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真章 〈終末の使者編〉
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「リバイアサン……⁉」
「まさか……⁉ あれほど大きくなってるなんて……」
船島の上空を移動するスカイシャーク二号機にはレミアとカノンが超魔導大砲が設置されている砲門に待機しており、既に大砲の準備を整えている。外見はSF映画に出て来そうな操縦席であり、後はカノンがリバイアサンを狙撃するだけだが、先のフライングシャーク号同様にこの船の超魔導大砲も一発撃つのが限界であり、連射は出来ない。
外せば終わりという重圧を感じながらも、カノンは覚悟を決めた様に操縦席に搭載されているレンズを確認し、リバイアサンの正確な位置を計る。その光景は現実世界のスナイパーを思わせ、彼女は全神経を集中させる。
「わ、私に出来る事はありますか?」
「……こちらの超魔導大砲は発射までに時間が掛かります。出来る事なら、その間の時間を稼いでほしいのですが……」
「分かりました‼」
ボウッ……‼
レミアは掌を胸元に置き、自分の身に宿した「ミキ」の魂を呼び出す。その瞬間、彼女の身体に異変が生じ、淡い光に飲み込まれると同時にまだ若く、美しかったころの彼女が顕現する。
「ふうっ……あれが相手ですか、少々きついですが……やってみます」
「頼みます……どうか、無理をしないで下さい」
「それこそ無理な話ですね。あれほどの相手に無傷で生き残れるとは思えませんが……全力を尽くします‼」
そう告げた瞬間、ミキの背中に聖属性の魔力で形成された天使の羽根を想像させる片翼が誕生し、杖を収納石から取り出し、無詠唱で魔法を発動させる。
「簡易転移(テレポート)‼」
次の瞬間、彼女の身体が消え去り、飛行船の外部へと移動する。位置的にはそれほど離れた場所ではなく、丁度スカイシャーク二号機の鼻先に移動する。転移魔法の中でも特別な移動魔法であり、短距離ならば瞬間移動できる高等魔法だった。
――ウォオオオオンッ‼
リバイアサンは咆哮を放ちながら、スカイシャーク二号機に威嚇するように睨み付け、明らかにこちらをただの魚としか見ていない。自分よりも巨体であるスカイシャーク二号機を狙う辺り、相当な獰猛の性格であることが伺え、ミキは引き締め直す。
「ここまでの相手は久しぶりですね……ですが‼」
杖を握りしめ、歴代の聖天魔導士の中でも最強と謳われた彼女は無詠唱で天空に巨大な魔方陣を生み出し、聖属性の魔法の中でも最も難易度が高い魔法を発動させる。
「グランドクロス‼」
ミキが杖を振り下ろした瞬間、天空に浮き上がった魔方陣に異変が発光し、十字型の光の砲撃が放たれる。魔方陣の真下にいたリバイアサンの頭部をそのまま飲み込む。聖属性の砲撃魔法の中でも最高位の攻撃魔法であり、間違いなく「ノヴァ級」の威力を誇る。
――グォオオオオッ……⁉
悲鳴を上げながらリバイアサンの巨体が揺らぎ、海面に潜り込む。その際に激しい水飛沫が生じ、船島が揺れ動く。しかし、致命傷までには至らず、そのまま海中から胴体を出現させて移動を行う。
「……私の魔法の中で最高の広域魔法ですら、目くらまし程度ですか……流石は歴史に名を遺す海竜……」
額に汗を流し、彼女は海中を移動するリバイアサンに視線を向ける。彼女が現在いるのは高度300メートルほどであり、リバイアサンが届かない位置に飛翔しているが、決して油断はできない。そのまま片翼を震わせながら移動を行い、不意に海面に異変が生じている事を悟る。
「あれは……まさか⁉」
