種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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剣乱武闘 覇者編

折り返し

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「これで50P……やっと折り返しという所ですね」
「あと50Pか、それとももう50Pと考えるべきか……」


湖の岸辺にて水竜討伐を終えたソフィア達が集合し、全員がメダルを確認する。パオー種とクラーケン、先ほどの3体の水竜を打ち破ったことで50Pにまで到達し、合格規定の100Pまで半分まで集まった事になる。最終予選が開始されてから既に二時間近く経過しており、今の時点で50Pに到達した事は早い事なのか遅い事なのか分からない。

今も他の地域に転移された選手たちがPを集めており、先ほどのダイア達もこの西部地方に送り込まれたようだが、結局は彼等がどの程度のPを集めていたのかは分からなかった。


「それではどうしますか? この湖には恐らく魔物はもういないでしょうし、他の場所に移りますか?」
「それしかないね……というか、水面を凍らせたままだけど大丈夫かな……」
「問題ありませんわ。この氷は一時間もすれば完全に溶けてしまいますから」


ソフィア達は今後はどの方向に向かうのかを話し合い、リオも周囲には生物の魔力は感じられず、完全に行き詰ってしまう。適当な方角に進んで魔物と遭遇するまで散策するという案もあるが、それならば分断して周囲に散らばった方が効率が良い気がする。

この面子ならば大抵の大型種であろうと2~3人で討伐が可能であり、ここで二組に分かれて別々に行動し、魔物を討伐する方法が一番かも知れない。


「よし……東と南に一旦別れようか。一時間ぐらい散策した後、またここに戻ってくるという方法でどう?」
「何故、東と南の方角なんだ?」
「北の方は白狼種が生息している山岳が近くにあるから、大抵の魔物は恐れて近寄らないよ。西はさっきまで私達がいた方角だし、そうなると消去法で東か南に行くしかないね」
「東南や西南の方にも魔物が生息している可能性があるのでは?」
「あんまり人数を分けて行動するのは避けた方が良いでしょ。というわけで、組み分けは私、ゴンちゃん、ポチ子、リオさんの王国組、残りのメンバーは余り組という事でいいよね?いいに決まってるよ?はい、決定‼」
『ちょっと待て、我をこんな奴等と共に行動しろというのか‼』


ソフィアが半ば無理やりに組み分けを決めようとするが、デュラハンが抗議を行い、シュンもそれに同意する。


「それは困りますね……ソフィア様達が仲が良い事は解っていますが、戦力的に考えれば僕としてはデュラハンさんとソフィア様が交代して欲しいのですが」
「やだよ」


シュンとその従者2人に囲まれた状態で行動するのは何となく嫌であり、ストレスが蓄積されそうで同意できない。だからと言って他の面子をシュン達と行動させることにも心配であり、この中の面子ならばデュラハンが最適だと思ったが彼女もシュンと行動を共にするのは嫌悪感を抱くらしい。


「随分と嫌われましたね。僕はソフィア様の事をお慕いしているのですが」
「きもい」
『フラれたようだな』
「いえいえ……好きという感情の反対語は無関心と聞きますから、少しは距離が縮まってますよ」
「よし、シュン君1人と他のメンバーで探索しようか」
『余計に嫌われたぞ』
「「私達はそれで構いませんが」」
「一応は言っておきますが、僕が主人ですよ?」


さり気なくソフィアの元に寄ろうとする従者の2人組にシュンは声をかけ、この2人に関してはシュンのように嫌悪感は抱かず、今までの行動から考えても比較的にソフィアには好意的に接している。


「それじゃあ二時間後に集合ね。シュン君は頑張ってね~」
「一時間増えてませんか?というより、本当に僕一人で行動しなければならないのですか?」
「ソフィアさん……流石にそれは可哀想だと思います」
「うむ、この島は危険だ。単独行動は命取りだ」
「しょうがないな……なら、3組に別れようか」


仕方なく、ソフィア達は東、東南、南の方角に三方向に別れて行動する事を決め、戦力的には1つのグループに魔術師を1人配分することに決め、5分程度の話し合いの結果、やっとグループが決まった。


