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闘人都市崩壊編
魔人族と聖導教会
しおりを挟む「死ねぇええええっ!!」
「うがぁあああっ!!」
「ちっ、殺るぞ!!」
「いや、出来れば殺すのは避けたいんだけど……」
四方から同時に襲い掛かってきた冒険者たちに対し、ライオネルは拳を向け、レノは仕方なく右腕に撃雷を纏わせようとした時、
「――レーヴァティン!!」
ドゴォオオオオオオンッ……!!
「「「ぐぎゃあぁあああああっ!?」」」
唐突に建物の下から火柱が上がり、死人の悲鳴が響き渡る。一瞬だがレノ達に襲い掛かってきた冒険者達も気を取られ、その隙を逃すほどライオネルとレノは甘くは無い。
「ふんっ!!」
「「ぐげぇっ!?」」
「ほい」
「ごはぁっ!?」
「……ほあたっ」
「おごっ!?」
ライオネルは両拳で2人の冒険者の腹部を貫き、レノは見事な回し蹴りで1人を倒し、何故かコトミが最期の1人を何処からか持ち出した掌ほどの大きさの石で頭部に叩き込む。四方に飛びかかって来た四人はあっさりと撃破し、何気にコトミが倒した冒険者の安否が気にかかるが、レノ達は火柱が上がった方向に視線を向ける。
「今のは……」
「私です」
ドンッ!!
屋根の上に真紅の炎を纏わせる長剣を掲げながら、テンペスト騎士団の団長であるジャンヌが訪れる。彼女はライオネルに視線を向け、困惑の表情を浮かべるが、すぐにヨウカの存在に気が付き、慌てて駆け寄る。
「大丈夫ですか巫女姫様!!」
「あ、ジャンヌちゃん。うん、平気だよ~」
「そうですか……良かった」
「……ジャンヌも無事だった?」
「はい……とはいえ、他の方々とははぐれてしまいましたが」
「おい、誰だこの女は?」
ライオネルは突然に現れたジャンヌに訝しげの視線を向けると、彼女も彼を睨み付けるように目つきを鋭くさせ、
「……貴方は何者ですか?」
「あ、この人はね~私達を助けてくれたんだよ」
「魔人族が……?」
「何だ?俺が人を助けるのが可笑しいのか?」
「それは……いえ、巫女姫様と私の友人を助けてくれたことは感謝します。ですが……」
ジャンヌはレーヴァティンを構え、ライオネルに向ける。レノ達は普段は冷静な彼女のあまりの行動に驚愕し、慌てて2人の間に遮る。
「ど、どうしたのジャンヌちゃん!?この人は敵じゃないよ!?」
「……落ち着く」
「知合いか?」
「いや、俺は初めて見る顔だが……」
レノが2人の関係性を尋ねるとライオネルは両腕を組んで首を捻り、どうやら本当に知らないようだが、ジャンヌは剣を構えたまま睨み付ける。
「……巫女姫様、聖導教会は魔人族との関わりだけはご注意を受けているはずです。危機的状況以外での接触は避けるように言われてはいなかったのですか?」
「え?えっと……」
「聖導教会は確かに救いを求める者は拒否しませんが、魔人族に関しては慎重な対応をしなければなりません。彼らは過去に途轍もない罪を犯しました」
「罪……?」
「むうっ……」
心当たりがあるのかライオネルは顔を顰め、ジャンヌは仕方がないという風に剣を鞘に収め、
「……ですが、ここは巫女姫様の顔に免じて抑えます。しかし、もしも巫女姫様に対して不審な行動を取れば私が切り捨てます」
「ふんっ……そんな事をする気は無いが……お前にやれるのか?」
「……試してみますか?」
ライオネルは両爪を剥き出しにし、ジャンヌは柄に手を掛け、2人は睨み合う。
「はわわわっ……!?」
「……あわわっ」
「ふぇえっ……」
そんな2人にヨウカは慌てふためき、コトミも珍しげに少し焦ったように声をあげ、レノも2人に釣られて変な声を上げてしまう。
「……ふっ、良い目だ。その真紅の剣に場違いなほどの斧、なるほどお前が鮮血のジャンヌか」
「その呼び名は止めてほしいですが……貴方の事は知ってます。確か、レノさんにやられていた……」
「ライオネルだ!!」
屈辱的な覚え方をされていたライオネルは激怒し、すぐに深いため息を吐くと、不意に周囲を取り囲んでいたはずの冒険者達が襲い掛かってこない事に疑問を抱くと、
「あ、話してる間に終わらせちゃった」
バチィイイッ……!!
