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闘人都市崩壊編
正当な所持者
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「ちょっ、あんなの反則でしょ!?」
「言ってる場合か!!」
ズドォオオオンッ……!!
空中でアイリィの身体を抱きしめながら、レノは瞬脚で何度も跳躍し、地上から放たれるゴーレムの熱線を掻い潜る。避けること自体は難しくは無いが、あまりにも熱線の数が多く、さらに人一人を抱えた状態では長くは空中に滞在できない。仕方なく、近くの建物の屋根に着地して2人は屋根の上を走り出す。
「「ゴォオオオオッ!!」」
ドスンッ!!ドスンッ!!
予想に反し、ゴーレムたちは2人のいる建物に向けて「熱線」を放たず、そのまま地面を走って追いかけてくる。その気になれば一斉掃射で2人の居る建物など簡単に崩壊できるはずだが、何故か地上から追跡を始める。
「……何が目的だ?」
「時間稼ぎじゃないですか?少なくとも、あっちの方に行かせたくないようですね」
ビュオォオオオオッ……!!
遥か前方には未だに竜巻が発生しており、徐々に都市の城壁の向かって移動している。一体、あそこで何が起きているのかは分からないが、それほどまでにホノカが追い込まれているの間違いない。
「転移の聖痕」を宿し、さらにはクサナギとアイギスの二つの聖遺物を所有するはずの彼女が、周囲の被害を考えずに竜巻を発生するまでに追い詰められる相手など滅多に存在しないはずだが、恐らくロスト・ナンバーズかホムラのどちらかと交戦している事は確かだ。
すぐにも彼女の元へ向かいたいが、地上にいるゴーレムの集団が空中に飛び出そうとした途端、熱線を放たれたら瞬脚で移動するのも危険すぎる。だが、このまま建物の屋根伝いに目的地に向かうにしても、竜巻の移動速度が予想以上に早く、追いつくことが出来ない。
「くそっ……何とかできないのか?」
「そうですね……こうなったら、一か八か、2人でカラドボルグで撃退してみましょう」
「2人?」
アイリィは地面に広がるゴーレムの集団を確認し、だいたい20匹ほどの煉瓦で形成された石人形を確認し、レノの右手を掴みとると、
バチィイイイッ!!
「あばばばばっ!?」
「お前、毎回思うけど本当にそれでもカラドボルグの所持者なの!?」
「ししし、仕方ないじゃ、じゃない、ですすすかぁっ……!?」
唐突に右手の紋様から「カラドボルグ」の金色の雷が漏れだし、アイリィの身体が痙攣するが、それでも尚、彼女はレノの右手を握りしめる。
「――顕現せよ!!」
ボウッ……!!
右手の前に本来の所有者である「アイリィ」の声に反応したのか、複雑な紋様の魔方陣が空中に展開され、即座に「カラドボルグ」の刀身が露わになり、金色の電流を迸らせながら、レノの右手とアイリィの左手に掴まれる。
「ゴォオッ……!?」
「ウォオオオッ……!!」
「オオンッ……」
ゴーレムたちも異変に気付いたのか、ほぼ同時に全員が口内を大きく開き、熱線の赤い光が外に漏れ出るが、
「行きますよぉおおおっ!!」
「えっ……おわっ!?」
カラドボルグをアイリィが振り上げ、レノも彼女にされるがままに剣を天に向けて翳し、そのまま地上に居るゴーレムたちに向けて刀身を振り落す。
「打ち砕け!!」
ズガァアアアアアンッ――!!
刀身から「金色の雷光」が放たれ、地上で熱線を放とうとしていたゴーレムたちに降り注ぎ、一瞬にして煉瓦製の身体が灰と変わる。以前にゴーレム・キングに放出した時よりも威力が弱いが、それでも地上にいるゴーレム達だけを薙ぎ払う事に成功する。
「ぜえっ……はあっ……やっぱり、この身体だときついですね……」
「……大丈夫か?」
アイリィが手放した瞬間、魔方陣にカラドボルグが飲み込まれて姿を消す。今回はいつもの疲労感が襲わず、レノはすぐに彼女が使用したことで自分の魔力を消費しなかったことに気が付く。
「最初からやってくれよ……」
「無茶言わないで下さいよ……こっちも大分疲れるんですから」
顔色が悪く、アイリィはその場にへたり込み、
ガタンッ!!
