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闘人都市崩壊編
糸人形
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「そうか……お主はレイアの子供だったな。その炎、確かにお主はレイアの血を濃く継いでいるな」
「……?」
寂しそうな表情を浮かべるムメイにレノは首を傾げるが、すぐに彼女は左手を向け、糸の塊を射出する。
ブシュッ!
「ふんっ!!」
向かってくる糸の弾丸に対し、レノは魔鎧の炎で焼き払い、どうやらアラクネ放つ糸は火属性の攻撃が極端に弱点らしく、そのまま突進する。
「むうっ……」
ブシュッ!ブシュッ!
左手から何度も糸を射出するが、レノはその全てを魔鎧の熱で焼き払い、同時に左腕に意識を集中させて銀の鎖と聖爪を黒衣の左腕に装備させ、鎖の腕に変形させる。
ジャラララッ!!
「はああっ!!」
「ぬっ……」
ズバァアッ!!
両腕でムメイが放つ無数の糸を右腕で焼き払い、もしくは左腕で斬り裂き、そのまま彼女の元まで接近するが、
「……ならばこの糸はどうじゃ?」
ブシュッ!!
ムメイの左手から放たれる糸の色が変色し、黒色の糸がレノに向けて放たれる。その速度は先ほど比べても遅く、十分に対応できるが不意に嫌な予感を察知してレノは咄嗟に回避行動を取る。
ズドォンッ!!
「なっ……!?」
「ほうっ……いい勘じゃな」
彼女が放った「黒色」の糸が遥か後方に存在する建物の壁に突き刺さり、途轍もない硬度を誇る。恐らくは何らかの方法で糸そのものを硬化させており、漫画などで表現される「鋼糸」という奴なのだろう。
「その糸は焼ききれません!!絶対に避けてください!!」
「うるさいのう」
「あぐっ……!!」
ドンッ!!
ムメイがアイリィの頭を抑えつけ、レノは鋼糸を確認すると、確かにこの威力は危険すぎる。真面に喰らえばレノの肉体を貫通し、致命傷を負う。試しに地面に落ちた糸に魔鎧を向けてみるが、一向に焼き切れる様子は無い。
「無駄じゃ……この糸を突破できる者はそうはいない。観念して串刺しになってほしいが……」
「それは御免……だ!!」
左腕を向け、まだ距離はあるがレノは一か八か聖爪のリングを向け、電流を迸らせながら彼女に向けて射出する。
ズドォオオンッ!!
「むっ……!?」
流石に予想外だったのか、自分に向い来るレノの指先の5つのリングにムメイは左腕を向け、
「ほりゃっ」
ブワァッ!!
最初に放った白色の糸を拡散させ、自分に向い来るリングに絡みつかせ、そのまま地面に叩き付ける。リングには電流を迸らせているが、ムメイに流れ込む前に意図によって周囲に放電してしまい、彼女には届かない。
「中々面白い発想じゃが……まだまだじゃのう」
「くっ……」
糸によって絡みつかれたリングを確認し、鎖で回収しようにも糸によって地面に貼り付けられ、力ずくでは引きはがせず、左腕が奇妙な形で拘束されてしまう。
「さあ……終わりじゃ」
「……どうかな?」
「何?」
左手を自分に向けようとしたムメイにレノは笑みを浮かべ、彼は黒衣の左腕に流し込む魔力を遮断し、
ジャラララッ!!
「何と……」
「これで身軽に……なった!!」
――左腕から鎖の腕を完全に解除させ、地面に鎖が落ちる。レノの左腕の黒衣が解け、銀の鎖と聖爪が取り外されたことにより、彼は糸の拘束から自由となって動き出す。
ダァンッ!!
右腕に魔鎧を纏わせたまま走り出し、ムメイがアイリィを掴んでいた腕を離し、両手を向けてくるが、それよりも早くレノは瞬脚で接近して攻撃を仕掛けるが、
「……甘い」
「っ!?」
ドォンッ!!
ムメイが笑みを浮かべ、彼女の周囲には何時の間にか細かい「糸の結界」が張り巡らされており、レノの身体が急停止し、その間にもムメイは彼の身体に両手を向けて先ほどの鋼糸を放とうとするが、
「まだ、だ!!」
レノは右足に雷属性の魔力を集中させ、ムメイが一瞬だけ彼の行動に目を引きつけられ、すぐに意図に気付くが、
「地雷!!」
ドォオオンッ!!
レノの右足から電撃が放出され、そのまま大地に飲み込まれて地面を伝わり、ムメイの足元に到達した瞬間、
ズドォオオオンッ!!
「ぬぐぅっ……!?」
「あばばばっ!?」
ムメイと、彼女の足元にいたアイリィに地面から電流が放たれ、すぐにレノを拘束していた糸が緩み、その隙を逃さずに彼は手刀を放ち、
「風刃!!」
ズバァアアアッ――!!
そのまま眼前のムメイに向けて「嵐」で形成した刃を放ち、彼女の体を切り裂くが、すぐにその感触に違和感を抱く。
「見事じゃ」
斜めに大きく身体を切り裂かれながら、ムメイは余裕の笑みを浮かべたまま、出血もせずに地面に倒れ込み、
ブワァッ……!!
「なっ……!?」
次の瞬間、彼女の身体が無数の「糸」に変化し、ムメイが身につけていた服と、赤く光り輝く魔石が地面に転がり込む。
「……糸で作った人形です……糸人形(マリオネット)という奴ですかね。どうやら本物は最初からいなかったようですね」
「そんな馬鹿な……」
地面に横たわるアイリィが崩壊したムメイの肉体を見て、ため息を吐く。
「死霊使いが操る死人と同じ原理ですよ……あの女の魔の聖痕と、特別な魔道具で本物同然の人形を作り出していたんですよ」
「……?」
寂しそうな表情を浮かべるムメイにレノは首を傾げるが、すぐに彼女は左手を向け、糸の塊を射出する。
ブシュッ!