ミキの視界に海面の一部分が赤く発光している事を確認し、慌てて彼女は速度を増してその場を離れた瞬間、海中から凄まじい火力の光線が放たれる。
ズドォオオオオオオンッ……‼
ミキが先ほどまで飛んでいた位置にレーザー砲を想像させる熱線が海中から放出され、そのまま移動する彼女を追跡するように方向転換を行う。
「最高速度(トップスピード)‼」
砲撃から逃れるためにミキは高速移動を行い、同時に時間を数える。こちらに向い来る砲撃を回避しながら、彼女は海中から放たれ続ける熱線を観察し、だいたい10秒ほどで熱線が縮小化し、15秒には完全に途切れるのを確認する。
ゴポゴポゴポ……‼
海面に大量の泡が浮き上がり、リバイアサンの頭部が姿を現す。獲物を逃したことが余程気に入らないのか、明らかに激昂した様子で船島を放っておいてミキを睨み付ける。
グォオオオオオオオンッ……‼
周囲一帯が震えるほどの大声量でリバイアサンは咆哮を上げ、ミキを追跡するために移動を行う。彼女は出来る限り、スカイシャーク二号機をリバイアサンの標的から外すため、次々と魔法を繰り出す。
「サンダーレイン‼」
ドォオオオンッ‼
詠唱を行いながら、彼女は杖を振り下ろすのと同時に先端から電流を迸らせ、リバイアサンに目掛けて放出する。相手が海中に生息する魔物ならば雷属性の魔法は効果抜群のはずだが、リバイアサンは降り注ぐ雷を受けても気にした風も無く、怯んだ様子も見せない。
「やはり威力不足ですか……それにしても、まだですか……⁉」
ミキはスカイシャーク二号機に視線を向け、飛行船が動き回るリバイアサンに向けて砲台を向けているのは確認し、もう超魔導大砲の準備は整っているはずだが、未だに発射する様子はない。
(動き回っている分、標準が難しいのは分かりますが……このままでは私の方が限界ですね)
自分の片翼を確認し、何処かで羽根を休めなければこれ以上の激しい動きは無理であり、ミキは杖先をリバイアサンに向け、
「セイントフォース‼」
ズドォオオオンッ‼
自分が最も得意とし、速効性に優れた聖属性の砲撃魔法を放ち、リバイアサンの鼻先に命中する。流石に今度は相手も悲鳴を上げ、そのまま海中に潜り込む。
「はあっ……はあっ……」
短時間の間に魔力消費が激しい魔法を連発したせいか、ミキの身体から汗が流れる。何処かで一度休憩したいが、周囲一体に海が広がっており、何処かに降りて身体を休める事も出来ない。
「……出て来ませんね」
不意に海中に潜ったはずのリバイアサンが一向に姿を現さないことに疑問を抱き、まさか逃げ去ったのかと視線を向けると、自分の真下の海面に異変が起きている事に気が付く。
「まさか⁉」
――ドパァアアアアンッ‼
ミキがリバイアサンの意図に気が付くと同時に海面が浮き上がり、そのまま盛大な水飛沫を上げながらリバイアサンが姿を出現させ、巨大な牙を開きながら跳躍してくる。
ウォオオオオンッ……‼
異様な角度まで顎を開いたリバイアサンが接近する光景を確認し、彼女は攻撃や回避をする間もなく、そのまま飲み込まれようとした時、
「撃雷っ‼」
ズドォオオオンッ‼
横方向からの攻撃によってリバイアサンの巨体が空中で傾き、そのまま落下する。彼女は驚いた表情を浮かべて振り向くと、そこには瞬脚で空中を移動するレノの姿があり、自分が助けられた事に気が付く。
「いてててっ……ゴーレムより硬いな」
「あ、ありがとうございます……」
「気にしないでいい。それより、この状態でいるのもきつい助けてほしいんだけど」
「は、はい」
すぐにミキは空中で瞬脚を繰り返して飛翔しているレノ身体を掴み、彼は一息を着いたとばかりに足を休ませる。
「さてと……どうしようかあれ」
