種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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ヒナ編

設定資料 〈旧世界と現実幻想世界〉

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嘗て、この世界は人類だけが支配していた。科学が発展し、幾度もの戦争を超えて人類は1つの国に統一され、世界の対立は一掃された。そして、元々は世界的な大企業の会長でもあり、最初の「世界大統領」として認められた女性「アイリス(本名なのか偽名なのかは誰も知らない)」によって世界は変革されていった。

だが、彼女が世界大統領に就任してから「翌日」にある悲報が届けられる。この星に向けて無数の隕石群が落下するという報せが届き、当然ながらに世界中がパニックを引き起こす。何せ、隕石は世界各地に衝突する事が確定であり、当時の科学では隕石を全て破壊する事も不可能だった。

これが映画の世界ならば人類が力を合わせて隕石を回避、もしくは隕石その物を宇宙空間で破壊し、軌道を反らす事も出来たかもしれない。しかし、現実は残酷であり、無数に降りかかる隕石群を破壊・回避する手段は見つからず、人類は刻一刻と滅亡への道を辿っていく。



世界大統領に就任してから一番最初に突き当たった問題に対し、アイリスは限られた人間を地下深くの特殊合金で形成されたシェルターに移送し、人類の9割を見捨てる判断を下す。彼女の判断に反発する者も大勢いたが、代案が出ない以上、人類という種が生き残るためには彼等は1割の人間を選定する決断が迫られた。

そして、その1割の人類は未来がある「子供達」が選ばれ、すぐにも世界中から集められた選定された子供達は地下施設に移送される。



子供たちが地下シェルターに移送されてから数か月の間、人類はそれぞれの時間を過ごし、実に平和だったという。いずれ訪れる最悪の絶望を前に争いなど無意味と判断したのか、皮肉にも犯罪は一気に減少した(その反面、世界が終るならば何をしてもいいという考え方を持った人間も存在したが、圧倒的に諦めた人間の方が多かった)。



――遂に世界に「7つ」の巨大隕石が降りかかり、世界は「滅亡」した、と思われた。



予想に反して隕石の衝突によって人類は半数が失われたが、それでも残りの半数は生き残った。原因は不明だが、隕石の衝突の際に起きると思われる異常気象が一切起こらず、せいぜい大陸の地形の一部が変化した程度であり、地球環境その物に大きな異変は起き無かった。

世界中に落ちた隕石群は地上に残っていた世界大統領のアイリスの手によって隔離され、各地に衝突した隕石の調査が行われる。その結果、予想外の事実が確認された。隕石からはこの地球には存在しない未知の物質によって形成され、奇妙なエネルギーを生み出している事が判明する。

隕石の衝突による環境の変化は起きなかったと世界には報道されたが、実際には各地で隔離された7つの隕石から発生する未知の「エネルギー」は地球環境に徐々に影響を与えていき、少しずつ異変が起き始める。



――まずは地上で生き残った人間達に最初に異変が訪れ、彼らの中に突然奇妙な出来事が多発する。生まれたばかりの子供の耳が長く尖ったり、たった数歳の子供が大人と変わらぬ身長にまで成長したりなど、異常事態が起きていた。



隕石が落下してから時が経つにつれ、流石に世界中の人間達も異変に感付き、彼らは世界大統領にこの問題をどうするのかを問い質す。彼女は世界中の異変が起きたという子供達をまず集めさせ、彼等の身体を研究し、治療法を探す事を約束した。


しかし、その実は彼らの身体を実験材料として取扱い、異変の正体を掴むために研究を行う。それは隕石から発せられるエネルギーと同じ反応が子供たちの身体からも確認され、調べ上げた結果、収集した子供の全員から未知の「ウィルス」が発見された。


アイリスは隕石の一部を採取し、子供たちに感染したウィルスと同じ物が発見される。彼女はこのウイルスを「セカンドゲノム」と名付ける(人間の肉体を遺伝子レベルで変化させ、全く新しい「新人類」を作り出す事からそう名付けられた)。