「あわわ~!?」
「何してんねん」
そのまま屋根をずり落ちていき、危うく地上に向けて落ちかけたところをレノが掴み上げ、何とか引き上げる。
「はあっ……はあっ……流石に今の焦りましたよ……つい変な言葉も口走ったような気がします」
「その様子じゃ動けないみたいだな……」
先ほどのカラドボルグを使用したのが不味かったのか、アイリィは屋根の上に横になり、今度こそ落ちない様に気を付けながらレノを見上げ、
「すいません……私はここでリタイアのようです。先に進んでください……!!」
「何だ、その最終決戦前の主人公を先に送り出す仲間のような台詞」
「いや~……地味に動けないんですよね、しばらくはここで休憩させてもらいます」
「そうかい……なら、ここよりいい場所に送ってやるよ」
――レノは仕方なく、彼女を抱きあげて地面に降り立ち、路地裏に連れ込むと魔方陣を刻み込み、枯葉の森に繋がる転移魔方陣を展開させる。
「あっちに行けばまだゴンゾウやカリナがいると思うし、何かあったらそっちに行くから大人しく待ってろ」
「はいはい……危険になったら迷わず戻ってきてくださいね」
送り出す際に真面目な顔つきで語るアイリィに対し、レノは視線を向け、
「……分かったよ。けど、まずは皆を避難させてからだ」
「あんまり無茶しないで下さいよ。貴方に死なれたら、私もただじゃすまないんですから」
「了解」
適当に返しながらレノはアイリィを送り込み、何時の間にか闘人都市を多い囲む城壁にまで竜巻が到達している事を確認して急行する。
「言ってる場合か!!」
ズドォオオオンッ……!!
空中でアイリィの身体を抱きしめながら、レノは瞬脚で何度も跳躍し、地上から放たれるゴーレムの熱線を掻い潜る。避けること自体は難しくは無いが、あまりにも熱線の数が多く、さらに人一人を抱えた状態では長くは空中に滞在できない。仕方なく、近くの建物の屋根に着地して2人は屋根の上を走り出す。
「「ゴォオオオオッ!!」」
ドスンッ!!ドスンッ!!
予想に反し、ゴーレムたちは2人のいる建物に向けて「熱線」を放たず、そのまま地面を走って追いかけてくる。その気になれば一斉掃射で2人の居る建物など簡単に崩壊できるはずだが、何故か地上から追跡を始める。
「……何が目的だ?」
「時間稼ぎじゃないですか?少なくとも、あっちの方に行かせたくないようですね」
ビュオォオオオオッ……!!
遥か前方には未だに竜巻が発生しており、徐々に都市の城壁の向かって移動している。一体、あそこで何が起きているのかは分からないが、それほどまでにホノカが追い込まれているの間違いない。
「転移の聖痕」を宿し、さらにはクサナギとアイギスの二つの聖遺物を所有するはずの彼女が、周囲の被害を考えずに竜巻を発生するまでに追い詰められる相手など滅多に存在しないはずだが、恐らくロスト・ナンバーズかホムラのどちらかと交戦している事は確かだ。
すぐにも彼女の元へ向かいたいが、地上にいるゴーレムの集団が空中に飛び出そうとした途端、熱線を放たれたら瞬脚で移動するのも危険すぎる。だが、このまま建物の屋根伝いに目的地に向かうにしても、竜巻の移動速度が予想以上に早く、追いつくことが出来ない。
「くそっ……何とかできないのか?」
「そうですね……こうなったら、一か八か、2人でカラドボルグで撃退してみましょう」
「2人?」
アイリィは地面に広がるゴーレムの集団を確認し、だいたい20匹ほどの煉瓦で形成された石人形を確認し、レノの右手を掴みとると、
バチィイイイッ!!