「俺達は東側か」
「頑張りましょう‼ゴンさん‼リオ様‼」
「リオで構いませんわ‼」



東の方角にはゴンゾウ、ポチ子、リオの王国組に別れ、



「僕達は東南ですね」
「シュン様が諦めてくれれば他の方々と行動できるのですが」
「今からでも考え直してくれませんか?」



東南にはシュンと彼の配下であるカオリとカナが同行し、



「南は私とデュラさんだね」
『その呼び方は止めてくれ』



必然的に最後の2人であるソフィアとデュラハンは南側となり、行動を開始する。戦力的にはバランスが良く、人数的にはソフィア達が1人少ないがこの中の面子では飛び抜けた力を所持する彼女と、実体を持たないデュラハンのコンビならば大抵の魔物はどうにか出来る。


「それでは行きましょうか。とは言っても、途中で迷子になってしまったらどうしますか?」
「その時は魔力感知で探し出せばいい。もしもこの湖に戻れそうになかったら、迂闊に動かずにその場で待機していればリオさんと私が迎えに行くから」
「ソフィア将軍の魔力は大きいから感知しやすいですわ。だから私達は道に迷ったとしても、ソフィア様が居る方角は分かりますわ‼」
「なるほど、そういう事なら安心ですね」


魔力感知に優れているリオとソフィアならばお互いの魔力を察して合流する事が可能であり、それほど距離が離れていなければシュン達の魔力も感知できる。この方法ならば湖の居場所を見失ったとしても全員の居る位置を確認でき、はぐれる事はない。

最も、3つに戦力を分けた事で戦闘面に負担が掛かり、ここから先は用心して進まなければならない事には違いないが。


「それじゃあ一応は1時間後にこの場所で合流ということで、解散‼」
「行きますわよ~‼」
「わふ~っ‼」
「2人とも、そう急ぐな」


リオとポチ子が張り切って東の方角に向けて走り出し、ゴンゾウが慌てて追いかける。傍から見るとはしゃいでいる娘二人の後を追いかける父親のような構図だった。


「それでは僕たちもお先に……行きますよ2人とも」
「「はい」」
「……こっそり後とか付けてこないでよ」
「なるべく努力します」


意味深げな台詞を残しながらシュン達も移動を行い、彼等は東南の方角に向けて歩みだす。残されたソフィアはデュラハンと目線(顔は無いが、兜の部分に)を合わせ、そう言えば2人切りなるのは初めてであり、ライオネル以外の魔人族と行動を共にするのも彼女が初めてである。


「えっと……行きますか」
『ああ』


頭の中にデュラハンの念話が響き、前々から疑問を抱いていたがこの相手の脳内に言葉を伝える方法はどうやっているのかが気にかかり、魔法というよりは超能力のような感じもするが、そもそも実体を持っていないという時点で幽霊に近い存在のため、このような芸当が出来るのかもしれない。

二人は南の方角に向けて移動を開始し、ソフィアはこの機会に魔人族に対して抱いていた疑問を問い質すため、前方を歩くデュラハンに尋ねてみる。



「……デュラさんは普段は何処で生活してるんですか?」
『何だ急に……ああ、そうか。デュラハンの生体が気になるのか?我等は基本的に不老不死だから、基本的には生前の生活は行わない。我の場合は旅を行い、迫害されている同胞を島に送り込む手伝いを行っている』
「島っていうと……魔人族が住んでいる島の事ですか? 前々から気になってたんですけど、どうやってその島? に移動してるんですか」
『それは答えられん。魔人族の秘密に関わる事だからな……最も、お前もいずれは我等が島に訪れる日が来るかもしれないが……』
「……?」
『何でもない。それより先に進むぞ』



デュラハンの言葉にソフィアは首を傾げ、彼女が何を言いたいのかよく分からないが、一先ずは最終予選を突破するためにも魔物の探索を行い、一刻も早く100Pまで蓄積しないといけない。
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