彼女はセカンドゲノムを研究し、改良を加えて新たな新人類を生み出す計画を行う。その結果、今まで人類が支配していた世界には新たな種族が誕生した。しかし、異変が起きたのは人類ばかりではなく、隕石から発生するセカンドゲノムによって自然界の動物達にも異変が訪れた。

セカンドゲノムは時間を掛けて世界中に蔓延し、世界各地で次々と未知の生物が発見される。世界に落ちた7つの巨大隕石は厳重に隔離されたにも関わらず、セカンドゲノムの拡散は食い止める事が出来ず、全く新しい未知の能力を宿した生物が続々と誕生する。



――この機会を逃さないとばかりにアイリスはセカンドゲノムを研究、及び改良、そして大量生産を行い、彼女は自分が開発したオンラインゲームの世界観を基準に「魔物」と後に呼ばれる生物を創造し、内密に世界各地に放出する。世間では自然に発生したセカンドゲノムによって動物たちが自然変異を起こした生物だと思われたが、その実はアイリスを支持するセカンドライフ社の実験体だった。



それだけではなく、隕石衝突前に地下のシェルターに避難させていた選定された子供たち(特に親類が隕石衝突の際によって失った子供)を「実験施設」に送り込み、改良したセカンドゲノムを注入を行い、彼等は様々な反応を起こした。

世界大統領として彼女は残された人類を導く一方、裏では自分の「幻想(ゲーム)」の世界を実現さるため、魔物の生産を行い、隕石から得られるエネルギーを研究する事で魔法と呼ばれる超常現象までも生み出してしまう。


隕石が地球に衝突してから数十年の時が流れ、年老いたアイリスは隕石の衝突によってほとんどの領土が沈没した日本の領土の地下に研究施設を造り上げ、表向きは崩壊した世界で人類を導いた指導者として過ごしながら、実際は自分の理想のために人々を偽り、世界の改革を成功させた。




――魔物とは、隕石から生み出されたセカンドゲノムと名付けられたウイルスに感染した生物であり、元々は野生動物ではあったが、ウイルスによって生体が変異した生物として認知される。だが、実際の所はアイリスの手によって彼女が経営しているセカンド・ライフ社の研究施設で改造が施された生物であり、施設から放逐された後は自然界で独自の生態系に変化する。

現在ではアイリスの思惑通り、まるでゲームに出現するような生物に変化を遂げ、スライム、ドラゴン、ゴブリン、オークなどの有名処な魔物も生み出す。また、巨大隕石によって地球の環境が1000年周期で活性化という現象を引き起こし、一時期だけ魔物が増殖する傾向が芽生えた。

基本的に旧世界の動物の殆どは魔物と変貌したが、犬や猫、もしくは一部の昆虫類はそのままの姿であり、六種族以外の生物は魔法の力を扱う事は出来ない。施設で管理されていた「プロトタイプシリーズ」と呼ばれる生物が全ての魔物の原点ではあるが、現在では独自の進化を経て姿形は大きく変化している。

ちなみにスライムなどの液状生物や、ロックゴーレムなどの岩石が変異した生物に関しては原点は存在せず、巨大隕石の影響で生まれた本当に自然界で誕生した未知の生物である。


一応は魔物には階級が存在し、ギルドでは「最上級危険種(腐敗竜・バジリスク・フェンリル等)」「第一位級危険種(スライム・ドラゴン・ミノタウロス等)」「第二級危険種(ゴブリン・狼男)」「第三級危険種」という順で扱われているが、地域によって呼び方が違う(「超級危険種」「上級危険種」「中級危険種」「下級危険種」等)。



――旧世界人とは、この世界で召喚魔法で呼び出された異世界人(旧世界人)として扱われている人間である。基を正せば放浪島の地下に存在する研究施設の「冷凍カプセル」に保管されていた人間達であり、正確に言えば旧世界の人間のクローンである。彼らの脳内に埋め込まれたDE(レノも含まれる)によって旧世界の人間達の「人格」と「記憶」が埋め込まれ、全員が自分たちがクローンである事も知らずに旧世界の人間だと思い込んでいる。