――ウォオオオオオオオッ……‼
自分たちの真下で目を血走らせながら咆哮をあげるリバイアサンを確認し、どうやら先ほどの一撃で完全に怒らせたらしい。
「まさか……⁉ あれほど大きくなってるなんて……」
船島の上空を移動するスカイシャーク二号機にはレミアとカノンが超魔導大砲が設置されている砲門に待機しており、既に大砲の準備を整えている。外見はSF映画に出て来そうな操縦席であり、後はカノンがリバイアサンを狙撃するだけだが、先のフライングシャーク号同様にこの船の超魔導大砲も一発撃つのが限界であり、連射は出来ない。
外せば終わりという重圧を感じながらも、カノンは覚悟を決めた様に操縦席に搭載されているレンズを確認し、リバイアサンの正確な位置を計る。その光景は現実世界のスナイパーを思わせ、彼女は全神経を集中させる。
「わ、私に出来る事はありますか?」
「……こちらの超魔導大砲は発射までに時間が掛かります。出来る事なら、その間の時間を稼いでほしいのですが……」
「分かりました‼」
ボウッ……‼
レミアは掌を胸元に置き、自分の身に宿した「ミキ」の魂を呼び出す。その瞬間、彼女の身体に異変が生じ、淡い光に飲み込まれると同時にまだ若く、美しかったころの彼女が顕現する。
「ふうっ……あれが相手ですか、少々きついですが……やってみます」
「頼みます……どうか、無理をしないで下さい」
「それこそ無理な話ですね。あれほどの相手に無傷で生き残れるとは思えませんが……全力を尽くします‼」
そう告げた瞬間、ミキの背中に聖属性の魔力で形成された天使の羽根を想像させる片翼が誕生し、杖を収納石から取り出し、無詠唱で魔法を発動させる。
「簡易転移(テレポート)‼」
次の瞬間、彼女の身体が消え去り、飛行船の外部へと移動する。位置的にはそれほど離れた場所ではなく、丁度スカイシャーク二号機の鼻先に移動する。転移魔法の中でも特別な移動魔法であり、短距離ならば瞬間移動できる高等魔法だった。
――ウォオオオオンッ‼
リバイアサンは咆哮を放ちながら、スカイシャーク二号機に威嚇するように睨み付け、明らかにこちらをただの魚としか見ていない。自分よりも巨体であるスカイシャーク二号機を狙う辺り、相当な獰猛の性格であることが伺え、ミキは引き締め直す。
「ここまでの相手は久しぶりですね……ですが‼」
杖を握りしめ、歴代の聖天魔導士の中でも最強と謳われた彼女は無詠唱で天空に巨大な魔方陣を生み出し、聖属性の魔法の中でも最も難易度が高い魔法を発動させる。
「グランドクロス‼」
ミキが杖を振り下ろした瞬間、天空に浮き上がった魔方陣に異変が発光し、十字型の光の砲撃が放たれる。魔方陣の真下にいたリバイアサンの頭部をそのまま飲み込む。聖属性の砲撃魔法の中でも最高位の攻撃魔法であり、間違いなく「ノヴァ級」の威力を誇る。
――グォオオオオッ……⁉
悲鳴を上げながらリバイアサンの巨体が揺らぎ、海面に潜り込む。その際に激しい水飛沫が生じ、船島が揺れ動く。しかし、致命傷までには至らず、そのまま海中から胴体を出現させて移動を行う。
「……私の魔法の中で最高の広域魔法ですら、目くらまし程度ですか……流石は歴史に名を遺す海竜……」
額に汗を流し、彼女は海中を移動するリバイアサンに視線を向ける。彼女が現在いるのは高度300メートルほどであり、リバイアサンが届かない位置に飛翔しているが、決して油断はできない。そのまま片翼を震わせながら移動を行い、不意に海面に異変が生じている事を悟る。
「あれは……まさか⁉」
ミキの視界に海面の一部分が赤く発光している事を確認し、慌てて彼女は速度を増してその場を離れた瞬間、海中から凄まじい火力の光線が放たれる。