「あばばばばっ!?」
「お前、毎回思うけど本当にそれでもカラドボルグの所持者なの!?」
「ししし、仕方ないじゃ、じゃない、ですすすかぁっ……!?」
唐突に右手の紋様から「カラドボルグ」の金色の雷が漏れだし、アイリィの身体が痙攣するが、それでも尚、彼女はレノの右手を握りしめる。
「――顕現せよ!!」
ボウッ……!!
右手の前に本来の所有者である「アイリィ」の声に反応したのか、複雑な紋様の魔方陣が空中に展開され、即座に「カラドボルグ」の刀身が露わになり、金色の電流を迸らせながら、レノの右手とアイリィの左手に掴まれる。
「ゴォオッ……!?」
「ウォオオオッ……!!」
「オオンッ……」
ゴーレムたちも異変に気付いたのか、ほぼ同時に全員が口内を大きく開き、熱線の赤い光が外に漏れ出るが、
「行きますよぉおおおっ!!」
「えっ……おわっ!?」
カラドボルグをアイリィが振り上げ、レノも彼女にされるがままに剣を天に向けて翳し、そのまま地上に居るゴーレムたちに向けて刀身を振り落す。
「打ち砕け!!」
ズガァアアアアアンッ――!!
刀身から「金色の雷光」が放たれ、地上で熱線を放とうとしていたゴーレムたちに降り注ぎ、一瞬にして煉瓦製の身体が灰と変わる。以前にゴーレム・キングに放出した時よりも威力が弱いが、それでも地上にいるゴーレム達だけを薙ぎ払う事に成功する。
「ぜえっ……はあっ……やっぱり、この身体だときついですね……」
「……大丈夫か?」
アイリィが手放した瞬間、魔方陣にカラドボルグが飲み込まれて姿を消す。今回はいつもの疲労感が襲わず、レノはすぐに彼女が使用したことで自分の魔力を消費しなかったことに気が付く。
「最初からやってくれよ……」
「無茶言わないで下さいよ……こっちも大分疲れるんですから」
顔色が悪く、アイリィはその場にへたり込み、
ガタンッ!!
「あわわ~!?」
「何してんねん」
そのまま屋根をずり落ちていき、危うく地上に向けて落ちかけたところをレノが掴み上げ、何とか引き上げる。
「はあっ……はあっ……流石に今の焦りましたよ……つい変な言葉も口走ったような気がします」
「その様子じゃ動けないみたいだな……」
先ほどのカラドボルグを使用したのが不味かったのか、アイリィは屋根の上に横になり、今度こそ落ちない様に気を付けながらレノを見上げ、
「すいません……私はここでリタイアのようです。先に進んでください……!!」
「何だ、その最終決戦前の主人公を先に送り出す仲間のような台詞」
「いや~……地味に動けないんですよね、しばらくはここで休憩させてもらいます」
「そうかい……なら、ここよりいい場所に送ってやるよ」
――レノは仕方なく、彼女を抱きあげて地面に降り立ち、路地裏に連れ込むと魔方陣を刻み込み、枯葉の森に繋がる転移魔方陣を展開させる。
「あっちに行けばまだゴンゾウやカリナがいると思うし、何かあったらそっちに行くから大人しく待ってろ」
「はいはい……危険になったら迷わず戻ってきてくださいね」
送り出す際に真面目な顔つきで語るアイリィに対し、レノは視線を向け、
「……分かったよ。けど、まずは皆を避難させてからだ」
「あんまり無茶しないで下さいよ。貴方に死なれたら、私もただじゃすまないんですから」
「了解」
適当に返しながらレノはアイリィを送り込み、何時の間にか闘人都市を多い囲む城壁にまで竜巻が到達している事を確認して急行する。
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