彼らの多くは現在の世界を異世界と認識しており、自分たちの記憶にある旧世界とは別世界だと信じているが、元の世界に戻ろうと研究を行う者や、この世界で生きていく事を決意し、知識や技術を提供する者もいる。最も、彼らの多くは魔法を扱う事は出来ないため、迫害される者も少なくない。


勇者と呼ばれる存在はどういう理屈か「旧世界人(クローン)」でありながら魔法を扱えるが、彼らは独自の「ステータス」と呼ばれる特殊な能力を持ち、まるでゲームのように現時点の自身の正確な詳細情報を確認できる(視界に画面が表示される)。また、ステータスにはレベルの項目も存在し、主に魔物や鍛錬を行う事で経験値を得ると上昇し、新しい魔法を習得したり、身体能力が上昇する。しかし、逆にこれが仇となって戦闘方面の技術を疎かにする傾向があり、勇者自身の戦闘技術はお粗末な者が多い。


彼らは放浪島の「施設」の中でも特別な処置を施された存在であり、勇者達の視界に表示されるというステータスとは、実を言えば頭に埋め込まれた「脳内チップ」が脳に直結して操作を行い、幻覚を見せているだけに過ぎない。また、彼らの身体には特殊な仕掛けが施されており、肉体面の外見が一切変化しない(不老に近いが、不死ではない)。


過去に召喚された勇者と比べ、今の時代に召喚された30名の勇者は殆どが高校生世代であり、既に半数近くがロスト・ナンバーズに誘拐されている。一応はバルトロス王国に協力しており、各地の活性化の影響を受けた魔物達の討伐を行っているが、数多くの魔法を扱えるが特別に強いというわけではない。



――「隕石」と「活性化」――

遥か昔、まだ世界が科学で発展していた時代に突如として「7つ」の巨大隕石が世界各地に同時に落下し、人類の半数が死滅する。その後、隕石からは地球上には存在しない未知のエネルギーが放出され、後にセカンドゲノムと名付けられるウイルスが世界各地で蔓延し、生態系に異変が生じる。

世界大統領であるアイリスは全ての隕石を隔離し、同時に研究を行い、未知のウイルスのセカンドゲノムを発見すると同時に自分の計画に利用する。地下施設でウイルスの研究を続け、後に「六種族」や「魔物」となる存在を生み出す。

この「7つ」の巨大隕石はどれもがセカンドゲノムと呼ばれるウイルスを生み出すのは共通だが、実際にはそれぞれが異なるエネルギーを放出しており、地球に影響を与えている。このエネルギーとは地球上に存在しない物であり、それぞれの隕石には中心部に「核」と呼ばれる物質が存在する。



――後に隕石に存在する核は摘出され、特殊な加工を施される。各隕石の大きさはどれもが100メートルを越えていたにも関わらず、摘出された核の大きさはソフトボールほどであり、後に「六種族」の「宝玉」として丁重に保管される。また、最後の宝玉に関しては地下迷宮内の最下層に封印されている。



巨大隕石によって変化したのは環境や生物ばかりではなく、地球その物に異変が発生する。それは1000年周期で活性化と呼ばれる現象が発生し、魔物が大量発生する他に六種族の中にも強大な魔力が宿す者が生まれやすい時期でもある。




――伝説獣――

魔物の中でも頂点に位置する存在であり、一体一体が冗談抜きで世界を滅ぼせる力を有し、先に討伐された腐敗竜、深淵の森で封印されたバジリスクもこれに含まれる。この伝説獣は活性化の時期に誕生する生物であり、個体差はあれど必ず復活する。

伝説獣の数は「6匹」存在し、既に駆逐された2引きを除けば他には「神獣(既に絶滅)」「オルトロス」「リバイアサン」「キマイラ」などが存在する。他にも危険性の高い生物は存在するが、それでもこの6匹が代表的な魔物として有名。
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