いよく石畳みの地面に叩き付け、衝撃波が周囲に走る。ナナの放った烈火は打ち消され、地面を陥没させる。それを見たナナは笑みを浮かべ、改めて剣を構える。
「聖属性の魔法ですか……攻撃には向いていないのに、見事な一撃です」
「私は妹を救うために技を磨き続けました……この程度の事で驚いてもらっては困ります‼」
「それは楽しみですね‼」
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斧と剣の刃が混じり合い、地面に衝撃が走る。
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