ズドォオオオオオオンッ……‼
ミキが先ほどまで飛んでいた位置にレーザー砲を想像させる熱線が海中から放出され、そのまま移動する彼女を追跡するように方向転換を行う。
「最高速度(トップスピード)‼」
砲撃から逃れるためにミキは高速移動を行い、同時に時間を数える。こちらに向い来る砲撃を回避しながら、彼女は海中から放たれ続ける熱線を観察し、だいたい10秒ほどで熱線が縮小化し、15秒には完全に途切れるのを確認する。
ゴポゴポゴポ……‼
海面に大量の泡が浮き上がり、リバイアサンの頭部が姿を現す。獲物を逃したことが余程気に入らないのか、明らかに激昂した様子で船島を放っておいてミキを睨み付ける。
グォオオオオオオオンッ……‼
周囲一帯が震えるほどの大声量でリバイアサンは咆哮を上げ、ミキを追跡するために移動を行う。彼女は出来る限り、スカイシャーク二号機をリバイアサンの標的から外すため、次々と魔法を繰り出す。
「サンダーレイン‼」
ドォオオオンッ‼
詠唱を行いながら、彼女は杖を振り下ろすのと同時に先端から電流を迸らせ、リバイアサンに目掛けて放出する。相手が海中に生息する魔物ならば雷属性の魔法は効果抜群のはずだが、リバイアサンは降り注ぐ雷を受けても気にした風も無く、怯んだ様子も見せない。
「やはり威力不足ですか……それにしても、まだですか……⁉」
ミキはスカイシャーク二号機に視線を向け、飛行船が動き回るリバイアサンに向けて砲台を向けているのは確認し、もう超魔導大砲の準備は整っているはずだが、未だに発射する様子はない。
(動き回っている分、標準が難しいのは分かりますが……このままでは私の方が限界ですね)
自分の片翼を確認し、何処かで羽根を休めなければこれ以上の激しい動きは無理であり、ミキは杖先をリバイアサンに向け、
「セイントフォース‼」
ズドォオオオンッ‼
自分が最も得意とし、速効性に優れた聖属性の砲撃魔法を放ち、リバイアサンの鼻先に命中する。流石に今度は相手も悲鳴を上げ、そのまま海中に潜り込む。
「はあっ……はあっ……」
短時間の間に魔力消費が激しい魔法を連発したせいか、ミキの身体から汗が流れる。何処かで一度休憩したいが、周囲一体に海が広がっており、何処かに降りて身体を休める事も出来ない。
「……出て来ませんね」
不意に海中に潜ったはずのリバイアサンが一向に姿を現さないことに疑問を抱き、まさか逃げ去ったのかと視線を向けると、自分の真下の海面に異変が起きている事に気が付く。
「まさか⁉」
――ドパァアアアアンッ‼
ミキがリバイアサンの意図に気が付くと同時に海面が浮き上がり、そのまま盛大な水飛沫を上げながらリバイアサンが姿を出現させ、巨大な牙を開きながら跳躍してくる。
ウォオオオオンッ……‼
異様な角度まで顎を開いたリバイアサンが接近する光景を確認し、彼女は攻撃や回避をする間もなく、そのまま飲み込まれようとした時、
「撃雷っ‼」
ズドォオオオンッ‼
横方向からの攻撃によってリバイアサンの巨体が空中で傾き、そのまま落下する。彼女は驚いた表情を浮かべて振り向くと、そこには瞬脚で空中を移動するレノの姿があり、自分が助けられた事に気が付く。
「いてててっ……ゴーレムより硬いな」
「あ、ありがとうございます……」
「気にしないでいい。それより、この状態でいるのもきつい助けてほしいんだけど」
「は、はい」
すぐにミキは空中で瞬脚を繰り返して飛翔しているレノ身体を掴み、彼は一息を着いたとばかりに足を休ませる。
「さてと……どうしようかあれ」
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