「ふんっ!!」
向かってくる糸の弾丸に対し、レノは魔鎧の炎で焼き払い、どうやらアラクネ放つ糸は火属性の攻撃が極端に弱点らしく、そのまま突進する。
「むうっ……」
ブシュッ!ブシュッ!
左手から何度も糸を射出するが、レノはその全てを魔鎧の熱で焼き払い、同時に左腕に意識を集中させて銀の鎖と聖爪を黒衣の左腕に装備させ、鎖の腕に変形させる。
ジャラララッ!!
「はああっ!!」
「ぬっ……」
ズバァアッ!!
両腕でムメイが放つ無数の糸を右腕で焼き払い、もしくは左腕で斬り裂き、そのまま彼女の元まで接近するが、
「……ならばこの糸はどうじゃ?」
ブシュッ!!
ムメイの左手から放たれる糸の色が変色し、黒色の糸がレノに向けて放たれる。その速度は先ほど比べても遅く、十分に対応できるが不意に嫌な予感を察知してレノは咄嗟に回避行動を取る。
ズドォンッ!!
「なっ……!?」
「ほうっ……いい勘じゃな」
彼女が放った「黒色」の糸が遥か後方に存在する建物の壁に突き刺さり、途轍もない硬度を誇る。恐らくは何らかの方法で糸そのものを硬化させており、漫画などで表現される「鋼糸」という奴なのだろう。
「その糸は焼ききれません!!絶対に避けてください!!」
「うるさいのう」
「あぐっ……!!」
ドンッ!!
ムメイがアイリィの頭を抑えつけ、レノは鋼糸を確認すると、確かにこの威力は危険すぎる。真面に喰らえばレノの肉体を貫通し、致命傷を負う。試しに地面に落ちた糸に魔鎧を向けてみるが、一向に焼き切れる様子は無い。
「無駄じゃ……この糸を突破できる者はそうはいない。観念して串刺しになってほしいが……」
「それは御免……だ!!」
左腕を向け、まだ距離はあるがレノは一か八か聖爪のリングを向け、電流を迸らせながら彼女に向けて射出する。
ズドォオオンッ!!
「むっ……!?」
流石に予想外だったのか、自分に向い来るレノの指先の5つのリングにムメイは左腕を向け、
「ほりゃっ」
ブワァッ!!
最初に放った白色の糸を拡散させ、自分に向い来るリングに絡みつかせ、そのまま地面に叩き付ける。リングには電流を迸らせているが、ムメイに流れ込む前に意図によって周囲に放電してしまい、彼女には届かない。
「中々面白い発想じゃが……まだまだじゃのう」
「くっ……」
糸によって絡みつかれたリングを確認し、鎖で回収しようにも糸によって地面に貼り付けられ、力ずくでは引きはがせず、左腕が奇妙な形で拘束されてしまう。
「さあ……終わりじゃ」
「……どうかな?」
「何?」
左手を自分に向けようとしたムメイにレノは笑みを浮かべ、彼は黒衣の左腕に流し込む魔力を遮断し、
ジャラララッ!!
「何と……」
「これで身軽に……なった!!」
――左腕から鎖の腕を完全に解除させ、地面に鎖が落ちる。レノの左腕の黒衣が解け、銀の鎖と聖爪が取り外されたことにより、彼は糸の拘束から自由となって動き出す。
ダァンッ!!
右腕に魔鎧を纏わせたまま走り出し、ムメイがアイリィを掴んでいた腕を離し、両手を向けてくるが、それよりも早くレノは瞬脚で接近して攻撃を仕掛けるが、
「……甘い」
「っ!?」
ドォンッ!!
ムメイが笑みを浮かべ、彼女の周囲には何時の間にか細かい「糸の結界」が張り巡らされており、レノの身体が急停止し、その間にもムメイは彼の身体に両手を向けて先ほどの鋼糸を放とうとするが、
「まだ、だ!!」
レノは右足に雷属性の魔力を集中させ、ムメイが一瞬だけ彼の行動に目を引きつけられ、すぐに意図に気付くが、
「地雷!!」
ドォオオンッ!!
レノの右足から電撃が放出され、そのまま大地に飲み込まれて地面を伝わり、ムメイの足元に到達した瞬間、
ズドォオオオンッ!!
「ぬぐぅっ……!?」
「あばばばっ!?」
ムメイと、彼女の足元にいたアイリィに地面から電流が放たれ、すぐにレノを拘束していた糸が緩み、その隙を逃さずに彼は手刀を放ち、
「風刃!!」
ズバァアアアッ――!!
そのまま眼前のムメイに向けて「嵐」で形成した刃を放ち、彼女の体を切り裂くが、すぐにその感触に違和感を抱く。
「見事じゃ」
斜めに大きく身体を切り裂かれながら、ムメイは余裕の笑みを浮かべたまま、出血もせずに地面に倒れ込み、
ブワァッ……!!
「なっ……!?」
次の瞬間、彼女の身体が無数の「糸」に変化し、ムメイが身につけていた服と、赤く光り輝く魔石が地面に転がり込む。
「……糸で作った人形です……糸人形(マリオネット)という奴ですかね。どうやら本物は最初からいなかったようですね」
「そんな馬鹿な……」
地面に横たわるアイリィが崩壊したムメイの肉体を見て、ため息を吐く。
「死霊使いが操る死人と同じ原理ですよ……あの女の魔の聖痕と、特別な魔道具で本物同然の人形を作り出していたんですよ」
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