「あ、あががっ……!?」
「ぐぅうっ……!?」
レノが右手から電流を迸らせ、既に屋根の上には無数の冒険者達が痺れて倒れこんでおり、2人が会話をしている間に既に全員倒していた。
「い、何時の間に……!?」
「いや、何か長くなりそうだから……」
「……全然気づかなかった」
「ふっ……さ、流石は俺の好敵手だな」
会話に夢中で周囲の状況に気付かなかったライオネルとジャンヌは冷や汗を流し、レノは2人を無視して建物の下を確認して異変に気付く。
「……いない?」
建物を囲んでいたはずのゴーレムと死人の集団が確認できず、その変わりに無数の死体が倒れており、先ほどジャンヌが放ったレーヴァティンの火柱の跡だけが残っている。
「ジャンヌ、1人で全員倒したの?」
「え?あ、はい……死人の群れが見えたので私がレーヴァティンの炎を放ちましたが……」
「1人でこれだけの数を倒したというのか!?」
「……すごい」
「うわぁっ……す、少し怖いけど」
「ち、違います!!」
ライオネルが驚愕の声を上げ、コトミが感心した風に頷き、ヨウカが少し引いていると彼女は焦った風に首を振り、
「火柱を上げた瞬間、勝手に死人たちが倒れたのです。恐らくはレーヴァティンの浄化の炎に反応したと思いますが……」
「炎か……」
確かに大聖剣のレーヴァティンなら死人と相性が良いのは間違いないだろうが、それでも違和感を拭えない。
「うがぁあああっ!!」
「ちっ、殺るぞ!!」
「いや、出来れば殺すのは避けたいんだけど……」
四方から同時に襲い掛かってきた冒険者たちに対し、ライオネルは拳を向け、レノは仕方なく右腕に撃雷を纏わせようとした時、
「――レーヴァティン!!」
ドゴォオオオオオオンッ……!!
「「「ぐぎゃあぁあああああっ!?」」」
唐突に建物の下から火柱が上がり、死人の悲鳴が響き渡る。一瞬だがレノ達に襲い掛かってきた冒険者達も気を取られ、その隙を逃すほどライオネルとレノは甘くは無い。
「ふんっ!!」
「「ぐげぇっ!?」」
「ほい」
「ごはぁっ!?」
「……ほあたっ」
「おごっ!?」
ライオネルは両拳で2人の冒険者の腹部を貫き、レノは見事な回し蹴りで1人を倒し、何故かコトミが最期の1人を何処からか持ち出した掌ほどの大きさの石で頭部に叩き込む。四方に飛びかかって来た四人はあっさりと撃破し、何気にコトミが倒した冒険者の安否が気にかかるが、レノ達は火柱が上がった方向に視線を向ける。
「今のは……」
「私です」
ドンッ!!
