種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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闘人都市崩壊編

ホムラ対ホノカ

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レノはコトミを抱き上げ、路地裏に移動してから彼女から何が起きたのかを聞き出す。


「それで何が起きた?」
「……大会に出た黒い人が、いきなり襲ってきた」
「黒い人……」


恐らくはダークエルフであるホムラの事を言っており、彼女曰く、ホノカ達が「マドカ」と「ツイン」と交戦中に現れたという。



――ホムラが登場した途端、あれほど巫女姫(ヨウカ)とホノカを狙っていたマドカとツインが逃走を始め、残されたバルたちはホノカとホムラのやり取りを黙って見守っていたという。



『……それが新しい玩具かい?随分と禍々しいね』
『まあな、中々に使い勝手がいい』


「魔槍(ゲイ・ボルグ)」を構えるホムラに対し、ホノカも転移魔方陣から「妖刀(クサナギ)」を取り出し、2人は周囲の被害を考えずに戦闘を始めた。慌ててセンリはバルたちを引き寄せて「千(サウンザント)の形態魔法(マジック)」で水の「膜」を造りだし、全員を覆い囲んだという。


『離れないで下さい……この防御形態は外側の衝撃には強くても、内側からは簡単に崩壊します』
『う、うん……』
『ちょ、ニャン子……もうちょい詰めな』
『……狭い』


4人は膜の中に避難しながらも、クサナギから暴風を放出するホノカを確認し、ホムラも槍を構えたまま動かない姿に息を飲む。


『……どうしたんだい?来ないのならば……僕から行くよ』
『好きにしろ』


ゴォオオオオッ……!!


クサナギから生み出される竜巻がホノカを覆い隠し、彼女が妖刀を振り上げた瞬間、竜巻から無数の風の刃が放たれる。一つ一つがレノの乱刃並の大きさであり、真っ直ぐにホムラに放たれるが、


「ふんっ」


ブォンッ……!!


複数の風の刃をホムラは難なく槍を振り払う動作だけで打ち消す。槍の先端の刃に触れた途端、風の刃が消散する姿にホノカは首を傾げ、すぐに何かに思い至ったのか表情を顰める。


『そう言う事か……全く、僕のクサナギに対抗するためにとんでもない物を持ち出してきたね。ゲイ・ボルグ、別名は「魔殺の槍」か……』
『本当は別の物が目的だったんだがな……諸事情でこっちに変えた』


ブォンッ!!


真紅の槍を振り払うだけで、周囲に発生する竜巻の風圧が搔き消され、ホノカは冷や汗を流す。クサナギが生み出すのは妖刀の魔力で造りだした嵐属性の竜巻であり、魔法を打ち消す能力を持つ魔槍には相性が悪い。

だが、ここで引けば間違いなくホムラはセンリたちを狙う。それだけは何としても避けねばならず、ホノカも本格的に都市の被害を考えられずに全力で「クサナギ」の出力を出さなければ勝てる相手ではない。


『見様見真似……乱刃!!』


ドォオオオンッ!!


クサナギで薙ぎ払う動作を行うと、彼女を取り囲む竜巻が変化し、先ほどよりも巨大(レノの得意とする「乱刃」を想像させる)な三日月状の嵐の刃が放たれ、地面に亀裂を走らせながらホムラに向かう。


『あいつの真似か……どれ』


ホムラは魔槍を肩に置き、自分の右手を向けると、瞬時に掌の前に「火球」が現れ、


『焔』


ドガァアアアアンッ!!


火球が激しい爆裂と変化し、そのまま向い来る巨大な嵐の刃を飲み込み、一瞬にして爆炎と化して周囲に広がる。嵐属性と相性がいい炎属性とは言え、クサナギの放った嵐の刃を聖遺物ではなく、自らの魔法だけで正面から撃ち返した事に誰もが驚愕する。


『これは……いかん!!』


ゴォオオオオッ……!!


爆炎が周囲の建物に広がり、一瞬で焼野原と化すが、ホノカはすぐにクサナギを使用して竜巻を発生させ、周囲の炎を上空に吹き飛ばす。


ビュオォオオオオッ……!!


クサナギが生み出した竜巻が周囲の炎を飲み込み、火炎旋風と変化すると、ホノカは妖刀を振りかざし、ホムラに刀身を向けた瞬間、


『自分の炎で……焼かれてみるかい!!』



ズガァアアアアンッ……!!



火炎を飲み込んだ竜巻がホムラに向けて放たれ、相手の攻撃を利用して竜巻の威力を上昇させるホノカに誰もが目を奪われたが、



『ほうっ……面白い戦い方だが』



向い来る「火炎旋風」に対し、ホノカはゲイ・ボルグを構え、



『抉り取れ』



ズドォオオオオンッ!!



真紅の槍を突きだした瞬間、彼女に向い来る「火炎旋風」が一瞬にして掻き消される。その光景に誰もが目を疑い、ホムラは動き出す。


ドォンッ!!


自分に向かってくるホムラに対し、ホノカはクサナギを構え、お互いに剣と槍の違いはあるが「突き」の構えを取り、



『削り取れ』
『吹き飛ばせ』



――ドガァアアアアアンッ!!



ゲイ・ボルグとクサナギの刃が衝突した瞬間、周囲に凄まじい衝撃波が広がり、建物が崩壊し、水膜にいたバルたちも呆気なく風圧に吹き飛ばされ、そのまま散り散りになったという――
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