種族統合 ~宝玉編~

カタナヅキ

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闘人都市崩壊編

意外な援軍

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――バル達が「センチュリオン」改め「ロスト・ナンバーズ」のマドカとツインと交戦している最中、ポチ子はバルトロス国王が寝泊まりする闘人都市一を誇る宿屋『純銀の兎』に到着して援軍を頼もうとしたが、既に宿の周囲は激しい戦闘が行われていた。

宿の周囲には無数の剣乱武闘に敗退したはずの冒険者達が群がり、王国の騎士団と戦闘を繰り広げる。


「メダルを寄越せ!!」
「俺が優勝するんだ!!」
「くっ……お、落ち着くんだ!!君たちはもう……ぐあぁっ!?」
「うるせえっ!!」


騎士や兵士達に冒険者が襲いかかり、襲撃者達の眼は明らかに彼等の姿が写って居らず、恐らく彼らはまだ剣乱武闘の予選が繰り広げられていると洗脳されている。

このような洗脳を施せるのは裏の世界の魔術師だけであり、しかも闘技場で待機していた選手全員を一度に洗脳するなど、相当に大規模な組織が動いており、ポチ子は急いで宿の中に進む。


「くそっ!?また新手か!?」
「ここから先は通さんぞ!?」
「わうっ!?ち、違います!!」


接近してくるポチ子に警備兵が立ちふさがるが、彼女は懐から王国の紋章が刻まれたペンダントを取り出し、


「テンペスト騎士団所属の第4部隊団員のポチ子です!!」
「おおっ!?」
「あの腐敗竜を討伐した狂犬士!?」
「わふっ!?」


狂犬士という単語にポチ子は自分がどういう噂を流されているのかが気にかかるが、今は一刻も早くリノン達に合流しなければならない。


「あ、あの……リノンさっ……副団長は!?」
「裏手に回っています!!我々に構わず、合流を!!」
「死ねぇっ!!」
「きゃんっ!?」


兵士からリノンの居場所を聞き出している途中で、ポチ子に向けて巨人族の冒険者が何故か炭坑用のツルハシを振り落としてくる。


ズガァアンッ!!


咄嗟にポチ子は回避し、そのまま後方に下がると既に彼女は囲まれている事に気付く。


「へへへ……見つけたぜ、こいつメダルを持ってやがる」
「そいつを寄越しな……」
「うぉおおおっ!!」
「ち、違います!!これはメダルじゃ……!?」


どうやら警備兵に騎士団に所属していることを証明するため、彼等に提示したペンダントが、彼らの目には第二次予選に突破するために必要なメダルに見えているらしく、攻撃を仕掛けてくる。


「くらいやがれ!!金色の断罪剣!!」
「わうっ!?」


スカッ!!


「今度は俺だ!!覇王双拳!!」
「わふっ!!」


スカッ!!


「くそっ!!すばしっこいぞこいつ!!」
「攻撃が当たらねえ!?」
「うおおっ!!」


華麗に冒険者の攻撃を躱すポチ子に、先ほどの巨人族の戦士がツルハシを振り上げた時、


「馬鹿野郎が!!」
「ぐへっ!?」
「きゃうんっ!?」


ツルハシを振り下ろす前に別の巨人族の男が現れ、後方から突進して押し倒す。さらにそのまま馬乗りになり、


「炭鉱の命を、無闇に振り回すんじゃねえ!!」
「ぐはぁっ!?」


ズドォオオンッ!!


そのまま拳を押し倒した相手にめり込ませ、その衝撃に地面が震える。倒された巨人族は気絶したのか、そのまま動かなくなる。新たに現れた巨人族の男はツルハシを取り上げ、鍔を地面に吐き捨てる。


「ふんっ……俺の前で、こいつを武器にしたのが命取りだったな」
「あ、貴方は……」
「おう、犬の嬢ちゃんか?奇遇だな」


つい先日にポチ子が闘技場で対戦した巨人族であり、レノとも二度ほど交戦しており、現在は炭鉱に働きながら冒険者稼業を行っている「ダイア」が立っていた。


「無事だったんですか!?」
「ああ……何が起きてるのかは知らねえが、今は力を合わせようぜ」
「た、助かります」


ダイアはツルハシを肩に預け、周囲を見渡して暴れ狂う冒険者たちを相手に拳を鳴らし、


「さて……ここは俺に任せな、一気に片づけてやる」
「おおっ……助かります!!」
「皆!!援軍だぞ!!」


警備兵が頼もしい味方の登場に歓喜し、すぐに彼はツルハシを置いてナックルを取り出し、拳を合わせる。


「さて……行くぞこらぁっ!!」


ドガァアアンッ!!


「「ぐあぁああああっ!?」」


巨体を生かして次々と冒険者たちを吹き飛ばし、警備兵と協力して玄関口の防衛に励む。ポチ子はそれを確認し、この場は彼に任せてすぐに宿の裏手に向かう。


「すんすんっ……この匂いはリノンさんです!!」


移動中に僅かながらに彼女の匂いを感じ取り、嬉しげに走り出すと、すぐに違和感に気が付く。嗅ぎなれた匂いが1つだけではなく、もう1人いる事に気付く。裏手に回ると既に警備兵と冒険者たちが戦闘を繰り広げており、その中には見知った2人の姿が見えた。


「リノンさん!!ジャンヌさん!!」
「ポチ子!?」
「無事だったんですね!!」



――そこには背中合わせに武器を構えるリノンとジャンヌの姿があり、既に殆どの警備兵が倒れ、残されたのは数人の兵士と彼女達だけだった。
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