屋根の上に真紅の炎を纏わせる長剣を掲げながら、テンペスト騎士団の団長であるジャンヌが訪れる。彼女はライオネルに視線を向け、困惑の表情を浮かべるが、すぐにヨウカの存在に気が付き、慌てて駆け寄る。
「大丈夫ですか巫女姫様!!」
「あ、ジャンヌちゃん。うん、平気だよ~」
「そうですか……良かった」
「……ジャンヌも無事だった?」
「はい……とはいえ、他の方々とははぐれてしまいましたが」
「おい、誰だこの女は?」
ライオネルは突然に現れたジャンヌに訝しげの視線を向けると、彼女も彼を睨み付けるように目つきを鋭くさせ、
「……貴方は何者ですか?」
「あ、この人はね~私達を助けてくれたんだよ」
「魔人族が……?」
「何だ?俺が人を助けるのが可笑しいのか?」
「それは……いえ、巫女姫様と私の友人を助けてくれたことは感謝します。ですが……」
ジャンヌはレーヴァティンを構え、ライオネルに向ける。レノ達は普段は冷静な彼女のあまりの行動に驚愕し、慌てて2人の間に遮る。
「ど、どうしたのジャンヌちゃん!?この人は敵じゃないよ!?」
「……落ち着く」
「知合いか?」
「いや、俺は初めて見る顔だが……」
レノが2人の関係性を尋ねるとライオネルは両腕を組んで首を捻り、どうやら本当に知らないようだが、ジャンヌは剣を構えたまま睨み付ける。
「……巫女姫様、聖導教会は魔人族との関わりだけはご注意を受けているはずです。危機的状況以外での接触は避けるように言われてはいなかったのですか?」
「え?えっと……」
「聖導教会は確かに救いを求める者は拒否しませんが、魔人族に関しては慎重な対応をしなければなりません。彼らは過去に途轍もない罪を犯しました」
「罪……?」
「むうっ……」
心当たりがあるのかライオネルは顔を顰め、ジャンヌは仕方がないという風に剣を鞘に収め、
「……ですが、ここは巫女姫様の顔に免じて抑えます。しかし、もしも巫女姫様に対して不審な行動を取れば私が切り捨てます」
「ふんっ……そんな事をする気は無いが……お前にやれるのか?」
「……試してみますか?」
ライオネルは両爪を剥き出しにし、ジャンヌは柄に手を掛け、2人は睨み合う。
「はわわわっ……!?」
「……あわわっ」
「ふぇえっ……」
そんな2人にヨウカは慌てふためき、コトミも珍しげに少し焦ったように声をあげ、レノも2人に釣られて変な声を上げてしまう。
「……ふっ、良い目だ。その真紅の剣に場違いなほどの斧、なるほどお前が鮮血のジャンヌか」
「その呼び名は止めてほしいですが……貴方の事は知ってます。確か、レノさんにやられていた……」
「ライオネルだ!!」
屈辱的な覚え方をされていたライオネルは激怒し、すぐに深いため息を吐くと、不意に周囲を取り囲んでいたはずの冒険者達が襲い掛かってこない事に疑問を抱くと、
「あ、話してる間に終わらせちゃった」
バチィイイッ……!!
「あ、あががっ……!?」
「ぐぅうっ……!?」
レノが右手から電流を迸らせ、既に屋根の上には無数の冒険者達が痺れて倒れこんでおり、2人が会話をしている間に既に全員倒していた。
「い、何時の間に……!?」
「いや、何か長くなりそうだから……」
「……全然気づかなかった」
「ふっ……さ、流石は俺の好敵手だな」
会話に夢中で周囲の状況に気付かなかったライオネルとジャンヌは冷や汗を流し、レノは2人を無視して建物の下を確認して異変に気付く。
「……いない?」
建物を囲んでいたはずのゴーレムと死人の集団が確認できず、その変わりに無数の死体が倒れており、先ほどジャンヌが放ったレーヴァティンの火柱の跡だけが残っている。
「ジャンヌ、1人で全員倒したの?」
「え?あ、はい……死人の群れが見えたので私がレーヴァティンの炎を放ちましたが……」
「1人でこれだけの数を倒したというのか!?」
「……すごい」
「うわぁっ……す、少し怖いけど」
「ち、違います!!」
ライオネルが驚愕の声を上げ、コトミが感心した風に頷き、ヨウカが少し引いていると彼女は焦った風に首を振り、
「火柱を上げた瞬間、勝手に死人たちが倒れたのです。恐らくはレーヴァティンの浄化の炎に反応したと思いますが……」
「炎か……」
確かに大聖剣のレーヴァティンなら死人と相性が良いのは間違いないだろうが、それでも違和感を拭えない。
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